色々なIF集   作:超人類DX

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……裏側的な?


一般ピーポー君と暗黒騎士

 波乱の学園祭が展開されているこの日、織斑一夏と神崎烈火共通の友人たる少年は、族車仕様の単車乗りがツルハシを地面に引き摺りながら敵対する族のヘッドを襲撃した際の台詞の通りと気分になっていた。

 

 具体的に言うと、『待っていたぜこの"瞬間(トキ)"をよォ!!』的な。

 

 

「わくわくが止まらねぇ! わくわくか止まらねぇよ!」

 

 

 完全なる女の園と、一夏と烈火が入学する前までは呼ばれていたIS学園の――しかも父兄ですら簡単には入手できない激レアの招待チケットを一夏から頂く事で、やっとこさIS学園へと入場できる権利を得られたこのバンダナを頭に巻いてる少年、五反田弾は、モノレールで降りた駅の真ん前で一人テンションが上がっていた。

 

 友人二人が女子の園へと行ってしまい、自分だけ普通の学校だったというのもあってか、漸くこの日が来たと思ってる少年のテンションはとても高く、足取りも羽の様に軽い。

 

 

「くくく、聞けば可愛い子ばっかりと聞いてるからな……この網膜に存分に焼き付けてやるぜ」

 

 

 この日の為に、一夏を好いてる妹にも入場チケットの事は黙っていた。

 言えば確実に強奪されるのは目に見えたので、弾は本気で死守した。

 その甲斐が今日やっと報われる……。

 

 弾は浮き足だった状態で、東京ドームよりも遥かに広い人工島のIS学園へとやって来たのだが……。

 

 

「あ、あれ!? ま、待ってください、確かに財布にしまって……」

 

「チケットが無ければ申し訳ありませんけど入場はできませんね」

 

「ま、待ってくださいって! 今出しますから!」

 

 

 浮き足だった気持ちがポカをやらかしてしまったのか、弾は事もあろうに一夏から託された友情の証たる入場チケットを警備員に提出しようとした所でそれが消えている事に気付いて完全にテンパってしまっていた。

 

 

「…………無いですよね?」

 

「! そ、そうだ! 織斑一夏と神崎烈火! あの二人を呼んでください! アイツ等は俺の友達だから……」

 

「ご友人であろうともチケットが無ければ入れません、これは規則ですので」

 

「……!」

 

 

 窓口役員みたいなマニュアル対応が弾を焦らせる。

 だからこれでもかと持っていた財布の中身を目の前でぶちまけながらチケットを探すのだが、ふと財布の内側に身に覚えのない付箋が一枚……。

 

 

「な、なんだこれ? 『後でお金払うから貰うね兄貴……!』―…………………………蘭んんんんんっ!!!」

 

 

 そこには妹の文字で掛かれた非情なる現実だった。

 つまり弾は隠してたつもりが見抜かれた挙げ句、勝手に一夏に恋心を抱く妹によって強奪されていたのだ。

 これにより完全に入場する権利を失ってしまった弾は、流石に状況を察した警備員に軽く同情されるが、それでも同情枠で入ることは叶わずに引き返す羽目に……。

 

 

「あ、入場ですか? チケットはお持ちでしょうか?」

 

「…………」

 

 

 そんな折、後ろに居た黒いスーツに黒い手袋を付けた癖の強い明るめのベージュ色の髪を持つ青年が警備員に入場チケットを渡す。

 その青年は自分とあまり年の変わらない青年で、自分とは違って入場権利を持ってる青年に対して、やり場のない嫉妬を感じてしまうのだったとか。

 

 

「はい、確かに本物です。では――」

 

「すいません、彼はどうしたのですか? 先程大きな声を出してた様ですが……」

 

「あー、彼はどうやら入場チケットを家族の方に取られて居たのに気付かないで来てしまったみたいで……」

 

「………ふーん」

 

「………」

 

 

 どこか生気が感じられない青年と目が合う弾は、ちょっと泣きそうな顔だった。

 今頃妹は既に入場して一夏や烈火の所へと行ってるのだろうかと思うと、普通に悔しくてならないのだ。

 だがそんな彼は神に見放されたと思っていた訳だが、ここに来て確変が発生した。

 

