色々なIF集   作:超人類DX

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生徒会長一誠がもしもめだかボックス世界に行ったら……じゃなく、マイナス一誠がもし兄貴に居場所を取られた時点でスキルを覚醒させ、そのままめだかボックス世界に飛ばされて負完全さんと出会ったら……なーんてのをネタで書いてみた。


のと、同時に私が最初期に書いてたオリ主めだかボックス二次の設定を引っ張り出すという暴挙。

つまり――


誰得スーパー一発ネタ『僕は悪くない編』

 哲学的な意味じゃなく、人生って本当嫌なことばっかりだ。

 単純に運が悪いからそうだとか、お前の思考がネガティブだからと言う奴が居るかもしれないけど、それでも俺は自分の人生に幸福なんて感じられない。

 いっそ自分から死んで終わらせてやるくらいにね。

 

 でも、カミサマってのはとことん俺が嫌いな様で――

 

 

 

 

 

 かつて居場所をとある人物に奪われた少年が居た。

 それまでの人生を、その少年の出現により否定され、見捨てられた。

 だから少年は絶望してすべてを否定した。

 人生を、肉親を、周りを――世界の全てを否定し、自ら命を絶った。

 

 そうすることで心を解放できると思い込みながら……。

 しかし――少年は死ねなかった。

 普通ならまず助からない高さからダムの中へと身を投げたのに、少年は死ななかった――いや死ねなかったといった方が正しいのか……。

 

 

「一誠……お前はおかしいんだ。普通の子じゃない。だから頼むから病院で見て貰おう……」

 

「……………………」

 

 

 投身自殺を図った瞬間、少年は今までの世界と少し違う世界へ居た。

 似てるけど何かが違う――自分の居場所を奪った男が居なく、代わりに両親から化け物扱いを受ける世界へと、少年は短い人生をやり直しさせられたのだ。

 

 

 

「儘ならないな、人生ってやつは」

 

 

 最初はちょっとだけ嬉しかった。

 自分の全てを奪い取ってくれた気味の悪い自称・兵藤家の長男が居なくなってた事に。

 長い悪魔から覚めることが出来たんだと喜んだつもりだった。

 しかし、あの男が居ない代わりの悪夢は直ぐに再来した――『両親が自分を――いや、自分の中にある過負荷(マイナス)と言われる気質に不快感を持っていて、それを露骨に態度で示すのだ。

 

 それに関しては一誠も自覚していたのでどうでも良かったが、年々その露骨に示す不快感がエスカレートし、最近は手を上げられる事が多くなった。

 笑った時、両親に顔を見せる時等……なにもしていない筈なのに殴られる。

 

 それでも自分の気質に自覚があり、何よりあの自称兄貴が居ないだけでもストレスにならず文句も無かったのだが最早それも限界らしく、最近の両親は自分を精神病院か何かに入れたがってる様子も見られた……というか現に毎日の様に連れていかれる。

 そう……結局あの湧いて現れた自称家族に全てを奪われた時と変わらなかったのだ。

 彼の出現によって覚醒した過負荷(マイナス)のせいで取り返した家族に拒絶される。

 もはや少年の……一誠の心は何も無くなり、残るのは全てを否定して逃げるマイナスだけだった。

 

 

「『キミもそうなのかい?』『ふふ』『さっき話した“めだかちゃん”って子より仲良しになれそうだ』『キミとは』」

 

「めだかちゃん? あぁ、さっきまで隣に居た目付きの悪い子か。

多分だけどあの子とキミは仲良しになれないんじゃないか?」

 

 

 しかしそんな折、全てを否定する少年は出会ったのだ。

 

 

 

「『……』『どうしてそう思うの?』『めだかちゃんって子は僕のお話を聞いて納得してたみたいだけど?』」

 

「今はそうだけど、あぁ云う子は直ぐに『真っ直ぐすぎてへし折りたくなる様な奴』と劇的て吐き気のする出会いをして王道(プラス)な人生を見付けるのが相場さ。

そして俺やキミみたいな『どうしようもない過負荷(マイナス)』を真正面から叩き潰してしまうんだよ……」

 

「『ふーん?』『随分とあの子を知ってるみたいだけど』『会った事でもあるのかい?』」

 

「無い。けど分かる……逃げたくなる様なタイプだよ彼女は」

 

 

 かつての世界で人外に聞かされた――

 

 

「『……』『良いね』『キミとはやっぱりお友達になれそうだし名前を聞かせてよ?』『僕は球磨川』『球磨川 禊』『キミは?』」

 

 

 過負荷の代名詞、負完全と呼ばれる存在と……。

 

 

「一誠……兵藤一誠。

……。うん、初めて見たな……自分より最低(マイナス)な子って」

 

 

 一見人懐っこい……しかしその瞳の奥に宿る『どうしようもない』人間性を嫌でも感じさせる笑顔で、そしてボロボロの人形を抱えながらとうアンバランスさを見せ付けながら差し出される手。

 それは球磨川と呼ばれる小さな子供から向けられる久しぶりなる『悪意が感じられない』行為だった。

 

 

