色々なIF集   作:超人類DX

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ワタクシの特性として、どうしてもソーナさんが優遇されてしまう呪いが……。


ソーたんを崇め隊(冗談)

 多くの悪魔達は今だからこそ思う。

 

 バアルの者達はよく生きていたな……と。

 

 

 基本的に他人に対しては淡々としているギルバが激情と共に凄まじく暴れた騒動。

 

 バアル家そのものが危うくこの世から消え去っていたかもしれない程に大暴れたしたあの騒動は、当初多くの悪魔達を震撼させた訳だが、現在になってみれば逆にバアルの連中が消されなかったのが奇跡だったとすら思えてならない。

 

 何せそれ程までに彼は信じられないくらい暴れたのだから。

 

 それからだろう……彼が魔人と例えられる様になったのは……。

 

 

 

 

 

 

 

 実の所、かなり短気であるギルバが、若者達にその差を叩き込んでしまうというプチ騒動はあったものの、概ね会合は上手く纏まった。

 

 ある上層部悪魔は、久しく感じなかったギルバの気性の荒さと突然変異種としか思えぬ禍々しい力を感じて少し懐かしく思ったりする中、気を取り直して若者達の夢に耳を傾けていたとか。

 

 

「夢という言葉で終わらせるつもりはございませんが、野望ならあります。

私はこの冥界に地位の差に拘わらず誰もが学べる学校を設立したいと思っています。

勿論、今の私個人の微々たる力では机上の論でしかありません。ですからまずは私の力を認めて頂く様努力します。レーティングゲームに勝つというのはあくまで私の野望の上での手段です」

 

 

 そんな中、最先端の域に到達するセラフォルーの妹のソーナが夢という名の野望を語る。

 その野望は今の社会構造では難しく、本人の言った通り机上の論でしかない。

 

 しかし上層部達の誰も彼女を笑いはしない。

 

 

「冥界の教育問題は我々の間にも議題となる。

今現在、レーティングゲームを学ぶ為の施設は存在するが、それは悪魔としての地位の高い者の血縁である事で通えるものであって、一般者には手の届かぬもの。

新たに設立するにも中々難しいものだが、それは承知か?」

 

「勿論です。

だからこそ私は夢ではなく野望としていますわ」

 

「野望か……。

今はまだ子供の戯言だと自覚している貴殿を笑う気はない。

我々は人の身で到達して見せた男を知っているからな……」

 

「………」

 

 

 上層部達の視線が、席に戻ったギルバへと注がれる。

 最初の転生悪魔。セラフォルー・シトリーの将軍。力を示し、シャルロット・バアルに自由をもたらした問題児にて悪魔の英雄。

 

 

「飢えを持つ。それもただ飢えず、気高く飢える。

尊敬する方達の背を見てきた私のモットーですから」

 

 

 そんな例を知っているからこそ、悪魔達はソーナに拍手を送った。

 

 

「素晴らしい。ならばその野望、見届けさせて頂くぞソーナ・シトリー?」

 

「はっ……」

 

 

 少しブラコンっぽい所があるソーナだが、決してそれだけではなく、姉と義兄の背を見てきたからこそ抱いた夢に向かう意思は誰よりも強いのかもしれない。

 

 

「……………」

 

「……………」

 

 

 

 夢を語った瞬間、現実を叩きつけられたり、邪魔に思っていた相手が凶悪なまでに強大で挫折しかけていたりしている者が居るのかもしれないが。

 

 

 

 こうして会合は終わりを迎える。

 その際、サーゼクスからの提案により今回の会合に出席した若手達による総当たりのレーティングゲームが行われる事になった訳だが、それを聞いたソーナは野望の為のキャリアを詰めるとやる気満々だったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、会合も終わって解散――の前に、悪魔の未来を願った軽い会食が執り行われる事になった。

 主役は無論若手達であるのだが、その若手の一人であり、会合前にひと悶着あった末にサイラオーグに殴られたゼファードル・グラシャラボラスは、こんなチャンスは二度と回らないかもしれないという事で、さっさと帰ろうとしていた所をサーゼクス達に引き留められていたギルバへと近づいた。

 

 

「は、初めまして……!」

 

「? ゼファードル君じゃあないか。

ひょっとしてギルバに用かい?」

 

「は、はい! 是非お話をと思いまして……!」

 

 

