色々なIF集   作:超人類DX

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武器を作るにあたり、ヘファイストス様は凄いことを思い付いてしまう。


友達の家感覚

 そんなこんなでベルへの特注武器の発注に成功したイッセーとヘスティアは、ヘファイストスの紹介した仕事をする事になった。

 働く事自体に否定感はまるで無いイッセーは、力仕事から営業仕事までをそつなくこなして、ある意味で即戦力に瞬く間になれたのだが、ブランクだらけのヘスティアはそうはいかなく、何度もポカをやらかしてはイッセーにフォローされていた。

 

 もっとも、ポカをした事についてはイッセーは注意するも、大声で怒鳴り散らす等といったパワハラも一切無いし、寧ろやはりどこかヘスティアに対して甘かったので心が折れる事も無いようだ。

 

 

「俺の血?」

 

「そう。そして出来ればバラゴ君の血も欲しいわね」

 

「それはまた何で……?」

 

「どうせ作るなら今までに無い武器を作ろうかと思ってね。

見た目は取り回しの利きやすいナイフにするつもりなんだけど、最強のナイフを目指したいじゃない? そこであらゆる種族の中でもただ一人の強い血を持つアナタとバラゴ君の血を混ぜ合わせてみようかなって」

 

「すげー曰く憑きの代物になりませんかねそれ?」

 

 

 そんな二人の労働を確認したヘファイストスは、自らが設計、製造するベル専用武器の完成にイッセーと元士郎の血を要求した。

 あらゆる種族の中でも類を見ない特殊性を持つ二人の血を混ぜ合わせて最強の武器を作成する。

 ちと危険だが、武器製造に携わる好奇心とでもいうべきなのか、どうせならやってみたいという僅かな願望が彼女にもやはりあるらしい。

 

 

「危険と判断したら即座に処分を約束するわ。

だからお願いできるかしら?」

 

「まぁ、それくらいなら別に……。ところで血は何リットル必要っすか?」

 

「そんなに要らないわよ。

精々指先から2~3滴程度で構わないわ」

 

「そっすか。じゃあ元士郎にちと聞いてみますわ」

 

 

 こうして赤龍帝の血と暗黒騎士の血を混ぜ合わせた妖刀めいた武器の作成が始まるのと同時に、要である元士郎の血を求めてイッセーは彼の元へと遊びに行くことにした。

 ……そう、ロキ・ファミリアのホームへ。

 

 

 

 

 

 『出掛けるぞ』

 そう休日の朝の質素な食卓の席にて言われたベルは、一体何処へ行くのだろうと思いながらも、言われた通りイッセーと――何故かずっと不機嫌なヘスティアと共にあまり覚えの無い道を歩いていた。

 

 

「ねーねー、やっぱり元士郎君をこっちに呼んだら良いって僕は思うんだよー」

 

「そうは行くかよ、呼び出していきなり『血を2~3滴くれ、悪いようにはしないから』だなんて言えるか? 失礼すぎるわ流石に」

 

「元士郎君ならうなずいてくれると思うけど? イッセーの頼み事だしさ」

 

「元士郎にはなんのメリットもないんだ。

菓子折りのひとつでも足りないぜ」

 

「……」

 

 

 ブーブー言ってるヘスティアを宥めてるイッセーの会話を聞いてる限りだと、どうやら元士郎――バラゴの所へと行くつもりらしい。

 神々の眷属においてイッセーと肩を並べる程の生ける伝説に再び会う。

 

 ベルにとってはどちらもかつて『祖父』から聞いた存在だったが為に、とてもワクワクしてしまう訳で……。

 

 

「到着っと」

 

「う……わぁ」

 

「ふん、相変わらず成金めいた造りだね」

 

 

 その元士郎が住むとされる家……というには余りにも幻想的な雰囲気を醸し出す黄昏の館に到着。

 そして――

 

 

「元士郎くーん! あっそびましょー!!」

 

 

 そんな建物……的な扉をバンバン叩き始めたイッセーが、元士郎の名前を呼んだ――すごいでかい声で。

 

 

「あ、アニキ? 大丈夫なのそんなに強く叩いて……」

 

「こうでもしないと出てこないからな。

……流石に無断侵入はよくないし」

 

「寧ろ壊しちゃえって思うよね」

 

 