 

「すいません、恋人と一緒にと言われて二枚チケットを渡されてるのですが、その恋人がこの日突然の仕事で来られなくなったので、実は一枚余ってるんですよ余分に」

 

「は、はぁ……」

 

「これ、彼にあげて良いですか? これがあれば一応中には入れるのでしょう?」

 

「え!?」

 

 

 そう言って懐からもう一枚の入場券を見せる青年は警備員に本物かを確かめさせる。

 

 

「た、確かに本物の様ですが……」

 

「どうせ使わないならゴミにしかならないってのなら彼にあげても? まあ、色々と弊害はあるってのならしょうがないでしょうが……」

 

「い、いえ……一応持ってさえいれば入場は可能ですので」

 

「だ、そうだ。そこのキミ、まだ帰らなくても良さそうだぜ?」

 

「え……え?」

 

 

 本物と認められた瞬間、青年はニヤリと笑いながら弾を連れてあっけに取られる警備員を通りすぎて学園の中へと入った。

 こうして弾は間一髪の所でなんとか学園へと入場できる様になったのだが、とにかくまずはこの神に等しき青年にお礼を言うのが先決だった。

 

 

「あ、ありがとう! ありがとうございます! アナタのお陰で俺は……俺は……!!」

 

「気にするなよ。

見てて気の毒に思っただけだからな」

 

「そ、それでも! お、俺、五反田弾って言います! 救世主(メシア)である貴方のお名前を是非!」

 

 

 まさに神。まさに救世主。

 皮肉にも少年からメシア呼ばわりされてしまった青年は、少しだけ自嘲した気分で笑うと、その名前を口にした。

 

 

「龍崎駈音だ。気にせず楽しめよ五反田少年?」

 

 

 本名ではなく、かつてメシアに騙されてその生涯を無念の内に閉じた会った事のない先代暗黒騎士の偽名を教える……匙元士郎。

 別に慈善事業のつもりでチケットを与えたつもりは無いし、ほんの気紛れでしかない。

 

 

「じゃあな」

 

 

 先んじて潜入してるオータムやマドカと一旦合流したい龍崎駈音こと元士郎は、そのまま弾と別れるつもりだった。

 が、どうもこの弾なる少年は余程元士郎に恩義でも感じているのか、去ろうとする元士郎を引き留めてくるのだ。

 

 

「ま、待ってください! 是非お礼を!」

 

「そんなのは要らんよ」

 

「それでは俺の気が済みません! 少しでも良いので奢らせてください!」

 

 

 人工皮膚で覆ってるとはいえ、よく見たら違和感のある義手を隠す為に嵌めてる黒い手袋越しの手を握りながら礼がしたいと言って聞かない弾に、元士郎は何故か彼に昔の自分自身の影を感じる。

 

 

『五月蝿い小僧だ。

我は早く『でみせ』を満喫したいのだが』

 

(……)

 

 

 この妙に聞き分けの悪い所とかが特に自分に似ている。

 自分の中に寄生しているホラーの始祖は、そんな弾を鬱陶しがってる様だが、掴まれてる手の反対の手首にしていた腕時計で時間を確認すれば、まだマドカと合流するまでの時間はある。

 

 

「じゃあコーヒーでも奢って貰おうかな」

 

「! 任せてください! デザートだって奢れますぜ!」

 

 

 とんだ寄り道になってしまったが、仕方ない。

 弾にご馳走して貰うことになった元士郎は、どうやら彼の友人が居るらしいクラスでコーヒーを奢るつもりらしく、大人しく彼の後ろを歩く。

 

 

「それにしても見事なまでに女の子だらけっすよね……これぞ天国って奴っすよ」

 

「……。まあ、そうかもな」

 

 

 その際、右見ても左見ても女子だらけの学園内について弾が楽しげにそう言うので適当に相槌を打つ。

 本当に昔ならともかく、今の元士郎は欲というものが圧倒的に欠如してしまっている。

 故にさっきからこの目の前の少年と自分を見て何やらこの学園の生徒達がひそひそとやってるのが聞こえるが、そんなものですら今の彼にとっては雑音でしかなかった。

 

 

「あ、ここっす。

俺の友達二人がここで店員をやってるらしいっす」

 

