色々なIF集   作:超人類DX

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マジで前回となんの関係もない話ってか、半ばお蔵入りさせてたのを出すだけの奴。


※これ関係ない話

 物心ついた時から一緒。

 どこへと遊びに行くにも一緒。

 何をするにしても一緒。

 

 切っ掛けは偶々親同士が親友同士だったからかもしれなかったけど、自然と馬が合ったからずっと一緒だった。

 

 幼稚園も、小学校も、中学校も。

 

 思春期に入って異性との間に対する壁は確かに何度か感じた事はあったのかもしれないけど、それは一瞬の事でしかなかった。

 

 小学生辺りから周りにその仲をからかわれたり、時にはちょっかいをかけられたりもしたけど、それでもずっと一緒なのは変わらなかった。

 

 何故なら、取り繕う必要が一切無いから。

 

 そして何より―――………『安心』できるから。

 

 それはきっとこれまでと同じで、これからも変わらないだろう。

 

 大人になるまで後少しとなる年齢に差し掛かる今日もまた………――一緒である事が。

 

 

 

 しかしそれでもほんの少しだけ変わった事もある。

 

 子供から大人への階段を昇っていく上で出会した『非日常』を越えていく為に、守るのでは無く肩を並べて守り合うという意味で。

 

 

 

 この世はとても不思議だ。

 それまで『ありえない』と思っていた空想が現実であったという衝撃を多少体験した事があるからこそ至ったひとつの結論を常に抱きながら、彼と彼女は今日も普通に紛れて普通に生きる。

 

 

「何時まで寝てんのよ。

おばさんが下で怒ってるわよ?」

 

「んー……後三時間……」

 

 

 二人にとってまずこれが普通の始まり。

 幼い頃から……物心付く前からずっと一緒で、何をするにしても二人で一人としてやって来たからこそ、これが当たり前の日常の始まり。

 

 

「そういうベタなコメントは要らないから、さっさと起きる……!」

 

「うぶぉ!?」

 

 

 年頃の男子がスヤスヤ眠る部屋に顔パスで入り込む一人の少女が、三時間は寝たいとほざいている少年の被る布団を無理矢理引き剥がし、ベッドから転げ落ちていく様を眺める。

 

 

「いててて……も、もっとソフトな起こし方をしてくれよ……?」

 

「アンタにお優しく起こすだなんて言葉は私の辞書にはないわね。

その生理現象をさっさと静めて着替えなさい」

 

 

 ぶつぶつと文句を言いながらも身体を起こした少年の下半身を差しながら、少女は恥ずかしげも無く生理現象についてを指摘する。

 

 

「最初の頃はわかりやすいくらい恥ずかしがってたのに……」

 

「何よ? 両手で顔でも覆いながら恥ずかしがれっての?」

 

「……いや、別に。でも負けた気分にはなるぜ」

 

 

 色々と萎えてしまった少年は、着替えたらさっさと降りてこいとだけ言って部屋から出ていってしまった――ずっと一緒だった少女に対して敗北感を朝から感じながらも言われた通り着替えて下へと降りる。

 

 そして自力で起きない事を母親に怒られながらその少女と共にご飯を食べ、今日も始まる学園生活のための登校を開始する。

 

 

「今日って1限目ってなんだっけ?」

 

「現国。

教科書はちゃんと忘れてないわよね? もし忘れてても見せないわよ?」

 

「心配するな。忘れ物を絶対にしない為に教科書やら参考書は皆学校の机に置いてあるから忘れることはありえないぜ」

 

 

 物心がついたら常にお互いがとなりに居た。

 幼稚園も、小学校も、中学校も……そして進学した高校もまた同じでクラスも同じ。

 それが当たり前で、普通で、当然で、不変。

 

 思春期に入り始めた辺りから、そんな二人の仲をからかう者は多かったが、二人はそんな声を気にせず何時でも一緒だった。

 生物が生きる為に呼吸を必要とする様に、二人にとってこの位置は呼吸をするとの同義なのだから。

 

 

「元浜と松田に借りたエロ本をそろそろ返さないとな……」

 

「あぁ、コスプレ物の奴?」

 

「おう、あまりにも勧めてくるから読んだけどなんか微妙でよ?」

 

 

 だから男女の差が互いに無い。

 平然と猥談もするし、なんならこの少女はそこ辺りをたまにからかうことすらある。

 

