色々なIF集   作:超人類DX

432 / 1033
元よりも色々のこじらせまくってたせいで、寧ろめぐみんが苦手すぎて避けてたゆんゆん

ゆえに……


出直し勇者(仮)

 異世界に転生してやっと自分の足で探し当てた友達を獲ることに成功したカズマは、自分ではコントロールの出来なかった(マイナス)の力を完全に物にする事にも成功する。

 

 そのスキルはあらゆる意思や行動を『始めさせない』というものであり、ソーナのマイナスに少し似ている。

 もっとも、ソーナと違って種族としての地力がまるでないバンピーなので、強くなった訳じゃないし、寧ろイッセーみたいに運に恵まれてないのでどこに当たっても『致命傷』になってしまうくらいにはひ弱なのだけど。

 

 

 そんなひ弱男ことカズマは、この異世界で生活にする為には働かなくてはならない。

 ましてやゆんゆんという親友を獲た今はダラダラやっている訳にもいかない。

 

 ダラけた日常は確かに送るけど、その基盤を蔑ろにする訳にはいかない故に、カズマはセンスが無さすぎて一度は登録を止めた方が良いとまでイッセー共々言われたギルドの簡単なお仕事を今日もこなすのである。

 

 

「すっげー、ゆんゆんって結構強いんだな」

 

「うーん、自信が無くなるねこりゃあ」

 

「そ、そんな事ありませんよ……! 私なんてまだまだ……。

寧ろソーナさんの魔力が凄まじいし……」

 

「私は種族柄的な意味もあるわ」

 

 

 もっとも、マイナス男二人に他人を引っ張って前を歩くだなんて甲斐性はあるわけも無く、寧ろマイナス少女二人のヒモみたいな感じになってる感はなきにしもあらずだったが。

 

 

「しかし運が無いよな。

木材アイテム探しをしてたら巨大なドラゴンに襲われるなんて」

 

「ゆんゆんとソーナが撃退してくれたから良かったものの、下手したら喰われて終わってたもんな」

 

「だ、大丈夫ですよ! カズマさんは私が絶対に守りますから!」

 

「雷系統の魔法をゆんゆんが得意としてくれていたおかげで、ある意味私の魔力とは相性が良かったわ」

 

「水流系だもんねセンパイは。それに食い殺されても大丈夫だぜ……。

そんな現実になったら、俺が全部否定してやるからさ!」

 

 

 とにかく結構な結束力が強く、地味に危険な生物に襲われまくる呪われパーティと陰で揶揄されながらも、きっちりと全員が生還するので、変な知名度だけは地味に上がっていったとか。

 

 不気味で、寒気がして、それでいて気持ちが悪いパーティとして。

 それは当然、いい加減にソーナが悪魔である事を忘れて転生させたアクア達の耳にも届いていた。

 

 特にゆんゆんの同郷の者であるめぐみんは、ゆんゆんが、比較的悪評というかネガティブなイメージの強いパーティに加入したと聞いた時は、友人と思っているが故にちょっと心配で何度かゆんゆんの様子を覗いた事もあった。

 

 

「お、新しい味だ」

 

「何だろう、鶏肉みたいだけど思いの外癖が無いな。

鶏肉と比べたら多少油っけ感が足りないけど、それはそれで結構美味いな」

 

「こ、こうして誰かとご飯が食べられる日が来るなんて……!」

 

「良かったわねゆんゆん、これからは寂しくないわ」

 

 

 ゆんゆんを仲間にした三人組については何度か顔を合わせた事があって、その時から妙な嫌悪感を感じていたが、ゆんゆん本人はとても楽しげに三人と一緒に居る。

 そんなゆんゆんを見てるとどういう訳だがモヤモヤする訳だけど、めぐみんにその意味が理解できない。

 

 

「しゅわしゅわよりフルーツジュースよなー」

 

「一口飲んだら視界が反転して吐き気が凄まじかったからな。

ありゃ毒物だぜ」

 

「お酒の類いでしょうねきっと。

ゆんゆんはまだ飲んではダメよ?」

 

「飲みたいとも思わなかったので大丈夫ですよ」

 

 

 食事場の端っこのテーブルで楽しげにしているゆんゆんを対角側の席にて偶然発見しためぐみんは、とても楽しげに三人と話をしながらご飯を食べてるゆんゆんを見付ける度に妙なもやもやが止まらない。

