色々なIF集   作:超人類DX

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今回はかなり手抜きの適当です。


ただの学園祭

 本来ならば、アイツだって人当たりば良い筈だ。

 

 それが無いのは、やはりリアス達と別離してしまったからなんだろう。

 

 今のアイツは針の様に鋭く、氷の様に冷たい。

 

 自分かその他……極端な思考しかできない。

 

 

 その思考を和らげる為に、俺でもあの時は驚かされた小娘――イヴには強くなって貰わんとならん。

 

 何時アイツの中の理性が飛び、手当たり次第壊しまくる存在になってしまったら、俺はアイツを止める事は出来んからな……。

 

 

 宇宙人とやらの中に、アイツを脅かし、記憶に焼き付ける程のパワーを持った奴でも居れば少しは話も変わってくるのだろうが……。

 

 

 

 学園祭が始まった。

 リト達のクラスであるアニマル喫茶は、基本的に女子達がメインなので、男子達は裏方作業が主な仕事だ。

 

 リトもその裏方作業人の一人であり、淡々と振られた仕事をし続けた。休憩無しで1日中。

 

 その間に、リトは名前も既に消し飛ばしている二年の天条院沙姫とお供達がララとひと悶着あった様だが、リトには全く関心の無い話だし、一般解放である二日目の為に本当に休憩無しで裏方作業を続けるのであった。

 

 

 そして二日目。

 文句ひとつ言わずに初日の裏方作業をしていた理由はまさにこの日のためだった。

 

 

「リトは自分のクラスのお手伝いとかしないの?」

 

「その為に昨日休憩無しのノンストップで雑用をやったんだ。

猿山ともそういう取引もちゃんとしたし、フリーだぜ」

 

 

 妹の美柑と学園祭を回る。

 普段家事からご飯やら、小学生らしからぬ事をさせてしまっているからこそ、今日はただただ楽しませようとリトは珍しく、イッセー的な意味でも気合いが乗ってた。

 

 

「これがガクエンサイですか……」

 

「そっか、ヤミさんは学校とか通った事ないもんね?」

 

「ええ、なのでとても新鮮です」

 

 

 ……。美柑がせっかくだからとヤミを誘ったので、おまけ付きではあるが。

 

 

「結城リト、たい焼きは?」

 

「ここに来てまで食う気かよ……?」

 

「良いんじゃない? 好きなんだし」

 

「……探しゃあると思うが、あぁ、何十個も頼んだらその時点で自腹切らせるからな」

 

 

 何時もの格好だと目立つ……いや、目立たないかもしれないけど、念には念という事で嫌々買い与えた私服を着ているヤミと、同学年の男子から結構告白までされてる美柑と学園内を歩き回る。

 

 一般解放日なので、他の生徒の父兄達等々も居るし、ナンパ目的でやって来た他校の生徒も見える。

 まあもっとも、ヤミと美柑は目付きが悪い男が傍に居るせいで誰も声を掛けられることもなく、学園祭を満喫できる様だ。

 

 

「キーッ! ララのせいでとんだ目に遇わされましたわ! この屈辱は必ず……!」

 

「ねぇリト、あそこにいる女の人が今ララさんの名前を……」

 

「気にするな。ただのヒステリックだろ」

 

「はぐはぐ……」

 

「おい、キミはリスか……。

落ち着いて食べろよ」

 

「地球の食べ物は舌に合うのでつい……」

 

 

 意外な程に面倒見良くするリト。

 やさぐれたとはいえ、側さえなんとか抜けられさえすれば口の少し悪いただの兄ちゃんなのだ。

 

 

「リトのクラスに行ってみようよ?」

 

「え……」

 

 

 視界に入る出店全てを制覇する勢いで、すっかりどこかの白猫みたいな食いしん坊キャラになってるヤミは置いておいて、他学年や他クラスの出し物を見て回り終えそうな頃合いに、美柑が唐突にリトのクラスを見たいと言い出した。

 その時のリトの反応からお察しする通り、リトは自分のクラスが何をしているのかを美柑に話していない。

 

 何せ普通に教育に悪そうな格好で喫茶店してるだなんて言いたくはないし、『えっちぃのは嫌い』と言って割りとうるさいヤミだって、あんな格好してる女子だかけの喫茶店なんて見ただけでなんか言いそうだ。

