色々なIF集   作:超人類DX

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前回の…まあ、後日談みたいな。


没の2

 自分が世界で1番強い。

 

 王に補食された最期となっても尚も変わらぬ北崎の芯は異なる世界による『刺激』により、その力を更なる領域へと昇華させていた。

 

 

「ねぇ、教えてよ? キミがしてることってそんなに楽しいの?」

 

 

 無論オルフェノクとしての力と記憶を思い出した当初は、この世界に蔓延るオルフェノクではない怪物達の力に適応出来ずに苦戦した。

 だがしかし……。

 

 

「動けない人を嬲って、大声出すだけの事がそんなに面白いの? ねぇ、教えてよ? ねぇ~?」

 

「いきなり現れて何を言ってやがるんですかコレは? 頭でも沸いてんのか!? 邪魔するならオメーも悪魔に与するクソ野郎って事で殺しちゃうぞコラ!?」

 

「お、お前北崎だろ!? 奴をあまり刺激するな! 逃げろ!!」

 

 

 灰色の龍は勝つ度にその力を強大化させていった。

 世界で1番強いから――自分が王様だから。

 

 子供じみた事を彼なりに馬鹿真面目に思い続けているから……。

 

 

「んー? キミ誰?」

 

「し、知らねーのかよ!? そ、そうか……お前学校とかあんま来ないんだったな。

同じクラスの兵藤だよ! 兵藤一誠!」

 

「ふーん? その兵藤くんが何をしてるの?」

 

 

 そんな北崎は今、最近めっきり無くなった面白い事を探す為に、今根城にしている町を宛も無くフラフラとさ迷っていた。

 そもそもこの町に居る理由も、他と比べたら随分とオルフェノクとは違う強い生物が居て、面白そうだからといったアバウト過ぎる理由だった。

 

 が、死によってオルフェノクへと覚醒した――北崎にしては珍しく『仲間』だと思っている少女に色々と調査して貰った結果、どうにもこの町を根城にしている悪魔という生物は好戦的なタイプでは無かったらしく、しかもそんなに強そうでも無かったので、北崎は軽く飽きていたのだが。

 

 

「お、俺はその……。い、いや俺の事よりお前だよ! 逃げろ! ソイツは見た通り普通じゃ――」

 

「なぁぁにごちゃごちゃ言ってんだ! 今更逃がす訳ねーだろボケがァ!!」

 

「!? き、北崎ィ!!!」

 

 

 無駄に夜の町を徘徊したお陰で興味を引く現場に遭遇出来た。

 変な格好をした奴がまるでオルフェノクみたいに人間を襲い、泣いてる金髪の少女やら顔が青い――クラスメートらしい少年。

 

 ここで例のベルトの持ち主でも現れたら、北崎的にはラッキーなのだが、まあ流石にそれには期待出来ない訳で……。

 

 等と思いながら喧しく自分の名前を叫ぶ少年と、その横で目を覆ってる金髪の少女に意識を向けてると、背中に軽い衝撃が襲う。

 

 

「ん?」

 

 

 振り向いてみると、すぐ目の前に白髪の神父服を着た少年が信じられないといった顔で立っている。

 一体どうしたのだろうか? ふと更に後ろを向けば、兵藤一誠と名乗った少年と名前は知らない金髪の少女も信じられない顔をしている……。

 

 

「て、テメェ……何者だ……!?」

 

「は?」

 

「何者かって聞いてんだゴラァ! お、俺の武器に何をしやがった!?」

 

「武器? なんのこと………って、ああ……」

 

 

 まるで化け物でも見るような顔で一歩一歩後退する神父男の言ってる意味が一瞬わからなかった北崎だが、彼の両手に白い灰の粉が付着しているのが目に入り、やっと何をされたのかを理解する。

 

 どうやらこの男は自分を武器か何かで攻撃したらしい、そしてその武器が自分の身に触れて灰化し、それに驚いている……。

 

 北崎はその時点でニンマリと微笑む。

 

 