 とか言いながら館の外壁をドカドカ蹴りまくるヘスティアにベルはちょっと引いてると、大きな扉が開かれ、中から寝癖をつけて白のTシャツと黒のハーフパンツ姿の――誰がどう見ても今の今まで爆睡してましたな元士郎がめんどくさそうに目を擦りながら現れた。

 

 

「朝っぱらからなんだよイッセー……せっかく寝てたのに」

 

「あぁ、悪いな。

ちょっとお前に相談したいことがあってよ?」

 

「相談~? ……あぁ、ヘスティアとクラネル君か。おはようございます……」

 

「お、おはようございますバラゴさん! あ、朝早くから申し訳ありませんといいますか……!」

 

「おはよ、ロキの畜生は窓から落ちて寝たきりにでもなったかい?」

 

 

 ふわぁと大あくびを挟みつつも、緊張して直立不動になってるベルと、開幕一番ロキに毒を吐いてるヘスティアに向かって丁寧に挨拶をする元士郎。

 

 

「ロキなら俺と同じで寝起きだぞ……」

 

「寝起き? ………………あ、そういう事か」

 

「?」

 

「??」

 

 

 ヘスティアの願望とは違い、ロキは当然事故ってもないし、どうやら同じく寝起きらしい。

 だがその寝起きという言葉にちょっとした間が一瞬あった為、イッセーはなんで一緒になって寝起きなのかを理解し、ちょっとニヤニヤし始める。

 

 

「ロキには感謝しとかないとなぁ? え?」

 

「よせよ、別になんもしちゃいねーよ」

 

「照れんなよ。あの薄情な悪魔共に比べるまでもないだろ?」

 

「そりゃあな」

 

「?? 何の話でしょう?」

 

「たまに僕にもわからないやり取りが二人の間にあるんだよね。

聞いても『まだ子供には早い!』って、年下の癖に僕を子供扱いするし」

 

 

 肘でつつきながら『このこのぉ!』とやるイッセーと若干鬱陶しそうにしてるけど否定はしてない元士郎のやり取りがわからずに首を傾げるベルと、二人の間に対してちょっと寂しそうなヘスティア。

 

 

「取り敢えず中入るか?」

 

「おう、菓子折り持ってきたぜ?」

 

「別にそんな気ィ使わなくても良いんだがな……」

 

 

 そう言いながら三人を中へと案内する元士郎についていく形でイッセーとベルが扉を潜り、最後に嫌々な顔をしながらヘスティアも入ろうとしたのだが……

 

 

「へぶっ!?」

 

「か、神様!?」

 

 

 ヘスティアだけがどういう訳か見えない壁に阻まれてるかの様に中へと入れず、がつんという嫌な音と共に顔面を強打していた。

 

 

「いったぁ……! ロキィィィっ!!!!」

 

「ロキの奴、ヘスティアだけ『許可』してないな?」

 

「あー……外壁を蹴ってたのがまずかったかなぁ」

 

「か、神様から鼻血が……」

 

「おっとと、上は向くなよヘティ?」

 

 

 鼻血を出したヘスティアの介抱をベルとイッセーの二人でする中、元士郎が少し斜め上を見上げながらロキと名を呼ぶ。

 

 

「許可してあげてくれ」

 

『―――! ―――――!!』

 

「気が合わないのは昔から見ててわかってるが、それでもダチの恩人なんだよ、頼むぜ?」

 

『――……』

 

 

 どうやら寝室に居るらしいロキと何からしらの手段を使って会話をしている様で、元士郎の説得によって渋々ヘスティアの入館を許可させる事に成功する。

 

 

「スゲー嫌々な声で入って良いってよ。

さっきみたいな事にはならないから心配するな」

 

「悪いな。ほら大丈夫かヘティ?」

 

「ふがふが……!」

 

「そ、そういえばアイズさんもここに居るんですよね……。き、緊張して来ました」

 

 

 ちょっとしたアクシデントを挟み、気を取り直して黄昏の館へと入れた零細ファミリア組。

 イッセーの場合は何度か元士郎と飲み対決を挑む為にやって来てたりするので中の雰囲気に慣れてる様だが、はじめてのベルにしてはヘスティア・ファミリアみたいな――貧乏っぽいホームとは真逆の不思議な雰囲気を感じる黄昏の館の内部にアイズが居るかもしれないというのもあって緊張してカチコチだった。

 

 

「ちくしょぉ……ロキの奴めぇ……!」

 

「俺も拒否られると思ってたんだけどなぁ……」

 