 

 

「いや、つまんないと思うし……」

 

「リトのクラスの皆さんが頑張ってるのに、つまんないなんて言うのは失礼だよリト?」

 

「う……」

 

「……? 何をそんなに嫌がってるんですか?」

 

「…………………」

 

 

 絶対引くからだ。と内心思うが、上手い言い訳がこんな時に限って浮かばないリトは、二人に引きずられる形で、今ごろ盛況してるのかどうかも考えたくなかったアニマル喫茶へと来てしまった。

 

 

『いらっしゃいませ、アニマル喫茶へようこそ〜♪』

 

「…………………」

 

「わぁ」

 

「連れて来たがらなかった理由はそういう事ですか……」

 

 

 布面積が狭いコスプレしてる女子達が、鼻の下伸ばした男性達の接客をしている光景。

 どうやら昨日の騒ぎのせいで余計客足が伸びてしまったらしく、教室内はそれはそれは大盛況であった。

 

 そんな状況を見て美柑は……別に引いてはなかったし、ヤミもなるほどと呟くだけで特には引いてなかった。

 

 

「三名様お席ご案内~………って、ゆーきじゃん?」

 

 

 『超並んでるし、待つのもアレだし入んなくても良いだろ?』というリトの提案も虚しく、折角だから入ってみたいと美柑が言ってしまえば、結城家のヒエラルキー最下層のリトは従うしかなく、渋々の嫌々並び、ついに裏方作業員としてではなく、単なる客としてアニマル喫茶に入った。

 

 すると、ちょうどフリーだったらしい未央が微妙な顔して突っ立ってたリトに気付いた。

 

 

「…………。ご盛況みたいで」

 

「お陰さまで。

えっと、このお二人は?」

 

「妹と…………なぁ、俺とキミってどんな関係だそういや?」

 

「利害の一致による修行相手ではありませんか?」

 

「そう、そんな感じ」

 

「なによそれ? でもこっちの子が妹さんって……凄く可愛い子じゃない!?」

 

「そりゃ当たり前だろ」

 

「あっはは! やっぱりゆーきってシスコン入ってるわ! ま、それよりもお客さんとして来たのなら席に案内するからついてきて!」

 

 

 言葉の節々からやはりシスコン気味だったと笑う未央に案内されて席に座る三人はメニューを渡される。

 中身は散々昨日自分で用意した物だったので、二人に選ばせる。

 

 

「どれでも好きなもん頼めよ」

 

「では全部を――」

 

「良いけど、キミは自腹切れ」

 

「むっ、ではこのケーキで良いですよ」

 

「私もヤミさんと同じので良いや」

 

 

 無難にノーマルセットを頼み、接客バイト慣れしている未央がテキパキと動くのを何となく見るリト。

 

 

「…………」

 

「あの人と仲良いの? 夏休みの時何度かあの人がアルバイトしてる喫茶店に連れてってくれたけど……」

 

「いや別に? タダ券とか半額券くれたってだけだし、ただのクラスメートだよ」

 

「それにしてはあの方とは結構喋りますが……」

 

「聞かれたら答えるくらいの会話はするさ俺も。

ただ進んで話そうとはしないだけで」

 

「それが駄目なんだと―――あ、ララさんだ」

 

 

 兄の家とほぼ変わらない学校生活に軽くため息が出る美柑がふと見ると、これでもかと鼻の下伸ばした男達に大人気なララの姿を発見する。

 

 

「やっぱりスタイル良いねララさんは……」

 

「だろうな」

 

「だろうな……って、何時もそれだけだよねリトって?」

 

「それ以上の感想が無いからな」

 

「これだよ……はぁ」

 

 

 同じくララを見て、なんとも淡白すぎる事しか言わない兄にため息が再び洩れる。

 

 ララを居候させてから、こうして話をすることが出来るようになったが、ララが来る前は今よりも酷いレベルの無口で、軽く避けられてすら居た。

 

 いや、それでも然り気無い優しさを知ってるのでそれでも良いと美柑は思っていたけど、ああも異性に対して無関心すぎると逆に妹して心配にすらなる。

 

 いや、とっかえひっかえ女性と一緒に居られても困るが……。

 

 

「やっぱりお母さんがリトに過保護過ぎたせいなのかぁ……」

 

