色々なIF集   作:超人類DX

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前の続きです。


短いし、後半は完全に悪ふざけ。


怪しい雲行き

 結婚ではなくて天空の盾の為、ある意味でビジネス的な交換条件の下、リングを手に入れなければならなくなったトンヌラは、幼少期以来の再会となったビアンカも連れて滝の洞窟へとやって来た。

 

 どうせならまた小さい事でも良いから冒険したいというビアンカの意思を聞いて同行をお願いした訳だが、わりとすんなりと洞窟の最奥まで辿り着いてしまった。

 

 というのも、迷うほどの洞窟でもなかったというのもあるが、トンヌラが仲間にした魔物達がこの洞窟に住まう魔物達よりも実力が高かったからというのもあるみたいで、襲い掛かる魔物達を仲間の魔物達だけでバッタバッタと薙ぎ倒してしまうのだ。

 

 トンヌラとしてはささっと水のリングを回収できるので歓迎できる話なのだが、レヌール城での冒険の様な刺激を求めていたビアンカは少しだけ不満そうだった。

 

 

「うーん、もっとこう……スリル足りないかしら」

 

「安全第一だよビアンカ。

キミを怪我させたとなったらダンカンさんに会わす顔が無いし」

 

 

 とまあ、こんな感じで宥めながら最下層までたどり着いたトンヌラは水のリングを発見し、無事に回収。

 後は町に戻って先に炎のリングを回収した者と決闘か何かをして勝てば天空の盾をひょっとしたら手に入るかもしれない。

 

 あまり期待はしてないし、骨折り損だろうという気持ちの方が強いままサラボナの町へと再びやって来たトンヌラ達だが、町全体が何やらざわついている様子。

 

 

「なにかしら? 町の人達の様子が……」

 

「わからないけど、取り敢えずリングをルドマンさんの所へ持っていこう」

 

 

 そのままついてきたビアンカやベラと話ながらルドマンの屋敷にやって来たトンヌラは、使用人の人達に通されてルドマンの待つ広間に入る。

 

 

「水のリングです」

 

「うむ、間違いなく水のリングだ」

 

 

 別に欲しいもの等では無いのであっさりとリングをルドマンに渡したトンヌラはそのまま質問する。

 

 

「それで、炎のリングを持ってきた方は?」

 

 

 この時分ならそろそろ居てもおかしくない筈の、炎のリング回収者について訊ねるトンヌラに、ルドマンは少しわざとらしく残念そうな表情を浮かべ始めた。

 

 

「それがだねトンヌラ君。

炎のリングは誰も回収できなかったのだよ」

 

「…………………………は?」

 

 

 あぁ、本当に残念で仕方ない――なんて口ではそう言っているが、あまり残念そうに見えない顔をするルドマンにトンヌラもそうだが、ベラとビアンカも訝しげな顔をする。

 

 

「候補者達が脱落してしまった。

これは困ったぞ? 炎のリングと水のリングを賭けた決闘で勝利すればこの盾を譲ろうと思ったのに、片方が居ないとなると…………」

 

「…………」

 

「うわぁ……」

 

「そういう事ね……」

 

 

 わざとらしく頭まで抱え、チラチラとトンヌラを見ながら大根役者みたいな台詞を吐くルドマンに、人の良いトンヌラすらカチンとしかけたし、ベラとビアンカも後ろで『大人って……』と少し引いた。

 

 

「つまり、その脱落した人達に代わって僕が炎のリングも回収すれば良いと?」

 

「はて? 私はそんな事など一言も言った覚えはないが、そうかそうか! キミが回収をしてくれるのだな? わっはっはっはっ! 近年稀に見ぬ頼もしい青年だな!」

 

「……………………………」

 

 

 

 天空の盾さえ持ってなかったら一生関わらなかったのに……!

 両手をわざわざ握りながら嬉しそうに笑うルドマンに、トンヌラはそんな事を思いながらひきつった笑顔を浮かべた。

 

 

「炎のリングは死の火山にある。

頼んだぞ――婿殿!」

 

「………………………」

 

 

 

 去り際に、さっき覚えたバギクロスでも屋敷にぶちかましてやろうか……。

 そんな事を考えながらニコニコ顔のルドマンに見送られる形で屋敷を出たトンヌラは、足早に町を抜けて馬車と合流すると手頃な木を父の剣で一刀両断した。

 

 

「ふー……! 初めてかもしれない。

人を本気で殴りたいと思ったのは……!」

 

「後ろで聞いていたけど、トンヌラ、アナタきっとルドマンに気に入られたから外堀を埋められてしまってるのよ。

フローラさんと結婚させる為に」

 

