からの
さぁ、始めようかァ……!!(マスクシャッキーン)
もうね……痺れるよね。
イッセーが出会った元シスターを堕天使から助け、そのまま眷属にする流れで着実に地盤を固めていたリアス・グレモリーは、今人生の岐路に立たされていた。
それはいつの間にか実家によって決められた結婚なのだが、リアス本人はその相手と結婚する気なんて一切無い。
それは相手の人格に問題があるのもそうなのだが、リアス本人の異性に対して求めるものは『地獄に落ちても共に居てくれる』という、早い話が依存関係みたいなものだったので、イザとなったらあっさり尻尾を巻いて逃げそうなその相手とは結婚したくなった。
故に意地でも突っぱねていたら、現悪魔社会で一般化されているレーティング・ゲームで決着をつけるという流れにまでなんとか持ち込める事に成功した。
無論負ければ即座に結婚。
リアスやリアスの眷属達はなんとしてでもこのゲームに勝つと気合いを入れる訳だが、相手のライザー・フェニックスは最近の公式ゲームでその特性によって負け無し。
だから修行をする事になった訳なのだが、自分達で定めただけの修行では成長もたかがしれてると考えた結果、リアスは眷属達の若干の反対を圧してある屋敷へとやって来ていた。
「と、いう理由があって私達はすぐにでも強くならないといけないの。
お願い……なんとか修行を私達につけては頂けないかしら?」
悪魔側が人間界に用意した取引相手の為の家。
人間基準でいえば豪邸となるその屋敷の広間にて、大きめの椅子に座ってつまらそうな顔をしている青年に、リアスは事情を説明しながら、自身の眷属達と共に全員頭を下げた。
そんなリアス達の態度に、赤ワインの入ったグラスを持ちながら聞いていた青年――クウラは心底馬鹿馬鹿しいといった顔を崩さないまま口を開く。
「突然雁首揃えて何を言いに来たかと思えば……。くだらん、何故俺が貴様等の面倒なぞ見なければならない?」
そう言ってワインを飲み干し、空になったグラスを横に差し出すクウラに、ボトルを持って待機していた小猫がグラスに注ぐ。
「自分で蒔いた種ぐらい、自分で刈れ。
負けたら大人しく勝者の言うことに従え。それが嫌なら自分達でなんとかしろ。
そんなくだらぬ理由に俺を巻き込めると思うのか? 貴様等程度の餓鬼に?」
「…………」
「そ、そんな言い方しなくても……」
容赦の無い言葉がナイフの様にリアス達を切り刻み、あまりな言い方に思わずイッセーがボソッと言うが、クウラはそもそもイッセーの事は眼中にも無かった。
(まあ、当たり前よね……)
やはり駄目だったか。
ほぼ予想通りだったリアスは内心思った。
そもそも今の魔王四人をまとめて相手にしても埃がついた程度のダメージしか負わずに殺す寸前まで追い込んだ猛者が、取引のサポート役としてある程度距離を保てる位置に偶然なっただけの、魔王の妹の一人というだけの一介の悪魔なんぞにクウラが興味を示す訳もなければ、頼みを聞いてくれる訳もなかった。
それは流石にリアスもわかっていた想定内の話だったので、あまりダメージは無い。
何故なら、リアスはクウラでは無く、クウラ――の部下の地位に今現在唯一なれている小猫にターゲットを絞っていたのだから。
「では貴方では無く、小猫さんに修行を付けて頂くというのはどうかしら?」
「え、私ですか……?」
クウラに頼めるとは元々思っていなかったリアスの言葉に、ちょっとビックリした小猫。
「彼女の力も相当なものだし、クウラさんの手を煩わせる事も無いと思うので……」
「はぁ……」
「…………」
どう? みたいな表情で見てる来るリアスや、クウラじゃなくて小猫なら寧ろアリみたいな顔をするイッセー等、クウラに比べたら何となくまだ手心を加えてくれそうな気がすると思ってホッとした顔をする他の眷属達に見られながら、ワインボトルを抱えている小猫はクウラを見る。
相変わらず無表情なのは何時も通りだが、何となくこの選択を間違えたら後々響きそうな気がする。
……と、何となく今のクウラの様子から感じ取った小猫は、リアス達に返事をした。
「あー……ご指名されたのは光栄なのですが、私も他人の修行の面倒を見れる程強い訳ではないので……」
クウラ曰く、現在の小猫の戦闘力はクウラのスパルタを越えた鬼畜なトレーニングの結果10万という数値らしい。
