色々なIF集   作:超人類DX

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転生者によって早くに出会え。
転生者によってより強い繋がりを。

転生者によって卒業もめちゃ早かった……。

ありがとう転生者……


三人の結束力

 取り入る事が上手すぎる。

 異様に好かれやすい。

 

 理由は定かでは無いが、結局俺は奴を見くびっていたのだけは間違いない。

 

 お陰で二人までこんな事に巻き込んでしまったのだから。

 

 だがそれと同時にある意味で俺達の団結力は余計に強くなったといえるだろう。

 しかも皮肉にも俺は今の状況に対して悪くないと思ってしまっている。

 

 二人の親が心配なのも確かだけど、俺は二人と何の気兼ねもなくダラダラ過ごせる事が楽しいと思ってしまっているんだ。

 

 俺自身の両親の事は―――割りともうどうでも良いけど。

 

 

 

 あっという間に環境をすげ替えられて居場所を壊された三人は結構ポジティブな思考回路だったが故に、そらならそれでという意味を込めてさっさと逃げ出した。

 

 なんというか、三人とも居場所を壊されたと後ろ向きに考えるよりは、『あれ、てことは何をして生きても文句とか言われなくね?』みたいな考えになったからであり、その結果たどり着いたのが、テロ組織認定されている禍の団という変な組織だった。

 

 様々な種族の爪弾き者達で構成されたこの組織には、どこかで見た様な者達も所属し、ちょっと厄介だったのは、現悪魔政権に負けて冥界の隅っこに追いやられていた先代政権に属していた悪魔達にリアスが命を狙われそうになった事だったか。

 

 もっとも、狙われた瞬間、ボディガード二人と共に返り討ちにしたあげく、現政権どころかグレモリーの名前も捨てる事になったと長いこと説得したら、取り敢えず狙われる事は無くなったが。

 

 

「今の私にそんな価値があるとは到底思えないけど、人質として脅しとかしてみたらどうでしょうか? いやホントに」

 

「あのサーゼクスが本当に……?」

 

「にわかに信じられないが……」

 

 

 グレモリー家もそこに所属する現魔王のサーゼクスの事も知っている旧魔王達からすれば、こんなあっけからんとされた言い方をされると信じられないのだが、こうまで利用してみたら? みたいな事を言われると逆に妙な気分になるし、本当にグレモリーから除名されたとなると微妙に同情してしまう訳で……。

 

 

「……。取り敢えず、本当に取り敢えずだが、貴様等達とは現政権を倒す為の同盟を組む。

幸い戦力としては申し分ないからな……」

 

「どうも」

 

「しかし、あのサーゼクスが……奴も変わったな」

 

「うーん、兄が変わった訳ではないとは思いますけど」

 

「? それはいったいどういう?」

 

「多分直接見た方が宜しいのでは?」

 

 

 三食昼寝付きという理由だけで入ることになった組織にて細々と暮らす。

 今のリアス達の目的はそこだけしかないのだ。

 

 

 

 

 グレモリーの内情を知り、逆に戸惑う旧派達との会合を終えたリアスは、組織から与えられた根城に戻ると、何故か折角掃除をしたのに部屋が荒れていた。

 一体何が? と思っていると、リアスのちょうど真ん前に何かが文字通り落ちてきた。

 

 

「ぐびゃ!?」

 

「わからねーかなァ? 俺達とは関係ないんだよもう」

 

「はいはい、今『戻して』あげますからねー? ふふふ……」

 

 

 足元を見ると、ボロボロになってる女性が一人と、奥から両手に紫雷を迸らせた朱乃とうんざりした顔をした一誠が姿を現し、ボロボロの女性になにやら話をしていた。

 

 

「………なんなの? お部屋がメチャクチャだけど」

 

「あぁ、おかえりリアスちゃん。

いやね、このメロンボインの子がまた文句を付けに来てさ。

ほら、塔城さんのことで」

 

「治せば心置きなく、解って貰えるまで『お話』できますわよ?」

 

「いっ!?」

 

 

 あぁ、この黒焦げになってる女の人は黒歌なのか……と、朱乃が手を翳すと同時に、それまであった傷から焦げから何からが嘘の様に綺麗さっぱり消えてダメージが無くなった猫妖怪の女性を見る。

 

 

「く、アンタ達が白音を捨てたのよ!!」

 

 

 ダメージが0となった黒歌が憎悪の形相で手を翳していた朱乃の手を乱暴に振り払い、それぞれリアスと一誠を睨みながら、自身の妹――つまり以前までリアスの戦車だった小猫を捨てたと糾弾している。