 

 見事なまでの切れ味で木が斬り倒され、鞘に納めるトンヌラにビアンカが少し微妙な顔をしながら言う。

 

 

「そうか、僕はあの人に気に入られた訳か。

そうなんだね……冗談じゃない。好きでも無い相手と結婚させられてたまるか。

こうなったら作戦変更だ」

 

「作戦変更?」

 

「うん、まず炎のリングはルドマンさんのお望み通り回収してあげようじゃあないか。

だが、そのリングはさっきの水のリングの様に彼には渡さない」

 

「それでどうなるの?」

 

「リングを渡さない程度じゃ意味なんて無いけど、そのリングを他の第三者の男性にこっそり渡したとなったらどうなると思う?」

 

「なるほど、わかったわトンヌラ。

要するに向こうがその気ならこっちも無理矢理決闘相手を祭り上げるって訳ね?」

 

「そうだよベラ。

汚いやり方かもしれないけど、その相手と炎のリングならびにフローラさんとの結婚を交渉材料に取引を持ち掛ける。

……………決闘も負けるから天空の盾を譲ってくれないかってね」

 

 

 据わった目をしながら語るトンヌラに、ベラもビアンカも幼い頃の純真さが消えかけてるのが見えた。

 とはいえ、向こうも外堀を埋めてこようとしてるのでこうでもしないとフローラの婿にされてしまう。

 

 これぞ現代風に言えば八百長というやつだが、親友のヘンリーから世を渡る知恵を奴隷時代にある程度教え込まれたトンヌラは、なんとしてでもベラと添い遂げる為にその甘さを今捨てた。

 

 

「リングは僕一人で回収しに行くよ。

死の火山は滝の洞窟と違って更に危険だからね。ベラとビアンカはこのまま皆と待っててくれ」

 

「トンヌラ……」

 

「め、目が怖いわよ?」

 

「子供のままじゃ居られないって事がやっと今解ったのさ。

ごめんね? こんな僕でガッカリさせてしまって」

 

「いや、そんな事はないけど……」

 

「うん……」

 

 

 再び鞘から剣を抜き、刃こぼれは無いかと確認して再び鞘に納めたトンヌラの据わりっぱなしな目にベラとビアンカは互いに目を合わせながら微妙な顔をするも、待ってろと言われて頷く気はなかった。

 

 

「作戦自体を否定はしないわトンヌラ。

けどここで待つつもりはないわ、ちゃんと私も連れていって? トンヌラ一人の方が危険だし、私ってそんなに役立たず?」

 

「ベラ……! そんな事無いよ! でもこれは僕がハッキリしないから起こってしまった事だから、始末は僕一人でつけるんだよ!」

 

「じゃあその始末をつけるお手伝いとして私とベラさんがついていっても問題ないわよね?」

 

「び、ビアンカまで…! 今から行く所はさっきよりも更に危険かもしれないのに……!」

 

「危険で結構。

レヌール城での冒険よりも刺激的な冒険ができるなら万々歳よ」

 

 

 着いていくとベラとビアンカが聞かない。

 結局諦めたトンヌラは、何かあったら絶対に逃げてくれと念を押してから全員で死の火山へと向かうのであった。

 

 

「ちなみに事前に炎のリングを回収しに行った人達と事は調べておいた。

あの中で一番フローラさんにふさわしいのは幼馴染みのアンディって人だ。

今は死の火山で怪我をして家に居るみたいだけど、回収した即ルドマンさんに気付かれぬ様に彼と接触して話を持ち掛ける……!」

 

「そんなにフローラさんと結婚したくないの?」

 

「フローラさんがとかじゃないんだよビアンカ。

僕の心は最初から決まっているという簡単な話だ……」

 

「そ、そんな捨てられた子犬みたいな目で私を見ないでよトンヌラったら……」

 

「………ふーん」

 

 

 それぞれの複雑な感情入り乱れるお話はまだ続く。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

もしもトンヌラがアベルかリュカという名前で中身が、裏切られて殺されて、あの世ではなくこの世界に魂が転生していたアイツだったら?