「だから余計にムカつくよ!」

 

「悪い……」

 

「ぐっ……い、いや元士郎くんのせいじゃないってのはわかってるから謝らなくて良いよ。

悪いのはロキだし」

 

「朝っぱらからアポなしで来たのはやっぱり不味かったよなぁ」

 

「用ってなんだよ?」

 

「ああ、取り敢えず菓子折りを渡してから話すぜ」

 

 

 そんな会話がありつつ奥へと進むと、これまたまるでお城みたいな大広間がベル達を出迎えた。

 

 

「こ、ここがロキ・ファミリアの……」

 

「チッ、成金め……」

 

「サッカーできそうだよねぇ」

 

 

 こう、どこかの魔法魔術学校――――というのは流石に言い過ぎだけど、それと謙遜の無いきらびやかさとでも言うべきか、とにかく村育ちのベルにとっては新鮮でなにもかもが綺麗に見える大広間だった。

 それに加えてその大広間ではロキ・ファミリアの第一軍冒険者達が総出で三人を出迎えた。

 

 

「ようこそ……とでも言っておこうかな赤龍帝?」

 

 

 誰を見ても強い覇気を感じさせる面子が立ち並ぶ中、ベルとそう歳の変わらそうな見た目の男子が人の良さそうな笑みを溢しながらイッセーを称号で呼びながら挨拶をすると同時に他のメンバー達の姿勢もまるで軍隊の様に背筋が伸びる。

 

 ベルはそんなロキ・ファミリアの第一軍達を前に固唾を飲みながら……あ、アイズさんが居る! っと、背筋を伸ばしながらイッセーを見据えるアイズにドキドキしていると……。

 

 

「おお、フィン君! ちょっと大きくなったか? はっはっはっ、おじさんがお小遣いをあげよう!」

 

 

 イッセーはそのフィンと呼ぶ少年っぽい男子の頭を無遠慮にガシガシと撫でていた。

 その瞬間、それまでの変な緊張感はなくなり、フィンと呼ばれる男子はかなり困った顔をした。

 

 

「あの、やめてくれよ。

そんな歳じゃないんだから……それに他の者に示しが――」

 

「おぉい! ベート君じゃないか! 干し肉食うか!?」

 

「いるか! 犬扱いすんじゃねーよ!?」

 

 

 すっごいフリーダムにオラリオでも有名冒険者と呼ばれる者達と絡み始めるイッセーは、一人一人に絡みながら手土産として持ってきた三級品の魔石を渡していく。

 

 

「ば、バラゴ! コイツ何とかしてくれよ!? 相変わらずガキ扱いしてくるんだけど!?」

 

「事実俺達にとってはどんなに老けようがガキだからな……。

まぁ悪気は無いから我慢してやってくれ」

 

「だからって未だにこんな三級品の魔石を渡されても……」

 

 

 まるで近所のおじさんが久々に甥っ子と会えてテンションが上がってるみたいなノリのイッセーにタジタジな面々。

 

 

「ありがとう、それであの……今日こそ修行見てくれる?」

 

「んぇ? おお、アイズ。

うーん、アイズが良い子にしてたらおじさん見てあげちゃう!」

 

「うんわかった、良い子にする」

 

 

 唯一アイズだけがそんなイッセーのノリに天然で付いていけてるのだけど、他の面子にしてみればフィン等は良い大人なので勘弁して欲しいと思う訳で……。

 

 

「あーもう……朝から騒々し――」

 

「このド畜生がーーーッ!!!!」

 

「ぶべらっ!?」

 

「どうだ! どうだ!! どうだァ!!!!!」

 

「何してくれとんじゃチビィィッ!!」

 

 

 ロキの登場と共に開始されたヘスティアとのガチバトルのせいで、場はとてもカオスなものへと進展するのであった。

 

 

「? アナタは確か……」

 

「べ、べべ、べッ! ベル・クラネルと申し上げます候!! 本日はとても快晴でなによりで候!!」

 

「……?」

 

 

 ベルは完全にテンパってた。

 

 

 

 

 

 

 ロキとヘスティアのガチバトル。

 そしてテンパりすぎて訳がわからなくなってしまったベルに終始頭に?なアイズ。

 そしておじさん気分のイッセーとその間に暇だったからお茶を用意していた元士郎。

 

