色々なIF集   作:超人類DX

442 / 1033
続き。

まあ、される訳もない


ストレス軽減理由

 かつて兵藤一誠には地獄から救ってくれた親友が二人居た。

 悪魔に堕とされた自分を解放してくれた同じものを持った親友……。

 

 それはとてもかけがえのないものであり、大きな恩を返す為に彼は復活させた己の気質を爆発的に高め続けた。

 

 だからこそ彼は人でありながら人では決して到達出来ない領域へと踏み込めたのかもしれない。

 白い猫が彼への狂気の想いによって踏み込んで来たとしても、二人が居るなら負ける気なんてまるでなかった。

 

 しかしその幸福なる時間は長く持たなかった。

 時の経過という神にすら平等に配布される概念によって二人の親友を失事になった彼はその孤独により方向性をねじ曲げてしまったのだ。

 

 それが破壊の龍帝と恐れられたルーツであり、全ての非人間族を絶滅させるに至った狂気。

 

 そして、白い猫を完全に殺す事だけが生きる動機。

 

 それは青野月音として生まれ変わっても変わらない意思。

 

 神を殺しても、何を殺しても、白い猫を殺さなければ前にすら進めない。

 進化の異常性が停滞してしまう最大の壁。

 

 果たして彼はその異常性を再び燃え上がらせる事ができるのか。

 風変わりな妖怪や魔女達との交流はその切っ掛けになりえるのか……。

 

 

 それはまだわからない。

 

 

 

 

 

 

 白雪みぞれ。

 彼女が初めて青野月音を直接見た時に感じたものは『強い殺意と憎悪』と『どうしようも無い孤独』だった。

 

 どんな妖怪なのかはまだ分からないが、彼はその強すぎる力を持つが故に孤独なのだろうと彼女はその『心の中へと入ることを拒絶する目』を見た時に思ったのだ。

 

 担任の猫目静はそんな月音についてをしょっちゅう楽しげにベラベラ語るが、あの担任はまるでわかってなかったと思った。

 

 新聞部に入って他の者達と馴れ合ってると思った時は少しだけ『失望』したかもしれないけど、彼がどんな立ち位置なのかを見ただけで彼女はその失望を取り消したのは云うまでもないだろう。

 

 何故なら彼はどんなに周りと馴れ合ってる様に見えても、馴れ合ってるフリにしか見えなかったのだから。

 

 

「チッ、なにが公安委員の仕事を少しはしろだ……。あの学園長め」

 

「……………」

 

 

 だからみぞれは思う。

 更に孤独にしてしまったら彼はどうなるのだろうかと……。

 あの刺々とした雰囲気は実に心地よいし、一見すれば優男に見えるあの容姿とのギャップは中々に刺激的だ。

 

 その為には学園でも噂になってる赤夜萌香は邪魔でしかない。

 クラス委員に萌香を推薦したのは物理的な意味で月音から引き剥がしてやろうという意味もあった。

 

 

「っ……アイツ例の公安潰しの青野って奴じゃん」

 

「すげー殺気立ちながら歩いてるじゃん」

 

「下手に刺激しないほうが良いね。平和に平和に……」

 

 

 その目論みは少し外れたが、月音は今公安を潰してしまった代わりに己が公安にさせられてしまっていて、その仕事の見回りをしているお陰で今一人だった。

 一人の時の月音は周りの生徒達から完全に怯えられていて、とても孤独感に溢れている。

 

 後ろからコソッと尾行するみぞれにしてみればとても刺激的な雰囲気があってとても良いと思う。

 人間の女好きという変わった趣味があるもののだ。

 

 

「やぁ」

 

 

 赤夜萌香が先に新聞部の部室へと行った今がチャンスだとみぞれは怪しく輝く赤い眼をした月音に小走りで接近して声を掛けた。

 

 

「………………………」

 

「あれ……?」

 

 

 しかし月音からの反応は無く、それどころか振り向く事も無い。

 ズンズンと殺気立ちながら歩いていってしまうばかりであり、みぞれはもう一度……今度は前に回り込んでから声を掛けてみた。

 

 

「ねぇ」

 

