色々なIF集   作:超人類DX

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学園際編……なのか。

取り敢えずスタートさせてみるぜ。


恐怖の学園際(おじさん目線)

 色々と何かしらな事が起こりそうな予感を感じさせる学園祭がスタートした。

 国営で起動している学園なだけあって、学園祭もさも騒がしいものなのかと想像しがちだが、セキュリティ面での配慮もあってか、ある意味でお札以上に偽造不可能とされる招待チケットが無いと父兄ですら門前払いを喰らうという徹底した規制を敷いているので、盛り上がりはするがそこまで大々的としたものではないのだ。

 

 

「一組に行くと、燕尾服を着た織斑君と神崎君にご奉仕してもらえるそうよ!」

 

「行くっきゃねぇ! 行くっきゃねぇっぺよ!」

 

 

 とはいえ、今年入学した男性起動者二名が所属する一年一組は学年関係なく女子生徒のひっきりなしなご来店でごった返しており、その理由は一組の学園祭での出し物たるご奉仕喫茶(それなりに健全な)にて、その男子二名が全力のご奉仕をお約束するという、勝手に決められてしまったキャッチフレーズのせいだった。

 

 

「い……らっしゃいませお嬢様……」

 

「表情が固いよかーくん」

 

「心を無にして悟りの境地になればなんてことなくなってくるぜ烈火?」

 

「……やっぱり俺には似合わないよ」

 

 

 順番待ちすらあるレベルにご盛況な一組。

 そんな中をずっと練習したけど、やっぱり慣れない神崎烈火はとても固い表情故に、一夏と本音にちょっとした駄目だしを喰らっていた。

 幸いな事に、お客として来る女子生徒達はそんな烈火のド下手な接客に対しても寛大に受け止めてくれてるのでクレームは無いらしい。

 

 

「厨房係りで良かったのに。

一夏の方が似合うよこういうのは……」

 

「まーまー、満足してるみたいなんだから、大丈夫だっての」

 

「うんうん、かーくんを叶うなら永久指名したいもん」

 

「………………」

 

 

 ネガティブな事ばかり言うものの、燕尾服自体はそれなりに一夏共々似合う烈火は、ここまで来たならこれ以上弱音は吐けないと二人に背を押される形で決意する。

 そう、これもまた一夏のフォローの為だと。

 

 

「……そういえば兵藤さんはまだ来ないのかな、半額券もあげたんだけど」

 

「もう暫くしたら来るんじゃね?」

 

「おじさんなら朝用務員室を覗いたら、テレビ見ながらダラダラしてたけど、きっと来るよ」

 

 

 それにほぼ癒しになり始めてる一誠が来てくれる筈だ。

 ほぼ間違いなく懐いている烈火に、一夏とメイド服を着ている本音も頷いていると、噂をすればなんとやら――来いと頼まれたら律儀に断れない一誠が、珍しく背広姿でご来店する事になった。

 

 

「あのー、半額券貰ったので来てみたのですが、神崎君と本音ちゃま――じゃなかった、布仏さん居ます?」

 

「いらっしゃいませー! 二人なら今居ますよー! すぐに呼びますね! のほほんさーん、神崎くーん! ご指名入りましたー!」

 

 

 この学園の用務員の存在はほぼ認知されてないせいなのか、それとも普段仕事中は帽子を目深く被っていて顔を見られてなかったせいなのか、どちらにせよ年若い男が現れたということで店と化した教室内は一瞬静かになるが、烈火と本音の知り合いなのかと理解した途端、女子の一人が弾ける様な笑顔でスーツ姿の一誠を店内へと案内する。

 

 

「いっちーおじさん! いらっしゃい!」

 

「ほ、本当に来てくれた……ありがとうございます!!」

 

 

 中へと通された一誠を待っていたのは、メイド服を着た本音と燕尾服を着た烈火とそして一夏だった。

 そのやり取りから結構な仲なのかと、何も知らない生徒達が興味深げに眺めている。

 その中には直接顔すら合わせた事のない篠ノ之箒、セシリア・オルコット、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒも含まれており、ほぼ自分達と年が変わらなそうな青年に対して首を傾げながら誰なのだと観察していた。

 

 

「此方へどうぞご主人様~」

 

「今おしぼりをご用意致します」

 

「上着は此方へ」

 

「なんだなんだ、馬鹿に丁寧だな?」

 

 

 そんな状況の中、一誠は三人から接客を受けながら席につき、持ってた半額券を烈火に渡す。

 

