色々なIF集   作:超人類DX

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めだかちゃん編の続き的なもの。

色々とはしょります。


生徒会業務

 生徒会とは実に懐かしい気分だ。

 めだかちゃんが善吉君を誘って発足した様に、俺はアーシアとレイナーレを誘って作ったあの頃を思い出す。

 会長の腕章を身に付けるめだかちゃんの姿こそが実は今の俺のルーツだったなどと、彼女自身は知らない訳だがな……ふふ。

 

 

「結局なし崩し的に入っちまったぜ……はぁ」

 

 

 剣道場の不良をめだかちゃん『改心』させた、その影の功労者である善吉君がため息と共に等身大の鏡の前に立つこの場所は、箱庭学園の生徒会室だ。

 駒王学園の生徒会室と似てる気がしないでも無いので、密かに癒しの場になりつつあるのは秘密なのだが、善吉君はそうでも無さそうで、何やらブツブツと生徒会専用の制服に文句を言っている。

 

 

「くっそー……黒の制服が嫌だからこのガッコーに入ったのに……」

 

 

 何だか弟を見てるような気分で善吉君を眺めつつ聞いてみると、どうやら黒い制服が嫌らしい。

 そういえば箱舟中の制服が学ランで、善吉君が当時から似合わねぇとぼやいてたのを思い出す。

 まあ、似合わないとかじゃなくて、当時善吉君が変な不良漫画に憧れて変なイメチェンしたせいで黒の制服が嫌いになっただけなんだけとね。

 正気に戻ってからの反動的な意味合いで。

 

 

「俺は好きだけどな、黒の制服」

 

「え……そ、そうか? 一誠がそう言うんだったら……」

 

 

 黒の制服が善吉君に似合わない……なんて事は俺目線的に無いわけで、フォローのつもりで後ろからそう声を掛けてやると若干照れ臭そうに頬を掻いている。

 そしてそのタイミングで生徒会室に入ってきためだかちゃんが、『見てくれがそんなに気になるなら下にジャージでも着てろ』という言葉に従った結果……。

 

 

「デ、デビルカッケー!!」

 

 

 どうやら生徒会役員専用の制服を嫌がる事が無くなった。

 

 

「見ろよ一誠、反骨精神の塊みたいだろ!?」

 

「おう、良いんじゃないか?」

 

「だろ!? へへ~」

 

 

 まあ、制服の下にジャージが反骨精神の塊みたいなのかどうかは知らないが、善吉君の機嫌が直ったのならそれに越した事は無いのだが……。

 

 

「そういやめだかちゃんよ。

この前から言おうとしたのだが、お前の制服は些か露出が多いんじゃないか?」

 

「む?」

 

 

 俺は逆に彼女の制服が健全な学生……よりも若干離れてる気がしてならなく、会長席に座るめだかちゃんに物申してやる。

 するとめだかちゃんはキョトンとした顔で、まるでそれが当たり前だと言わんばかりにこう言ってくる。

 

 

「機動性を考えた結果、このデザインとなった訳であり、そもそも私は一誠に習って練り上げて来たこの肉体を見られても何とも思わん!」

 

「………」

 

「露出狂かコイツは」

 

 

 背景に『凛』という文字が幻視する勢いで堂々と言い切るめだかちゃんに、横で聞いていた善吉君は呆れた様子であり、俺は……。

 

 

「なるほど。うむ……解らんでもないな」

 

「だろう? むふふ、どうだ一誠よ。私も大分成長したとは思わないか?」

 

 

 その気持ちが滅茶苦茶わかってしまい、思わず頷いてしまう。

 その返事にめだかちゃんは嬉しそうな顔で笑っている。

 

 

「確かに身体作りを疎かにしてる気配は……というか四六時中お前と善吉君は俺の鍛練に引っ付いて来て一緒にやってんだから、今更感が否めんな」

 

 

 元の世界で憧れていた黒神めだかちと人吉善吉が、なじみによって生の出会いを果たせ、その結果テンション上がって色々と二人に教えてしまったせいで、この二人はビックリするくらいに強い。