 

 

「? どうしたんだよめぐみん?」

 

「いや……別になんでもありません」

 

「食欲がないのかしら? ならこれも食べて良い――」

 

「ダメです、これは私の分ですから!」

 

 

 一体何故なのか……。

 アクアにとられかけたご飯を食べながら、めぐみんはカズマという男から雛鳥みたいな感じでご飯を食べさせて貰って照れてるゆんゆんを盗み見しながらモヤモヤを増幅させていくのであった。

 

 

 

 

 

 そんな同郷の者からモヤモヤされてるとは知らず、ここ最近の生活が本当に楽しくて仕方ないゆんゆんは、イッセーとソーナによる『英才教育(マイナス)』を施されていた。

 

 

「ゆんゆんさんは結構なネガティブ思考というか、かなりボッチ気質な訳だけど……」

 

「………」

 

「おい、そんなハッキリ言うなよ。可哀想だろ」

 

「別に貶しては無いわよ。

イッセーも昔そんな感じだったもの。

一人で人生ゲームしてたり、一人で野良猫親子と話をしてたり、一人焼き肉をしてたりね」

 

「まんま昔の俺とも被るじゃねーか……一人焼き肉はしないけどよ」

 

 

 凄まじく居心地が良く、しかも全員が大体故郷でボッチしていた自分と同じような事をしていたと吐露されたお陰でますます同類意識が強くなっていく。

 

 

「友達ができなさすぎて、悪魔を召喚して友達にしちゃおうかなって思ってました」

 

「へぇ?」

 

「あ、あれ? 引かないのですか?」

 

「いやだって、俺なんか悪魔そのものな女の子が大好きだし?」

 

「私はその悪魔そのものだし」

 

「俺は凄まじくその気持ちがわかるからな。最近まで見つからな過ぎて、ジャイアントトードに申し込もうとまで考えてたし」

 

 

 一人でチェスしてたとか、サボテンを友達に見立てて話し掛けていたりとか、拗らせすぎて悪魔を召喚してその悪魔と友達になってしまおうとか本気で考えたとかをカミングアウトしても、引かれるどころか思いきり同調されるので、居心地のよさが半端無いのだ。

 

 ましてやカズマに至っては、他の誰でもなく自分一人に対して『友達になってください』と言ってくれたのだ。

 最早ゆんゆんはカズマに懐ききっていた。

 

 

「でもよゆんゆん? あのちっさい子とは同郷の者なんだろ? ええっと……」

 

「めぐみんですか? 前にも言いましたけど、苦手なんです……。

学校の成績も上なのに何でか絡んでくるし、何時だったかお弁当を奪われた事もありましたので……」

 

「あぁ、そうなんだ……」

 

 

 紅魔族の族長の子で次期族長候補であるゆんゆんだが、今の状況を考えれば考える程に故郷に帰りたくすらなくなっている。

 そのめぐみんから自覚無きモヤモヤを向けられてるとは知らないが、とにかくゆんゆん的にめぐみんはとても苦手な存在なのだ。

 

 

「というより私の一族って何かがおかしいと言いますか……。

名前もそうですし、考え方に子供の頃からついていけないといいますか――寧ろ一族全体の常識がそれのせいで私だけが頭のおかしな奴だって思われてるといいますか……」

 

「そういやあのめぐみんって子だっけ? 結構面白い格好してたよな。

なんつーの? 『私は翼の折られた堕天使です』って変なポーズとかしそうな」

 

「はい……」

 

「無理に合わせるだけだと疲れるし、私達と居る時は気にしない事よ。

私達はありのままのアナタを受け入れて、そして決して否定しないわ」

 

「ソーナさん……!」

 

 

 ソーナもイッセーもいい人だし。

 ソーナに至っては純悪魔だと聞いて驚いたけど、他の人間に比べても自分にとってはとても良い人だった。

 なにより、カズマも含めてこれほどまでに何かしらの波長が合う者は居なかった。

 

 だからこそゆんゆんはイッセーとソーナの英才教育をどんどんとスポンジの様に吸収していくのだ。

 それが正しいのかどうかは別にしても、ゆんゆんはとても飲み込みが早い少女なのだ。

 

 

「良い……。なんか知らんけど良い」

 

「ホント良かったなカズマ?」

 

「あぁ、生まれて初めてだよ。

生きててよかったと思うのは」

 