「僕を攻撃したみたいだけど、やめた方が良いよ。

弱い奴が僕に触れると皆灰になっちゃうんだ………最近はちょっと制御できる様にはなれたんだけどさ」

 

「は、灰に……」

 

 

 何を馬鹿なと北崎の言葉を聞いた全員は思ったが、現に神父が振り下ろした剣に北崎は傷つけられた様子も無く、そしてその剣が灰となって消え去ったのは事実だった。

 そして気づけば、どこからともなく現れた、得体の知れぬ少年を中心に異様な空気が流れる……。

 

 

「ねぇ、僕の事なんかどうでも良いから教えてよ? キミのやってることって何がそんなに面白いの?」

 

「こ、コイツ……!」

 

 

 ただの人間ではない。

 その時点で神父は勘づき、その得体の知れない雰囲気に言い知れぬ恐怖を感じた。

 

 

「教えてよ? さっきまであんなに大声出してたのに、どうして黙っちゃうの? ねぇ……教えてよ?」

 

 

 足が動かない。

 北崎の放つ不気味な圧力(プレッシャー)に呑まれてしまった神父はゆっくり微笑みながら近付いてくる北崎に身体が硬直する。

 

 そんな事はお構い無しに北崎はといえば、まるでからかうかの様に軽く握った拳を神父の頬に押し付け――

 

 

「ねぇー?」

 

「ぐぉぉぉっ!?!?」

 

 

 押し付けられた拳によって神父の頬が灰となって崩れていく。

 このままでは死ぬと本能的に察知した神父は、生への執着によって全力で後ろに跳び、ボロボロと灰となって崩れた自身の頬に触れる。

 

 

「クソがァァァ!!!!」

 

 

 神父はまるで己を奮い立たせる様に叫び、ニヤニヤと笑ってる北崎に向かって、閃光を発する玉を投げつけて逃走した。

 ちょうど北崎の後ろに居た一誠と金髪のシスター服を着た少女はその眩い閃光に目を覆い、光が晴れた先に神父の姿が無いことにホッと――

 

 

「あーあ、逃げちゃった」

 

 

 は出来なかった。

 何故なら北崎という、さっきの神父よりも得体の知れない存在が居るから……。

 

 

「あ、アーシア……下がってろ」

 

「あの方は私達を助けてくれたのでは……?」

 

「そ、そう思いたいけど、そうじゃなかったら……」

 

 

 あまり学校には来ない。

 身嗜みも適当で、髪はボサボサでたまに学校に来ても寝てるかぼーっとしてるかで目立たなかった。

 

 つまり北崎の事を何も知らないし、得体の知れない力を持っていると解った今、味方なのかどうかの判断も出来ない。

 

 故に警戒するのは当然の事であり、アーシアだけでも何とかこの場から逃がさなければならないと、一誠は身構えていると……。

 

 

 ~♪

 

 

 無機質な音が鳴り響く。

 その音にアーシアと一誠はビクリと身体を動かしていると、どうやら北崎が持っていた携帯の着信音だったらしく、気だるげに取り出すと、携帯を耳に当てる。

 

 

「なぁに? え、今どこだって? 外だけど……」

 

「「………」」

 

 

 誰かと通話している北崎を二人は緊張の面持ちで目を離さずに見る。

 

 

「帰ってこいって? えー? もう少しで面白そうな事が―――――わかったよ……しょうがないなぁ」

 

 

 どうやら電話の相手から怒られてるらしく、北崎は面倒そうに渋々と云った返事をすると、通話を終了させる。

 

 

「ご飯の時間だから帰る」

 

「「え……?」」

 

「早く帰らないと怒られちゃうんだ。バイバイ」

 

 

 と、かったるそうに二人に手を振ってその場を去る北崎に、アーシアと一誠は暫く困惑しながらその背中を見えなくなるまで眺めるのであった。

 

 

「た、助かったの……か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 北崎は言われた通りに真っ直ぐ家に戻った。