「ご奉仕喫茶? また色々と攻めてるな」

 

「きっとそんな想像通りの事にはなりませんと思いますけどね。

さっきの悪夢で俺はそれを学びました」

 

 

 話を聞いてみると、どうやらこの少年はISにおいての二人しか存在しない男性起動者の友人らしい。

 思わぬ所で任務対象に近づける駒と出くわせたもんだと、そこまで任務にやる気は無い元士郎は後でオータムと合流した時に教えてやろうと思いつつ、弾に連れられる形で一年一組の教室へと入った。

 

 

『いらっしゃいませ! ようこそご奉仕喫茶へ!』

 

「おおっ!?」

 

「…………」

 

 

 中に入ると、クラスの者達だと思われる生徒達がメイド服の格好で元士郎と弾を出迎えた。

 

 

「め、メイドさんが居ます!」

 

「見りゃわかる」

 

 

 ついさっきまで『期待したら痛い目に合う事を学んだ』と言ってたのが、既に多くの美少女達のメイド姿にデレデレしてしまってる弾に、元士郎は冷静に突っ込みを入れる。

 そして生徒達も生徒達で、再びやって来た見知らぬ男性二人に少し色めきだった。

 

 

「あ、また男の人だわ」

 

「しかもどっちもちょっと格好いいかも」

 

 

 顔は良いけど性格的に三枚目的なポジションだったりするという共通点を持つ二人に対して女子達がほんの少しだけ黄色い声を出すも、彼女達的には一夏か烈火の方が格好いいらしい。

 

 

「弾! 来てくれたのか!」

 

「遅いからちょっと心配したぞ? って、そちらの……………っ!?!?」

 

 

 そんな状況の中、弾の友人らしい一夏と烈火が燕尾服の姿で登場し、弾を出迎えてくれた。

 どうやら本当に友人らしいと元士郎は二人とのやり取りを見て思うのだが、神崎烈火という人間が自分を見て絶句しているのを見て首を傾げる。

 

 

(……なんだ? 俺を見て一瞬動揺したぞコイツ?)

 

『それは我も感じた。会った事はあるのか?』

 

(いや、ねぇ……)

 

 

 その違和感を前に元士郎はメシアと共に話し合うのだが、その前に弾が二人に対して自分を紹介し始めてしまう。

 

 

「この人は龍崎駈音さんだ、俺のまさに救世主だぜ!」

 

「龍崎さん……?」

 

「あぁ、だからまずはこの人にコーヒーを奢りたいんだが……」

 

「あ、わかった、ならすぐ準備するよ」

 

 

 龍崎駈音という偽名を教えさせた弾に対してまたしても烈火が反応する。

 まるで偽名だとわかってるかの様に……。

 ますます怪しむ元士郎だが、弾に引っ張られる形で喫茶店に改造した教室の奥へと通され、座らされてしまう。

 

 

「これがメニュー表な? そういやさっき蘭が来たんだが……」

 

「やっぱり来てたのかアイツ……」

 

「まぁな、鈴にでもチケットを貰ったのかな? 来年入学するつもりらしいが……」

 

 

 さて、マドカと同じ織斑一夏とこんな形で目の前にするとは思わなかったがと考える元士郎は、烈火の怪しむ視線を受け流しながら一夏を観察する。

 

 

(織斑千冬はいねぇみたいだが、なるほどな――マドカに似てる)

 

 

 もっとも、この少年と織斑千冬は成功例らしいが、それでも元士郎にしてみれば変わらない差でしかない。

 この二人はこの二人、マドカはマドカ。近くで見ても結局は違いしかないと思ってる元士郎にしてみれば、そんな程度の印象しかないのだ。

 

 

「あ、龍崎さんは何か食べます?」

 

「え? あぁ……じゃあ――」

 

 

 織斑千冬もこの分じゃ全然マドカと違うだろ。

 そう結論付けた元士郎は早く引き上げる為に、適当なものを注文して去ろうと決め、弾に渡されたメニュー表から安いものを注文しようと読んでいく。

 

 

「?」

 

 

 だが人を完璧に辞めてる元士郎もまた見つけてしまったのだ。

 最後のページの一番隅っこに、ルーペか顕微鏡でも無ければ読めない小さな文字で書かれたそれを……。

 

