色々なIF集   作:超人類DX

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飛び出した。

だってもう辛いから


飛び出し魔王

 所在地がバレた。

 しかしながら変に前向きな三人組は特に慌てる事もなく何時も通りだ。

 

 何故なら逃げ足にはかなりの自信があったし、そもそも一度調子に乗った暴言をリアスと朱乃が吐かれた際、プッツンした一誠が半殺しにしてやったことがあったので、対抗できない存在ではないということが解っていたからだ。

 

 無論、対抗できたからといって油断も慢心もしない。

 その当時よりも更に先の先へと進む手を緩める気もまったくない。

 

 しかし進んで相手になるつもりもない。

 

 何故なら三人にとって彼は『厄介事』から遠ざけてくれる幸運の象徴なのだ。

  凄い毛嫌いはされてるけれど、三人にとってしてみれば彼はとても『いい人』なのだ。

 

 故に何を目的に生きてるのかは知らないけど、精々頑張ってほしいと、嫌味とかではなく思うのだ。

 

 

 

「彩也のお陰で白音とも仲直りできた。

だから戻る気なんて私にはない」

 

「………………」

 

「ほら言わんこっちゃない。

本人が戻る気無いんだから放って置いてあげろよな? 見た感じ大事にはされてるみたいだしよ? そうなんだろう、ビッグメロンねーちゃん?」

 

「……。その不愉快な呼び方はやめてくれる? 彩也のお兄さんらしいけど、やっぱり正反対だわ」

 

「だろうね。くくくっ! 正反対に決まってるよそりゃあ。

要領よく出世できるアイツと違って、俺は要領が悪いからねー?」

 

 

 自由になれた今をくれてありがとう―――と。

 

 

「彩也によろしく。じゃあ逃げる!」

 

 

 彼を中心に世界が回っていようが、関係ないのだから。 

 

 

「これでひと安心だろ? キミのお仲間だった人も幸せに生きてる様だからな」

 

「………………あぁそうだな」

 

「下手に刺激しないで生きていけるのであるなら、それに越した事はねーぜ? アイツの癪に障るとなにをされるかわからないからな」

 

 

 

 

 

 

 世間では色々とあったようだが、相も変わらず気紛れ三人組は何の関係もない所で気楽に生きている。

 

 前に花火の邪魔をしたのでぶちのめした英雄派達が何かしでかして彩也達とやりあっただとか。

 

 北欧神話系統の誰かと誰かと誰かが何かあっただとか。

 

 既に退学処分にされていた駒王学園の修学旅行先の京都で何かがあったとか。

 

 そこで知り合った狐の母子と何かあっただとか。

 

 色々なロマンスみたいな展開が繰り広げられていたらしいが、お尋ね者にされているリアスと朱乃と一誠にはなんの関係もなく、元気に逞しく生きていた。

 

 

「えーっと、取り敢えずお茶飲みます?」

 

「「……」」

 

 

 が、只今三人は、面倒かもしれないという出来事に直面していた。

 つい先日も朱乃の父であるバラキエルが連れ戻そうと出没したのを、朱乃が直接激怒しながら撃退したばかりだった。

 

 しかも今度はリアスに対する厄介な出来事という意味で。

 

 

「元気そうで良かったよ……」

 

「ええ、お兄様とミリキャスこそ……」

 

 

 リアスの兄にて現魔王の一人であるサーゼクスと、その子供であるミリキャスの訪問。

 冥界どころか実家から棄てられたも同然の扱いをされて飛び出して以降直接対面する事がなかったせいか、些か両者の間に微妙な気まずい空気が漂っている。

 

 もっとも、気まずい理由はそれだけでは無いのだが。

 

 

「あの、魔王の座を降りたってのは本当のでしょうか?」

 

 

 リアスとは小さい頃から一緒だった一誠と朱乃だが、実の所リアスの肉親達とはそれほど話をしたことはなかった。

 確かに朱乃の場合は、女王という立場もあるので対面する事は多かったが、一誠の場合はほぼまともに話をしたことは無かった。

 何故なら、彼は笑える程にリアスか朱乃との繋がさか大切にしなかったから。

 

 だからサーゼクス・ルシファーやミリキャス・グレモリーとまともに話をするのは、今が初めてなのだ。

 故に少しだけ口調も固い訳で、サーゼクスは痛々しさすら自嘲した笑みを浮かべながら一誠の質問に答える。

 