 昨日だって、剣道三倍段がどうとかと言って善吉君を闇討ちしようとした日向とかいう男子を、善吉君は無刀取りして無力化してたしな……ちょっと色々と教えすぎたのかもしれんな……。

 剣道部の不良を更正させようとするめだかちゃんは、運動不足気味の不良達に俺達三人の鍛練メニューと同じ事をさせようとしてたし……まあそれは流石に俺が止めたが。

 

 

「まあ、それはさておきだ、目安箱に投書とかは無かったのか?」

 

 

 しかし此処まで来ちゃってる時点で元には戻せないので、引き続き鍛練に引っつかれたらその都度付き合わせるつもりではいる……………という気持ちに落ち着いた所で、めだかちゃん発足の生徒会の目玉である目安箱システムについて触れてやると、めだかちゃんは『おっとそうだった』という前置きをしてから一枚の封筒を会長席の上に置いた。

 

 

「一誠が今言った通り……目安箱に投書だ」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間……何故か俺は頬が緩んで仕方なかった。

 

 

 

 

 二年九組陸上部、有明先輩。

 それがなし崩しとはいえ俺達三人の生徒会初めての依頼だった。

 結局一誠とめだかちゃん二人の間に出来た縁を切る事が出来ないからこそ、俺は今此処に居る。

 

 

「ごめんなさい、下級生のアナタ達に持ち込む様な事じゃ無いと思ってるんだけど……」

 

 

 二年生……つまり俺達より先輩である有明先輩は不安そうに椅子に座りながら言っている。

 

 

「なに、遠慮する事は無い。

私達は誰からの相談を受け付けるからな!」

 

 

 現状我らのリーダーであるめだかちゃんは、先輩相手に何時もの態度であった。

 昔から誰彼構わず妙に偉そうな態度は変わらないな……ん、何だ? 有明先輩が此方を見てるような…?

 

 

(何で制服の下にジャージ……?)

 

 

 ……。そうかなるほど! 有明先輩ってば俺のこのデビルで格好いい着こなしに歓心してるんだな!?

 ふふん、やはりこの格好は正解だぜ!

 

 

「砂糖は?」

 

「え、あ……じゃ、じゃあ2杯……」

 

 

 そして俺とめだかちゃんの一誠はと言えば、有明先輩にお茶を淹れていた。

 ふっ、有明先輩も幸運だぜ、なんせ一誠の淹れるお茶を飲めるのだからな!

 

 

「それ、淹れたぞ」

 

「あ、ありがと……あ、美味しい……」

 

「……! そうか? ふふ……」

 

 

 出された紅茶を口にした有明先輩の誉め言葉に、一誠はニヤニヤしながら照れていた。

 昔から一誠って誉められると子供みたいに喜ぶからな……内心はもっと嬉しい気分だろうな。

 

 

「さて、一息入れた所で早速依頼の内容を教えて貰おうか?」

 

「う、うん……これなんだけど……」

 

 

 めだかちゃんに促された有明先輩が見せたのは、どうみてもボロボロな陸上専用のスパイク一足だ。

 

 

「……。酷いな」

 

 

 履くという用途を真正面から否定するかの如くボロボロに切り刻まれたスパイクを目にした俺を含む三人が目を細めていると、有明先輩は話を始めた。

 どうやら近くにある大会の代表選手に選ばれてからこれに近い嫌がらせが始まり、遂に三日前このスパイクがボロボロにされてロッカーに置かれていた……らしい。

 

 

「……。犯人に心当たりは?」

 

「無いよ……。というよりわからない。レギュラーに選ばれたら嫌がらせをされる事は聞いてたし覚悟してたけど、これじゃあ……皆怪しくてどうした良いかわからないんだよ!」

 

 

 そう声を震わせながら、恐らく溜め込んでいただろう心の内を口にする有明先輩。

 泣いてしまっているのもあって、俺は同情的な気分になっていると、紅茶を入れてから窓際で聞いていた一誠が有明先輩に近付く。

 

 

「なるほどな」

 

 別にそんなつもりは毛頭無いが、知らない他人が聞くとどうしても冷徹に聞こえてしまう声を放つ一誠の声に、有明先輩の身体がビクッとする。

 

 

「え、えっと……?」

 

