色々なIF集   作:超人類DX

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別にタイトルに深い意味はないのでござる。

別にシバき合い対決もないでござる。




お館様ァァァァっ!!(某真田風に)

 瑠妃とかいう魔女を精神的に潰そうとしてたつもりが、気が付いたら仲間認定された紫とついでに月音。

 

 そして瑠妃の言うお館様を紹介すると魔女の丘に連れてこられ、紹介されたのだが……。

 

 

「只今戻りましたお館様! ご覧ください! 我等の同胞を迎え入れる事に成功しました!!」

 

「「………」」

 

 

 ほぼ自業自得なのだが、あんまりにも泣きまくるので仕方なく流れで仲間になったげると言ってただけで、別に本当に仲間になったつもりは無かっただけに、瑠妃が実に嬉しげにそのお館様とやらに自分達を紹介されても、結構どうしたら良いのかわからない。

 

 しかもそのお館様という人物は見た目だけなら結構若く見えなくもない姿をした存在であり、紫に対しては同族というのもあって寧ろ歓迎してる様に見える雰囲気を醸し出してるのだが、魔女ではない月音に対しては逆に凄まじい警戒心を持っていた。

 

 

「連絡がないから心配したが、そういう事なら不問にしよう。

しかしそこの幼き魔女は良いとしてもだ、その隣に居る男は我々の同族ではないだろう? 何故連れてきた」

 

 

 というかその格好は何だ? と、変な格好で帰って来た瑠妃に対して思いはしたけど敢えて聞かずに月音を連れてきた理由を威厳たっぷりに聞くお館様なる者に、瑠妃はちょっとビクビクしながら答える。

 

 

「か、彼は思っていたよりも気が回る様なのです。

人間の街で思念にあてられて気分を害していた彼女にいち早く気付き、街のそとへと連れ出していましたし……」

 

「そんな話は聞いていない。この男が同族でない時点でそんな事など関係ないのだ」

 

(アウェイ感が半端ねー……)

 

(どうしよ……。神隠しの黒幕の前まで来ちゃったし、取材できる空気じゃないし……)

 

 

 怒られてる瑠妃を後ろに、月音と紫は『勢い任せだけってやっぱりダメだな』とひとつ大人になれた気がした。

 

 

「そこの男」

 

「……? あ、俺っすか?」

 

 

 そんな大人になれない子供の月音に対して、名前不明のお館様と呼ばれる者から殺気を向けられながら声を掛けられた。

 誰に言ってるのかわからず、反応が遅れた月音が間抜けな顔になると、お館様なる者はちょっと呆れた顔をした。

 

 

「他に誰が居る? 貴様の事は瑠妃を通じて多少視ていた。

故に信用できぬ、人間を助けたのだからな」

 

「はぁ……」

 

「だが貴様が持つ力には興味はある。

どうやら相当強大な力を持っているらしいが……」

 

「いえそんな……」

 

 

 何でこんな下手に話してるんだろ? と自分でも疑問に思うが、チラッと瑠妃を見てみると、何故か目を潤ませながら祈るようにこっちを見てるので、どうやらこのまま下手に出てた方がトラブルを回避できそうだと、自分でも自覚してないレベルで性格が丸くなってる状態でヘコヘコとお館様なる者に頭を下げる。

 

 

「あの人間の女を助けたのは……えーっとほら、見ての通り僕は男じゃないですか? そらもう助けたいでしょ? 助けたら『うひひ!』な展開が待ってるかもしれないと思うとテンションとかも上がるでしょ? わかります?」

 

「わかるか」

 

「でっすよねー……。どうも見た目からしてマグロっぽい――」

 

「あ?」

 

「いえ、すんません」

 

 

 ちょろっと本音が飛び出そうになりそうにはなったが、どうやらこのアホっぽい感じが逆に警戒心をほんの少しだけ緩められる事には成功したらしく、お館様なる者は深くため息を吐いた。

 

 

「……。まあ良い。

ここに来たということは瑠妃から話は聞いてるのだろう?」

 

「えーっと、魔女の丘でしたっけ? てかここを人間から守る為にアレコレしてるってのは……。な?」

 