 

 

「組織に入ってる時点で逆なのだけど……って、これ何回目かしら?」

 

「12回目。

あの子のお姉さんの事は聞いてたし、実際はこんなメロンを持った子だったんだなって思ってたけど、流石にめんどくさくなってきたんだけど……」

 

「めんどくさいとは何よ! アンタ等のせいで白音が危険かもしれないのに!!」

 

「ですから自分の意思だと言ってますわよね? 聞き分けが無いのなら今すぐこの銅像とアナタを更に『戻して』から一体化させてしまいますわよ?」

 

「っ!?」

 

 

 聞き分けの無い子供みたいに叫ぶ黒歌に、朱乃が目線を合わせるようにしゃがみながら、ニコニコとエグい事を言うと、黒歌の顔が真っ青になる。

 

 幼い頃から三人で切磋琢磨した結果たどり着いた、朱乃だけのオリジナルともいえる力。

 それは『戻す』という力であり、戻すことで例え手足が吹き飛ばされた重症者でも一瞬で治せ、その力を応用すれば無機物を対象者と共に戻してから結合させるといったエグい戦法まで可能にさせる。

 

 もっとも、朱乃の場合は対象者をボロカスにしてから戻して回復させ、またボロボロになるまでいたぶる使い方ばかりだが。

 

 

「喋る銅像って良くないかしら?」

 

「最初だけですぐ飽きるだろ。

それにうるさいだろうし」

 

「それより早く掃除しましょうよ。

こんなにメチャクチャにしちゃって……」

 

「したのは主にそこの子だよ」

 

「……………」

 

 

 一度朱乃の不可解な力の犠牲になり、そこら辺に落ちてたアーミーナイフが胃の中にぶちこまれた事から、そこら辺の岩と融合までさせられた経験のある黒歌は、ちょっとどころじゃない恐怖を朱乃に対して持っていたので、カタカタと震えていた。

 

 

「それより聞いてくださいよリアス。

一誠くんったら、わざと彼女を煽って怒らせて暴れさせて揺れる胸を目で追ってデレデレしていたのよ?」

 

「………本当なのイッセー?」

 

「……。どうせ対応するなら楽しく対応したいから……あ、はいすいません」

 

 

 雷の力は理解できるが、その力の事に関してはまるでデータになく、また能力そのものが凶悪すぎる。

 妹を悪魔側に放置して逃げ出した事に対する恨み節が強くてシバき倒してやろうと思っていた黒歌からすれば、何故それほどの力があったのにこんなはぐれ者達の組織に逃げたのかが理解できなかった。

 

 

「そんなに心配なら見に行けば良いじゃない。

それか今の冥界というか、今グレモリーに居るイッセーの弟なら、アナタみたいな子なら簡単に受け入れるだろうし、なんなら兄か誰かに頼んではぐれ認定を取り消してくれるよう動いてくれると思うわよ?」

 

「あぁ、それが良いじゃん。

はぐれ悪魔でさえなければ妹さんと仲良く過ごせるんだろ? メロンちゃんが居なくなるのはちょっと寂し――いだだだ!? み、耳を引っ張らないでよねーちゃん!?」

 

「浮気者」

 

「………」

 

 

 いや、黒歌はなんとなく察していた。

 彼らにとって価値があるのは悪魔である事でもなければ居場所でも無い。

 この三人が互いに傍に居るのなら凶悪組織だろうが何だろうが与する。

 

 

 

「どうして白音にその気持ちを持たなかったのよ……」

 

 

 だから黒歌は悔しいのだ。

 その互いを大切にする想いを妹に無かった三人に対して……。

 

 

「冥界にこっそり侵入できるルートぐらいは知ってるし、教えてあげましょうか?」

 

「そうだぜ、此処で俺達に怒るよりは会いに行ってしまった方が良いと思うぜ? ……………―って、言えば良いの?」

 

「よくできました一誠くん」

 

「…………」

 

 

 どこの派閥に属さない三人組。

 黒歌は白音に対する思いがあまり無い様な三人に項垂れるのだった。

 

 

 

 

 トボトボと元気無く去っていった黒歌をわざわざ手を振りながら『お達者でー』と見送った三人は、折角組織から獲得した根城を掃除し始める。

 三食昼寝付きで、しかもこの寝床に使う場所もそこそこ良い場所なので、三人的にはもっと大切にしたいのだ。

 