 その見た目通りに問題児であるゼファードルだが、純血でないどころか、元は人間だったと言われてるギルバの強さは純血云々ではなく憧れていた。

 それこそ幼い頃に放映された『ギルバという魔人』というドキュメンタリー番組を見た時から、ヒーローに憧れる子供の様にファンになっていた訳で……。

 

 

「そ、その……ご迷惑でなければですが……」

 

「迷惑ではないさ。だろうギルバ?」

 

「…………まあ、別に構いませんが」

 

「!!」

 

 

 口の悪さも引っ込んでる。イケイケな見た目が嘘みたいに緊張している。

 サーゼクスやセラフォルー、それからシャルロットの視線に仕方ないと思ったギルバは、あまり関心はないが先の一件で確実にサイラオーグよりはマシに思えてるゼファードルの前に立つ。

 

 その瞬間、ゼファードルに先んじられたと眼鏡を掛けた女性悪魔が悔しげな顔をしていたみたいだが、ギルバは気づいてない。

 

 

「お、俺! 子供の時からファンだったんです! さ、サインください!」

 

「サ……サイン?」

 

 

 俺は有名人でもなければ芸能人でもねーぞと、自分がどれほど冥界内でその名が広まってるのか全然自覚してないギルバは少々困惑する。

 後ろで聞いていたサーゼクス達が軽く噴き出してるし、どう見ても悪そうな顔してる青年にサインを求められてる時点で結構シュールだ。

 

 まあ、取り敢えずしたら満足して早く解放されそうなので、差し出された色紙にサインペンで本当に適当にグシャグシャっとした悪魔文字でサインする。

 

 

「あ、ありがとうごさいますっ! 死ぬまで大切にするっす!」

 

「は、はぁ……」

 

 

 値打ちなんか絶対に無いだろ……。そんな事を思いながらも適当に返答するギルバ。

 もう早くここから出よう……。そんな気分に完全に傾いてきた中、今度は女性悪魔がゼファードルに割って入る様に近寄ってきた。

 

 

「ぎ、ギルバ様! レヴィアタン通信200号の特集ページを読んでから貴方様のファンです! あ、握手してくださいまし!」

 

「………………………………」

 

 

 だからお前は誰だ? 眼鏡を掛けた女性悪魔のもじもじしながらの態度にギルバの目が死に始める。

 それでも取り敢えず応じてあげてる辺りは、彼もそ!なりに成長したのかもしれない。

 

 何故か片方だけ手袋をしている女性悪魔ことシーグヴァイラ・アガレスに両手で手を掴まれながら、ギルバは早く帰りたかった。

 

 さっきからこの世界の自分がこっちをガン見してるし、元士郎からもガン見されてるし……。

 

 なにより、サイラオーグがシャルロットをじーっと見て、ソーナみたいにデジカメ盗撮してるので、本当にこのままだと殺してしまいそうな程プッツンしかけているのだ。

 

 

「ほわぁ!!! 保存! ギルバ様が触れたこの手袋を真空保存よ!」

 

「意外とミーハーな子達だね?」

 

「でもギルバはさっきから明後日の方向を睨んでいますが……」

 

 

 関心なんか最初から無かったが、今回の件によりサイラオーグ・バアルが本気で嫌いになってる上に、懲りずにデジカメ撮影をしてるのには……もう我慢の限界だった。

 

 

「サイラオーグ! 何をしてるのよアナタは!?」

 

「ギルバ様に嘗めた事をほざいときながら、何だそのカメラは!!」

 

「!? や、やめろ! これは俺の――」

 

「うるせぇ!! 何を撮って――――こ、こりゃあ……」

 

「しゃ、シャルロット様だわ……しかも完全に盗撮アングル」

 

 

 が、誠に運の良いことに、ギルバの視線に気付いたゼファードルとシーグヴァイラが、サイラオーグの不審な行動をデジカメごと抑え――先程打ちのめされたばかりなのに懲りないどころか、バアルの次期当主がやると思えない真似に引いていた。

 

 

「て、テメェ! ギルバ様をなめてるばかりか、シャルロット様にまで……!」

 

「違う! 俺は別に邪な目的では――」

 

「無許可で撮影してる時点で邪にしか思われません! リアス・グレモリーさん、貴女の従兄弟でしょう!? ちゃんと止めなさい!」

 

「わ、私は止めましたわ! 全然聞いてくれないんですよっ!!」

 

 

 カメラを取り上げられて必死な顔のサイラオーグが現在若手悪魔の中で最強と呼ばれているらしいが、騒ぎを聞いていた悪魔の上層部達は『世も末だな』と思ったと同時に、やはりバアルは後継者不足なのかと思ったとか。