 

「これ本当になんでも半額なの?」

 

「勿論です。流石にお酒は取り扱っておりませんが……」

 

「そりゃそうだろ。

まぁ良いや、まずは……」

 

 

 本音にメニュー表を渡され、どんな物があるのかと上から順番にメニューを読む。

 どれも中身はきっと健全な食い物なんだろうと思わせる独特のネーミングセンスのメニューだが、ふと最後のページの隅っこに、まるで詐欺紛いの契約書みたいな小さな文字で書かれているのもに気付く。

 

 

「んん? なんだこの小文字で書いてある『ブリュンヒルデと愛のティータイム』ってのは?」

 

 

 ブリュンヒルデの意味はわかるが、元ネタがさっぱりわからない、ナイター中継にしかあんまり興味がない一誠の声に、それまで騒がしかった教室内が一気に静まり返った。

 

 

『……………』

 

「え? えっ??」

 

 

 何かマズイ事でも言ったのか? と慌てて烈火や一夏を見る一誠だが、二人もまた気まずそうに目を逸らしていた。

 

 

「おじさん、それを注文するの?」

 

「ん? んー……したらダメそうだし、別に良いっちゃ良いけど、生徒さんのリアクション見てるとスゲー気にはなるな」

 

 

 一体どんな食い物なのかと逆に気になる一誠は、やけにニヤニヤし始める本音に頷くと、待ってましたとばかりに本音は高々と声を張り上げた。

 

 

「『ブリュンヒルデと愛のティータイム』入りましたー!!」

 

 

 それは隣の教室を使った厨房にもよく聞こえる声だったらしい。

 隣の部屋から何かが落ちて破壊される音が聞こえた気がした。

 

 

「隣で何かを破壊した音が聞こえるんだけど」

 

「気のせい気のせい! ね、かーくんにおりむー?」

 

「あ、うん……」

 

「そ、そうだね」

 

「? ? ?」

 

 

 ニコニコする本音と微妙な顔をする烈火と一夏。

 ブリュンヒルデとは何の事なのか……女戦士が何の事なのか。

 IS事情がさっぱりで、用務員をやってても知識ゼロな一誠はただただ首を傾げながら待つのだった。

 

 

 

 本音がノリノリで注文を読み上げたその頃、バッチリ聞こえてしまった隣の教室の厨房では、凄まじい空気が流れていた。

 

 

「織斑先生注文入りましたので……」

 

「い、今の声は布仏だな? まさかあのメニュー表の文字をわざと教えたのではないだろうな……」

 

「い、いやぁ、普通に見付かったのかと思いますけど……。

一応裏メニュー的な感じですし、本当に虫眼鏡がないと読めないレベルの小文字で表記はしましたけど」

 

「くっ……」

 

 

 担任なんだからとメイド服を着せられ、更には専用接客メニューまで組まされてしまっていた織斑千冬は、こってこてのメイド服姿で激しく動揺していた。

 まさか自分が接客しなければならないなんて…しかもこんな格好で。

 

 

「着替えてはダメか?」

 

「多分ダメだと思います」

 

「一応共通の衣装ですし……」

 

「ぐぬぬ……!」

 

 

 と、唸る千冬の格好はミニスカメイド姿だった。

 生徒達の悪のりが諸に出てるとしか思えないデザインの衣装を律儀に着てしまう辺りは千冬らしいが、だからと云ってこんな格好で接客をする覚悟まではまだしてなかった。

 が、ここに来て厨房に居た生徒達が悪そうにニヤニヤし始めてる時点で千冬に逃げ場はなかった。

 だってこれは学園祭なのだから。

 

 

「早く行かないとお客さんに怒られちゃいますよ先生?」

 

「わ、わかったわかった! 行けば良いのだろう行けば! ふん、私だって接客のひとつやふたつやってやれないことはない!」

 

「そうですか、ではこれを」

 

 

 こうなったら腹を括ろう。そしてわざわざ見付けて注文までしてくれた――きっと多分どこかのクラスの生徒にはたっぷりと『お礼』をしてやろうと、アイスロイヤルミルクティーを乗せたお盆を持って出陣する。

 

 

「良いですか? 高圧的にはならないでくださいよ? イメージが大切なんですからね?」

 

「わかってるよ、ちゃんとやるさ……」

 

 

 その際、生徒達にかなり心配されたのだが、却って負けん気が刺激されてしまった千冬はミニスカメイド服姿でホールとなる教室の扉を勢いよく明けはなった。

 