「あ゛?」

 

 

 前に回り込んでみたみぞれは息を飲んだ。

 何故なら月音の目は血の様に紅く輝き、思っていた以上に殺気立っていたのだから。

 

 

「あ……朝振りだね」

 

 

 思わず声がどもってしまったみぞれ。

 噂によれば、新聞部の誰かが割りと彼のストッパーになっている様だが、ひょっとしたらその通りだったのかもしれない程、今の月音は殺意丸出しだった。

 

 

(コイツは確か……)

 

『朝見た小娘だな。

お前の趣味の服装にしてみたと言ってたな』

 

 

 そんなみぞれのちょっとガクブルしてる姿に、月音はといえばそこまで実は殺気立ってた訳ではなく、寧ろまだマシな状態だったりするし、己の中に宿っているドライグとトークしながら適当に見回ってたに過ぎないのだ。

 まあ、確かに学園長に白音の情報を盾に小言を言われてイラッとしていたのは事実だし、少しばかり感情が昂って目が紅く変色はしていたのだが。

 

 

「実は同じクラスだったキミか。何の用?」

 

「え……あ、うん」

 

 

 萌香や紫達とのやり取りや瑠妃やお館様との交流によってかつての頃なら考えられない対応だったりする月音に、当初イライラしていたものだと思っていたみぞれはちょっと意外に思ってしまう。

 

 

「ちょっとキミに見て貰いたいものがあるんだけど……」

 

「? 何を? 服装?」

 

「違う。ちょっと一緒に来て欲しいのだけど……」

 

 

 もしかして自分も意外とストッパーになれるのか!? なんて勘違いするみぞれが、内部的にテンションを上昇させながら、見て貰いたいものがあると切り出すとキョロキョロと周りを見渡して誰も居ないことを確認してから月音の手を取る。

 

 

(…………)

 

『何だこの小娘……?』

 

 

 完全に警戒されてるのだが、みぞれは取り敢えず月音を連れ出すことに成功した。

 そしてやって来たのは意外と敷地が広い学園内に実はひっそりと存在する川みたいな湖の畔だった。

 

 

「で、なに?」

 

「今回の記事も読んだんだ」

 

 

 割りとみぞれの格好が項を奏しているのか、ホイホイとついてきてくれた月音にちょっと気分を良くしているみぞれは、服の中から一冊のノートを取り出す。

 

 

「キミが連載を始めた時からキミの書いた記事を切り取ってたんだ」

 

「ふーん」

 

『人間の女の事か、非人間族を貶しまくってる記事をか? 言っちゃ悪いがこの小娘、おかしいんじゃないか?』

 

 

 みぞれには聞こえないドライグ声が、軽く引いてるものだ。

 みぞれが見せてくるノートを受け取った月音は開いて中身を見てみると、そこには確かに月音が書いたディスり記事や人間女性を褒め称えまくる――いや、よーく読むと月音が好みとする女性の像や服装についての記事が貼られてあって、周辺が真っ黒で最早解読不能レベルの感想が書いてある。

 

 

『うわっ……電波って奴じゃないのかこの小娘は?』

 

(白音のクソガキに比べたら別にな……)

 

『あ、あぁ……お前もとんだ耐性を持ってしまって……』

 

 

 普通なら寒気でもしそうなみぞれのノートの中身だが、生憎それ以上に頭のイカれていた白猫に苦い思いをさせられてきた月音にしてみればジャブにしかならないものだったので、平然とページを進めて全部読む。

 

 

「キミが割りと本当に俺の記事のファンなのはわかったが、これが見せたかったものなのか?」

 

「………え、何も思わないのか? その、他の奴だと何時も怯えるのに……」

 

「別に。もっとヤバイ奴の所業を知ってるからな」

 

 

 肉片を食いちぎって来たり。

 殴っても寧ろ悦んだり……そんな相手のインパクトさで慣れてしまってる月音は今更感丸だしな反応でノートを返すと、暫し驚いていたみぞれがとても嬉しそうに笑う。

 

 

「ふ、ふふ、思ってた以上にキミは良い。最高だよ」

 