「親に見放されて良かったよ。

キミとは何と無く長い付き合いになりそうだ……ふふ」

 

 

 だから一誠は喜んでその手を取った。

 初めて自分の同類『以下』を見付けた一誠は、久しぶりに心の底からの笑顔を見せながらその小さくて女の子の様な手を握り返すのであった。

 それが運命なのか、嫌われているカミサマが寄越したものなのかは知らないが……この出会いが運命的だと少なくとも一誠と球磨川は心底思ったと、数年後に語ったとか。

 

 

 

 

 

 何か色々と違うこの世界で人生のやり直しをして一つだけ分かった事がある。

 どうやら前の世界よりこの世界の方が『俺の気質的に』ちょっとは生きやすいみたいだ。

 というのも、前の世界で聞かされた『オリジナルという意味では、この世界での過負荷(マイナス)はキミが最初で最後』……って安心院さんだったかが言ってたけど、この世界は俺以外に結構過負荷(マイナス)が多いのだ。

 しかも最初に出会った球磨川ちゃんなんか俺より最低だったし。まぁ、それでも普通の人達からすれば俺達は気色悪くて仕方ないみたいだけど。

 

 

「あーぁ、ボロカスにやられてやんの~」

 

 

 そんな球磨川ちゃんとの出会いからは、殆どを一緒にツルんで行動していた。

 非の打ち所なしな負完全である球磨川禊との毎日は全てがマイナスであり、中学生となった今も実にスプラッターな絵面を球磨川ちゃんは俺に身体を張ってまで見せてくれるのだ。

 

 

「『いたたた』『滅茶苦茶に殴られちゃったぜ』『めだかちゃんってば全然手加減してくれないんだもん』」

 

 

 学校教育現場とは思えない……放し飼いにしたゴリラが暴れまわったと言っても信じられそうな荒れ果てた教室のど真ん中。

 そこに血塗れの大の字でひっくり返りながらヘラヘラした顔で愚痴を溢すのが、俺の大親友の球磨川ちゃんである。

 つい数分前まで、あの精神病院で一目見た瞬間『あ、コイツ絶対ヤバくなる』って予感がし、更にどうしようもなく真っ直ぐに成長しちゃった女の子にボッコボコにされたらしく、取り敢えずこの学校から出ていくという条件で手打ちにして貰い今に至るという訳だ。

 

 

「だから言ったんだ、黒神さんに喧嘩なんて売るからこうなるんだ」

 

「『仕方無いだろ』『そもそも僕は彼女の顔面を剥がして醜くしてやるのが目的であって』『めだかちゃんに喧嘩を売ったつもりは全く無かったのに一方的に殴られたんだぜ?』『だから僕は悪くない』『悪いのは一誠くんにちょっかいを掛けまくってた『彼女』だ。』」

 

「その彼女――あぁ、安心院さんは知らん顔して球磨川ちゃんのスキルで封印された様だけど?」

 

 

 事は球磨川ちゃんがとある女の子の顔面を剥がし、それを黒神さんに見られたというのが始まりだったらしく、珍しくブツブツと文句を垂れてる。

 彼女……つまり安心院なじみっていう、前の世界で俺の気質について教えてくれた人が気にくわなかったかららしいけど……あの人って人外だからなぁ。

 顔を剥がしてスキルで封印してもその内また出てくるとしか思えないというか……まあ、今はぼろ雑巾状態の球磨川ちゃんと被害だらけの教室を何とかしないと。

 

 

「まったく、キミの方が俺より年上なのに世話の掛かる人だ……まあ、別に良いけど」

 

「『おいおい』『後輩にとって先輩は神様同然だろ?』『だからキミには幼馴染みにて一つ年上の僕を崇める必要があるのさ!』」

 

「はいはい」

 

 

 血塗れにされてもヘラヘラしながらくっちゃべる球磨川ちゃんに、ちょっとの感心さえ感じながら、付き合いが長すぎて色々と制御が上手くなっちゃった自分の過負荷(マイナス)を使う。

 

 するとボロカスだった球磨川ちゃんと教室は『ボロカスだった現実を否定されましたな如く』綺麗に元通りとなる。

 

 

「『わーいありがとう!』『相変わらずエグいよね一誠くんの幻実逃否(リアリティーエスケープ)って』『それを元手に作った僕の大嘘憑き(オールフィクション)なんて可愛くてしかた無いくらいに!』」

 

「50歩100歩だろ? そもそも却本作り(ブックメーカー)と交換して彼女から借りたスキルをそこまで螺子曲げる辺り、俺からすれば球磨川ちゃんの方がエグいと思うぜ」

 

 

 現実(イヤナコト)を否定し、都合の良い幻想へと書き換えるスキルと、全部を無かった事にするスキルにどっちがとか関係ない気がしてなら無いというか、わざと使わないまま黒神さんに殴られた挙げ句、ウソ泣きまでする球磨川ちゃんのほうが余程酷いと思うよ。

 