 

「お、お待た……せ、し、しました……! ご、ご主人さま……」

 

 

 すっごい辿々しく、そしてひきつった笑顔と共に馳せ参じた千冬は、一体どこの誰が注文を付けてくれたのかと手招きしている本音や目を完全に逸らしながらも席に座ってる客に手を差し出して教えてる烈火と一夏に添う形で視線を向けてみると……。

 

 

「……………」

 

 

 そこには、以前から礼をしそびれたままの、スーツ姿の用務員の青年が座って此方を……唖然とした顔で見ていた。

 なるほど……注文をしたのはどうやら彼らしい。

 

 …………………。

 

 

「ぴゃぁぁぁぁっ!?!?」

 

「!?」

 

『お、織斑先生が壊れたぁっ!?』

 

 

 イメージ総崩れになる悲鳴が千冬から放たれた。

 生徒なら何とかなると思ってたが、よりにもよってこの人だとは思ってなかっただけに千冬は持ってたお盆を放り投げながらその場に踞って丸まってしまった。

 

 

「あぶねっ!?」

 

「おぉ、ナイスキャッチー」

 

 

 空中に放り出されたお茶は即座に一誠が全力回収する事で踞ってしまった千冬にぶっかけられる事はなかったが、それ以上に千冬の格好が衝撃的すぎて若干引いてしまった。

 楽しんでるのは最早本音だけだったのだ。

 

 

「見るな、見るな! 見るなァッ!! 私を見ないでれぇ! 脳の記憶から消去してくれ!!」

 

「お、織斑先生……」

 

「まさか一般人の方に注文をされるとは思ってなかったのでしょうね……」

 

「何も言えないよ僕は……」

 

「教官は似合ってると私は思うけどなぁ」

 

 

 悪のり気味だった生徒達も今の千冬の態度にレアさを感じてるものの、段々変な罪悪感を覚えるし、注文を付けた謎の青年も果てしなく微妙な顔なのだから。

 

 

「ブリュンヒルデって……あー、先生の事だったのか。

もっと前に気付いてたら注文しなかったのに」

 

「え、おじさん織斑先生の事嫌いなの?」

 

「嫌いとかじゃなくて、このリアクション見れば彼女が相当無理をしてたんだってのがわかるんだよ。

可哀想だろ……だからあんな小さい文字だったんだろうしな」

 

 

 同情する一誠に、烈火と一夏は変な感動を何故か覚えた。

 よくはわからないがこのスルースキルが欲しいという意味で。

 

 

「あー、先生? 俺キャンセルしますので……はい」

 

「……………………」

 

「えー? キャンセルするなんて無いよおじさーん?」

 

「だって無理だろ? 良いか、大人ってのはどうしても見栄ってのがある訳。

今の先生はこれまでのイメージとは真逆の事をやらせて大変恥ずかしい思いをされてるんだぜ? 寧ろここまで出てきた先生に俺は拍手を送りたいぜ」

 

 

 そう言いながら一人パチパチと拍手する一誠だが、今の所今の千冬の格好についての明確な感想は無かった。

 というか、言葉巧みにそこの部分を避けてる感もあったので、それをハッキリ見抜いた本音はニタニタしながら問いかけた。

 

 

「それはわかったけどー、今の織斑先生の格好の感想なんかは言ってあげれば良いと思うけどね?」

 

「は? 格好……?

あー、うん……ミニスカは無理し過ぎじゃねと思――あ、やべっ!」

 

 

 その質問につい正直に答えてしまった一誠はハッと自分の口を塞ぐも、全てが遅かった。

 いってしまえば『全然似合わねぇ』と言われたも同義であり、その瞬間妙なプライドが刺激された千冬はギロッと人を五百人は視殺可能な目付きで一誠を睨むと、恥ずかしさで丸まってたのはどうした? と聞きたくなるくらいに突然堂々と立ち上がる。

 

 

「い、いやいやいや違いますよ!? 無理をさせるのは大変だからって意味ですからね!? なぁ二人とも!?」

 

「オリムラセンセイ ニアウ ニアウ」

 

「チフユネー サイコー」

 

「なんで片言!? そうじゃなくて俺は――」

 

「――おい」

 

「ふぁい!」

 

 