 もっとも、家というよりは打ち捨てられた酒場というべき店であり、偶然なのか、その場所はかつてラッキークローバーと呼ばれた者や社長さんがよく集まってた『バー・クローバー』の内装に似ていた。

 

 

「門限までには家に戻ってきなさいって前にも言ったわよね?」

 

「そんな事言ったっけ? ………………わかったよ、そんなに怒らないでよ、いやだなぁ……」

 

「ほっとくとどこで何をやらかすかわからないから、こんな小うるさく言ってるの。

私だってこんな五月蝿く言いたかないっての」

 

「ごめんごめん、わかったから許してよ藍華さん?」

 

 

 そのバーの跡地には、王を倒そうとした自分と袂を別った影山冴子や琢磨逸郎等のラッキークローバーのメンバーだった者は居ない。

 居るのは、死してオルフェノクとして覚醒してからの付き合いとなる桐生藍華という歳の近い少女ただ一人。

 

 影山冴子や琢磨逸郎――他のオルフェノクですら北崎が触れれば徐々に灰化していったというのに、何故か彼女に触れても灰化はしない。

 

 だから北崎は彼女を割りと気に入っている――のだけど、大人しそうな見た目とは裏腹に中々に意思が強いので、最近の北崎は彼女に手綱を握られてる。

 

 

「ねぇねぇ藍華さん、オリーブ抜きのマティーニを作ってよ?」

 

「未成年が何言ってるのよ……。

確かにここって元はバーだっただけど、バーテンダーじゃないし私」

 

「作るご飯は美味しいし、藍華さんなら上手にできると思うんだけどなぁ……」

 

 

 少し残念そうに、何故か電気やガスや水道が通ってるバーの席で藍華とご飯を食べる北崎は、ラッキークローバー時代によく頼んでは奢ってたオリーブ抜きのマティーニがちょっとだけ恋しかった。

 

 

「あ、それはそうとさ。兵藤君って人知ってる?」

 

 

 今はまだ作ってくれそうもないと早々に諦める事にした北崎は、そういえばと思い出した様に藍華に先程見たクラスメートを名乗る者について訪ねてみる。

 

 自分より藍華の方が学校に行ってるので、名前を出せば分かるだろうと思っての質問をする北崎に、藍華は食べる手を止めて訝しげな顔をする。

 

 

「兵藤? 元浜だったか松田だったかと一緒に女子にセクハラしまくってる男子の事?」

 

「それはわかんないけど、僕を知っててクラスメートと言ってたよ?」

 

「あぁ、じゃあその兵藤で間違いない様ね。

ええ、目立つから知ってはいるわよ。関わりはあんまり無いけれど」

 

「ふーん?」

 

「突然どうしたの? 零だって兵藤とは関わりなんて無い筈でしょう?」

 

「そうなんだけど、実はさっき……」

 

 

 北崎的にはわからない理由で有名人らしい兵藤一誠とさっき出会した事について語る北崎。

 藍華も最初は普通に聞いていたのだが、内容を聞くにつれて呆れた顔をしている。

 

 

「オルフェノクの力をソイツの目の前で使った訳?」

 

「変身はしてないよ? 変身するほど強くなかったしその人」

 

「でも灰化の力を見られたのでしょう? どうするのよ明日から? ソイツが騒いだら零は……」

 

「別に騒ぎたいなら騒げば良いよ。

どうせ僕には何もできないしね」

 

「…………。最近、ソイツが悪魔が集まってる部活に入ったみたいなのよ。絶対に無関係ではないわ」

 

「そうなの? へー? だからあんな所に居たんだ」

 

「………………」

 

 

 自分の力がバレてようが関係ないといった態度を一切崩さない――自信家ともいえるし、人を嘗めて油断してるといえる後々危うくなりそうな北崎に藍華は少し心配になる。

 

 適当だった北崎の説明を解釈すれば、オルフェノクは人間の進化系であり、自分とその家族を殺した者達と比べれば圧倒的に数が少ない。

 北崎はそのオルフェノクの中でも上位の力を持ち、今尚成長までしている強さだが、弱いオルフェノクは他の種に狩られてしまう程度でしかない。

 

