なので、ちょっと脱線。
これは遡って、三馬鹿トリオ編のアレのその後みたいなアレです。
※途中まで書いて放置してた話
摩訶不思議な冒険と、摩訶不思議な出会い。
神にすら平気でニヤニヤと喧嘩を売っては、タコ殴りにする災害であり三馬鹿とも呼ばれた若者達は、一度不可思議な過去の世界へと飛ばされた。
現代っ子である若者達にとって、その世界は何かと不便だったし、何より『嘘だろ……』と思うような現実だらけで大変だった。
でも決して大変だけであった訳ではない。
ソフトクリームも、チーズバーガーも、コーラもまだ存在しない世界だったけど。
ゲームセンターも、テレビも、パソコンも、三人にとっての強者も居ない退屈な世界だったけど。
確かにこの若者三人は、其々の出会いを経験し、三人だけであった繋がりを広げる事ができた。
協力し合う仲間としての……
ありきたりな事を語り合う友としての……
愛し合う者としとの……
ちょっぴり強引で、ちょっぴり圧され気味だったけど、若者達はそんな経験をする事で、食べ物一個で殴り合うアホみたいな喧嘩もしていた子供から、大人へと一歩進むことが出来た。
何時か別れの時が来るという予感をしながらも、若者達は其々出会った者達との不器用な繋がりを大切にする様になったのだ。
その繋がりこそが、新たな奇跡を生み出す事になると知るその時まで――――
どうかしていた。
そうとしか思えないし、思い出すだけでも身の毛がよだつ。
今にして思えば、どこに惹かれる要素があったのかも、考えるだけで吐き気すら覚える一人の男を、仲間や友達と奪い合うという日々。
それによって、手放してはならない繋がりを捨ててしまった事。
全てに気付いた時には全てが遅く、手放してしまった繋がりはこの世から消え去ってしまった。
自分も、そして自分と同じように正気を失っていた者達は後悔をした。
後悔をし続け……永遠なる喪失感を抱いたままその生涯を閉じた。
だから、二度と覚めることのない眠りについたと思っていた我々が、その意識を再び覚醒させた時に見た景色を理解した瞬間、これはきっと我々にとってのやり直しのチャンスなんだと歓喜した。
彼を……彼に対する贖罪と、今度こそ手放さないという誓いを果たせるのだと。
同じような誓いと記憶を持つ同志達と密かに結託した我々は、まだ何色にも染まっていない筈の彼を探した。
探して……探して……。
でも何故か彼の姿が見つからず、予定よりも遅くなった状態で漸く彼の――かつて手放してしまったっきり会うことの無かったあの時の姿とまるで同じ彼を見付け――――
「よし、アザゼルから仕事を貰えたぞ」
「ナイスだヴァーリ」
「食うものには困らなくて済みそうだぜ」
我々は絶句した。
笑っている彼が、あの時と同じ――多分我々の後に知り合っただろう仲間の青年二人と一緒に居るのまでは良い。
もしかして、ひょっとしたら彼等も我々と同じで『覚えてしまっている』という不安に駆られたにせよだ。
問題はそんな彼に、我々が追い求めた彼の傍に……。
「取り敢えず家だけは確保出来たから、一旦そこに全員で暫く生活して貰うが、大丈夫か?」
「うん……恋もねねも大丈夫。
一誠と一緒ならどこでも……」
「こうなったらとことん面倒を見て頂きますからな!」
私と似た赤い髪の女……。
私と同じく手放してしまった龍に近いタイプの女……。
それだけでは無い、彼や彼等の傍にいる見た記憶の無い女達……。
「だ……誰よ……? あの子の傍に居るあの女は……?」
その現実が。私が夢想していた理想の展開が粉々にされていく中、私も……そして私と同じく彼とのやり直しを夢想していた同志達は、私達の存在なんて不必要だと云わんばかりに幸せそうな彼や……私達の関係が一切無い彼だけの繋がりを持つ者達と幸せそうに笑っている姿を見て、呆然と……ただ何も出来ずに立ち尽くすだけであった。
ヴァーリ・ルシファー
曹操――否、ジンガ。
兵藤イッセー
通称・神滅三馬鹿天災トリオ―――と、呼ばれて一部界隈に結構恐れられていたのは過去の話。
基本的に子供っぽさが抜けきれない共通点持つこの三人は、パラレルワールドの過去の三国時代に、高々チーズバーガーを食っただ食わないだのという理由の大喧嘩と果てに次元をぶちやぶって飛ばされた………なんてしょうもない事をしでかした。
そして、各々が別々の場所に落とされ、力も削がれた状態で、女性化してる三国英雄達と出会い、なんやかんやあって元の時代へと戻る為の足掛かりとして協力し、なんだかんだ仲良くなっていき、その結果三人は時には互いの主張の食い違いによる大喧嘩をやりながらも、統一に成功し、自分達が飛ばされた時系列よりは少し過去の現代へと帰還を果たした。
が、しかし……。
困った事に――いや、多分今となってはもう困るという気分は皆無なのだが、どうやら帰還した際、其々こよ三馬鹿に対して特に強い想いを抱いていた者達が―――いや、恐らくは最も互いに『親しき関係』と認識し合った者達が何名かこの世界へと『来て』しまったのだ。