 男二人に珍しく助けを求めるも、ロボットみたいな片言で千冬を褒めるだけで何のフォローも無い。

 いよいよ本格的に何かがマズイと思ってとにかく誤魔化そうと口を開き掛けた一誠だが、ガッツリと千冬に肩を掴まれ、そのまま無理矢理席に座らされた時点で『終わった』と久々に悟る事になる。

 

 

「ご注文ありがとうございますご主人さま? 今よりこの私がご主人さまに精一杯のご奉仕をさせて頂きますネ♪ ……………………………途中キャンセルは一切受け付けない」

 

「いやでも、この後合流して一緒に学園内を回る約束が――」

 

「途中キャンセルは――――――イッサイウケツケナイ」

 

「ア,ハイ」

 

 

 逃げたら肩の骨をこのまま握り砕くといわんばかりの握力で固定し、凄まじく良い笑顔で吹っ切り過ぎてブッチ切れてる千冬の壮絶な迫力に一誠は、数分前の軽はずみな己を深く後悔した。

 

 

「おい従業員共、ボサッとしてないでご主人さまのお食事を用意しろ。

何せご奉仕フルコースだからな……!」

 

「あ、あのー先生? よく見たらとても可愛いらしくてお似合いで……」

 

「当たり前でしょうが? 私ですよ? そら! キリキリ働いてこのVIPを持て成せぃ!!!」

 

『アイアイサー!!』

 

 

 そもそも千冬に対してはやりにくさというか、疲れそうなイメージが何故か多くてあまり親しみは無かった。

 それなのに何故そんな人からミニスカメイドの衣装姿で接客されてるのか……。

 男二人を見ても『本当に頑張ってください』という申し訳なさそうな顔でペコペコ無言で謝られ、本音は―――

 

 

「――と、いう訳で仕込みはしたけど、これで本当に良いのかんちゃん?」

 

 

 何故か別クラスの簪と電話をしていた。

 

 

「ごめん刀奈、ちょっと遅くなりそう」

 

「あら嫌ですねご主人さま、折角私がご奉仕して差し上げてるのに他の女の事を考えるなんて……………………頭コツンだゾ☆」

 

「うっ……!」

 

『う、うわぁ……』

 

 

 挙げ句の果てには間違えすぎてる方向に振り切れてるせいか、絶対言いそうもない台詞をどこかの青髪の新人ポケモントレーナー的な声色で軽い拳骨と共に言うのだから最早恐怖でしかない。

 現に生徒の全員は萌えるを越えてただの恐怖を千冬に抱いて、客として来ていた生徒も逃げていた。

 

 

「や、やべぇよ……俺どうなるわけ!? どう対処したらいいの!? ねぇ織斑くん!?」

 

「すいません、本当にデータがないんです。

こんな千冬姉は見たことが……」

「し、死ぬのか俺は……死んでしまうのか!?」

 

「わ、わかりません……」

 

 

 ある意味転生者とそれに与する連中共に死を覚悟で闘いを挑んだ時よりも恐怖度が高いと、隣に座ってニコニコしてる千冬に対して思ったとか。

 

 

「お待たせしましたご主人様、では早速このアイスティーを二人で飲みましょう?」

 

「え゛……いや、俺潔癖性だから遠慮させて――」

 

「………………。私の茶が飲めないと言うのか?」

 

「! う、嘘デース! い、いやぁ、こんな美女と一緒に飲めるなんて夢のよーだネ! あ、あは! あはははは!!」

 

 

 千冬の接客に戦慄する生徒達もそうだが、本音からのフォローの一切が無く、先程の謎の簪との電話の後からしきりに入口の方を気にしている。

 

 

(あの子は何を気にしてるんだ?)

 

 

 その意図についてこの後直ぐにでもわかるのだが……。

 

 

「あー! ダメですよご主人様! さっきも言ったけど、今は私だけを見てください! じゃないとまたごっつんこだゾ☆」

 

「すいません! ごめんなさい! 生まれて来てごめんなさい!!」

 

 

 今はただただ、あまり無理にも感じない萌えボイスを放ちながら優しすぎる拳骨を額に貰うその恐怖が強すぎるのだ。

 

 ……これが序章なのだから笑えない。

 

 

終わり




補足

口は災いのもと。

変に正直な事を言うせいで千冬さんのメンタルがおかしな方向にぶっちぎれましたとさ。

その2
終始にゃんにゃん口調なもんだから、生徒も一誠も皆恐怖でしかないらしい。

その3
フルコースは、二人でひとつのグラスにストロー差して飲んだりとか。
食べさせあーんだとか……あるらしい。
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