「あ、そ……。

で、他に用は? 無いなら戻らせて貰うぞ」

 

 

「待ってくれ。

折角だしもっとキミの事が知りたいんだ私は……」

 

「俺は別にキミに興味なんて無いな」

 

「そう言わないでお願いだ。

私は一学期は不登校だったから友達が居ないんだ……」

 

 

 なるほど、だから見た覚えが無かったのか。

 みぞれが不登校だったと聞いて納得した月音だが、別にだからといって話に付き合ってやる気にはなれない。

 

 

『友と呼べる者はイリナしか居なくてな。

だから私はお前と一緒になれてとても幸せだぞイッセー』

 

 

 だが、かつて兵藤一誠だった時の親友の一人が笑顔で放った言葉がフラッシュバックする。

 

 

「………………チッ」

 

 

 何故あの子の……ゼノヴィアと呼ばれた少女の事を思い出してしまうのか月音にはわからなかったし考えたくは無かったが、このみぞれという別に興味も関心も無い少女に重ねてしまった。

 

 

「はぁ……少しだけなら聞き手ぐらいにはなってやるよ」

 

『イッセー……お前』

 

 

 気にくわないが、仕方ないと月音はその場に腰を下ろす。

 その様子にドライグが少し驚いた声を出しているが、これは下手に刺激したら面倒事になるだけだと自分に言い聞かせる。

 

 

「…………あはっ!」

 

 

 みぞれがとても嬉しそうにはにかんでいようが、関係ない……そんな事を言い聞かせて。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、所変わって此方は新聞部の部室。

 公安の仕事があるからと月音が嫌々見回りをしに行った後のこの部室では、新しい新聞記事のネタの発掘をしようと噂話の提示会が行われていた。

 

 

「白雪みぞれがストーカー?」

 

「今朝月音さんに近づいてきた女子の事が気になって調べてみたのですが、どうやら1学期始めにも、ある教師に想いを寄せた女子がそれを拒んだ教師を氷漬けにする事件があったらしいです」

 

「で、白雪さんがそのストーカーかもしれないって事?」

 

「はい」

 

 

 内容はストーカー騒動についてであり、紫の調べあげたネタは白雪みぞれがストーカー騒動の犯人なのかもしれないという話だった。

 

 

「ふーん、でも仮にそうだったとしても青野が氷付けにされるかしら? 仮にされてもさっさと割って出てきそうだけど」

 

「それは否定できないですぅ」

 

「で、でもさ、その話が本当なら逆に心配よ。

月音ってその……あまり関わりの無い相手からのそういう行為に対しては容赦が無いし」

 

「確かに、公安委員会の人達みたいにボコボコに……」

 

 

 部長の銀影は留守で、気付けば話がストーカー疑惑のある白雪みぞれが逆に命の危険ではないかという心配事に変わっていた。

 

 

『ふん、そもそも相手にすらしないだろ月音は』

 

「確かにねー。

アイツっていまいち価値観がわからないし」

 

「でも月音さんはいつも優しいですよ?」

 

「それは紫ちゃんだからよ。

アイツってロリコン疑惑あるし」

 

『逆にお前みたいなうるさい女は嫌いだがな』

 

「なんですってー!!?」

 

「お、落ち着いてよ胡夢ちゃん……」

 

 

 サキュバス的な意味でのプライドをロザリオの中から声を出していた裏萌香に傷つけられた胡夢が悔しそうに騒ぐ。

 一部裏萌香にブーメランが刺さってる気がしないでもないと表萌香は思ったが口には出さなかった。

 

 だがそんな三人の予想とは逆に、月音は湖でみぞれと――裏萌香と紫に見られてたら大騒ぎされてるだろ状況にあった。

 

 

「ふーん、振られた腹いせに氷漬けにね。

キミも中々クレイジーだね」

 

「今思えば悪いことしたと思ってる……」

 

 

 何故か人生相談になっており、内容は一学期始めに惚れた教師に断られてつい氷漬けにしてしまったみたいな話だった。

 本人はあの時は感情の制御ができなくなったとシュンと反省している様だ。

 

 