「要するに不安が無くなれば良いわけであって、犯人を突き止め、その犯人に気を使って代表の座を譲ろうとかって考えは無いのだな?」

 

「な、ないよ! それじゃあ嫌味にしかならないじゃん!」

 

 

 平淡な声で問う一誠の言葉に怒ったのか、心外とばかりに真っ赤な顔で言い返す有明先輩。

 そのやり取りを見ていた俺とめだかちゃんは、只黙って聞いている。

 

 

「フッ……なら良い。これでもし犯人に気を使って代表を辞退すると宣ってたら俺は今回は何もしないつもりだった」

 

「っ……! し、失礼ね。相手にお情けを与えても根本的な解決にならないくらい私にだって分かってるし、レギュラーに向けて頑張って来たつもりだもん……!」

 

「はっはっはっ! それはすまん。俺が短絡的だったよ……許してくれ」

 

 

 一誠が最も好む人物……それは『目的に向かって昇ろうとする存在』である。

 誰に笑われようと、無駄だと馬鹿にされても諦めずに壁を昇る奴が……それが一誠の大好きな人間なのだ。

 だからこそ、有明先輩が示したこの答えは最良であり……。

 

 

「ちょ、ちょっと……! 頭撫でないでよぅ……」

 

「おっとすまん……。昔から俺は貴様の様な人物が大好きでな? つい癖が……ふふ」

 

「だ、大好きって、一年生の癖に……」

 

「「…………」」

 

 

 馬鹿に正面から言い切る一誠に違う意味で顔真っ赤な有明先輩の姿が、ちょっとだけ面白くない俺とめだかちゃんなのだった。

 

 

 

 

 で、まあ……若干不機嫌になっちまったものの、有明先輩の依頼を受け、今日中に犯人を特定して嫌がらせをやめさせる約束を取り付けためだかちゃん。

 

 

「で、どうやって犯人を特定すんだ?

何と無く予想はしてるが」

 

 

 有明先輩が帰った後の生徒会室では、早速の会議が行われていた。

 といっても……先輩が置いていったボロボロのスパイクと『リクジょう部ヤめロ』という暗号文みたいな脅迫書で大体の推理は可能だし、めだかちゃんも一誠も俺の言葉に頷いている。

 

 

「うむ。『陸上女子部』で『短距離走を専門』とし――」

 

「『有明二年と同じシューズを愛用』そして『左利き』で――」

 

「『六車新聞講読者』で『23地区辺りに住んでいる』誰かってのが現状考えられる犯人像ってところか?」

 

 

 めだかちゃんから一誠、そして俺の順に推測していた事を口にする。

 どうやら全員同じ考えだった様だ。

 

 

「一昔前の暗号文を使うのは良いが、ちと見落としている部分が多かったのが助かったぜ。

ハサミの跡から左利きだってのも分かったしな」

 

 

 一誠に習って新聞を読む癖を付けたのが項をそうしたぜ。

 お陰で切り抜かれた部分の裏の記事の文字で23地区のみに配られた14版なのが分かったしな…………まあ、俺は新聞記事を事細かに覚えてる訳じゃなく、気付いたのはめだかちゃんと一誠の二人だが。

 ていうか、差し替え版と原版の記事の違いまで覚えてるとかおかしいっつーか……いや今更か。

 

 

「まあ、犯人からすればこんな遠回しな推理をされるとは思ってないだろうが」

 

「確かにな。が、お陰で犯人がかなり絞り込めたのは間違いない。

有明二年生の努力を否定し、足を引っ張る……私もそうだが一誠にとっても許しがたい行為だ」

 

「だけどどーすんだ? いくら犯人を特定しても、知らばっくれられたらどうにもできねーぞ?