 

「その通りだよ。

理由は既に君達三人も聞いたと思うから言いたくないけどね」

 

「「「…………」」」

 

 

 サーゼクスの言葉に対して三人は俯いたままのミリキャスに視線を向けると同時に、その横に居るべき筈の存在が無い状況に気まずい気分になる。

 何故なら二人は紛れもない親子であるが、母親が居ない訳ではない筈なのだから。

 

 そしてその理由も既に知っていた。

 

 

「すまなかった三人共。

頭を下げて済む様な事では無いのは百も承知だけど、僕はキミ達を守る事すらできなかった……」

 

 

 はぐれ悪魔として指名手配されてしまった三人にサーゼクスが土下座の勢いで頭を下げた。

 それは今のサーゼクスでは最早三人のはぐれ認定を取り下げさせて復帰させる事も不可能だという意味でもあった。

 

 

「あっという間だったよ。

キミ達が冥界から失踪して禍の団に加入したと発覚してからが……。

そしてキミ達が失踪してから冥界が変わっていったのも……」

 

「「「………」」」

 

 

 どうやら自分達と同様に、あっという間に身近にあるものを壊され、流石に滅入ってしまったらしい。

 リアス、朱乃、一誠は元々『互いが無事なら後はどうでも良かった』と割り切り過ぎた性格だったから『それならしゃーない』と切り替えられたが、サーゼクスとミリキャスはそうはいかない。

 

 元々彼は中々に愛情深いし、ましてや心底愛した嫁を奪われたも同義なのだ。

 その子供であるミリキャスに至っては『観て』しまった事もあってトラウマに近いものを持っている筈だ。

 

 

「なんか……すいません」

 

 

 その原因が誰なのかは、嫌になる程聞かされてきたので、一誠は思わず謝った。

 別に血の繋がりも感じちゃいないし、肉親としての情だって初めから持っちゃいないが、それでも『放置』して好き勝手に暴走させていたのは事実だったので、流石に一誠も謝るしかなかった。

 

 

「いや、キミは彼に――弟に相当嫌われていたのは知っていたから責める気なんて欠片もないよ。

寧ろ同じ様に毛嫌いされていた妹と朱乃さんを守ってくれてありがとう……」

 

「………」

 

 

 そんな一誠の謝罪にサーゼクスは首を横に振りながら言葉を受け止めてくれる。

 一誠、リアス、朱乃にしてもまさか彩也がここまで暴走するとは思っていなかったが為に、少し気まずい。

 

 

「今の彼はセラフォルー達をバックに付けたせいか、異次元レベルに不可解な位置に居るのだけど、イッセー君、キミにひとつ確認したいことがあるのだけど良いかな?」

 

「? 何でしょうか?」

 

 

 正直今となっては自分達にも害が無いのと、放置していたら此方にも火の粉が降りかかってきそうな厄介事を処理してくれる便利屋扱いをしているので、これからも生かしておきたい感は強い。

 だがまさか人の嫁にまで仕出かすとは思っていなかったので、生かすのもそろそろヤバイのかもしれない――と、無言で二人と考えをリンクさせていた一誠に、サーゼクスが朱乃から出されたお茶を一口飲みながら話す。

 

 

「キミのご家族は――或いは先祖に、人ではない種族の者が居たとかはないか?」

 

「は?」

 

 

 なんだその質問は? と、サーゼクスに対して目を丸くする一誠の代わりに、隣に居たリアスが問う。

 

 

「どういう意味でしょうかお兄様? イッセーは元々純粋な人間ですし、先祖にそのような血が混ざっているということも無い筈ですが」

 

 

 リアスの言葉にイッセーも無言で頷く。

 わざわざ調べた事はないが、純粋な人間家系の筈だ。

 

 そりゃあ普通の家系と比べてしまえば、イッセーとか祖父辺りがはっちゃけた性格ではあるが、それはスケベ的な意味でであり、人外の血が混ざってる訳は無い筈だ――多分きっと。

 

 しかし何故サーゼクスがそんな質問をするのだろうか? 等と三人は思っていると、サーゼクスの口から『納得』の理由が告げられた。

 

 

「キミの弟――兵藤彩也からあり得ない力を感じたからね」

 

「ありえない力……?」

 