「アザえもんさんはなんて?」
「パラレルワールドの過去の世界なんて荒唐無稽過ぎて訳わかんねぇ………だそうだ」
「それはそうだろうな。
しかし現にあの時代を生きていた者達が何名かこっちに来てしまってる。
俺達が其々その者と『親しくなりすぎた』者達がな……」
それが果たして宜しい事なのかと言われたら、多分よろしくは無いのだろう。
だから三人は困った時の堕天使であるアザえもんこと、アザゼルに事情をぶちまけてみたのだが、そのアザゼルは三馬鹿が一々綺麗所なパラレルワールドの過去の女性と親しくなっているという所に驚きを隠せなかったらしく、微妙にニタニタされてしまった。
そしてそのニタニタついでに、取り敢えずその彼女達の衣食住の確保の協力をして貰った。
「まあ、例の奴の事なんて最早考えなくても良いし、割りと悪くないとは思うぞ。
アイツ等も中々順応してるしな」
「まぁな……」
「元から殆ど何があっても動じないタイプばっかだもんな」
帰還と同時に削がれたパワーは取り戻した。
それによってこの時代に飛ばされた彼女達を守るのには問題は無い。
無いのだが……。
「おい、向こからこっちを見てるのはリアス・グレモリーとその愉快なお仲間達じゃないか?」
「よく見たらオーフィスも居るんだが」
「げ……」
どうやら単にのほほんと暮らしていくには多少まだ問題が残っているらしく、三馬鹿の内のイッセーとかつて繋がりがあった者達が絶望と驚愕半々の形相でこっちを見てる現状に、『最早完璧なる繋がりを手にした』イッセーはめんどくさそうに顔をしかめるのだった。
「まったく、アザゼルも良い性格をしている。
この事を見越してわざと連中に見せびらかす様にこんな場所に住まいを寄越したな」
人間界・日本・そして駒王町。
お察しの通り、アザゼルが三馬鹿に与えた住まいはまさにその町にあった。
それは恐らく、兵藤イッセーに対する後悔の記憶を持つだろうと『予測』したアザゼルが『盛大な嫌がらせ』の為にわざと演出したものであり、そのアザゼルの予想は、リアス・グレモリーと愉快なお仲間達が、用意された新居の門からこっちを覗いてるその顔を見れば大当たりと言わざるを得ないだろう。
「……イッセー、あそこに居るのは誰?」
「この世の終わりみたいな顔してこっちを覗いてる女性が複数人確認できますぞ」
「あー……昔の上司かな。
でも関係は切れてるから今はもう関係ないから気にしなくて良いぜ」
めんどくせっ! と、もはやすっぱりと彼女達に対する情が消し飛んでるイッセーが、いい加減そろそろ覗くのはやめてくんないかなと、かつての上司的な存在や、友達だった気がしたドラゴンに思っていると、腕から背に掛けてタトゥーの様なものが彫り込まれた赤い髪をした、ぽーっとしてそうな少女が、くいくいとイッセーの服の袖を引っ張りながら連中を指差してるので、適当に返す。
「前にイッセーの言ってた『あくま』の女?」
「あーうん……」
「……………………」
「いや、もう真面目に無関係だからそんな目で俺を見ないで……」
「恋殿は不安なんですよ。
一誠が眠っている時に魘される理由だって知ってますから」
「それももう克服したし、ホント大丈夫だよ」
名を恋という――向こうの時代では呂布と呼ばれた武将だったりするのだが、そんな恋や恋とは姉妹の様な仲である明かい緑色の髪を持つ小柄な少女とイッセーは、確かに『切っても切れない仲』であった。
「………」
パラレルワールドの虎牢関の戦いがイッセーと恋の最初の出会いで、当時ヴァーリとジンガとの繋がりしか信じてなく、その二人とも別々の勢力に留まっていたので、ストレスが半端無く、最終防衛ラインを務めていた恋を馬乗りになってボコボコにした――みたいな、おおよそ仲良くなれるとは思えぬファーストコンタクトだった。
その後、紆余曲折あってイッセーが留まっていた側の勢力に恋が降り、ストレスがフルとなって些細な事でもマジギレしまくってたメンタル最悪期の状態で再会し、当初は下手をしたら恋が殺される可能性もあった。
「イッセーは渡さない」
「おう、俺も渡る気はねーぜ」
だが、恋はそんなイッセーを恐れずにその氷の様に凍てついた心を溶かしていった。
溶かした結果、他の世界の未来からやってきた一人の青年に唆されて、恋に対して当時年上にしか興味がなかったイッセーが半分嫌々で原始人みたいなナンパをした結果―――――イッセーは大人になった。
大人になり、恋や恋を慕うこの音々音という少女との関係性が深くなり……対には今に至る結果となった。
「今更連中と組んでもメリットの欠片も無いしな」
「また力だけ利用されてポイされるのが関の山だろう」
「それ以前に、関わりたくねーわ」
それは、このヴァーリもジンガにも居る。