 

 そしてカズマもまた急速にその負の精神を退化させていくのだ。

 

 

 

 

 

 御剣響夜は転生者だ。

 不慮の事故で死んだ後に、アクアという女神の手によって転生特典の魔剣を貰って異世界であるこの地に転生した転生者だ。

 

 容姿は端麗で、その性格にしても決して悪くはないのだが、違う視点から見てみると思い込みの強い独り善がりな面が少なからずあった。

 

 だからこそ自分の短き人生を異世界という場所でやり直しさせてくれたアクアに対しては、実は本人の性格がどうしようもない女神らしさ無しな性格だったとは知らなかったにせよ、崇拝に近いものを持っており、それはどこかの世界の生徒会長を崇拝している生徒会書記みたいなタイプだった。

 

 身体能力も高く、異世界ではソードマスターとして仲間にも恵まれ、順風満帆な生活を送っていた特別(スペシャル)レベルのミツルギ君だが、自分を転生させてくれたアクアとの再会が、彼の人生を転落させる切欠となった。

 

 それは女神としての力を失ったアクアが、その力を失った理由らしい自分と同じ転生者の青年に対してアクアの進退を巡って戦いを挑んだ事から転落は始まった。

 

 笑えないレベルでその青年にボコボコにされ、挙げ句アクアから貰った魔剣をへし折られたのだ。

 しかもいくら自分から挑んだとはいえ、かなり執拗にボコボコにされた。

 

 その時点でというか、最初からアクアには興味無さげに見られたし、他のパーティメンバーからもなんか腹立つと言われ、仲間の筈だった者には幻滅されてパーティを抜けられるという、全てを失うオチに落とされたのだ。

 

 そう――

 

 

『大丈夫かキミ? あーあ、顔がこんなぐちゃぐちゃにされちゃって……。

いくらキミから売った喧嘩とはいえ、彼は容赦しなさ過ぎだぜ』

 

『相手が悪すぎたなミツルギとやら。

あのパーティは変なのが多いが個々のレベルが微妙に高いらしいんだぜ?』

 

『あらら、腕まで折れてるわね』

 

 

 どこか違和感というか、生理的な寒気を覚える三人組との出会い以外は。

 

 

『よしよし、あの人達は向こうに行ったな? 今の内にそのキミの受けた傷全部を否定してあげる』

 

 

 意識までもが遠退いて来た時に耳に入った声。

 その意味はミツルギにはわからなかったが、仲間にも幻滅されて見捨てられ、喧嘩を吹っ掛けた相手は容赦無さすぎで下手したら死ぬかもしれない傷を負わされ、恐らく転生前も含めて初めての挫折に心がポッキリと折れたミツルギの耳に青年の声が届いたその瞬間、己の受けた傷の全てが嘘の様に一瞬で消え去った。

 

 

『これで良し。

あんまりにも可哀想だからついやっちゃったぜ』

 

『マイナスに同情なんてされたくはなかったでしょうけどね』

 

『これに懲りたらアイツ等に喧嘩を吹っ掛けるのは止めた方がいいぜ?』

 

 

 回復魔法なぞ、回復アイテムなぞ、とにかくそんなものなどがガラクタにすら感じられる程のなにかをされた結果、心はともかく身体は復活したミツルギは、とても濁った目をした二人の年の近そうな青年二人と、眼鏡を掛けた知的な美少女に対して唖然とするしかなかった。

 

 

『んじゃ、縁があったらまたいつかとか。』

 

 

 お礼も言いそびれてしまった。

 去っていく三人の背を暫く見えなくなるまで見つめ続けたミツルギがその後どうなったのかはわからない。

 ただひとつ言えることは……。

 

 

「み、みつけた! やっと見つけたぞキミ達!!」

 

「「「「?」」」」

 

 

 彼は一度それまで培ったもの全てを失ったけど、挫折を味わったけど、よりにもよってマイナスによって再起のチャンスを与えられた事によってそれまでの転生特典の武器に頼らぬ一からの出直しによって再起したのだ。

 

 そして再起と共に自分を助けてくれたあの三人組を――あまり良い噂は聞かないけど、恩人である三人組を探した結果、ミツルギはやっとこさ発見する。

 三人組から四人組になってる――誰も彼も何も無い目をした四人組を。

 

 