「光の力。つまり天使や堕天使に準ずる力と、我々悪魔に近い力……相反する筈の力を使いこなしていたんだ」

 

「「「……………」」」

 

 

 サーゼクスの声に、三人は納得した。

 イッセーに家系の事を聞いたのはそういう理由だったのかと。

 

 

「それはつまり、俺もアイツに近い力を持っているかもしれないかって事ですか? だったら言いますよ、俺にそんな力はありません。

そして先祖にもそんな力を持った者は居ない筈です」

 

 

 ハッキリと言い切ったイッセーには何故彩也にそんな力があるのかの理由がなんとなく分かっていた。

 何故なら彩也は間違いなく兵藤イッセーの弟な訳がないからだ。

 

 

「そうか……。

とにかくどちらにせよキミの弟は異様な強さを身に付けているのだけは間違いない。

そしてその力に引き寄せられる異性が多くいることもね」

 

「楽しそうに生きてるみたいですねアレは。

が、貴方の嫁さんにまでやらかすのは流石に笑えませんよ」

 

 

 不可思議な力を持っているのは感覚で掴んでいたし、対応可能かは実際に相対しなければまだわからない。

 大人しく適当にフリーな女を侍らせて満足していれば良いものを、余計なことしかしやがらねぇ……と、心の中で毒づくイッセー。

 

 

「うちの組織のトップさんもアレに懐いてくれたおかげで今じゃ空中分解ですからね。

残党は平然と隠れ家の場所をベラベラと話すオーフィスとメロンねーちゃん基、塔城さんのお姉さんのお陰で狩られまくるし、まともに生き残ってるのは今俺達と、自称・曹操達かヴァーリ達ぐらいッスよ」

 

「キミ達は今シャルバとクルゼレイの二人のもとで生きてると聞いたけど……」

 

「一番近しいというか、一番お金持ちなのがあのお二人でしたのでね。

あのお二人の下に付いておげば食べるものには少なくとも困りませんもの」

 

「拠点は転々と移動しなければなりませんが、もう慣れましたわ」

 

 

 テロ組織の長のオーフィスを手懐けたのはどうでも良かったけど、人の嫁と寝たお陰でややこしいことになってるのだけは頂けない。

 今の所、鍛えるという概念を覚えた二人の旧魔王の血族者が急激な成長を遂げているお陰で残党狩りから逃れられているもののだ。

 

 

「シャルバとクルゼレイにドン引きされちゃってね……」

 

「それは聞きましたよ。

来て早々愚だを吐きまくられたと……」

 

「ストレスだったんだろうね、結局朝まで付き合わせちゃったよ。はは……」

 

 

 これ以上怠くなる前に始末してしまうべきか。

 冥界内のバランスが世紀末な事になってる様な気しかしない三人は、魔王を降りて子供と共に飛び出して来た元・魔王を取り敢えず受け入れながら考えるのだった。

 

 

「シャルバ様とクルゼレイ様はなんと?」

 

「うん。二人して『見ていて笑えない程に憐れだから、慈悲をくれてやる』って言ってくれたよ。

その時思ったけど、あの二人は昔と変わったよ……強くもなったみたいだしね」

 

 

 始末すればグレイフィアが戻るという可能性は限りなく低いが。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 サーゼクスとミリキャスはルシファーやグレモリーの名を棄てる事で一人の悪魔へとなる。

 無論、寝取られた嫁ないし母を取り戻す事を諦めてはいないが……。

 

 

「忙しいを理由に構ってくれない貴方と違って今は幸せ――かぁ」

 

「……。ハッキリと言ってたな、あの女」

 

「……まぁ、なんだ。

取り敢えず飲んで忘れろ今は……」

 

 

 再び会った嫁は最早どうにもならない程にサーゼクスとミリキャスの事はどうでもよくなってしまっていた。

 たまたま横で聞いていたシャルバとクルゼレイもこれには流石に本気で同情してしまい、皮肉にも殺し合う筈だった者同士で酒を飲んでいた。

 

 

「お前の子供の事は三人に任せてある。だから飲め」

 

「オーフィス共に邪魔をされて殺しそびれはしたが、まだチャンスはある。

だから今はまだ耐えろ」

 

「グスッ……! あんまりだぁ……!」

 

 

 敵だった者に慰められながらグビグビと酒を飲みまくる。

 そこにはサーゼクス・ルシファーだった頃の姿はなかった。

 