 

 

 

 悪魔とか……まあ、結果弱かったせいで、その後釜に全部奪い取られてから処分された俺は、そんな殺伐とした世界とは違う――文明レベルはちと低いけど、心が休まりそうな世界にとある男の子として生まれた。

 

 かつての記憶はある。

 その事を知るのはこの世界では誰も居ない。

 優しくて強くて、俺がもっとも信頼して尊敬する父親にすら打ち明けられない。

 

 唯一知るのは俺と共に地獄へと墜ちてくれた、俺の中に居る相棒だけ。

 

 リュカ……その名前として生き直している俺は父のパパスと宛の無い旅をしていた。

 その目的はイマイチわからないが、恐らくはこの世界で物心がついた時から見たことがない母親に関係しているのかもしれない。

 父――いや、父さんは母さんは死んだと言うが、俺は多分違うと思った。

 

 だからこそ、こんな小さな形になったなりに父さんの力になりたいと、必死こいて鍛えたら……。

 

 

「やったよ父さん! スライムと戦ってたら腕にこんなのが出てきた!」

 

「……!? こ、これはなんだ? 凄まじい力を感じる……」

 

『イッセー……じゃなくてリュカの父親のパパスだな? 俺は赤い龍――まあ、ドライグとでも呼んでくれ』

 

「なっ!? しゃ、喋れるのか!? しかも赤い龍? 聞いたこともないが……」

 

『とにかく俺はお前達に害をなすことはしないと誓う。

この小僧がお前の力になりたいという想いが俺を呼び寄せたのだ』

 

「そ、そうなのか……。本当にリュカの身になにも起きないのだな?」

 

『あぁ、寧ろ全力でサポートさせて貰おう』

 

(我が妻マーサのエルヘブンの血がそうさせたのか? どちらにせすリュカの身に何も起こらなければ良いのだが……)

 

 

 異界の龍は再臨する。

 

 

「行くぜドライグ! ビッグバンドラゴン波!!」

 

「むっ!? 今のはメラゾーマ!? いや……もっと別の呪文?」

 

『俺の力で小僧の力を時間と共に倍加させ、小僧の魔力をただ打ち出しただけだ。

呪文とは違う』

 

「そ、そうなのか……? 貴方は一体……」

 

『……。守るべき者も守れなかった、単なる負け犬ドラゴンさ』

 

 

 相棒との再会は少年の強さを元に戻す。

 

 

「こ、ここがレヌール城……」

 

「はぁ……ねみぃ……」

 

「ね、眠いじゃないわよ! あの子猫ちゃんと助けないといけないんだからシャキッとして!」

 

「こんな所来るんだったら、あのガキ二人に脅しくれて奪った方が早いだろ……ふわぁ」

 

「それじゃああの二人と変わらないでしょう!?」

 

 

 サンタローズの村に帰還し、ビアンカという少女をとなり町に送ったら妙な事に巻き込まれた少年。

 その少年は昼間、アルカパというビアンカの住む町で、手当たり次第女性をナンパしていた。

……年齢は全部二十後半以降の。

 

 

「ひぃぃっ!? な、なんてガキだ! お助けー!」

 

「だ、そうだ。どうする?」

 

「わ、悪いことをしないって誓えるなら許してあげるけど……リュカって強いのね」

 

「お父さんの方が強くてかっちょいいけどね!」

 

「………」

 

 

 ファザコン入る少年。

 

 

「また一緒に冒険しようねっ!」

 

「あぁ、そこの麗しのお姉さん! 僕にいけないことをしてくださいっ!!」

 

「え、ええっ!? わ、私には夫と子供が……」

 

「……………………」

 

「す、すまんビアンカちゃん。

リュカは後で叱っておくから……」

 

「い、良いもん。大きくなってリュカの言う『ないすばでぃー』ってのになってやるもん……!」

 

 

 一回り以上が対象なので、おざなりされてしまったビアンカはここで変な方向にねじまがり……。

 

 

「まあ! アナタは私が見えるのね!? 私はベラ! アナタの力を借りたいの!」

 

「はぁ……何をすれば?」

 

「取り敢えず私達の国に来て!」

 

 

 そうとは知らないリュカは、サンタローズの村でシスターを口説こうとしてたら、自分に雰囲気が似た大人の自分に邪魔されて不機嫌な所に、ベラという妖精によって妖精の村へと来たのだが……。

 

 

「ようこそ妖精の村へ。

あらあら、随分とかわいい戦士様ですこと」

 

「…………………………………」

 

 

 そこでリュカは前世でも見なかった『女神』を見た。

 

 

「私はこの村の長であるポワンです。

リュカ、アナタに頼みたいことが――――」

 

「ポワン様、俺と結婚してください」

 

「そう、私と結婚―――うえっ!?」

 

「りゅ、リュカ!? 急に何を――」

 

「貴女こそ俺の運命の相手! お願いします! 結婚してください! 惚れました!!」

 