 

 

「最も血に愛されたシャルロット殿を幽閉していたツケが回ったのだろうに……」

 

「今更連れ戻そうにも、ギルバが相手ではな不可能だろうしなぁ」

 

 

 次期当主のやらかし行為に、呆れている悪魔達。

 結局これを理由にギルバがシャルロットとセラフォルーと共に帰ってしまったせいで、セラフォルー眷属のファン達から総スカンをサイラオーグは食らい、撮った写真のデータも消されて散々だったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「サイラオーグ君がまさか私にそんな事を思ってたなんてね……」

 

「流石に驚いちゃったよ」

 

 

 自領に戻った三人は、この世界のサイラオーグの精神性に対して言及し、ギルバの凄まじい不機嫌さを取り敢えず宥める。

 

 具体的には彼をこれでもかと抱き締める感じで。

 

 

「………………」

 

「あ、寝ちゃった。

怒り疲れたのかな?」

 

 

 プライベート室に籠り、セラフォルーに抱かれながら寝てるギルバ。

 

 

「やぁ……ん♪ いーちゃんのエッチ……☆」

 

 

 そして完全に寝るといっつもこうなる。

 具体的には人肌求めて絡み付く様に抱きついて離れなくなり、今現在セラフォルーが抱き枕にされている。

 

 

「よしよし……っと、どうするおば様? 隙見て替われるけど……」

 

「大丈夫よセラフォルーちゃん。

それより、油断しているとイッセーに吸われちゃうわよ?」

 

「それは別に構わないけど、何時も生殺しにされるのは間違いないね☆」

 

 

 離れないギルバの頭を撫でながら微笑むセラフォルー

 その表情はとても愛しいものを包み込む、母性溢れたものだった。

 

 

「今回の事で思い出したけど、昔まだいーちゃんが眷属になったばかりの頃、私が純血のお坊っちゃまと婚約させられそうになったのを、いーちゃんがその相手を家ごと更地にして黙らせたんだっけ」

 

「この子らしい……」

 

「それなのに未だに待たせるいーちゃんは罪作りだぜ☆ 早くおねーさんの事貰ってよね?」

 

「ふふ、アナタも大好きなのね?」

 

「うん、好き。大好き。

威嚇しながら自分を大きく見せようとしていた頃からずっとずっと、いーちゃんが大好き。

ふふ……早くいーちゃんの赤ちゃんが欲しいなぁ……」

 

 

 優しく、自分より大きく、逞しくなった身体を抱きながら微笑むセラフォルー。

 誰にも渡さない――それはセラフォルー達も同じ。

 

 彼は誰にも渡さない。

 それが彼女達の合言葉だ。

 

 

「ねぇ、おば様、私たちはずっといーちゃんと一緒だよ?」

 

「勿論。

……あ、それよりイッセーがアナタの胸に……」

 

「ん……♪ いつものだね? も、もういーちゃんったら……そんなにちゅーってしても私まだおっぱい出ないのにぃ……♪」

 

 

 逆もまた然り。

 彼等の繋がりは他の者には到底理解できぬ深いものなのだ。

 

 

 

 

 

 

 自慢の従兄弟だと思っていただけに、まさか盗撮行為に走るとは思っていなかったリアスは、グレモリー家に戻ってからも割かしショックが残っていた。

 

 

「従兄弟のサイラオーグがまさかあんな……」

 

「お気を落とさずに……」

 

「……」

 

 

 今回の会合に出席した悪魔達による総当たりのレーティングゲームの一回戦目の相手は、多くの悪魔達の中で己の意思をしっかり示したソーナだ。

 無論対戦までに力を磨いたり、対策を考えたりするべきなのだが、リアスは今それ以上に従兄弟の奇行に軽くショックだった。

 

 

「写真を撮るくらいなら別に誰にでもあると思いますけど。

ましてや好きな相手だし……」

 

 

 そんなリアスを元気付けようと、普段学園で盗撮・覗き・猥談上等のイッセーが言うが、横で聞いていた小猫がジトっとした目をする。

 

 

「イッセー先輩が言ってもまるで説得力が無いのですが」

 

「う……」

 

 

 確かに。と思うイッセー

 今までしてる側だったので自覚がゼロだったのが、今回の件で客観的に見れたせいか、自分が今までやって来た事が普通に犯罪だったと自覚できたらしい。

 サイラオーグを批難する気にはまるでなれないし、そんな資格も無いけど、少し大人になれたイッセーだった。

 

 

「シャルロット・バアルさんとは何者なんですか?