 

「媒体相手に右手を忙しなく動かしてるのって哀しくならないのかしら?」

 

「本人達に聞いてみろよ? 多分マジギレすんぞ」

 

「事実を言われてるからでしょ」

 

「そりゃそうだが、そんなドストレートに言われると落ち込むもんだぜ?」

 

 

 ドストレートな言動の少女を諌める少年に少女はクスクスと笑う。

 昔はもっと無垢で可愛らしかったのに、どうしてこうなったんだろう――と、原因が自分であった事を自覚してない少年はちょっとため息。

 

 並の女子よりも言動がドギツイし、クラスでも問題児レベルのスケベさを誇るクラスメート相手に圧倒すらできるのだから、清楚っぽい見た目が詐欺である。

 

 

「まあ、根っこは変わらないんだけど」

 

「は?」

 

「いや、なんでもない」

 

 

 それでも少年はずっと一緒だったこの少女が大好きだった。

 どれほど目が覚める程の美人や美少女を前にしても、少年はこの少女がとても大切で、とても大好きなのだ。

 

 

「あんまからかいすぎるなよ? 既にイロモノ女子扱いされてんだからよ」

 

「いーわよ別に。

あの学校って美少女だらけで、どーせ私は地味だし」

 

「そうかぁ? 俺からしたらお前だって負けてねーだろ。眼鏡外して髪をほどけば元浜と松田が―――――いや、やっぱその姿で居てくれ。

お前が誰かに口説かれてるのを見たらキレそうだ」

 

「アンタね……。

はぁ、言われなくてもそんな事にはならないわ。

アンタって私が居ないと本当にダメになるし」

 

「ははっ、そりゃ間違いないぜ。多分俺は死ぬまで『未完成』のままだ」

 

 

 これまでも、これからも。

 

 

 兵藤一誠

 

 備考

 スケベだけど

 美少女大好きだけど………それでもずっと一緒だった少女の方が大好きな少年。

 

 そして『自覚』している少年。

 

 

 

 

 物心がついた時から本当に一緒だった。

 親同士が仲良しだったからその延長線で常に一緒に遊んでいた記憶しかない。

 

 少女にとって一誠という少年は腐れ縁ではすまない程に知り尽くしている相手だった。

 

 

「おおっ! 見ろよイッセー! 朝からオカ研の人達が見れるぞ!」

 

「ツイてるぜ!」

 

「おー、そーだな」

 

 

 だから何を考えているのかも顔を見れば大体わかる。

 妙に顔のレベルの高いこの学園でも最上級の美少女達が集うとある部活の登校風景に多くの生徒達が興奮しながら眺めている中を、一誠は友人達に引っ張られる形で適当に相槌を打っているのを見た少女は、一誠が何を思っているのかを一瞬で看破し、そして苦笑いを浮かべていた。

 

 

(そこまで騒ぐ程なのか? 確かに美少女ではあるけど―――って顔してるわ)

 

 

 多くの生徒達がその者達に向けて出す歓声の輪に入れられ、適当に合わせている一誠の顔を見て、そんな事を実は心の中で思っている事を見抜いた少女は、微妙に世間一般の人達との美的感覚に対する差が出始めている事を感じていた。

 

 

「何時見ても、どこから見ても素晴らしき美少女っぷりだよホント!」

 

「あの輪に混ざれたら天国間違いなしだぜ!」

 

「でも気を使いそうで疲れそうじゃね?」

 

「わかってねーな! 寧ろ気疲れしてでも入りたいだろ!」

 

「寧ろ命令されたいよ」

 

「ふーん、そんなもんか?。

高嶺の花は届かないからこそ良いもんだと思うけどな俺は」

 

 

 一誠は昔からそうだ。

 確かに普通の連中と比べたらスケベだし、人並み以上に性欲だって持っている。

 だがどこかが普通の人達の持つだろう価値観とズレている。

 

 

「そうは思わねぇ?」

 

「まあ、エベレストの山の頂上に奇跡的に咲いた花を取るくらいならそこら辺に生えてる雑草で良いと思う心境はわからなくもないわね」

 

「だろ?」

 

 

 それはきっと自分のせいだと少女は、一誠の持つ価値観のズレの理由についてを思いながら、話を振ってきた一誠に対して同意しておく。

 

 

「男ならそこら辺の雑草より一輪の花だろが!」

 

