一発嘘ネタよ。
※嘘ネタ。なっちゃんとお師匠様
決して楽ではない未来を与えられた少女がいた。
過去の全てを破壊した結果、孤独となった青年がいた。
世界も違えば生きた年数も違う。
そんな本来は交わる事が無い筈の運命が交差する時、新たな系譜が生まれる事になる。
「と、いう訳で高校進学のお祝いをしてあげようじゃあないか」
「お祝い~?」
決して出会うことが無かった筈の、師弟の繋がりとして……。
「要するに世代交代だよ。これから色々と大変なキミに俺――いや、俺の相棒の力を託そうと思ってな」
少女が幼き頃に不思議な青年と出会い、技術を与えられて十年近くが経過したこの日、美しく成長した少女は出会ってから全く老けやしない青年からとある力を託された。
その力は正直いってオーバーキルにも程があるけど、意外と『過保護』な青年たってのご指名により少女は受け継いだのだ。
「よっしゃ成功したぜ」
「これがお師匠様の……」
「上手く使えよ? まあ、お前なら問題ないだろうけど」
その瞳と同じ赤き力を……。
異界の地にて最強の称号にまで登り詰めた赤龍帝の力を。
『今後はお前が俺の宿主となる。先代となったコイツに負けぬ成長を期待するぞ――カタナ?』
「フフン、大船に乗ったつもりでいなさいよドライグちゃん!」
暗部の名を受け継ぎし少女が。
そしてこの日より赤龍帝となった少女の爆裂街道が始まったのだ。
「今日から私がこの学園の生徒会長よ!」
高校入学して半年以内に生徒のトップに君臨し……。
「? 男性の起動者が二人もみつかった?」
「そうです。
従って来年度はIS学園初の男子生徒が入学することに……」
「ふーん? あんまり興味はないけど織斑……かぁ」
「ええ、まぁそういう事ですね」
「もう一人の起動者は純粋に一般人らしいけど、どっちにしてもあんまり関心が沸かないなぁ」
「本家も特に関わりを持つ様な指示もございませんし、様子見ということで――」
「あ! 男子が入れるって事ならお師匠様も紛れ込ませられると思わない?」
「……。お嬢様、あの方はそもそも学生ではございませんよ? 確かに見た目は詐欺のレベルで私達と年の変わらない見た目ではありますが……」
「学生じゃないわよ~
例えば用務員さんとしてとかならお師匠様もOKしてくれると思わない?」
世界で初となる二人の男性操縦者の入学が決定したことを聞き付けて自らの師を近くに呼び寄せようと画策したり――
『えぇ? やだよ、お前の親父さんとお袋さんの二人と毎日菓子食いながらのんべんだらりとしてる生活が楽でしょうがねぇし、今更働きたくないでござる』
「もう、両親のせいですっかりニートさんになっちゃって! 簪ちゃんもその男性起動者と同じ年に入学するし、心配だからお師匠様も来てよ!」
『お前一人で充分だろー……ドライグも居るんだしさぁ。
そんな事より今から親父さんと耐久飲み比べ対決をしなくちゃいけねーから……』
でもその師匠がすっかり少女の実家の面々と仲良くなって転がり込んだあげくニートになってたり……。
「ふむふむ、織斑一夏くんと神崎烈火くんねぇ……。
どっちも中々の男前ね」
「あーぁ、ゴロゴロしてぇよ……結局就職しちゃったし」
「イッセーさん、床の上でゴロゴロしないでください。お嬢様が真似をしたらどうするのですか……」
「相変わらずお堅いねぇ虚ちゃまは? 恋愛でもしてみたらどーよ? その男の起動者二人の内のどっちかを口説いてみたら? 素っ裸で迫れば男なんてコロッと押し倒してくるぜ?」
「ダメよお師匠様、虚ちゃんは初心さんだからそんな勇気なんてないわよ」
「…………」
どうしてもと少女が言えば基本聞いてくれて再就職するニートだったり。
「お、確かにどっちも中々に男前だな。
良いじゃん、虚ちゃまとお前とでどっちかを其々口説いてみろよ? 恋愛ひとつで色々変わるぜー?」
「何故そんな話なんですか……」
「えぇ? 男前なのは認めるけど、お子様過ぎるわよ。
それに恋心なら理解してるし私」
「マジか、お前からそんな話を聞くことになるとは、言っておいてなんだが驚きだぜ」
少女が大人になっていく様を前に染々としてたり。
「我等の生徒会室へようこそ織斑君に神崎君、歓迎するわよ?」
「は、はぁ……」
「呼び出した理由は一体? それにそこの男の人は……」