「お母さん? というと二人の母親ですか? そういえばまだ見たことがありませんが……」

 

「デザイナーとして世界を飛び回ってて家に帰ってくるのはたまにだからね。

でも帰ってくるといっつもリトを構い倒すんだよね……。それも結構過剰に……」

 

「………………………」

 

 

 母・林檎についてヤミに語る美柑に、リトは微妙に顔色を悪くする。

 そう、ドライグも前にリトとの会話で出した通り、母の林檎はどうにもリトに対する愛情が少し過剰なのだ。

 

 それは心肺停止の状態でリトが生まれ、『奇跡的に』息を吹き返したからというのもあるが、どうも林檎はリトは身体が弱いと軽く思い込んでる節があり、たまに帰ってくるとそれはもう、強めのスキンシップがある。

 

 

「この前帰って来た時も逃げようとしたリト捕まえてお風呂に一緒に入ったし……」

 

「……………」

 

「ほぼ間違いなく一緒に寝ようとするし」

 

「……………………」

 

「多分、今ララさんを家に住まわせてるって聞いたら軽い修羅場になるかも……」

 

「よくはわかりませんが、大変なんですね結城リトも……」

 

「……………」

 

 

 美柑に、リトに軽く女嫌いの気があるのは母のせいかもしれないと思われてるという意味も込めて、ヤミはチビチビとジュースを飲んでるリトに軽く同情するのであった。

 

 

『メールではなく、毎日電話で声を聞かせる事を怠ると全部の仕事を放り捨ててまで家に戻ってくるぐらいの筋金入りだからな……。お前の髪の色が間違いなく母譲りなせいか余計に……』

 

(俺は罪悪感でそのつど死にたくなるぜ……)

 

 

 

 まるでどこかの世界線のババァ――もとい、過保護は悪魔母のように、結城家の母は長男に激甘なのである。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 ほんのちょっぴり未来・帰還せし母。

 

 

 この日、リトは父である才培から聞かされたある話のせいで家から逃げようとした。

 けどしかし……才培のほぼ事後報告のせいで間に合わなかった。

 

 

「リト! リト!! また少し背が伸びたわね? 身体つきもしっかりしてるし! お母さん嬉しい!」

 

「…………………」

 

 

 リトと同じ髪の色をした女性……というか結城林檎の帰還は、結城家長女の美柑以外の――つまり結城家に居着いてる者達をそれはそれは驚かせた。

 

 それはハイテンションで息子のリトに頬擦りまでして激しいスキンシップを敢行し、リト本人もされるがままになっているからだった。

 

 

「す、すごいねリトのママって。

リトにあんな……」

 

「実の母だからこそ可能なんでしょうけど、それにしても……少し過剰な気がしますよアレは」

 

 

 どうしたら良いかわからないといった困惑顔のリトに 母である林檎はこれでもかと抱き締めまくる。

 しかし問題はここからだった。

 

 

「話は大体聞いたけど、まず聞くわ。

………アナタ達はリトの何?」

 

『…………………』

 

 

 主に女性陣が。

 それまで息子のリトに甘々だった林檎の目付きが、猛禽類の様に鋭く、殺る気スイッチがオンになったリトを彷彿とさせる殺気まで放っている。

 

 

「どうやら大なり小なりリトに対して思うところがあるみたいだけど、そんじょそこらの小娘なんぞに私の可愛すぎる息子を渡す気なんて更々無いわ。

顔だのスタイルが良いだけの雌ではまず話にもならない」

 

「あの、母さん……別にそういう訳じゃ――」

 

「ダメよリト! 確かに大半はアナタにとってそうみたいだけど、この中に確実にアナタが心を開いてる子も居るんでしょう? 今の目の動きを察するに――――この子とこの子かしら?」

 

「「!?」」

 

 

 一瞬でリトがかなり心を開いてる相手がナナとイヴであると看破してみせた林檎。

 それに対してリトは肯定も否定もしなかったが、却って確信を持たせてしまう。

 

 

 しかしそれ以上に林檎はどうにも―――

 

 

「ふむ、この子達三姉妹の母親ね……。

何故私の息子に人の親である貴女がちょっかいかけてるのか――――――納得のいく説明をして頂けますかしら?」

 

「だ、だってババァって言うから……」

 