「あれ? キミ確か前に女神さん所の仲間にボコボコにやられてた人だよね? 確か名前は――」

 

「御剣だ、御剣響夜。

その節は本当に世話になった。お礼も言えなくて……」

 

 

 ギルドの食堂の一番隅っこで食事をしていたイッセー、ソーナ、カズマ、ゆんゆんの四人を見つけて喜び混じりにあの時言いそびれたお礼を改めて頭を下げながらするミツルギ。

 その時していた勇者スタイルではなく、今のカズマやイッセーみたいな地味軽装スタイルなのは、彼の一から出直す気持ちの顕れなのか。

 

 

「取り敢えず座ったら?」

 

「え、良いのかい?」

 

「これから皆で飯食うだけだからな。あぁ、そんな事をするとはまさか思ってないだろうけど一応言っとくが、座るなら俺達男側な」

 

「勿論だ。では失礼する」

 

 

 何気に二人からソーナとゆんゆん側の席に座るなよと釘を刺されてることに気付かず、イッセーとカズマ側の席に座るミツルギは早速あの時の礼をもう一度言う。

 

 

「二度目になるけど、あの時は本当にありがとう。

キミ達が助けてくれなかったら今頃僕はどうなっていたか……」

 

「それは別に気にしなくて良いというか、キミも中々律儀だね? わざわざ探してたのか?」

 

「当たり前だろう。

礼も言えなかったし、恩人なのだから」

 

 

 と、大真面目に言うミツルギは、その言葉に四人がちょっとビックリした顔をしているのに気付く。

 

 

「側では無いにしても結構変わってるなキミ」

 

「普通俺達に礼なんて言いたいとも思わないだろ」

 

「それにこっち側でも無いですしね貴方は」

 

「こっち側?」

 

 

 何故礼を言うことに対してそんなに驚いているのかかがイマイチわからないミツルギ。

 彼は知らないが、そもそも助けたとしても普通の感覚を持つ者ならまず助けられた事自体にも嫌悪感を示すし、二度と会いたくもないと思う――――というよりは思われてきたのがこの三人――特にイッセーとカズマだ。

 

 だからこそミツルギのこの行為自体がかなり特殊であり、また疑問なのだ。

 今こうしてる時点で嫌悪感はないのかと。

 

 

「普通なら俺達に二度と近寄ろうなんて思わない筈なんだけどな」

 

「は? 何故だ? 少なくとも僕は確かにちょっとキミ達に変わったなにかを感じはするが、嫌悪なんてとんでもない。

恩人相手にそんな事を思える程僕は腐ってるつもりはないぞ」

 

「……………わかったわイッセー、彼はきっと主人公気質なのよ。

アザゼルに聞いた事があったじゃない。稀にそんな気質を持ってる者が居るって」

 

「あぁ、そういう……」

 

「?」

 

 

 ミツルギから見てもちょっと息を飲むほどに美少女な眼鏡の少女の言葉にイッセーと呼ばれた方が納得している。

 一体なんの話なのかはミツルギにはわからなかったが、自分に対して悪いイメージは無いらしい。

 

 

「何の話だかさっぱりだが、とにかくありがとう。

それでなんだが……えっと、もしキミ達さえ良かったら僕をキミ達のパーティに加えてくれないか?」

 

 

 ならば言おう。

 再起をする決意をした時から思っていた事を。

 ミツルギが再びテーブルにデコをぶつける勢いで頭を下げながらなんとパーティ加入がしたいと申し出た。

 

 これにはコップに入った水を飲もうとしたイッセーも思わず吹き出しそうになる。

 

 

「は、はぁ? キミは何を言ってるんだ? 正気か?」

 

「至って正常だ。

アレから自分なりに考えた結果、魔剣に頼りすぎてた事や自分の傲慢さに気付き、一から出直そうと思ってな。

ちょうど仲間達にも幻滅されて離れられて身軽だし、キミ達恩人の為に今度は頑張ろうかなと……」

 

「いやお前よく考えろよ? 俺達に加わっても良いことなんてひとつも無いぞ? そもそも俺達は魔王討伐なんてこれっぽっちも考えてないし、なんならそんな事は他の誰かに任せてるスタンスなんだぜ?」

 

「それならそれでも構わない。

僕はキミ達に恩返しがしたいだけなんだからな」

 

「……。ゆんゆん、めぐみんって子はこんな感じ?」

 