 

「キミ、質問良いか?」

 

「あ、はい何でございますか?」

 

「この小さい文字で書かれてる『ブリュンヒルデと愛のティータイム.時価』ってのはなんだ?」

 

 

 元士郎にしてみれば、なんでこんな小さい文字なんだという意味で軽く聞いてみたに過ぎなかった。

 だが、そんな軽い気持ちとは裏腹に、教室内に居た生徒達の空気は凍りついた。

 

 

「え、どこにそんな事が書いてあるんですか龍崎さん?」

 

「ここ、凄い小さい文字だけど……」

 

「え? …………あ、確かに胡麻粒みたいな点はありますが……」

 

 

 弾にはどうやら見えないらしい。

 自分の人の辞めっぷりをそこまで自覚してない元士郎は軽い調子なのだが、生徒達にしてみれば二度に渡って見つけられるとは思ってもなかったので、割りと困惑してしまう。

 

 

「えーっと、スペシャル裏メニューといいますか……」

 

「一応それなりのお値段になるので裏メニューと言いますか……」

 

「裏メニューですって。

すんません、そこまでの持ち合わせは俺にありません…」

 

「奢らせる訳ないから安心しなさい。

それに別に頼む気もないし」

 

 

 またあんなカオスが始まるのかと思って身構える生徒達だが、どうやら本人は気になるだけで頼む気はないらしい。

 良かった……と、誰もがホッとする中、割りと悪戯っこな彼女がまたしても宣言してしまったのだ。

 

 

「特別価格100円でご提供~! ブリュンヒルデと愛のティータイムが入りまーす♪」

 

『のほほんさん!?』

 

 

 実は結構Sっ気があるんじゃなかろうか……。のほほんとした少女がそう高らかに勝手に注文の復唱をしてしまったのだ。

 

 

「100円? あ、なら奢れます」

 

「……。じゃあそれで良いか」

 

 

 しかも破格の100円と聞いてお得感を感じてしまった弾と元士郎も乗ってしまった。

 その瞬間、カオスは再現される事になってしまう訳で、生徒の多くは顔を青くしていた。

 

 

「ま、マジで頼むのか?」

 

「なんだよ一夏も烈火も? 顔色悪いぜ? 100円なら頼むしかないだろ?」

 

「地味に気にはなるからな。あんな小さい文字で書いてあるし」

 

「よ、よく気付きましたね……」

 

「昔から眼だけは良いんでね」

 

 

 隣の教室からまたしても何かを落として破壊する音が聞こえた気がした。

 ホール側に居る生徒達の顔色が頗る悪い……。

 

 一体なんなんだと思う事はあるが、100円という安さ爆発の魅力にはどうも勝てない元士郎と弾は、様子のおかしい一夏と烈火と喋りながら待っていると、それは唐突に現れた。

 

 

「ご主人様ったら、私が恋しくなって戻ってきてくれたのですねっ!? 千冬、とても嬉しいですっ♪」

 

 

 凄いキャピキャピしたミニスカメイドが。

 

 

『………』

 

「………あ、あれって一夏の姉ちゃん?」

 

「……………………」

 

 

 教室は再び凍りついた。

 しかもどうやらこの前の客がまた注文したのかと勘違いしてる様な台詞であり、少し見覚えのある弾は彼女が一夏の姉であることを見抜いて少し引き、元士郎は……。

 

 

(これが織斑千冬……)

 

 

 確かにマドカに似てる気がする織斑千冬の容姿をジーっと見つめていた。

 そして千冬は千冬で、注文つけたのが一誠じゃなく、弟の友人と全く見知らぬ男だと知るや否や――

 

 

「ぴゃあぁぁぁぁっ!?!?」

 

 

 一誠の時とまんま同じ奇声を発しながら踞った。

 

 

「だ、だ、だだだ、誰だ!? 彼じゃないじゃないか!!」

 

「織斑君と神崎くんの友人の方と、その友人の方と先程知り合ったお客様らしいです」

 

「そ、そんな事を聞いているんじゃない! 彼はどうした!?」

 

「さぁ? 来てませんけど」

 

 