この数値にどんな意味があるのか小猫にもいまいちわからないが、今目の前に居るリアスと眷属達の戦闘力の平均が1000程度らしいので、それを考えたら今の小猫の戦闘力はこの世界では破格だったりする。
もっとも、ヒューマノイドとして転生した事によって力を大分落としてしまったとはいえ、今のクウラの戦闘力は1億に到達しているので、小猫は自身をかなり過小評価している訳だが。
「アナタも破格の強さよ? それこそ冥界に居る悪魔達が束になっても――」
「いやー……流石にそれは盛り過ぎですって。
クウラ様にいつもボコボコにされますし」
「いや、彼を基準にしたら皆そうだから……」
最近何故か襲撃してきた姉の黒歌と、クウラに言われて戦った時は信じられないくらい呆気なく倒せてしまったが、それは単なる偶然だと思ってる小猫は食い下がるリアスにとにかく首を横に振る。
すると、それまで黙っていたクウラが、かつてと同じ声――弟のフリーザとしょっちゅう間違えられてた声を放つ。
「見苦しいぞガキ共。
これ以上俺の所有物にちょっかいをかけるなら、今すぐ殺してやっても良いんだぞ?」
まさに絶対者の鶴の一声というべきだった。
並みの存在が放つ殺すという言葉の重みとは次元の違いすぎるその言葉に、リアス達は一気に何も言えなくなってしまった。
「所有物って……。小猫ちゃんの事をそんな風に言うのは酷いぜ……」
ただ、龍を宿した少年がクウラの言葉に納得できない様子を表に出してしまった事以外は。
「イッセー!」
口を滑らせたイッセーに慌てたリアスが一喝。
「す、すいません……! で、でも所有物呼ばわりはいくらなんでも……」
純粋な人間だったイッセーと元は宇宙人だったクウラとの価値観の違いなのだろう。
謝りつつもやはり納得できない様子のイッセーに、クウラが珍しく言った。
「コイツは蹂躙される生き方は嫌だと俺の手駒になる条件として傍に置いてやっているのだ。
そこの小娘や悪魔共のやってる仲良しこよしのお仲間ごっことは違う。
俺が使えんと判断すれば白音は切り捨てる、だが、価値がある内はこの俺の所有物だ。
そして俺の所有物に茶々を入れるのならその時は、そいつがどんなに泣き叫ぼうが、俺は容赦はしない――八つ裂きにしてやるまではな……」
「う……」
赤い眼光がリアスやイッセー達を射抜くと同時に、クウラという相手に洒落は全く通じないと再確認させられる。
横で所有物呼ばわりされたというのに、全く気分を害した様子も無く、寧ろ苦笑いしながらもどこか嬉しそうにしている小猫を見れば、本当にちょっかいをかけたら地獄が待っていると嫌でもわかってしまう。
(クウラ様の言ってることは本当なんだけど、そういう意味では無いからなぁ。
ちょっとそこは残念かな?)
とにかく宇宙最強でなければ気がすまないし、その為に人生を費やしていて女っ気が全く無いクウラの生き方は尊敬するものの、最近ちょっと寂しくも感じる事がある小猫は、今のところクウラの所有物として扱われている事に取り敢えず満足する。
「話は終わりだ。
とっとと失せろ」
『……………』
「こ、小猫ちゃんはそれで良いのかよ? 所有物って……」
「あー、それ以上言ったらクウラ様のお手を煩わせる前に私がアナタを消さなければならなくなるのでご遠慮願います。
それに、別に心配なさらずとも、私は今が結構楽しくて幸せですので」
「そんな……」
変な所にこだわる先輩だ。
イッセーを助ける意味で放った言葉に本人はまだ納得できない顔をしながらすごすごと帰っていくのを見送った小猫は、再び空になったクウラのグラスワインを注ぎながら口を開く。
「悪魔社会も大変ですよね。
昔私も危うくその枠に無理矢理はめられかけましたが」
「気に入らなければ力を示して我を通せば良い。
それも出来ん弱者共に構ってられる程俺は暇ではない」
「うーん、見事なまでにクール」
最近魔王の一人の実家から持ってこさせたお高いワインを飲むクウラに小猫は軽く笑う。
何気にクウラ相手にこうまで気安く出来るだけでも相当の心臓の持ち主というか、度胸だったりするが、何かがほんの少しクウラの中で変わってるのか、特に咎めたりはされない。
トレーニングは鬼畜だが。
「ヘラヘラしているが白音、さっきガキ共に言った事は貴様にも言えることだ。
お前が成体になるまでに戦闘力を300万程度に上げなければ、その時点で貴様に価値は無い、わかっているな?」
「わかってます……。
価値は自分で作ってみせますから」
成体になるまで後数年。