『今までと違ってマジだなコイツ……』

 

 

 土下座しながらポワンに求愛する六歳児。

 はるかぜのフルートは最初から全開状態で即座に奪い返し、雪の女王はドラゴン波で木っ端微塵にした。

 

 

「取り返しました! だからポワン様……俺と……!」

 

「そ、そんな事を言われても……。しゅ、種族も違いますし、年齢だって私――」

 

「それが良いんです! 寧ろドストライクです! なんでもしますから!!」

 

 

 流石に動揺するポワンにとにかく求愛しまくるマセガキことリュカこと赤龍帝。

 『か、考えておきます』と保留で取り敢えずこの場を収めて人界に返した訳だが、リュカはこの時から他の女性をナンパする事もやめた。

 

 

「ど、どうしたリュカ? 具合でも悪いのか?」

 

「違うんだよお父さん。俺運命の人と出会ったんだ……」

 

「は!?」

 

『……。後で事情を説明してやるから落ち着けパパス』

 

「な、なんか若い頃の私に似てるなリュカは……」

 

 

 ラインハットで誘拐未遂が起きても即座にぶち壊し、ゲマとかいう変なのが来てもドラゴン波で半身を消し飛ばし、ジャミだかゴンズだかは譲渡したドライグパワーでパパスがぶっ倒した。

 

 

 こうして奴隷にされることもなければ、パパスが死ぬこともなく10年の歳月が経ったが、リュカ青年はポワンへの想いをきしょいレベルで募らせていた。

 

 故に天空の盾の所在を得て、サラボナとかいう町に行って結婚話をされても本人はまるでやる気ゼロだった。

 

 

「正直俺と父さんのタッグでなんとかならないか?」

 

「いやしかし、マーサは魔界に居るのだ。

魔界の王は天空の勇者でないと倒せんというお伽噺もあるし……」

 

「伝説は塗り替えるものだぜ? 俺と父さんで伝説を新しく作るんだよ!」

 

「うむぅ……。

確かに不可能とは思えないものをリュカには感じるが……」

 

 

 天空の盾は要らなくね? という話し合いをしながら、取り敢えず二人で炎のリングと水のリングをしてみた訳だが……。

 

 

「え、娘との結婚ではなく盾だけが欲しい……?」

 

「有り体に言えばですね。

リングを回収したのも、回収すれば話とか聞いて貰えそうかなって」

 

「それは私の娘に魅力が無いと……?」

 

「異性としての好みは対象外っすね」

 

「た、対象外……」

 

 

 あんまりにもハッキリ言い切ったせいで、横で言われたフローラはショックを受け、激おこしたルドマンには屋敷を追い出された。

 

 

「おかしいな、どこで間違えたんだろ?」

 

『全部だこのバカ』

 

「リュカはその、興味のあるものと無いものへの態度があからさま過ぎるのだ。

よくないぞそういうのは?」

 

 

 大人二人に怒られるリュカ。

 

 

「ちょっとアンタ。

私の妹に酷いことをよくも言ってくれたわね?」

 

「あ? なんだこのケバいねーちゃんは?」

 

「ケバッ!? いきなり失礼かましてくれるわね! フローラの姉よ私は!」

 

「ふーん? あっそうですか、じゃあお達者で」

 

「待てって言ってんのよ私は! フローラのに今すぐ―――」

 

「うっさいわボケェ! 聞かれたから答えただけじゃあ!! 小娘なんぞに興味あるかい!!」

 

「」

 

 

 お姉さん相手にもぶれぬ精神。

 

 

「ひ、久しぶりリュカ。

えっとその……ナイスバディーになったわよ?」

 

「そっか、じゃあモテモテだなビアンカは。

はっはっはっー!」

 

「…………………」

 

「す、すまんビアンカさん……」

 

 

 金髪美女だろうとも特になんの反応もせず……。

 結局、このお騒がせ小僧のせいで三人の女性が変な方向に拗らせていく事に……。

 

 

「はぁ!? 三人とも旅についてくる!?」

 

「とにかくこのままだと腹が立って夜も眠れないから、アンタに土下座されながら求婚させる事にしたの」

 

「わ、私は木っ端小娘じゃありませんから! 絶対にリュカ様を惚れさせますわ!」

 

「ナイスバディーなのに約束破ったから許さない……」

 

「何の話だ! ええぃ小娘共のお守りなんぞやってられっかい! なぁ父さん!」

 

「……いや、リュカの教育的な意味でも同行して貰った方が良い気がする」

 

『同じく』

 

「ファックッ!!」

 

 