 一誠がまたきっと注文したに違いないと、厨房たな居た生徒達に煽られ、こっぱずかしい台詞まで生徒達に覚えさせられての出陣がまさかの別人に、千冬はこのまた穴があったら引きこもりたくて仕方なかった。

 

 しかも相手は、片や一夏と烈火の友人で片や全然知らない若い男。

 

 

「もしかして彼女は織斑千冬さんか?」

 

「あ、そ、そっす。その、学園祭ということでああいうキャラをやらなくてはいけないという訳でして……」

 

「なるほどね……ブリュンヒルデとはそういう事か」

 

 

 踞ってぷるぷるしてる千冬を眺めながら元士郎は思った。

 

 

(こういうノリは恥ずかしいか。

マドカなら逆にノリノリになるところを考えても、やっぱり違うな)

 

 

 あの子なら、マドカなら恥ずかしがりはしないだろうと。

 いや、元士郎限定でしかないのだが、彼は長年共に居る子と千冬の違いをより明確に認識していくのだった。

 

 

「面白いものが見れてそれだけで満足だし、俺はここでお暇させてもらうぜ? 人と待ち合わせしてる約束があるからな」

 

「あ、は、はぁ……あの、この度は――」

 

「あー気にすんな気にすんな。

んじゃ、ご馳走さん」

 

「……………」

 

 

 ならばもう用は無いと、踞って動かない千冬の横を事もなさげに横切った元士郎は、そのまま100円玉を近くに居た生徒さんに渡し、そのまま教室を出ていく。

 

 その後あの空間で何が起こるかについて興味はあったが、それよりも元士郎には約束があるのだ。

 

 

「マドカか? 今どこに居る?」

 

『学園の屋上。

何かあったのか? 妙に遅いけど……』

 

「ちょっと織斑一夏と織斑千冬を見に行ってただけだ」

 

『……! あの二人と? それで……?』

 

「やっぱりお前はお前だな……。

そんな感想しかないぜ」

 

『そ……そっか……ふふ、そうか』

 

 

 クローンだとか、計画で造られた存在だとか。

 元士郎にとってそんなものは些細な事でしかなかった。

 それが完全なる確信に変わったという言葉に電話の向こうのマドカは嬉しそうに笑う。

 

 

「織斑千冬がメイドのコスプレをしてたのには若干驚いたがな。

聞いてた性格と違ってたからよ」

 

「元士郎が望むなら、私はどんな格好もするよ?」

 

 

 そして屋上へとたどり着き、髪を後ろで結んで帽子を目深く被ったマドカと合流する。

 その際マドカが帽子を取って元士郎に飛び付くが、誰もその姿を見られる事はない。

 

 

「オータムがそろそろ織斑一夏と接触する筈。それまでは待機だってさ」

 

「あ、そう」

 

「うーん、その間に学園内を見て回りたかったけど、元士郎とこうしてる方が幸せで動きたくない」

 

 

 元士郎に抱き付いて離れないマドカ。

 オータムがしくじった時の保険として派遣されてるので、割りの遊べる時間はあるけど、マドカはやっぱり元士郎の傍に誰の邪魔されずに居るのが好きらしい。

 

 

「でも姉さんがそんな格好をしたなんて、何かあったのかな?」

 

「さてな、見てて無理してる感が強すぎて見てられなかったが」

 

「まさか誰かに恋でもしたのかな? 私が昔そうだったように……」

 

「だとしたら方向性がぶっ飛んでるとしか言えねぇわ」

 

 

 オータムがしくじらない事を祈ろう。

 マドカは幸せな気分で元士郎と共に居続けるのだった。




補足

神崎君は完全に元ちゃんを見て察知したらしく、後で一誠に聞いてみることになるのだが………どうなるかは秘密。


その2
メシアに救われし弾くんはこの後きっと運命的な出会いが……。


その3
ヒロインズ一期勢は休憩時間にどこかにやけ食いしに行ったらしい。
そしてかんちゃんはその間に実はひょっこり現れて、のほほんさんとタッグ組んで二人の男子をドキマギさせてたとか。

その4
きっとマドカたんならノリノリでいろんなコスプレまでして元ちゃんに喜んで貰おうと頑張るでしょうね。

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