 何せもう黒神さんはどっか行ったから居ないけど、俺が見る限り彼女の表情は『折れる』一歩手前だったもん。

 どうせ彼女の大事な大事な幼馴染みが救うんだろうが、それでもあんな王道染みた子をそこまで追い込めるだなんて、やっぱ球磨川ちゃんは負完全だわ。

 

 

「『さぁてと』『『彼女』も封印したし』『この学校を二人揃って出ていく口実も作れたし』『これからどうしよっか?』」

 

 

 良いも悪いも無責任にかき混ぜてしまう……それが球磨川禊という過負荷(マイナス)の俺に足りない本質があるから何年もつるんでるし、何もしてなくて追い出される謂われも無いはずの俺を巻き込んでても文句は無い。

 

 

「最低でも義務教育――いや高校は出とかないと将来苦労するぜ? だからまぁ、適当な学校に転校しちまえば良いじゃねーの?」

 

 

 というより、前の世界込みで友達がこの子しか居ないからってのもあるから仕方ないんだ。

 情けない事に、前の世界と比べたら遥かに自分と同類が沢山居て住み心地はマシなんだけど、意外と巡り合わせの運でも悪いのか、この球磨川ちゃんしかまだ出会ってないんだよね。

 それならそれで良いんだけど、もうちょい欲を言わせて貰うならもう一人……もう一人で良いから今度は――

 

 

「『そうだね』『僕はともかく一誠くんは男の子だから学歴が無いと大変だもんね』『うんうん』『最悪僕のヒモになってくれても一向に構わないけどさ』」

 

「何でキミのヒモにならなきゃなんないんだ? 俺は友達甲斐が無さそうな真似はしないつもりなんだけど」

 

 

 男友達が欲しいかもしれないな。

 こう……ガチ気味の下ネタトークとかエロ本の貸し借りとかできそうな奴と。

 成長の見込みがまるで見えない貧弱ボディとはいえ、一応この子って女の子だからさ……エロ本の貸し借りとか出来ないんだよねー……。

 

 

「『なんだよ照れるなって!』『ほら一誠くんも良い年になったしおねーさんが筆下ろししてあげてもいいんだぜ?』」

 

「えー……?」

 

 

 確かに出会った頃から変わらずの童顔なんだけど、一人称とかで男だと思ってたんだ。格好とかも男の子のそれだったし。

 それがまさか中学の時に女子用の制服姿を見せられたと同時に……

 

 

『え、僕って女の子だよ? まさか知らないで僕に付き合ってたの? ひ、酷いよ……』

 

 

 ……と、何時もの括弧付けすら外して泣かれそうになったのは今ではいい思いでかもしれない。

 いや、この子にとっては結構憤慨ものだったみたいだけど……。

 

 それからというものの、この球磨川ちゃんは事あるごとに俺に対して自分は女の子だアピールでもしたいのか、まるで成長しねぇ貧相な身体で生意気な事を言ってくる。

 

 今だってそうだ……悲しくなる色気の無さで言われても微妙すぎて反応に困るぜ。

 

 

「ごめん、せめてCカップ以上になってから出直してくれると俺は嬉しい」

 

「『…………』」

 

 

 そもそも俺の好みな女の子って、おっぱいバイーンな女の子なんだ。

 球磨川ちゃん? うん……友達としては素晴らしき人だけど異性としてはあり得ないし、何でそんなショック受けた顔になってるのかが分かんない。

 

 

「『しょ』『少年漫画だと幼馴染みがメインヒロインだろ?』」

 

「いや、少年漫画とか関係なしに幼馴染みは負けフラグだわ」

 

 

 幼馴染みでもおっぱいバイーンだったら俺は食い付いてたが……いやぁ、中学になるまで女の子とすら気付けない貧相な身体なキミはちょっと……。

 

 

「『いやいやいやいや』『昔約束したじゃない』『将来僕をお嫁さんに――

 

「2年くらい前まで球磨川ちゃんを男だと思ってたのに、そんな約束する訳が無いじゃん」

 

「『おいおいおいおい』『僕はキミと出会ってからずっと夢中だったんだぞ?』『それなのに一誠くんは僕のこの気持ちを弄んで捨てるのか!?』『ありえない!』『そんなの過負荷(マイナス)じゃなくてゲスだ!』『告訴も辞さないぞ!』」

 

「知らないな。何度も言うけど俺はおっぱいバイーンな女の子が好きだし、弄んだ記憶もございません。

だから『俺は悪くない。』」

 

 

 まあ、嫌いじゃないけどね。

 

 

 

 

 兵藤一誠

 所属・別に無い。

 備考……人生リスタートにて、別世界から来た過負荷(マイナス)

 

 

 球磨川 禊

 所属・特になし。

 

 

 

 

 備考……負完全にて童顔の男の子――――――と、見せかけた女の子。




補足

多分殆どの方は私がめだかボックスの二次をやってたとは知らないと思いますが、当時の設定に球磨川くんを球磨川ちゃんにしちまえというクソ誰得な設定でやってました(笑)


それを思い出しつつマイナス一誠をぶちこんだ……ただそれだけです。

その2

このマイナス一誠は超早い段階でスキルを覚醒させてますが、ソーナさんとはそのせいでまだ出会ってないままです。

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