なんせこの推測にしても、水掛け論になっちまうだろうしな」

 

 

 プルプルと震えすぎてティーカップから紅茶が溢れそうになってるめだかちゃんを宥めつつ言うと、ゴキッと首を鳴らした一誠が自信満々に立ち上がる。

 

 

「見つけて腹割って話してやめてもらう……結局はそこだろう?」

 

「あぁ、お前は昔からそんな奴だったな……」

 

 

 馬鹿過ぎるほど真っ直ぐな意見に、俺は思わず肩の力が抜けてしまった。

 だが……。

 

 

「その通りだな。

そうなれば此処で言葉を並べるだけの時間は終わりだ……行くぞ善吉、一誠――」

 

 

 

 

 

「生徒会を執行する!!」

 

 

 その馬鹿に突き抜けた一誠が昔から俺の憧れなんだよな。

 それはめだかちゃんも同じであり、大好きであるからこそ――

 

 

「そういや、そろそろリアスとかアーシアとかレイナーレってのが誰なのか教えて欲しいのだがな一誠よ?」

 

「おう、皆同年代の女子っつーのはわかったが、一誠の何なのかはわからんねーまんまだったもんなー?」

 

「……………。生徒会を執行しよう!!」

 

 

 一誠が寝言とか譫言で口にする三人の名前が気になっちまうのさ。

 けど、昔から今まで……今回の依頼を片付けた後も一誠は下手くそな誤魔化しで話してはくれなかったけどな……。

 

 

 

 

オマケ

 

一誠の親友三人。

 

 

 

 初の依頼を解決した後もそうだが、めだかちゃんと善吉君は最近からヤケにリアス達の事を聞こうとする。

 別に答えても良いんだが……うん……何か話しづらいっていうか、聞いてくる時の二人が見せる雰囲気が怖いというか……なぁ?

 この世界に来る前に皆で撮った写真を唯一向こうの持ち物として俺は今も財布の中にしまってる訳だが……これ見られたら――

 

 

「なるほど、赤髪と金髪と黒髪の女か……写真の姿か年齢を考察する感じ、最近撮った様に見えるのだが……」

 

「……っておい!?」

 

 

 ……見事にその写真を二人に見られてしまった自分の修行不足ぶりを呪いたくなるぜ。

 

 

「外国人か? ……ヤケに美人だな」

 

 

 しかし撮った時の服装が私服で助かった。

 これが駒王の制服だったら厄介な事になってたからな。

 さてと、どう誤魔化そうか……。

 

 

「……。まさかとは思うが、私に黙ってこの三人の中の誰かと恋仲……では無かろうな?」

 

 

 俺を真ん中にして4人で写ってる写真をまじまじと眺めつつ、めだかちゃんが不機嫌そうになって言うので、俺は正直に首を横に振る。

 

 

「違う。三人とも俺の友だ。恋仲だなんてあの三人に失礼だぞ」

 

「にしてはこの写り方を見るに、三人とも一誠にくっつき過ぎに見えるぞ」

 

「そうかもしれんが、本当に友達なだけだ……もう良いだろ、返せ」

 

「「あ……」」

 

 

 ちくしょう……この二人ってかなり洞察が鋭いからな……今後なじみか何かに出会った後なら俺が本当は何処から来たか話せるけど……今話したから只の頭のおかしな奴にしか思われんし……ままならんな。

 

 

 

 

 

 写真を取り返し、足早に歩く一誠の背中を見つめながら、めだかと善吉は無言で顔を見合わせる。

 

 

「……。嘘が下手で助かったな。一誠の奴、絶対なにか隠してる」

 

「うむ……だがしかし、一誠に無理に聞いてしまうと……嫌われてしまう可能性があるな」

 

「だよなぁ……寝言とか譫言を聞く感じだと、一誠にとってはかなり大事な人達なんだろうが……」

 

「……。私達とどちらが大事なのか……」

 

「聞いてみてーけど、怖いよな……」

 

「ああ、もし一誠が『私よりもあの者達が大事』だなんて言ってきたら……………あ、考えただけで涙が……クスン」

 

「そりゃ俺も同じだぜ……多分全てにやる気が起きなくなる自信があるわ」

 

 

 結論……テンション上がって世話焼き過ぎて、ある意味で肉親以上に別世界の主人公に依存している主人公二人。




補足。

めだかちゃんは一誠に世話焼きされて全盛期以上を常に維持してます。

それと善吉君もナチュラルに影響されて、常人越えに片足突っ込み中です。


その2
別にリアスさん達を敵視してる訳では無いのですが、一誠にこの話題を振ると儚そうにしているのが実に面白くないとは思ってます。

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