色々あって二人を生徒会室に招待したら、その二人の男子が自分と年の変わらなそうな容姿をした、作業着姿の青年がゴロゴロとすっかり定位置になってる生徒会室のソファーでねっころがりながら見てる青年が気になってしょうがなかったり。
「彼は兵藤一誠さん。
私の師匠的位置にして許嫁的な位置でも……」
「はぁ!? い、許嫁!?」
「ひょ、兵藤一誠って……」
「嘘だぞ少年達。まあ、師匠を気取った時はあったがね。
まぁ宜しく頼むぜ? ところでそこの少年B、俺の名前を聞いて驚いてる様だが、どこかで会ったかな?」
「い、いえ別に……!」
少年Bに驚愕されたり。
「まあ頑張んなさいよ? 世界中から注目されちゃってるのは色々と大変そうだけど」
「は、はぁ……あの、歳はいくつなんでしょう?」
「俺か? 今年32だよ」
「さんっ……!? ど、どう見ても俺達とそんなに変わらない見た目なのに!?」
「よくある話だろ? まぁ、この歳になってまで恋人居ないのはちょっと侘しい気分ではあるが気楽だぜ結構? ナンパしても文句言われねーし」
「私毎回言ってるじゃない! というかこの前の休みも勝手にナンパしに行ったでしょう!?」
「良いだろ別に……。小姑かよお前は」
少年Bの記憶にある『兵藤一誠』と32歳を自称する兵藤一誠との差異に戸惑ったり……。
「ちなみにISを実は動かせたりなんかは……」
「俺が? 動かせる訳ないじゃん。そんなホイホイ男で起動できる奴なんて居ないだろ。
そもそも此処に居るのだってこの子に無理矢理引っ張られて用務員させられてるだけだしな」
「このままだとお師匠様がニートになっちゃうと思ったのよ。
別に私がこの人からヒモにされても良いけど、昔みたいなキリッとしたお師匠様に戻って欲しいし」
「結構慕ってるんですね……」
「まーね、普段はこんな女好きのグータラ男だけど、やる時はやる人だもん」
「それと心なしか兵藤さんと一緒だと何時もより子供っぽいような……」
「そうかしら? ………え、そうなの虚ちゃん?」
「間違いなくそうですね」
更識当主が彼を前だと子供っぽくなって、またそれを自覚してなかったり。
「なぁなぁ、キミ達の知り合いに婚期逃した女の人とか居ない? 居たら俺に紹介して――」
「学生二人になんて事聞いてるのよ!! ごめんなさいね? 今のは聞かなかった事にしてちょうだい?」
「「あ、あははは……」」
更識当主にて現赤龍帝は、今日も我が道を行こうとする師の後を追っかけるのだった。
「はぁ、どうしてこんなグータラさんに……。
昔は本当にカッコ良かったのになぁ……」
『目的も何も果たして半分以上燃え尽きてしまってるんだろう……』
「それはわかるけど、あんなにグータラにならなくても良いじゃない。
その癖女好きを公言してる割には本当の裸エプロンでお出迎えしてみても無反応だったし……」
『まあ、何だアイツにとってお前は何時までも子供なんだよ。
アイツをモノにしたいなら、もう少し頑張れ』
「勿論そのつもりよドライグちゃん。簪ちゃんが織斑君にホの字になった今、私だって負けてられないし?」
「そういう話は本人の居ない所でしろよ」
「ふんだ! わざと聞こえるように言ってるんだもん!」
「……」
なっちゃんとお師匠様――――続かない
「てかよ、仮にお前に手なんか出したら親父さんに殺されるわ」
「えぇ? そんなの一言で黙らせるわよ。
母は寧ろ誘い方から同伴デートのやり方、果てには押し倒し方まで教えてくれたし? ねーねー、だから試しに――ちゅ、ちゅーのひとつでも……」
「はん、裸にエプロンで現れて何か宣おうとしようとしても恥ずかしくなってベッドの枕に顔を埋めて暴れだした小娘の言う台詞じゃないね。
つーか今も恥ずかしくなってるくせによ?」
「ぬぐ……! だ、だって……」
「急に大人になろうと無理すんなって。あっはっはっはっ!」
「むぅ……そうやってすぐ頭を撫でて子供扱いする……」
補足
生前継承により先代こと彼はニートになり、継承者たるなっちゃんはそんな先代さんに師匠離れできずに、グータラやってるとぷんすかしてしまう的な話。
ちなみに然り気無く転生者はいるけど、別に関心はないし寧ろ柔らか対応。
まあ、この転生者はかなり善良やからしゃーないね。
その2
間違いなく歴代最強の更識当主ですが、師匠のせいで若干アレ。
続きなんてない