 無理矢理ついてくる三人娘。

 そして何でこんなリュカは頑ななのか……。

 

 それは紆余曲折な冒険を経て再びたどり着いた妖精の村に答えがあった。

 

 

「お、お久しぶりですねリュカ、随分大きく――きゃっ!?」

 

「ポワン様! 俺だー結婚してくれー!!」

 

 

 妖精の村の長に対するアホらしさ満載の求婚。

 子供から大人になったせいなのと、男性経験が当然皆無なポワンは、飛び付いて離れないリュカに終始ドキマギさせられてしまう。

 

 

「お、落ち着いてくださいリュカ! アナタには素敵な女性が三人も――」

 

「小娘共よりポワン様が最高です! つーか勝手に来ただけだし!」

 

「「「………………………」」」

 

 

 あんまりな言い方に、三人娘が『こいつがポワンか……』と、狩人みたいな目でポワンを睨む。

 

 

「アナタがリュカのお父さんのパパスさんね? ……その、大変ね色々と」

 

「あ、あぁ……まさかリュカの好きな女性が彼女だったとは……」

 

 

 慌てるポワン。

 そのポワンに抱きついて離れないリュカ。

 そして散々言われて意地でもリュカにコクらせたくなって拗らせた三人娘のポワンへの嫉妬全開の視線。

 

 

「あ、あのー……私はその……」

 

「アナタの意思はどうでも良いわ。

あのリュカがアナタに心底惚れ込まれてるのが腹立つのよ。

こっちは今まで女扱いすらされなかったしね……!」

 

「修行をお願いしたら容赦なく叩きのめされて……」

 

「勇気を出して三人でリュカのお部屋に夜行ったら『眠い、邪魔』の一言で叩き出されて……」

 

「他の町で男の方から声を掛けられたら流石になにか思ってくださるかと思いきや、その声を掛けた男性に『全員フリーでっせ?』と渡す気満々だったり……」

 

「とにかくっ! あの小魚は私たちを一切女扱いしないし、なんなら全裸で迫っても無反応なのよ!

それが何でアンタ!? スタイルだって私が上なのに!!」

 

「な、何故と申されても……」

 

 

 旅先で散々な扱いをされた不満が爆発する三人娘にポワンはどうしていいのか分からない。

 

 

「でも女扱いしない事を除けば基本的に良いやつなのよね……」

 

「山道で足を挫いた時は抱えて運んでくれましたし……」

 

「魔物に不意討ちで襲われそうになった時も守ってくれるし……」

 

「自分でもめんどくさい性格してる私と対等に話してくれるし……」

 

「「「はぁ………」」」

 

「た、確かにリュカはとても頼もしく思いますね?」

 

 

 しかしこの三人娘が旅を経て結構ガチになってしまったのも事実。

 

 

「この前のジャミとかいう馬みたいな魔物に拐われた時だって、絶対に助けに来ないと思ってたのに、『三人の気配は知ってたら助けに来れたぜ』……なんて笑いながら言うから……」

 

「しかも即座にその魔物を退治しちゃうし、その後来たゲマとかいう身体の半分がグロテスクになってる奴もボッコボコに殴って追い返したし……」

 

「その後私達を優しく抱えて連れ出してくれましたし……」

 

「「「はぁ………」」」

 

「りゅ、リュカは人間界でいう『ぷれいぼーい』という奴ですね……」

 

 

 口では小娘呼ばわりだが、旅の仲間としてはちゃんと認めてるからこそ、飴と鞭が天然で炸裂していたらしい。

悩める三人娘に、ポワンもちょっと傾くのであったとか。

 

 

「なぁリュカ。そろそろ王位を継ぐものとして世継ぎをだな……」

 

「まかせろ父さん。ポワン様と結婚した暁には――うへへへへ!」

 

『…………変わらんな、この性格だけは』

 

 

 ドラゴンクエスト5

 ハーレム+αルート。

 

 

一生始まらない




その1
ルドマンさん、気に入りすぎて外堀埋めようとするの巻。

対抗してトンヌラ君、八百長仕込みを画策するの巻。

ベラさん好きすぎてなりふり構わなくなってきたぞい……。



その2

とまあ、アイツならまず年上しか目が行かない訳で……。

ドラゴン波ぶちかませるならパパスさんだって死なないと思うし、ポワン様と出会えばナンパはやめるけど、小娘達への興味がマイナスに突っ切るかもしれないし、あんまりにもハッキリ言い過ぎたせいで意地になってしまう三人娘さんとかとか。


で、仲間という意味では優しいもんだからさあ大変だ。

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