 カオスなお時間はロキとヘスティアの体力の消耗により漸く落ち着きを取り戻す事になり、全身傷だらけの女神二人を座らせ、取り敢えずお茶のお時間がスタートすることになった。

 

 

「で? こんな朝っぱらからなんの用やねん? こんなドチビなんぞ連れて?」

 

「へん、この絶―――もがっ!?」

 

「いやさ、元士郎にちょっとした頼みと、まあ、ちょっとしたお見合いをひとつと思ったんだけど……」

 

「ん?」

 

 

 絶壁と言い掛けるヘスティアの口を咄嗟に手で塞ぎながら、嫌そうな顔丸出しの『はよ帰れオーラ』ガン出しなロキに山吹色のお菓子………と見せかけて本当に単なる山吹色のお菓子を献上しながらイッセーは此処へ来た理由を順に説明していこうとするが、取り敢えずまずはロキの今の格好についてが気になってしょうがないので聞いてみる。

 

 

「その格好はそもそもどうしたの?」

 

 

 というのも、何でかは大体察せるのだけど、ロキの格好がかなり奇抜というか、二回りはサイズの大きい長袖Yシャツ一枚の姿なのだ。

 足下を見る限り、きっとYシャツの中身は何も着けて無いし、案の定その質問に対して元士郎が焦った表情になっている。

 

 

「んー? これかぁ? んふふふー♪ なんやろね~元ちゃん?」

 

「違う。違うかんな? 違うったら違うからな!」

 

「?」

 

「??」

 

「???」

『……』

 

 

 挙動不審気味に何かを否定する元士郎。

 どこか艶かしい雰囲気を醸し出しながら、妙に甘えた声色で元士郎に寄り掛かるロキ。

 その時点で何がどうなってるのかを、大人は分かってるのかアダルト年齢の眷属達は我関せずな顔でお茶を飲み、子供年齢――もしくはまだお子様な心を持つ者達は皆首を傾げていた。

 

 

「まぁまぁ皆まで言うなよ兄弟? お前は昔からそういう格好する子好きだもんな? グラビア雑誌でもその手の格好の写真に釘付けだものな?」

 

「う、うるせー! そういうお前だって――」

 

「言いたきゃ言えよ? フッフッフッ、俺は常にオープンだから何のダメージにもならないなァ?」

 

「ぐ、ぐぬぬ……! こ、このオープンドスケベめ……」

 

 

 悔しそうに唸る元士郎に対してイッセーはドヤァっとした顔。

 

 

「アニキ達は一体何のお話をしてるのでしょうか?」

 

「多分ベル君にはまだ早い話だよ。

はあ……まったくスケベなんだから」

 

 

 まだ純粋なベルに対して上手くはぐらかしながらため息洩らすヘスティア。

 調度反対側の席でアイズが同じように大人達に三人の会話の意図についてを聞いているのが見えるが、出来れば知らない方が良いとこの時ばかりは敵対関係の眷属に思ったとか。

 

 

「俺の話よりお前達が何で来た話を先にしろよ!」

 

「おっとそうだったな……。

うん、ひとつめほんのちょっとしたお願いなんだけど……。

元士郎さ、ちょっと血ィくんね?」

 

「は? ち、血って……なんでだよ?」

 

「いや、大した理由じゃないんだよ、ただ2~3滴程度のお前の血が必要だから――」

 

「悪いようにはしないから僕からもお願いっ!」

 

(……血? 何でバラゴさんの血が必要なんだろ?)

 

「理由言ってくれないと怖くて嫌なんだけど……」

 

「そりゃそうか。

じゃあそれは二つ目の理由をやりながら追々――――つー訳でアイズさん、うちのベル坊と互いの将来設計の話し合いを―」

 

「え?」

 

「あ、アニキ!? な、何を突然――」

 

「アカーン!! その話は元ちゃんから聞いとるけど、ウチが許さへん!!」

 

「ふざけんなイッセー! そんな弱そうな奴とアイズが何を話すってんだよっ!!」

 

 

 そして本題に入れば入るでまた話は拗れていくのだった。

 

「ベート君、わかるよ。君の言いたいことは実にわかるけど……ビーフジャーキーでここはひとつ――」

「ざけんなコラ!! 犬じゃねーっつってんだろうが!!」

 

 




補足
ベルきゅんのウェポンが変態化してしまうぞい!


その2
寝起きロキ様の格好。ダボダボの裸Yシャツ……。元ちゃんェ……

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