あの人も部長の従兄弟さんとか?」

 

「………あの方は少し複雑な位置に在るのよ。

母の祖父――つまり私にとっては曾祖父にあたる方が不倫して生まれたのがシャルロットさんなの」

 

「お、おおぅ……」

 

 

 そりゃ確かに複雑だと思うのと同時に、眼鏡を外して髪をほどいたらリアスやヴェネラナに似ていると思ったのはそういう事なのかとも納得する。

 無論、おっぱいサーチ機能を保持するイッセーの目にはちゃんとシャルロットの――実はヴェネラナと同等のものをお持ちなのも見抜いていた。

 

 まあ、サイラオーグが下手したら本当に八つ裂きにされかねなかった事を考えたら恐ろしくて邪な真似はできないが。

 

 

「お、お前ら全員集まってるな? 聞いたぞ、サイラオーグ・バアルがギルバにぶちのめされる寸前だったんだろ?」

 

 

 微妙な空気が流れ続ける中、ひょこっと姿を現したのは堕天使のアザゼル。

 今現在彼は流れによってリアス達のアドバイザーみたいな事をしていて、既に会合の情報を入手していた。

 

 

「アザゼル……先生」

 

「サイラオーグは俺としてもかなり高い評価をくだしてたが、よりにもよってシャルロットに惚れてたとはな……」

 

「えっと、アザゼル先生はギルバさんの事を知っているんですか?」

 

「直接話をした事は無いが知ってはいる。

戦争中に何度泣かされたからわかりゃしねぇ」

 

 

 堕天使と天使を表情変えずに、流れ作業みたいに始末しまくってた当時を思い返しながら苦い顔をするアザゼル。

 

 

「奴がシャルロットとセラフォルー―――噂によると後一人の誰かに相当入れ込んでるのは俺達の世代では知られてる事だ。

そもそもシャルロットとセラフォルーですら種族としての限界をぶっちぎってる力を持ってるっつーのに、ちょっと変な真似をしたら奴が出てきて地獄行き。

昔、堕天使の一人がそれをやらかした時は、手足はもがれるし、顎は引きちぎられるしで、二度と物が食えねぇ身体にされちまったからな……」

 

「や、やべぇっすね……」

 

「こ、怖いですぅ……! い、イッセー先輩に似てるのに中身が違い過ぎますぅ……!」

 

 

 よくサイラオーグは無傷で済んだなと、アザゼルの昔話を聞いて軽く顔が青くなるイッセー達。

 

 

「だから兵藤、お前の顔を見た時は驚いたと同時に、その性格に安心もしたよ。

顔も性格も奴に似てたら悪夢以外の何物でもないぜ」

 

「は、ははは……」

 

 

 愛想笑いで誤魔化すしかできなかったイッセー。

 しかしいくら凶悪な狂暴性を秘めていたとはいえ、イッセーはだからこそあの件で確信を抱いていた。

 

 

(うん、絶対おっぱいの求道者で間違いない。

今頃多分あのお二人に挟まれて……くぅ~! 羨ましいぜっ!!)

 

 

 イッセーの考えはある意味間違いないし、挟まれてるどころか―――――まあ、それは置いておいて。

 転生悪魔でも突き詰めればあの領域に立て、純血悪魔達からも認められるという希望というか、アメリカンドリームならぬ、デビル・ドリームを見れたイッセーはますますハーレム王の夢を燃やすのであった。

 

 

「それより今は、ソーナ達とのゲームに集中しろ。

情報によれば、眷属達の質はお前等と同等。だがソーナが不明だ。

下手したらギルバとセラフォルーとシャルロットに鍛えられてる可能性が高い」

 

 

 その為には名を上げる。

 これから始まるゲームはその礎になるのだから頑張る。

 

 気を持ち直したリアス達と共に、イッセーは闘志を燃やすのであった。

 

 

(あの時のシトリー先輩の事は気のせいだよな……うん)

 

 

 

 

 気付いたら普通に寝落ちしてしまったギルバは、やっぱり直らない自分の短気さに少し自己嫌悪しながら、セラフォルーとシャルロットに連れていかれる形でシトリーの家に戻った。

 

 

「ギル兄さま!」

 