「はい。あの魔草もアナタが仕掛けたんですね?」

 

「如何にも。薄汚れた人間共から守る為に私が育てた兵だ。

この場所を守る為に、奴等を皆殺しにする為に!」

 

 

 相当人間を憎んでるのがよく分かってしまう威圧感を放つお館様なる者に紫が怯えながら月音の背に隠れる。

 というか、人間に仇為すと言ってしまってる時点で嫌な予感しか紫はしなかった。

 

 

「皆殺して……」

 

 

 が、意外な事に月音は冷静というか、寧ろ顔全体に『そりゃ無理だべ』と出しながらお館様に言った。

 

 

「いや、多分アナタはあの変な生き物草使って手始めにあの街の人間を襲わせるつもりっぽいけど、普通に考えましょうよ? 一体何人居ると思ってます? あの街の規模考えただけでもざっと数百万っすよ?」

 

「何が言いたい貴様?」

 

 

 軽く見下されてる気がしたお館様の顔つきが険しくなるが月音は構わず、意外な顔してる紫やオロオロしてる瑠妃達にも聞かせる様に続けた。

 

 

「だからまず数の多さを考えたら、あんなしょぼい草だけじゃ瞬く間に駆除されちまいますよ? 人間って生物は自分達に脅威となる対象に対しては凄まじく動きが機敏になりますからねぇ? 本当にそんな者達相手に戦争起こすんすか? 見たところ純粋な戦力はアンタとそこの子だけらしいし」

 

「嘗めるなよ、私の育てた魔草は人間なんぞに……」

 

「じゃあ耐火性能はあの草にあるんすか? 人間には重火器なんて揃えようと思えば揃えられるし。

その気になれば……上から『消毒』されますよ?」

 

「消毒だと……?」

 

 

 人間がそんな迅速な対応に走れるとは人間だからこそ月音は思ってないが、ハッタリだし結構通用してるので取り敢えずそのまま続ける。

 

 

「見たことありません? 上から飛行機で爆弾を投下する光景。

今時の人間の科学力ならこの魔女の丘を一発で死の大地にさせちまうレベルの核兵器を落とせるでしょうしねぇ……?」

 

 

 まあ、日本にそんな兵器は多分ないと思うけど……と内心思いながらも真に受けてギョッとしてる紫や瑠妃を横に月音はお館様に対して分かりやすく言ってやる。

 

 

「一瞬で破壊できるミサイルが世界中に何千万発も保持してるのが人間の最終戦力っすよ? もう一度聞きますけど、そんな相手をマジで皆殺しにできます? てか60億人以上も人間は存在してるってわかってますよね?」

 

「………………」

 

「いやわかりますよ? 俺も個人的にはひまわり畑の方がひまわり種食えるし、残して欲しいとは思うし、腹立つのもスゲーわかりますよ? でも正面から仕掛けるのはあまりおすすめできませんよ? それこそアンタの仕掛けたものが人間に『脅威』と見なされたら徹底的に武装した人間の軍勢が瞬く間にこの地ごと消し炭にしてきますぜ?」

 

「バカにするなよ? 人間がそんな機敏な対応をできるわけが……」

 

「甘いな。危険度がなければ人間は呑気なもんですが、マジで命の危機となったら凄まじい悪意とアンタ等の嫌いな欲望を全開にして排除に動くぜ。それこそアンタ達が守りたがってるこの地を土足で踏み荒らしながらね」

 

「………」

 

「そ、そんなことって」

 

「に、人間はそんな……」

 

「キミ等が思ってるほど人間は弱くない。

一昔前ならまだしも、今の人間には科学力があるし、ほんの60年くらい前は世界中で人間同士の殺し合いがあったんだぜ? それでも60億人だ、正直皆殺しにしたいなら一撃で大陸を破壊できる攻撃力を持ってなけれりゃあムリムリムリムリのカタツムリよ」

 

 

 再三言うが、この国ならそんな心配はないけど……と思いながらも一応瑠妃と紫にはこのハッタリは通用した様で、すっかりビビってしまってるがお館様とやらは無言でこっちを睨んでるので、どうやらそこまで通用はしてないようだ。