 飲んでは吐いて。

 飲んでは吐き散らして。

 吐いて吐いて吐きまくって……。

 

 

「ウィ~……ぬわぁに見てんだこのやろー!! 見せもんじゃあねーぜ!!」

 

 

 ミリキャスの前では良い父親であり続けようと頑張っていた。

 けれど妻を取られた悲しみを拭える訳もなく、サーゼクスは時折一人で人間の酒場に行っては浴びるほど飲みまくり、質の悪い酔いで忘れようとした。

 

 

「いで!? どこ見て歩いてやがるボケぇ!!」

 

「ぐぇ!?」

 

 

 あげくの果てには泥酔した拍子にぶつかったチンピラ数人にボコボコに殴られ、路地裏に放り捨てられる始末。

 チンピラ程度などサーゼクスに掛かれば文字通り指先ひとつで黙らせる事ができる筈なのに、彼は決して反撃もせず、ただただ殴られていた。

 

 

「くくく……今の僕にはぴったりだよ。

あは、アハハアハアハハ………………うぅ、グレイフィアぁ……!」

 

 

 いっそ死んだ方がマシだ。

 それほどまでに生きる気力を無くしていたサーゼクスは壁に力なく背を預けながら妻の名前を呼び続け……やがて眠ってしまう。

 

 

「……………ん?」

 

 

 そんなサーゼクスが意識を取り戻すと、路地裏ではない場所の、全然知らない家の天井が視界に映る。

 

 

「あれ。ここはいったい……」

 

 

 チンピラに袋叩きにされた所までは覚えているが、それ以降が全然記憶にないサーゼクスは身体を起こしてみると……。

 

 

「あ、えっと……気付かれました……?」

 

 

 ちょうど起きたタイミングで部屋に入ってきた人物と目が合った。

 当然サーゼクスの記憶には一切ない人間の少女なのだが、着ている制服には見覚えがあった。

 

 駒王学園の制服だったのだ。

 

 

「キミが私をここに?」

 

「えっと、路地裏で恐そうな人達にボコボコにされていのを見てしまったので……」

 

「そうなんだ……」

 

 

 どうやら通り掛かりに自分を見付けて放置するのもなんだからと連れて来てくれたらしい。

 別に大したダメージなんかないサーゼクスは取り敢えずその少女にお礼を良いながら貸してくれたベッドから降りる。

 

 

「ありがとう……。

ちょっと羽目を外しすぎたみたいだ」

 

「…………大丈夫ですか? 随分殴られていましたが」

 

「えーっと……まぁ大丈夫さ。

それよりわざわざすまなかったね……」

 

「いえ別に。

あの……ひとつお伺いしても良いですか?」

 

「? 何をだい?」

 

「容姿から見て外国の方だと思っているのですけど……えーっと、リアス・グレモリーという名前に心当たりはありませんか?」

 

「………………………」

 

 

 お礼を言って早く立ち去ろうと思っていたサーゼクスがピタリと固まる。

 

 

 

「…………さぁ、聞き覚えはないけど」

 

 

 だがそれも一瞬の事であり、サーゼクスは即座に知らないと返した。

 駒王学園の制服を着ているところをみると、在学していた頃のリアス達の事を知っているのは間違いない。

 だが、もしかしたらこの少女が彩也と親しいのかもしれないと思うと話す訳にはいかなかった。

 

 

「僕とそのリアス・グレモリーという人は似てるのかな?」

 

「髪の色とか雰囲気がとても似てましたので……」

 

「へぇ? 仮にその人の事を僕が知っていたらどうだったんだい?」

 

「ただ聞きたかっただけなので特には……。その人は私のひとつ上の先輩にあたる人なのですが、ある日突然、その人のクラスメートの人と私のクラスメートの男子と共に学園を自主退学したので……」

 

「……………そうなんだ。

キミはその人達の友達だったのかい?」

 

「いえ……ただ、私のクラスメートの男子――兵藤っていうんですけど、ソイツが異常な程に嫌われていたので、辞めた原因がそういうことなのかなって……。

私も怖くて庇えなくて……」

 

「………………」

 

 

 思わぬ所で三人を知る人物――しかも結構まともそうな者と出会したサーゼクスは非常に迷った。

 そして迷った挙げ句、サーゼクスはこの少女の名前を聞いてから隠れ家に帰った。

 

 