それまでにフリーザの第一形態以上の戦闘力に到達しなければならないというハードルは鬼畜通り越してNIGHTMAREだ。
しかし小猫はそんな無謀なハードルを最後の最後まで諦めずに飛び越える気でいる。
でなければクウラにとっての価値が無くなるから。
クウラに価値が無いと言われた瞬間、それは小猫にとっての死と同義なのだから。
「では早速トレーニングをお願いしたいんだけどなー? 良いよねクウラ様?」
「………………。かつて、俺の部下共ですらそんな口を叩けた奴等は居なかったと考えると、無駄に度胸だけはあるなお前は」
「こうでもしてないとアナタの部下なんてやれませんよ」
「……。フン」
だから到達してやろう。
会った事なんて無い、クウラをも倒した連中にある意味感謝しながら、白音という少女は修羅の道を突き進むのだ。
「あぁ、それとテーブルの下に隠れてる黒歌姉様? 悪魔の人達は帰ったのでもう出てきても大丈夫ですよ?」
「あ、うん」
最近どこぞの組織に身を寄せてるらしい姉がしつこいくらい出て来るとしても。
「ふー……一応お尋ね者だから騒ぎになると思って」
「だからって此処に来るのはリスクとして高いと思うけど?」
「だって白音がどんどんそこの鬼畜男に魔改造されちゃうから心配で……」
「………………」
「その鬼畜男のクウラ様のお陰で、今を逞しく生きていられるんだけどね私って?」
「それはわかってるし、感謝はするけど、容赦しなさ過ぎなのよクウラは」
リアス達が帰るまでテーブルの下に隠れていた、花魁みたいな格好をした黒髪の女性。
名を黒歌といって、彼女が白音の姉だったりするのだが、クウラは特に関心も無さげにワインを煽っていた。
「お酒なんて飲んでるし、飲んだ勢いで襲われたら大変よ?」
「クウラ様はお酒が引くほど強いから無いよ」
「でも男は繕ってても獣さんだし……」
普通にいつの間にか妹に実力を大幅にぶち抜かれたせいなのか、かつての頃のわだかまりは霧散している。
ただ、その代わりに容赦の欠片も無いクウラの部下をやってる妹が普通に心配で、こうしてちょくちょく様子を見に来ている。
他の理由もあって……。
「それで、オーフィスがクウラを勧誘したいんだってさ?」
「オーフィスって確か無限の龍神ですよね? 前にクウラ様に引くほどボコボコにされた……」
「そっ、無駄口も叩かない静かな態度がツボなんだってさ。
で、クウラ的にはどうかしら? 別に下に付けとは言わないってオーフィスは言ってたけど」
「龍の神と呼ばれるからどんな者かと思えば、ただのガキの姿をした小娘で、その癖拍子抜けする程の実力だった奴の要望に何故俺が応える必要がある? くだらん」
「だよね~? うん、そう言っとくにゃん」
身も蓋もない台詞に黒歌は笑ってしまう。
白音に頼み倒されて仕方なく黒歌は殺してないし、別に殺す価値も無いのだが、最近になって白音とトレーニングしてるせいか、黒歌の戦闘力はそれなりに上がっている。
数値でいうと9000という、この世界的に最強クラスを名乗れるレベルに。
ただ姉妹は似るのか、その自覚が黒歌にもまるでないらしい。
最初はよくてサイバイマンくらいの戦闘力だったのが数ヵ月でこの数値まで上げた辺りは潜在能力はピカ一だが……。
「あ、それとさっき悪魔さん達に白音は自分の所有物だって言ってた件! 聞き方によっては誤解を招くからあまり言わない方が良いわ!」
「俺の物だから俺の物だと教えて何が悪い」
「いやだからっ! う、うーん……クウラって性欲とかあるの?」
「皆無だよ。宇宙最強の称号が一番だもんクウラ様にとっては」
「貴様等地球人みたいに猿の様に、無駄に数だけを増やす下品な真似などするか」
「ね?」
「拗らせた童貞君みたいだにゃ……」
ある意味今日もクウラ軍(部下一人のみ)は平和なのかもしれない。
補足
まあ、この世界でマスクシャッキーンしたらそれこそ
『この星ごと、消えてなくなれぇーーーっ!!』
になっちゃうよね。
その2
最近出た変身クウラの演出も最高なんだけど、その前に出たメタルクウラも必殺演出がイケてるんですよね。
てか、彼が出てから必殺演出に運営が本気出し始めたというね。
ともかく、変身クウラをリーダーにした変身強化パを最近使いまくってるんだぜ。
変身悟空 速超2悟飯 4凸未来変身トランクス 極限力Pセル 極限技ゴルフリで組むと、悟空伝という高難易度イベントも無双よ。