 

 

「ふん、そんなハッタリが私に通用すると思っているのか? 人間など所詮下等な生物。

我々の手に掛かれば絶滅なぞ……」

 

「えぇ? 本当にやる気なんですか? てかさ、この場所を守りたいって話なんでしょ? だったら殺すとかじゃなくてもっと別の手とか使いません?」

 

「別の手だと? ふざけるなよ! 人間を皆殺しにしなければ永遠に解決なぞせんわ!」

 

「例えばっすよ? この土地をアンタの私有地って事にしておいてたらあんな工事なんてすることもしなかったんすよ? てか魔女っすよね? 魔女ならこの土地の権利を握ってる人間を幻惑して権利書を奪ってしまったりすりゃあ良かったんだよ。

そうすりゃ無駄な労力もせず、人間に一泡ふかせられたで済んだのに……」

 

「土地の権利書……? えっと、それはどこにあるの?」

 

 

 過激な行動には実は多少思うところがあったのか、瑠妃が突然質問してきた。

 

 

「誰が権利握ってるのかは知らんけど、そんなもんアンタ等なら調べりゃすぐだろ? その権利握ってる奴をこう上手く幻惑して書類にサインさせて権利奪っちまった後にデカデカと『私有地につき立ち入り禁止!!』と書いた看板建てときゃ良識のある人間ならまず立ち寄らんぜ? まあ、中には地上げしてまで権利奪ってくる輩はいるだろうけど、そんな奴等にこそその魔草だっけ? それに撃退させておきゃあ、遥かに少ない労力で土地は守れるは嫌いな人間に近寄られることもないわで良いことづくめやん?」

 

 

 素敵やん? みたいなノリで訴える月音に、紫と瑠妃は、そこまでこぎつけるのには結構な労力が実は必要な事を少しわかってないせいか、おおっと目を輝かせていた。

 まあ、肝心のお館様は長いこと生きてたせいか全然信用してないけど。

 

 

「ふん、くだらぬ。

そんな簡単にできたら苦労はしないし、人間が大人しく引き下がる根拠もない。

やはり皆殺しにすべきなのだ!」

 

「そういう考えな時点でアンタも人間と変わらねーよ」

 

「なんだと!?」

 

 

 鼻で笑ってやった瞬間、お館様から殺意と怒気が放たれる。

 

 

「貴様! この私をよりにもよって人間と同列に扱う気か! やはりこの場で貴様は――」

 

「落ち着けよ。そうやってムキになったら自分で認めてると言ってるようなもんだぜ? 俺だってアンタに説教垂れてるつもりだってねーし」

 

「お、お館様、ど、どうか最後まで聞くだけきいてみたらどうでしょうか?」

 

「くっ……」

 

 

 瑠妃に宥められて矛は一旦収めたが、その視線は殺意に溢れていた。

 

 

「いや俺とこの子もこの場所が消されるのは惜しいとは思ってんだ? これは嘘じゃないぜ? なぁ?」

 

「はい」

 

「殺したいから殺すってノータリンみたいな思考回路でもないってのも理解したよ。

だからこそだぜ? アンタの行動のせいで他の静かに暮らしてる魔女達まで人間から排除の対象にされたらそれこそ本末転倒っつーか、いい迷惑だろ?」

 

「そんなもの、我々の起こした決起に賛同するに決まって――」

 

「アンタ見たところカリスマ性なさそうだもんなぁ……」

 

「貴様ァ!!」

 

「お館様! ど、どうか落ち着いて……!」

 

 

 あったらもっと魔女の仲間が居ただろうに……と軽く図星だったのか、さっきよりも寧ろ激昂してしまうお館様に瑠妃が必死に止めに入る。

 

 

「先程から黙って聞いていれば世間も知らぬガキのような世迷い言を……! やはり貴様だけはこの場で殺してくれる!!」

 

「あっれ、おっかしいな。俺にしてはかなり言葉を選んだつもりだったのに、どこで失敗したのか……」

 

「カリスマ性が無さそうって言ったのがダメだったと思いますぅ……」

 