 なのに……。

 

 

「兵藤イッセー。

ここに今黒歌が来たという事で来たのだが……」

 

「あ? あぁ、なんだ―――えっと、ヴァージン君だっけ?」

 

「ヴァーリだ!! オービーでもバービーでもヴァージンでもない!!!」

 

 

 またしてもやって来たのは、以前イッセーが半殺しにしてやった白龍皇のヴァーリ・ルシファーなる少年だった。

 何やら仲間的な位置になっていた黒歌を探しにやって来たらしい。

 もっとも、煙に巻きたいオーラマックスの一誠に煽られて早速冷静さを失ったが。

 

 

「はいはい、で黒歌さんだっけ? 今うちの怖いねーちゃんが撃退したから居ないよ」

 

「怖いなんて失礼ね。

私は優しく、穏やかにお話しただけなのに」

 

「雷撃ぶっぱしながら、治してまた雷撃撃ちまくるのが穏やかだったら、凶悪犯罪は無くなると思うぜねーちゃん……」

 

「…………」

 

 

 ニコニコしながらの朱乃の言葉に一誠は微妙な顔をしているのを見て、ヴァーリはちょっと血が騒ぐ。

 この三人、一人は宿敵の赤龍帝でありしかもかなり強いし、この姫島朱乃もリアス・グレモリーも相当の強者の波動を感じる。

 その時点でこの組織に加入した意味があったとヴァーリは戦いを挑みたい衝動に駆られるのだけど、今はまだ機ではないと自分を抑える。

 

 

「そうか、居ないのなら他を当たるよ。

どうやら冥界でなにやら騒ぎを起こすらしいからな。

それに乗じて黒歌の妹を連れ出せるかもしれないって話をしてやろうと思ってね」

 

「騒ぎ?」

 

「あぁ、ディオドラ・アスタロトという悪魔に覚えはあるか?」

 

「ディオドラ・アスタロト? 一応知ってはいるけど、彼がどうしたのよ? 現政権所属の悪魔よ彼って?」

 

「ではアーシア・アルジェントという者は?」

 

「あぁ、イッセー君の弟君に助けられて家に居候していた元シスターの子でしたわね」

 

「………」

 

 

 あんまり興味が無いのか、箒やはたきを使って部屋の掃除をしながら聞き流す三人にちょっとヴァーリはイラっとするが、この先を言えば流石に焦るだろうとヴァーリは口を開いた。

 

 

「なんでもその彼が冥界に彼女を連れていった際にディオドラ・アスタロトが求婚したらしくてな。

断られたが、どうしても彼は彼女を欲しがっていて、旧魔王連中と結託して奪おうとしているらしい」

 

 

 こうまでいえば、一応現政権に属して、しかもそれなりに関わりがある者が危険に晒させると知れば焦るだろうとヴァーリは三人を見るが……。

 

 

「あら、可愛い顔をしてたものねあの子」

 

「神器持ちだっけ? ねーちゃんのスキルが便利過ぎて『ふーん?』程度しか思わなかったもんだけど」

 

「その子が狙われてるのねぇ? まあでも弟君がなんとかするのでは?」

 

「違いないね。

アレの型に嵌まってる者には守ろうとぐらいはすんだろうし」

 

「私達はカタもへったくれもなかったけど」

 

「「「HAHAHAHA!!」」」

 

 

 三人は一昔前のアメリカンジョークで笑う外人みたいに揃って笑っていただけだった。

 

 

「………。心配じゃないのか?」

 

「何が? だって俺もそのアーシア・アルジェントって子とはほぼ接点ないもん」

 

「話しかけようとしたら、弟君にいきなり『アーシアの神器目当てだろう!? この無能がっ!!』――って怒鳴られたし」

 

「私はその時は特に何も言われませんでしたね」

 

「てか別に神器が目的もなにもないしな。

単に当時リアスちゃんが管轄を任されていた町中ではぐれ堕天使とアレが騒いでて、その後処理だけ押し付けられた感じだったし」

 

「でも今はそういう事を考えなくても良いのよね」

 

「自由ですもの」

 

「だから、ある意味ラッキーだったよなぁ?」

 

「「「HAHAHAHAHA☆」」」

 

 

 何の興味もございません。

 六甲のおいしい水よりもサラッとしている物言いにヴァーリは何も言えなくなってしまった。

 

 

「……。その弟とやらはなんなんだ?」

 

「えーっと、正義感があって、人に好かれやすくて、良い人?」

 