「聞いたぞギルバ、シャルロットさんに愛の告白をしたサイラオーグ・バアルに激怒したと……」

 

「久々ですね。

以前は確かセラフォルーに対して粗相を仕出かそうとした者を行方不明にしたのでしたっけ?」

 

 

 戻るなり義両親とソーナが、何故かわくわくした顔で出迎えてきたので、微妙な気分になりながらも事実なので何も言い返せない。

 

 

「それより、ゲームをするのでしょう? 準備や対策をされた方が宜しいのでは?」

 

「勿論するわ。

その事で三人に相談したいのだけど、修行を見てくれない?」

 

 

 大広間に入り、長机にソーナ眷属を交えて座り、早速リアス達とのレーティングゲームの会議が始まる。

 情報によると、リアス達にはアザゼルというアドバイザーがついている為、ゲーム当日にはきちんと仕上げてくる可能性が高い。

 

 で、あるなら自分達も対策をしなければいけないのは当然でるし、眷属達も勿論そのつもりだった。

 

 

「短期間でいきなり強くさせる事は無理ですが、調整のお手伝いなら可能です」

 

「ん、妹の晴れ舞台の為だもの、当然協力するぜっ☆」

 

「僭越ながら私も尽くさせて頂きますわ」

 

 

 短期間で強くさせる事は無理。と、本当の所はソーナの気質をある程度熟知しているギルバ達なら引き上げる事は可能だったりするのだが、それに頼られては困るので隠し通す。

 

 

「ねぇギル兄様? そろそろ『本気の魔力』を解禁したいけど良い?」

 

 

 もっとも、幼少期からある程度面倒を三人で見てたので、史実より実はソーナの力量がアレだったりするわけだが。

 

 

「本気の魔力……? それってなんですか?」

 

 

 ソーナの言葉に、古参を除いた眷属達が首を傾げるとセラフォルーが答える。

 

 

「ソーたんってスタミナ不足だから、今まで封印させてたけど、実は魔力の性質って水じゃなくて私と同じ氷だったりするんだよ――――いや、もっと正確に言うと温度の上下が可能なんだよね」

 

『………え?』

 

 

 知らなかったソーナの事実に新参達は驚いたのと同時に、ソーナがそれを証明する為にテーブルの上に置いてあった林檎を手に持ち。

 

 

「氷林檎」

 

 

 一瞬で凍結させてから……。

 

 

「焼き林檎」

 

 

 一瞬で焼いて……。

 

 

「水林檎」

 

 

 いつもの水流魔力で締めた。

 

 

『…………』

 

「氷炎系の魔力。ソーたんの魔力の性質はどちらにでもなれるハイブリット系さ!」

 

 

 自慢気に語るセラフォルーの横でふやけた林檎を取り敢えずムシャムシャ食べ、若干顔をしかめるソーナ。

 知らなかった……と新参達はソーナの力量に驚くのだが、その中に居た匙元士郎は納得できない顔だった。

 

 

「なんで教えてくれなかったんですか……仲間なのに」

 

 

 どうやら自分の知らないソーナの面を知ってるギルバに嫉妬した上で言っているらしい。

 しかしソーナは気づかない面持ちで返す。

 

 

「さっきお姉様が言っていた通り、この力を常時振るえるにはまだ体力が足りないし、コントロールも疎かなの。

下手に解放してアナタ達を傷つけるわけにはいかないでしょう?」

 

 

 確かな理由に、元士郎はその時点で納得はしたが……。

 

 

「使わない方が良いと言ったのは誰なんですか?」

 

「ギル兄様」

 

 

 ギルバの言うことに従ってる感があるということで、元士郎はまたも嫉妬パワーを増幅させた。

 

 

「いや、完全にコントロール出来るまで密かに訓練して、後で皆様を驚かせたら、逆に喜んで頂けるのではと思ったので……」

 

 

 やべぇ、また変な誤解をされている。

 そう判断したギルバが咄嗟にフォローしようとするが、あまり効果は無さげだった。

 

 

「何なのよ匙? アナタこの前から変よ?」

 

「なんでもありませんっ!」

 

 

 完全に不貞腐れてしまった元士郎に、別に悪いことなんてしてないのに申し訳ない気分になるギルバ。

 

 

「???」

 

(鈍いな、このソーナは……)

 

(というか、仮に気付いてても彼をそういう目で見てない気がするんだけど……)

 

(昔のイッセーみたいだわ)

 

 

 ムカムカした顔で不貞腐れてしまった元士郎と、それを前にしても首を傾げてるソーナ……と、二人を見て気まずそうな眷属たち。

 

 

(クソ!)