「お前だってあんな美少女達とイチャコラしたいだろ!?」

 

「思うことはあるけど……変に気ィとか使いそうでと思うとなんだかな」

 

「カァー! 性癖は馬が合うのに、お前って奴はどうしてそうなんだ!?」

 

「こいつか!? このキャラ被りのせいか!?」

 

「アンタなんぞといっしょくたにされても困るのだけど? 需要ならアンタより私の方がまだあるでしょうし」

 

 

 一誠にとって最も近い異性は自分だという自負が少女にはある。

 そして少女は自らの性格に対して『曲者』である自覚もしている。

 

 だから意外と友人は少ないし、クラスメートとしての付き合いはあれど同性の親友は居ない。

 

 

「ふっ、確かに野郎の俺と比べたら多少はお前の方が世間的な需要はあるだろう。

しかしっ! 仮にもりオカ研の美少女達に眼鏡属性を加えたらお前に対する需要なぞ即座に消し飛ぶ!!」

 

「それは確かに言える」

 

「……? そうか? 俺はそうは思わないけどな」

 

「ふんっ! 気色悪いくらいコイツと仲の良いイッセーは身内贔屓なだけだ! 想像してみろ、あの学園二大お姉様達や、癒し系美少女に眼鏡属性がくわわった姿を!」

 

「…………………………。まあ確かに似合うかも」

 

「だろう!? それに比べてコイツはどうだ!? 最初から眼鏡属性だ! 0に何を掛けても0である様に、コイツにはこれ以上の属性が盛れん! つまりここで打ち止めなのだ!」

 

「……すっげーディスられてるわね私」

 

 

 偶々話す機会の多いこのエロ二人も友人というよりはクラスメートといった関係でしかない。

 結局、彼女にとって『友人』と呼べるのは、一誠だけなのだ。

 

 

「打ち止めっていうけど、藍華はそれで良いと思うけどな。

良いじゃん、俺は属性とかどうでもよく好きだぜ?」

 

『………………』

 

 

 ただ困るのが、思春期で多感な年代が集まる場で息をするようにからかうネタを無自覚に――いや、からかわれても関係ないとばかりに放り込んでしまうせいで今みたいに空気が凍りつく事が多いぐらいか。

 

 

「アンタのせいで変な空気なったわ」

 

「変な空気ってなんだよ? 普通の事を言っただけだろ?」

 

「そこら辺はまだ子供ね……。

中学の頃、そのせいで何度もからかわれたのを忘れたの?」

 

「覚えてるけど、そんなもんよくも知らないで勝手にわめき散らしてるだけの話だろ? 言わせておけば良いじゃん」

 

「……。それは概ね同意だけど、見なさいよ、居たたまれない顔じゃない皆が?」

 

「なにが? 好きだと思う奴の事を好きと言って悪いのか?」

 

「まあ……取り繕う方が私たちらしくもないわね」

 

 

 一部女子が小さくキャーキャー言ってるのも関係なしに平然と思った事を口にしている一誠にずっと一緒な少女――桐生藍華は苦笑いを浮かべながらも嫌な気分はしなかった。

 

 どんなにスケベで、どんなにバカで、どんなに空気を読まないことばかりだけど、こんな自分を何時でも受け止めてくれる一誠が彼女も大好きなのだから。

 

 今でこそコントロール可能だけど、かつて『無差別に誰かのなにかを奪ってしまう力』を持ってしまって悩んでいた時も変わらずに傍に居て一緒に克服してくれた時から藍華も一誠が大好きなのだ。

 

 

 桐生藍華

 

 備考

 物心がついてる前から今までずっと一緒である少年が大好きな少女。

 

そして、『何かを奪う力』を自覚する少女。

 

 

「高嶺の花に手を伸ばしたがる気持ちはわかるけど、実際手は届いたのか?」

 

「いや、無いが……」

 

「この先も無いって決まった訳じゃないし……」

 

「そりゃそうだな。

俺はそんなチャレンジ精神豊富って訳じゃないからアレだし、それに時間割いてるくらいなら藍華と遊んでた方が楽しいぜ」

 

「おだてても宿題の丸写しはさせないわよ?」

 

 

 備考2

 周りから見た二人―――

 

 

『気持ち悪いくらい仲が良すぎて距離感がワケわからない』

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 常に二人一組。

 気持ち悪いくらいにそれを自然に振る舞えてる二人は別に変な厄介事に巻き込まれる事もなくふっつーに生きていた。

 