「不思議だな。キミを見てると落ち着いて話ができてしまう」

 

「そりゃあ良かったね……」

 

『小娘の精神が少し浄化されているだと……?』

 

 

 月音本人ははいはいと適当に聞いてるだけのつもりなのだが、みぞれは妙にその小気味の良い相槌が心地よくて、ついつい色々と打ち明けていた。

 なんというか、凄く落ち着くのだ。殺意にまみれたオーラを撒き散らす姿も刺激的だが、このマイナスイオンを天然で放ってる気がする姿もとても良かったのだ。

 

 だからこそみぞれはますます思うのだ……。

 

 

「赤夜萌香や新聞部の連中が羨ましいよ……」

 

 

 欲しい……彼をと。

 

 

「キミがずっと居てくれたら良いのに……」

 

「俺は便利な道具じゃねーぞ」

 

「勿論そんな意味じゃないさ。

………キミは結構鈍いな」

 

 

 なんとかならないものか……そんな事を思う程にちょっと浄化され始めていたみぞれの精神性が再び戻り出す。

 

 

「そろそろ良いだろ。部活に行かないと五月蝿いのが小言言うし」

 

「……………………」

 

 

 やっぱり邪魔だなあの連中は。

 みぞれは月音の一言で一気に萌香達が邪魔に思い、行動する決意を固めた。

 

 

「待ってくれ。もう少しだけ……こんな機会は私にとってそうそう無いんだ。

だからお願い……!」

 

「…………」

 

『この世界の妖怪は的確にお前の弱い部分を突いてくる言葉ばかりだな』

 

 

 氷漬けは絶対に無理だし、きっとそれをしたら嫌われてしまう。

 月音に対してだけは嫌に勘が冴え渡っているみぞれは涙を流して上目遣いの仕種をしながらなんとか月音を引き留めながら『行動』を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

「………。遅くない?」

 

「確かに遅いです」

 

「何時もならもう来てる筈なのに……」

 

 

 所戻って新聞部の部室では、流石に月音が来ない事を不審に思い始めた三人娘。

 すると新聞部の部室の扉が開かれ、やって来たのはあの白雪みぞれだった。

 

 

「月音なら此処には来ないよ」

 

「し、白雪さん……?」

 

「何故貴女が月音が来ないって言えるのですか?」

 

 

 月音だと思ってた三人は思わぬ客にちょっと驚きつつも、何故か月音の動向を知ってる様な物言いのみぞれに訝しげな顔をする。

 

 

「何故知っているかを答える前に聞いて良いかな? …………お前とお前――――あぁ、お前は違うか? 赤夜萌香と仙童紫だったっけ? お前達は月音の何だ?」

 

「「………」」

 

「え、今私軽くハブられた?」

 

 

 その一言に萌香と紫の目付きが変質する中、軽くハブられた胡夢だけ微妙な顔をする。

 

 

「月音の傍に居るととても落ち着く。何故だかわからないけど、とても正直になれる。

お前達も同じ事を思ったんだろう?」

 

「「……」」

 

「わー……また修羅場かしら……」

 

 

 いやーな予感がしてきた胡夢はそそくさと部室の隅に避難する。

 以前魔女の件で凄まじい修羅場を前にしたこともあるせいか、今みぞれと二人の放つオーラがまさにその前兆だと察知したのだ。

 

 そして案の定そのみぞれの一言で萌香の首元にあったロザリオがひとりでに外れて裏萌香と入れ替わる。

 

 

「それがどうした? 貴様が月音に何を思って付きまとってるかは知らないが、アイツはお前の相手などしない筈だが」

 

「そうです。

熱心なファンらしいですが」

 

「そうかな? じゃあ今の私が分身で、本体の私は今月音と二人きりでとても幸せな事をしていると言ったら?」

 

「ありえないな。

アイツは私を前にしてもバカにする感じで笑うのだ、お前みたいなどこの馬の骨とも知らん奴なんか関心すら示さん」

 

「その通り。

月音さんの優しい匂いだって知らないでしょう? 私は知ってますけどー?」

 

 

 

「あぁ、アイツって何でこうなのよ……!」

 