「色々な騒動を前にしても前を突っ切る人?」

 

「仲間が居たら頑張れる云々~と、漫画から飛び出した様な主人公気質?」

 

「…………」

 

 

 と、妙に褒めてる三人に対してヴァーリは『絶対にそんな思ってないだろ』と内心突っ込む。

 とにかくこの先始まるそうどうにもまるで関心が無いらしい事を知ったヴァーリは、何故か納得いかない気分を抱えたまま去るのだった。

 

 

 

 

 

 嫌味とかではなく、本当にある意味『弟』に感謝しかないイッセー、リアス、朱乃。

 お陰で種族間の邪魔な柵だとか、背景に背負わされた大きな柵だとかからも解放されたのだから。

 

 なので行儀悪くポテチを食べながらボーッととかもできるし、なんならイチャイチャだってできるのだ。

 

 

「自由って素敵ね。

だってこんなにプリンを食べても怒られないもの」

 

「太るぜ?」

 

「大丈夫よ、ちゃんと運動をしてカロリーを消費するから」

 

 

 行儀作法に対してとやかく言われる事も無いとコンビニで買ってきたバケツプリンを食べて幸せそうな女子二人にイッセーは『女って逞しいな…』と思うのだとか。

 

 

「さっき旧魔王派の人達から襲撃に協力しろって言われたけどさ、マジにやんの?」

 

「やるしかないでしょう。

だって報酬が凄いもの」

 

「計算してみたらあんみつが五百年は食べ放題だもの」

 

「…………」

 

 

 捨てられたとはいえ、こんな簡単に切り替えられるものなのか……と、イッセーは二人の幼馴染みの女の子の機転というか、切り替えというか、それはそれの精神にある意味の尊敬すら覚える。

 もっとも、彼女達もどうやら其々の両親から相当なにかを言われたらしいからというものあるだろうが……。

 

 

「でも想像してみたら命の危険を感じるわね」

 

「ええ、どうしましょう。危険を感じすぎて生物としての本能が……」

 

「デザートバクバク食ってた奴の台詞じゃないでしょうに……」

 

 

 だからこそ二人は今の自由が楽しくてしょうがない。

 ケーキを行儀悪く食べても怒られない。

 純血悪魔だからどうだこうだもない。

 姫島家がだとか、ハーフ堕天使だからとかもない。

 

 自分という存在を隠す必要がまったくないのだ。

 

 

「どうしましょうイッセー……命の危険を感じたらお腹が熱いの……」

 

「んっ……身体全体が熱いの……」

 

 

 こんな小芝居を挟んでみても文句だって言われない。

 

 

「あのさ、良いよ別にそんな変な小芝居とか無くても。

昔の二人に戻り過ぎだっての……」

 

「しょうがないじゃない。昔三人で人間界の公園で遊んでた時に、捨ててあったエッチな本の内容がそんな感じだったし」

 

「あの時は三人して読んで、互いに変な気持ちになって物陰で触りっことかしましたねぇ。ふふふ……♪ あの時のイッセーくんの切なそうな顔が可愛くて……」

 

「あー……まー、あったねそんな事」

 

 

 何の気兼ねも無い。

 それがどれだけ幸せか……。特にリアスと朱乃はそれがよくわかるのだ。

 

 

「だからあの時の続きをしましょうイッセー?」

 

「触りっこだけじゃなくて……ね?」

 

「うん」

 

 

 誰にも文句は言われない。

 好きな人と自由に共に居れる事を。

 両側からイッセーを挟みながら倒れ込む事も……重なる事も。

 

 

「今はまだ無理だけど、そろそろ本気で子供を作ろうかしら?」

 

「誰も知らない世界さえ見付けれれば直ぐなのですがね」

 

「そうなのよねぇ。

だって小学生くらいの頃が初めてだったし、そろそろ本当に産める歳だし……」

 

「体育倉庫みたいな所に連れ込まれて服をひんむかれた衝撃は今でも忘れられないぞ俺は……」

 

 




補足

ロリしょた時点でもう……ナンテコッタイ。

その後も精神の成熟の早い女の子二人は、確かにスケベではあったもののまだちょっと純粋だった男の子を連れては触りっこしてたらしいヨ


その2
前向き過ぎてそれならそれでの考え方が強すぎる。

まあ、別に情が無いわけじゃあないのだが……


その3
治して戻すスキルを応用すると、無機物と一緒に戻してから更に戻して融合させられるという……ヤバイのがね。


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