「しょ、しょうがないじゃない! 魔女の数自体少ないし、私の両親だって人間に殺されたのよ!? 今更そんな――っ!?」

 

 

 瑠妃が人間との間に起こった過去を語ろうとした時、お館様の背後から巨大な植物が出現する。

 それは食虫植物の様であり、とても巨大だった。

 

 

「あ、あれはお館様の……!? お待ちくださいお館様! この男はきっと我々の悲願の助けに――」

 

「黙れ瑠妃!! どちらにせよこの男は消すつもりだったのだ!!」

 

「俺何であの子にこんな庇われてるんだろ? 寧ろ殺そうと思われてると思ってたんだけどな?」

 

「さぁ? 友達が少ないみたいですし……」

 

「そんなもんなの? だとしたら言えた義理じゃないが、あの子人を見る目がないな。

キミは別だと思うけどな?」

 

 

 今にも植物妖が襲い掛かろうとしてるのに、月音と紫は呑気にペラペラと話をしていて緊張感が皆無だった。

 どうも紫は月音に対しての慣れが本格的になりはじめてきたのか、この程度の危機は危機とは感じなくなってる模様。

 

 

「奴を殺せ!!」

 

「に、逃げて月音くん! 昼間の魔草とは訳が違うの!」

 

「逃げろだってさ? 寧ろ一緒になって俺に『死ねぃ!』と言うだろ普通?」

 

「もしそうだったら月音さんは二人の事を……?」

 

「…………。ふっ、さてな。まぁ、今はそんな気分じゃないのは確かだよ。

心配すんな、少なくともキミの前ではさっきみたいな感じにはならねぇが……あの植物はどうにかしないとな? それくらいならいいだろ?」

 

「はい……!」

 

 

 襲い掛かってきた植物妖を前に、余裕を崩さない月音に紫は笑みを溢した。

 そうだ、月音はやられやしない……負けもしない。何時でも余裕なのだ。

 

 その証拠に彼の左腕には赤き龍の籠手が既にある。

 

 

「起きろドライグ、獲物だ」

 

『もう起きてるよ。

良いだろう存分に教えてやろうじゃないか俺達の事をな!』

 

 

 何故か妙に嬉しそうな声色のドライグがそのまま倍加の掛け声を放つと、月音の全身から真っ赤なオーラが炎の様に噴き上がる。

 

 

「ぬ!?」

 

「あ、あれは昼間の時と同じ……!?」

 

 

 その変化に瑠妃とお館様が目を見開く中、無数の蔦を槍の様に伸ばした植物妖の攻撃を掻い潜り、飛び上がった月音は腕を大きく突き上げ――

 

 

「龍拳・爆撃ィ!!!!」

 

 

 その掛け声と爆発と共に赤い巨大な龍が月音から出現し、植物妖を貫き、喰らい、館の天井を破壊しながら天へと昇っていった。

 

 

「………」

 

「………うそ」

 

「わぁ……」

 

 

 その原理がよくわからない現象を前に、三人はそれぞれ泡を食った様な、呆然としたような、感激したようなリアクションをしていた。

 既に植物妖は空の彼方へと龍と共に消え、曇り気味だった空も龍の咆哮と共に晴れ渡り、満月が輝いている。

 

 

「ちくしょう、昼間の女の子が見てたらきっと『素敵! 抱いて!!』って言ってくれたんだろうなぁ……。実に惜しいぜ」

 

『無いな。寧ろ逃げるだろうよ、お前を恐れてな……』

 

「だとしたら儘ならない世の中だぜ」

 

 

 そんな月下に拳を突き上げた姿で威風堂々と立つ月音。

 異界にて最強最悪まで到達した赤龍帝がまさに君臨した瞬間なのかもしれない……。

 

 

「少し前までなら全部ぶっ殺して終わりにしてたけど、カルシウムを摂取する事で少しは我慢を覚えてな? さぁてとお館様? もう一度お互いに『お話』してみようぜ?」

 

 

 人から恐れられ、それでも尚人を愛し、人以外の生物を憎悪して殺し続けた龍帝が、ゆっくりと振り向きながら驚愕になる顔を歪めているお館様に微笑む。

 