 

 

 早く誤解よ解けろ……としか思えぬギルバとは裏腹に、元士郎は先の会合後の軽い親睦会の時の事を思い出していた。

 それはデジカメ盗撮をしていたサイラオーグが軽い折檻をされている最中の出来事。

 

 

「あの人、盗撮とかお前に似てんな……」

 

「な、なにも言い返せねぇ……」

 

 

 盗撮しているサイラオーグを見ながら、学園でその手の真似事をクラスメート二人とやらかしていたイッセーに振る元士郎は少し軽蔑した眼差しだったし、イッセーはそこで自覚したのか少し小さくなっている。

 

 

「反省する要因が見つかったのなら、それはそれで良いことですよ兵藤君?」

 

「あ、会長……」

 

「は、はぁ……ありがとうございます」

 

 

 そんな二人の近くにソーナがやって来て、犯罪の真似事をしていたと反省し始めていたイッセーに微笑みながらフォローの言葉をいれる。

 

 

「あの、ギルバさんってどんな方なのですか? シトリー先輩はあの人をよく知ってるのですよね?」

 

「ええ知ってますよ勿論。

身長、体重、胴回り、下着の色までなんでも」

 

「………」

 

 

 ありがたい言葉をもらったと思いきや、ギルバの事になると残念さが浮き彫りになって若干微妙になるイッセーと元士郎。

 

 

「姉とずっと共に居て、誰よりも先に守ってくれるお方。

血の繋がりはないけど私の兄で憧れで、お顔も――ふむ」

 

「っ!?」

 

「か、会長!?」

 

 

 若干面白くなくなってきた元士郎の目の前で、突然ソーナがイッセーに近寄り、少し爪先で立ちながら驚いて固まるイッセーの両頬に手を添えながら顔を近付かせるという行為が、元士郎を一気に絶望と嫉妬の念を爆発させた。

 

 

「私はアナタとギル兄様が同じ格好をして並んでも見分けがつきます。

だって背もギル兄様の方が高いですからね? それに目もギル兄様の方がキリッとしている。

それを抜かしても確かにアナタとギル兄様はよく似ています……」

 

「お、おぉぅ……」

 

「か、会長! 何をしてるですか! 離れてくださいよ!」

 

 

 誰かに背中でも押されたらそのままキスでもしちゃいそうなくらいに顔が近い両者に割って入ろうとする元士郎。

 

 

「でもアナタはアナタ、ギル兄様はギル兄様。

似てるかもしれないけど確かに中身は違うわ。

ふふん、不安にならなくてもリアス達はちゃんとアナタの中身が好きだから安心しなさいね?」

 

「は、はい……」

 

 

 そう言って微笑んだソーナはイッセーから離れ、5歩ほど背を向けて歩くと……。

 

 

「だから良い男になりなさい、ギル兄様とは違うアナタらしい良い男に。私は応援しますよ?」

 

 

 振り返り、悪戯っ子みたいにチロっと舌を出して言ったソーナに、見てしまった元士郎とイッセーはドキッとしてしまった。

 

 

「あ、今言った事はリアス達に内緒よ?」

 

「っ!?」

 

 

 なんというか、普段知るソーナとは違う年相応の可愛らしさのギャップにやられてしまったのだ。

 トドメに人差し指を口に当て、ウインクしながらの内緒のポーズを見た時は完全にイッセーはぐらついてしまった。

 

 

「う、うっそだろ……。お、俺……ひょっとして――」

 

「! て、テメェふざけんなゴラ! その先を言ったらぜってー殺す!!」

 

「どわぁ!? わ、わかってるよ! き、気のせいだと思ってるからそんな怒んなよ!?」

 

 

 だから余計にこんな事があったから、元士郎はイッセーとギルバにコンプレックスを抱くのであった。

 




補足
ソーたん、実は凍る火柱をデフォ装備していました。
ただし、解禁するとスタミナがエグく削られるので実戦できたものではなかったので封印中。


その2
盗撮してるサイラオーグくんを見てイッセー君は

『あれ、俺やっぱ最低だったのか……』

と、少し大人になれた模様

そして――


その3
ソーたん、結構魔性の悪魔っ娘。

計算とかではなく素でやるもんだから、チェリーボーイには刺激が強かった……。

お陰で匙君が……オーマイガ

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