「この子達にとっては貴女も私も十分そう呼ばれる歳でしょうに? それに、余程この子を怒らせなければそんな言葉をぶつけられることもないと私は思いますが?」

 

 

 何故か居る三姉妹の母が息子にちょっかいかけてるのがとてもお気に召さなかった。

 

 

「リトに一応聞くけど、このセフィさんという方に何か思うことは?」

 

「脊髄反射的に蹴りを入れたくなる程度には嫌い」

 

「」

 

 

 コンマ0.5秒で返されてまた凹むセフィ。

 

 

「む、リトと添い寝ができるですって?」

 

「えっと、寂しいのは辛いだろうと思って……」

 

 

 何気に自分以上に懐かれてるナナに軽くジェラシーしたり。

 

 

「美柑……頼むから今日はお袋と俺の間に入って寝てくれないか?」

 

「そうでもしないと大変だもんね、こればかりは良いよ」

 

 

 小娘達相手にリト自慢しまくってる林檎にげんなりしたりと……リトは大変だった。

 

 

「お、お願いしますリトのママ! チャンスを! 私にもチャンスを!」

 

「どうしたらリトさんにちょっとだけ優しくして頂けるのかのレクチャーを!」

 

 

 そして後が無い長女と三女と何気に母は、林檎に土下座する勢いでリトが少しでもデレる方法をレクチャーして貰おうと必死になるのであった。

 

 

「お断りよ! 今からリトとお風呂入るのに、教えてる暇なんて無いわ! リトー! お母さんとお風呂入りましょ♪」

 

「…………」

 

「あの、結城リトは寝てしまいましたが……」

 

「むっ!? アナタは確かヤミちゃんね? ………むむっ! リトを膝枕するなんて……!」

 

「あ、いや……。(寝た振りするから付き合えって本気の顔して言われたからなんて言えない……)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞いていた以上に強烈でしたね、アナタの母親は……」

 

「本当の結城リトがあの人の腹から出る前には死んでしまって、その空になった器に俺の魂が入ったらしいんだよ、ドライグが言うには。

だけどそんな話をあの人が知ってる訳もないから、あんな感じになっちゃったんだ。

だから俺のせいなんだよあの人の事も……」

 

「そんなに自分を責めちゃダメだ。

リトの母上は知らないにしても、あの人にとってはイッセーであってもリトなんだから……」

 

「…………ああ、悪い」

 

「ほら、考えすぎちゃダメだってば。

ぺたんこで悪いけど、アタシでよければぎゅってしてやるよ? 少しは気も紛れる筈だから……な?」

 

「プリンセス・ナナはクイーン・セフィよりも母親みたいですね……」

 

「それでリトの気が紛れるなら、そう思われても良いよ。

お互いにリアス・グレモリーには勝てないってのは解りきってるだろ? でも、それでもアタシはリトとしても、イッセーとしても傍に居てやりたいって思うんだ」

 

「…………。そういう所はアナタに敵いませんね」

 

「別にリアスちゃんは……」

 

「あー言わなくて良いよそれ以上は。

一度夢の中で彼女と会って話をした時、悔しいけどイッセーとしての最良の相手は確かにリアス・グレモリーだって思い知らされたもん。

でも、それでもお前の事は放ってなんかおけないよ……」

 

「………」

 

終わり




補足

ヤミたそー

それはまるで白猫さんくらいの食いしん坊キャラに変貌してしまうヤミたそー……。

しかし残念なことに、リーアたん裏切り組なんで思い出すこともなければ、思い出した所で、捻り潰してやったことを思い出すだけという……。


その2
こっちが某ヴェネナラのママンに近いという。

………………これスゲー仮に執事一誠が憑依し、セフィさんとひと悶着あったあとにヴェネナラのママンが出動したら――――――どうなんだろ?


多分ヤミたそーは小猫たんとめっさ小競り合いしそうだし、ナナたそーは激強ポジなんだろうし、美柑ちゃまはミリキャスちゃまと妹頂上決戦しそうやで……。


三馬鹿だったらなぁ……。

多分曹操こと神牙がリト神化してて、ヴァーリきゅんは天然で口説いてて、イッセーは猿山くんとモテない親友になってそうだ。

小分けしちゃうと、ヴァーリが年上系

神牙がオール

で、やっぱイッセーは―――お分かりいただけるだろう?



その3
ナナたそー…………………やっぱ強い(確信)




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