いや、ある意味散々イッセーの女癖の悪さに呆れていた分際で、今となってはこのイッセーよりもある意味凄い関係性を築いているというべきなのか……。
まあ、今は割愛しよう。
其々ヴァーリとジンガに用意された住まいに、その者達が待っている……とだけは言えるのだから。
「取り敢えず俺達は戻るが、何かあったら直ぐに駆けつける」
「今更誰に何をされるとも思えねーが……」
「一応だ。
その子達の事もある」
過去を振り切り、完全なる自分達のコミュニティを完成させた今、彼女達が何を思ってあんな所で訳のわからない真似をしてようとも、イッセーは関心を持たない。
それがもし恋やねねになにかするというのなら…………完璧に始末を付けるが。
「じゃあ」
「おう、明日会ったらげっそりしてるなんて事はないよーにな」
「笑えない冗談はやめてくれ……。苛烈なんだよアイツ等は……」
其々いやがらせ大好きアザゼルによって用意された自宅へと帰っていったヴァーリとジンガを恋とねねとで見送ったイッセーは、まだ塀の向こうからこっちを見ている連中を一瞥すらくれる事無く、二人とともに家へと入っていく。
「一誠、まだ見てますけど……」
「放っておけ。どうせ何もできやしねぇよ」
「でもずっと一誠の事を見てる……」
「見られた所で俺は何も思わないよ」
パラレルワールドの過去の世界の武将と軍師の二人と、現代へと戻っての新たな生活に連中は関係無い。
あの様子から見て、どうやら『自分達の行いを覚えている』様だが、別にそのことを最早恨んですらいないイッセーにしてみれば存在も含めて死ぬほどどうでも良いし、珍しく恋が少し連中に対して警戒している。
そのせいか、居間へと共に入った瞬間、一誠は恋に抱き寄せられた。
「どうしたんだよ……?」
「前から話だけは聞いていたし、一誠にそんな気は無いって恋もわかってる。
でも……ちょっとだけ不安だから」
抱き寄せられ、その場に二人で腰を下ろし、それを見ていたねねはいそいそとその場を退散する。
「一誠とずっと居たい。
その為なら名を捨てて、ただの恋で良い。
もっと一緒に……傍に居たい」
その強さも、隠された弱さも知っている。
知っている上でずっと一緒に居たい。
その想いが一誠の時代へ共に渡れたのかもしれない。
いや、この際理由なんてどうでも良い。
一誠の自身の過去の残骸がしつこく残っているのだとしても、恋は決して譲る気なんてない。
自らが進んで切り捨てた癖に、今になって求めるなんて許せない。
だから恋は、抱き合う形になった瞬間、放心した状態になってる覗き連中に判らせる為……そして見せ付ける様に一誠の体温を独占し……。
「もっと……もっと一誠との子供が欲しい……」
渡してなるものかと頑張る。
兵藤イッセー
パラレルワールドの過去で幸福を手に入れた赤龍帝。
無神臓
呂布
真名・恋
ヴァーリとジンガでも塞ぎきれなかった一誠の心の穴を塞いだ神器使いの少女。
「なるほど、彼にとっての過去の遺物がつきまとっていると……」
「今更どうにもならない程に二人の関係は深いからなんの心配はしちゃいないんだがな」
「でしょうね。
アナタと違って、手がお互いに早いもの。ホント、アナタに自覚させるのは骨が折れたわよヴァーリ?」
「あんなの、今でも俺は忘れんぞ華琳……」
「役得と思いなさいな? ふふ……私達全員で仕掛けた時のポカンとしたアナタの顔はずっと忘れないし、不能ではなかったと安心したわ」
「……………あんな真似を全員から一斉にされたら仕方ないだろ。
ジンガの所じゃあるまいし……」
「あんな肉食の獣みたいな連中といっしょくたにされては心外ね」
ヴァーリ・ルシファー
パラレルワールド過去の魏の者達によってEDではなかったらしい白龍皇。
平然とそれまでの地位と名を捨ててヴァーリについてきた魏の者達に基本尻に敷かれ気味。(逆転することもある)
「や、やめてくれ炎蓮! 俺は普通に寝た――」
「あぁん? オレをその気にさせといてそのまま寝れると思ってんのか? そーら! 雪蓮達も手伝え!」
「はーい♪」
「ひぇぇっ!? な、なんでお前達までこっちの時代に来てしまっんだぁぁっ!!?」
曹操
真名・神牙
ポジティブで割りと主人公気質で前向き気味なせいか、呉の皆さんにめっちゃ気に入られて、もれなく付いて来られてしまった草食動物にならざるを得ない最初の神滅具の使い手。
備考
散々イッセーに対して『女に不真面目』と言ってきたが、そのイッセーの方が一番まともになっている件。
終了
補足
やったね曹操くん! 望んでないけど某リト神様なみのハーレム王だぜ!
ヴァーリきゅんもEDではなかったぜ! やったね!
その2
年上好きでナンパばっかしててハーレム王がどうたらと言ってた彼が、寧ろ一番落ち着いたというね……。
恋ちゃまがスゲーのだろう……。
その3
続きは無い。
多分誰も望まんし。