 

「何者なのだ貴様は……」

 

 

 少なくともこれ程の力を行使している時点で()()ではないのは分かる。

 しかし何故かお館様なる者の目には今の月音が『人間』に見えてしまう中、月音はニィと憎たらしい笑みを浮かべながら口を開いた。

 

 

「兵藤一誠――いや、青野月音。

人でなしな赤龍帝だぜ」

 

 

 人であって人でなし。

 どちらの意味とも取れるちょっとした言葉遊びを交えた自己紹介にお館様は小さく息を飲んでしまう。

 

 

「目的は、何だ私の邪魔か?」

 

「いーや? 元々そこの――あれ、ごめん、名前なんだっけ?」

 

「な、名前を覚えてない!? あ、あれだけの事をしておいて覚えてないの……? ………………っ……ふぅ」

 

「瑠妃さん……?」

 

「あ、そうそう、そんな名前だったね? とにかくそこの魔女の人と紆余曲折あってここに来ただけで別に用なんて最初から無かったよ。

まぁただ? 人間を皆殺しにすると無茶にしか思えない真似をしようとしてるらしいから? アンタにゃ無理だってお話でわからせてやろうと思ってる訳だ」

 

 

 シレッと名前を忘れたと言われ、ちょっと涙目になりながらも途中でどういう訳か、少し笑いながら身体を震わせ始めた瑠妃に紫が妙だと首を傾げる中、お館様は歯ぎしりしながら、想定していた以上にヤバイ存在を睨み付けるだけしかできない。

 

 

「話そうぜ。柄にも無くこんな回りくどい事をしてる俺なんてレアだぜレア?」

 

「何を話せというのだ……! 今更私に人間を皆殺しにするのをやめろというのか!? ふざけるなよ! 此処まで来て貴様の様な訳のわからない化け物に邪魔されてたまるかァ!!」

 

「じゃあ殺り合うのか?」

 

「っ……!」

 

 

 激昂するお館様だが、月音のその一言で冷水を掛けられたかの様に押し黙ってしまう。

 わかってしまったのだ、先程見せられた力を前に『切り札』を使っても決して目の前の赤龍帝なる男には敗北してしまうことを。

 

 

「出来ればこの子の手前、そうならない様に願いたいんだが……どうだい?」

 

「……………」

 

 

 瓦礫の山の頂に座り込み、戦う意思は無いと分かりやすく示す月音には確かに戦意は見えない。

 さっきから愛弟子たる瑠妃が涙目なのに頬を紅潮させながらニヤついてるのも変で気になるし、というかこんな化け物を何で連れてきたんだと怒りたくても怒れる空気じゃない。

 

 

「ぐ、ぐぬぬ……! そ、その前に聞くが、瑠妃に何かしたのか? 格好も珍妙だし、先程から様子が……」

 

「様子については知らないけど、格好についてはえーっと……ちょっとしたトラブルが彼女に降りかかってしまって、しょうがねーから俺が着替えを買ってやったというか……」

 

「は?」

 

「本人から聞いた方が良いと思いますよ? 多分聞いた瞬間キレると思いますけど」

 

 

 お館様の災難はまだ始まったばかりなのだ。

 

 

「瑠妃よ……その格好はなんだ?」

 

「! これはその……い、色々あったのです!」

 

「その色々を聞きたいのだが私は……」

 

「し、知りません! 月音くんのせいでお漏らしなんてしてませんから私は!!」

 

「はぁ!? き、貴様ァ! 瑠妃にそんな真似をさせたのか!?」

 

「肝心な部分が抜けてるっつーの!」

 

「忌々しい人間共のせいで親を失った瑠妃を、こんな小さい時から私が面倒を見てきた大事な愛弟子なのだぞ!? 許せん!! そうだとするならその幼き我等の同胞に対してもそんな淫らな――」

 

「何でそっち方面に解釈するんだよ!? 愛弟子って聞いて納得したわ! 似てんなオイ!?」

 

 

終わり




補足

ま、なんだ……似た者師弟なんでしょうね!

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