 

 ヤバイ空気になってるのを感じた胡夢が、肝心な時には何時も居ない月音に毒づく。

 自分の魅力すらも鼻で笑う見る目が末期的に死んでる男の癖にどうしてこう癖があるのには好かれるのか。

 巻き込まれる身にもなれと胡夢はごもっともな文句を居ない月音に対して言っていると……。

 

 

「それに月音の居場所ならすぐにわかる。

例えばこうして窓を開ければ……」

 

「匂いでわかりますぅ!」

 

 

 犬かアンタ等は!? 二人してドヤ顔をしながら窓を開けて息を吸い込む萌香と紫にドン引きする胡夢だが……。

 

 

「わかった、南西だな」

 

「確か湖がある場所ですね。

何でそんな所に居るのかはあとで聞くことにしても、まずは迎えに行かないといけませんね」

 

「………チッ、やるね」

 

「つ、ついていけないわ……」

 

 

 意味不明のレベルで争う二人にますます引く胡夢。

 湖といったら結構この場から離れてるのに、マジで匂いで特定できてる二人にも引くし、特定されて軽く悔しがってるみぞれにも引くしかない。

 

 

「お前達が中々やるのはわかったが、行かせると思う?」

 

「逆に貴様ごときが私の進軍の妨げになれるとでも? ふふふ、身のほどを知れ」

 

「夏休みの間にパワーアップした魔法を見せてやるです」

 

 

「ちょ、ちょっと! やるなら外でやってくれない!?」

 

 

 突っ込み役が自分しか居ない事がこんな辛いとは思わなかったと、三人が臨戦態勢に入るのを慌てて止めながら胡夢は思うのであったとか。

 

 

 そして―――

 

 

「ちょうど良かった。問題児二人をこんな形で始末でき――――――ぶべらっ!?」

 

「チッ、不穏分子の調査だなんだと抜かしてたが、あの狸が」

 

「こ、小壺先生……?」

 

「き、貴様……! 教師に向かってこんな真似をしてただで済むと思って――うげぇっ!?」

 

「文句があるなら御子神典明に言え。

女子生徒を騙して裏でたらし込んできたアンタはめでたく解雇だとよ」

 

「え……それってどういう……?」

 

「見ての通りだよ。

このタコ妖怪はキミが思ってた感じでは無かったらしい。触手プレイ好きの変態だった訳だ」

 

「そ、そんな馬鹿な!? 私が解雇な訳――っ!?」

 

 

 月音は公安の仕事をしていた。

 

 

「やっぱ妖怪なんてこんなもんだよな? ちょっと安心したよ…………死 ね」

 

 

 左腕に赤き龍帝の籠手を纏い。

 全身から赤いオーラを放出させ、やがてそのオーラの色は大空の様に青く輝く。

 

 

「小出ししないと高まり続けてやばいんだ……ドラゴン……波ァァァッ!!」

 

 

 そして両手を前に出し、巨大な青い光線で全てを破壊する。

 木々を消し飛ばし、湖の水飛沫を上げながらこの世から消滅したタコ教師は恐らくきっと楽に死ねたのかもしれない。

 

 

「ンッン~♪ 実に清々しい気分だ! なんつーの? 歌でもひとつ歌いたくなるくらいに良い気分だぜ!」

 

『オーバーキルにも程があるんじゃないか? 見ろ、小娘が唖然としている』

 

 

 やはり自分はこうでなければな……と、久々にパワーを解放できて実にご機嫌な月音にみぞれは聞いてた以上に異質なパワーを見せられて言葉が出なかった模様。

 そのパワーは星全体を震わせるものであり、当然校舎に居た萌香達にも伝わっている訳で――

 

 

「なんてことだ! 月音が力を解放したのに近くに居れなかった! 遊べたかもしれなかったのに!」

 

 

 裏萌香が悔しがるのだった。

 

 

 




補足

泣き虫じゃない方のゼノちゃんを思い出してしまってちょっと丸かったけど、実の所処理の為に半分利用してたらしい。

と、本人は言い張りたい。

その2
くぎゅうぅ! とでも言っとけ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。