 けれど運命はそれを許さないらしく、彼は――いや、彼と彼女は誘われていく。

 

 

「悪魔っすか」

 

「悪魔ってアレですか、頭に角とか生えてて背中に蝙蝠みたいな翼持ってて……」

 

 

 持つがゆえに……。

 

 

「眷属になって部活に入れ? あのすんません、その部活って月に二回程度顔出すだけじゃダメなんですか? いえ、部活入る暇があるなら藍華と家で遊んでた方が良いし……」

 

「すいません、コイツは価値観がずれてるので…」

 

 

 説得し、引き込んだ悪魔達はマイペース過ぎる二人に微妙に圧される。

 

 

「眠い……」

 

「まだ部活に慣れないせいねきっと。

ちょっと寝る?」

 

「うん……」

 

「ん、じゃあ良いわよ」

 

「ん……」

 

『…………』

 

 

 あまりに自然というか、当たり前の様に男女の垣根を越えてくるやり取り――言うならば独り者には悔しさすら覚えるやり取りを部室でされたり。

 

 

「アイカとイッセーは普段からそんな感じなの?」

 

「両親同士が友達で、物心がつく前から一緒に居ましたから……」

 

「アイカ先輩に膝枕されて凄い安心した顔で寝てます……」

 

「あ、寝相悪いからあんまり近づかない方が良いわよ塔城さん。

抱き枕にされる時もあるし」

 

「抱き枕……」

 

 

 お互いが自分の一部とすら言える程に近い二人。

 そして二人だけが持つ神器とは別物のなにか。

 

 

「今貴方の視力を奪った。そして次は貴方の体重を奪う」

 

「自分でコントロール可能になったとはいえ、マジになった藍華は凄いぜ?」

 

「筋力を奪った。脚力を奪った。魔力を奪った。神器の力を奪った。骨格を奪った」

 

 

 奪い取るという能力を持つ藍華と……。

 

 

「俺は神器も持っているけど、もっぱら専門は藍華寄りでね。

大丈夫だ……俺はどっちかと言えばまだマシさ。

意思を『必ず』実現させるだけの細やかなものだからな」

 

 

 己の意思を確実に実現させる能力。

 当たるという意思を込めて投げた石ころは必ず命中するといったもの。

 そしてその延長線として、己の宿す神器のドラゴンの提案で至ったひとつの技術。

 

 

「『回転』という概念を加え、ドライグの力で更に強く回転させる事で、どこに隠れていようが、時が止まろうがなんだろうが、次元を突き抜けて『必ず』当たる。

これが所謂『必殺技』なんだけど、これがまた発動条件がキツいんだぜ」

 

 

 だれかが後に口走る事になる『確殺の赤龍帝』。

 それが永遠に進化する力では無く、意思や行動を実現させる力に覚醒した彼の個性。

 

 

「はー……やっぱし藍華が一番しっくり来るし眠くなれる」

 

「……ね? 甘え出すと何時もこうなるんですよイッセーは。

だから寝てるコイツに近寄るのはオススメしませんよ、今の私みたいに無遠慮に胸に顔突っ込まれながら抱き締められたくないのならね」

 

『……………』

 

「誤解すんなよ~ 例え寝ててもお前以外にはこんな事はしねーぜー」

 

「はいはいわかったわかった。

わかったからあんまりぐりぐりしないでよ? ホント小さい頃から変わらないわ……ふふふっ」

 

 

 彼と彼女はそんな力を互いに持って、互いに研ぎ澄ませながら、これまでも、これからも………藍華を羨ましがり始める美少女達の入り込む隙も無く生きるのかもしれない。

 

 

 

………なんてね。

 




補足
何時もの無神臓ではありません。

元ネタは中の人的な意味で『絶対殺すマン』

まあ、絶対殺すマン発動条件はドライグさんの協力が必須なので、普段は意思を実現させるという使い方で桐生さんのスキルのアシストをしてますが……。

スキル名は決めてすらありません。


その2
桐生さんのスキルの元ネタは、柔らかくそして濡れているのそれです。

ただ、能力としては奪い取るに特化し過ぎてるのですが……


その3
設定としては親同士が仲良しだったので、物心がついてる前から一緒が当然過ぎるという感覚。

なんで基本的に互いの距離感がすごく凄い……。

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