「イッセーくん。ひとつ良いかな?」

 

「? なんですか?」

 

 

 隠れ家に戻ると、シャルバやクルゼレイ……それからヴァーリとその仲間達をも交えてUNOをしつつすっかり懐いたミリキャスを膝の上に乗せていたイッセーに去り際に聞いた名前を口に出した。

 

 

「桐生藍華さんって子に覚えはあるかい?」

 

「桐生……藍華?」

 

 

 クラスメートだった女子の名前。

 しかしイッセーの反応は記憶に無さそうだった――――

 

 

「あ、思い出した。確かとなりの席の女子にそんな名前の子が居ましたわ。

一見地味そうに見えるけど結構可愛い顔してたっけ?」

 

「何故お兄様がイッセーのクラスメートだった女子の事を?」

 

「いやちょっとね……。そっか、覚えてはいるんだね?」

 

「流石に席がとなりだったですしね。

落ちた消ゴムを拾ってやったら、凄まじくビックリされた後、一人でニヤニヤしてたんで変なインパクト性も感じましたし。

でもまた何でサーゼクスさんが?」

 

「飲みすぎてぶっ倒れてた所をその子に介抱されてね……」

 

「お兄様……飲みすぎはいけませんってあれほど――」

 

「ご、ごめんごめん! それでその子からキミ達の事を聞かれたんだよ。

リアスの面影を僕に感じたみたいでね……それに、随分とイッセー君に罪悪感を感じてたみたいだよ?」

 

「罪悪感? ……なんで?」

 

「キミがクラスでもいじめに近い嫌われかたをしていたのを庇えなかったからって言ってた」

 

「庇われる程親しかった訳じゃなかったのに何でだ?」

 

「イッセーが天然でその子にちょっと優しくしてたんじゃないの?」

 

「例えば、普段他の人とはほぼ喋らないのに、席が隣同士だったから話す事が多くて、意外と明るいタイプだったと知ったからとか」

 

「話をしたぁ? 別に大したトークなんてしてないと思うけどなぁ。

ちょっと話し終える度に一人でニヤニヤしてたりする変わった子だった様な気はすっけど」

 

 

 本人は席が隣同士だったからその延長でたまに話をする程度だったと語るが、その内容を聞いているとイッセーではなくその少女になにかあるのが感じられる。

 

 

「そーいや、授業でフォークダンスかなんかをさせられた時に、余り物同士でその子と組んだんだけど、授業終わってからずっと目を合わせてくれなかったっけか……」

 

「なにかしたのかお前?」

 

「セクハラでもしたのか?」

 

「いえ別に? あの学園の連中にそんな真似して騒ぎになったら二人に怒られますからね。

ただ、そう言われるとちょっと接触した拍子に変な所に触れてしまったかもしれないけど……。

次の授業までちょっと話してみようと思って話し掛けたら、顔も合わさないで終始敬語口調たったから、今にして思えばかなり怒ってたのかも……」

 

「「「………」」」

 

 

 いや多分それ違う。

 リアスと朱乃は女としての勘。

 サーゼクスは妻帯者だった者としての経験でその桐生藍華という少女が天然記念物並みの珍しさでイッセーに悪意を持たないどころか……みたいな疑惑を感じてしまう。

 

 

「まー昔っから嫌われやすいからね俺! 嫌わなかったのはリアスちゃんと朱乃ねーちゃんぐらいだしな」

 

 

 はっはっはっ! と笑いながら手札を切るイッセー。

 一体桐生藍華とは何者なのだろう……。

 

 

「………。あの人、絶対にグレモリー先輩の事を知ってる。

兵藤は今絶対にグレモリー先輩と姫島先輩と一緒に居る筈だし……退学になってない弟の方に聞くのはヤバイ気がするし……」

 

 

 貸してくれたまま返す事ができない――イッセーの名前が書かれた『保健体育』の教科書を眺めながら少女は、イッセーが隣の席に座ってて、小さなやり取りをしていた楽しかった思い出を胸にぽーっとしている今はまだわからない。




補足

彼の眷属は冥界に残って監視しています。

じゃないと情報が流せませんからね。


その2
でもサーゼクスさんの心はズタズタ過ぎて暫く飲みまくりマダオ化が……


その3
『おかしい』と感じる唯一の人間側なのかもしれないですね、彼女は。

ていうか、彼女自身がもしかしたら…………

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