「ちょ、ちょっと違うけど、苦手なタイプかも……」

 

 

 マジな顔をして入りたいと頭を下げるミツルギに四人はちょっと困った。

 てのも、こんな画に描いたような主人公気質はゆんゆんと同じように三人も苦手なのだ。

 しかもましてや、過負荷じゃない者にこんな好意的な事を言われ慣れてもないので微妙に対処が難しかった。

 

 

「お願いだ! 女神様の所の男に負けた以上は女神様の事はすっぱり忘れる! ………そもそもご本人もそれを望んでるようだったしな。

だが負けっぱなしというのは悔しいんだ! だからキミ達のもとで勉強させてくれ!」

 

「寧ろ退化一直線なんだけど」

 

「マジで止めた方が良いって。意地悪とかじゃなく本当に」

 

 

 ムズ痒い。なんか背中がゾワゾワしてたまらない。

 決して悪い人間ではないのはなんとなくわかるし、カズマに至ってはアクア達なんかよりよっぽど好感の持てるとすら思っているのだが、こんな事を言われるのは慣れてなかったので凄くなんともいえない気分にしかならない。

 

 

「お願いだ! 雑用でもなんでもするっ!」

 

「ど、どーするよセンパイ? マジで言ってるよ彼?」

 

「割りと困ったわね。私達ってこういう王道に弱いのに……」

 

「ゆんゆんはどうだ?」

 

「め、めぐみんよりは苦手じゃないですけど……ちょっと強引過ぎな人は…」

 

 

 何度も頭を下げるミツルギに、四人はとても困るのであった。

 

 

終わり

 

 

 オマケ

 

 

 

 やっとできた友達。

 しかも真っ直ぐに友達になってくださいと言ってくれた。

 

 ゆんゆんはとてもカズマが――というか、元からある素養のせいもあって惚れっぽさもあるせいか、カズマに対する好感度が日増しに倍付けされていく。

 

 

「すげー……!

今まで虚しさしかなかったのに、友達と一緒というだけで街をふらつくだけがこんなに楽しいなんて……!」

 

「カズマさんにそんな事を言って貰えるなんて嬉しい……」

 

 

 初めての友達は年上の男の人で、ゆんゆんとてそこまで子供ではない。

 色々な他愛のない所を二人でフラフラしてるだけがとても楽しくて、ドキドキして……。

 

 

「淫魔?」

 

「そうそう、お兄さん初めてでしょ? 今ならサービスしちゃうわよ?」

 

「友達と遊んでる方が楽しいので興味ねーっす。行こうぜゆんゆん」

 

 

 決して裏切らない事が幸せで。

 

 

「男連中に人気ある店ってなんかで聞いたことあったけど、そういう事だったのか。

手広いんだなこの世界も。まあ、俺には関係ないがな」

 

「あ、あの……い、所謂エッチなお店ですよね……?」

 

「あー……そういう事になるのか? 恥ずかしいなら言わなくても良いからな?」

 

「は、はい……。あ、あのその……カズマさんはそういう事に興味があったり……」

 

「あるぜ?

てかゆんゆんも見たことあるだろうが、イッセーとソーナを見てると羨ましいと思うぜ? 俺もああなりてーよ……」

 

 

「そ、それって私と……ですか……?」

 

「へ? ……………あ、いや、そんなつもりで言った訳じゃなくて。

わ、悪い、気分悪い事言っちゃったな俺……」

 

 

 とても大好き。

 慌てて謝ったカズマが、気まずそうに前を歩き出すのを、ゆんゆんはそれ以上言えなかったが、カズマの服の袖を掴みながら歩いてる最中ずっと、イッセーとソーナみたいなやり取りを自分とカズマに当てはめて想像しまくってちょっとニヤニヤしていたとか。

 

 

「14の子に何をほざいてるんだ俺は……死ねば良いのに……」

 

「……ふふっ」

 

 

終わり




補足
ゆんゆんがなんか楽しそうなのを見てるとモヤモヤが止まんなくなるらしい。

何故かは知らんけど。


その2
やっと出来たお友達――特にカズマくんに懐きまくりゆんゆん。
ソーたんと同じく『勝てるマイナス』になれるかはまだわからん。


その3
出直した結果、なんか色々と昇華したミツルギ。
格好も勇者スタイルじゃなく、冒険者スタイルになってて剣も安いもので頑張ってるらしい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。