 つまりいくら北崎が無類の強さを持っていたとしても、数の暴力には勝てない。

 

 それを北崎に言うとムッとした顔をするので今は言わないが、なるべく周囲にオルフェノクとしての力を見せない方が良い……というのが、同じオルフェノクとしての意見だった。

 

 

「もしかして僕がその人達に負けるとかおもってるの?」

 

「……………いえ」

 

「イヤだなぁ? 顔に書いてあるよ藍華さん。

大丈夫だよ、僕は負けないよ……だって世界一強いんだからさ」

 

「…………」

 

 

 ヘラヘラと笑う北崎に藍華はそれでも心配だ。

 強いことは百も承知だし、オルフェノクとして蘇生した自分に適当ながら力の扱い方を教えてくれ、こうして行動を共にすることで、もう普通の人間とは違うという虚無感を紛らわせられる事もできる。

 

 そういう意味では藍華にとって北崎は未来そのものなのだ。

 オルフェノクよりも醜い連中を圧倒する灰色の龍である彼の歩く気儘な道は……。

 

 

「明日は絶対に零も学校に行きなさい。

もし兵藤が悪魔側に付いてるとなれば、零の事を連中にバラされてる可能性もあるし、接触してくるかもしれたいわ」

 

「へぇ? 戦いでも挑まれるのかな? だとしたら面白そうかも」

 

「いきなり襲ってくるようなタイプではないでしょうけど、事と次第によっては――かもしれないわ。

その時は私も動くしかない」

 

 

 そう言って食後のお茶を飲む藍華に、それまでヘラヘラしていた北崎の目付きが少し変わる。

 

 

「キミも戦うの? …………だとしたら、あまりふざけてられないかなぁ」

 

「出来れば戦わないで済ませたいけどね」

 

「………。うん、わかった。キミがそう言うなら僕も我慢してみるよ。

キミが負けるとは思ってないけど、傷付いてるのを見ると、頭にきちゃうから」

 

 

 同じ唯一のオリジナルのオルフェノクである藍華にそう告げた北崎。

 彼の中で何かしらの変化があったのか、同族となった藍華を割りと気に入っているからこその嘘ではない言葉だった。

 

 

「僕に触れられるのはキミだけだ。

昔は周りにたくさんオルフェノクが居ても、誰も僕に触れられず、ずっと寒かった。

でも今は寒くない……藍華さんが暖かいからね」

 

 

 触れても灰にならない。

 北崎が何も考えずに触れる事ができる唯一のオルフェノク。

 それが藍華であり、最早永遠に触れられない思っていた他人の温もりを教えてくれた存在だからこそ、北崎は藍華の言うことを聞くのだ。

 

 

「それにしても兵藤が悪魔にね……。

女子へのセクハラも増えそうね」

 

「せくはら?」

 

「異性に不快感を与える行為よ。

女子の着替えを覗いたりとかね」

 

「……? それのどこが面白いの?」

 

「……。

零は知らなくて良いわ、もし零が他の女子に兵藤達みたいな真似をしても――ミーハーなあの女子達は多分嫌がらないだろうしね」

 

「なんでさ?」

 

「……髪はボサボサで身なりもアレだけど、零は顔は良いし」

 

「ふーん?」

 

 

 但し、その他に関しては以前とそれほど変わらない。

 それが今の北崎なのだ。

 

 

「さてと、明日に備えてさっさとお風呂入って、歯を磨いてから寝ましょう」

 

「んー」

 

「頼むから私が寝てる間に潜り込んで来ないでよ?」

 

「えー? なんでそんな冷たい事を言うの? 良いじゃない? 僕が触れても灰にならないし、気持ちよく寝れるんだ」

 

「……はぁ、強い癖に子供ねやっぱ」

 

 

 ラッキークローバー時代には有り得なかった他者との繋がり。

 良くも悪くも純粋な北崎はそれを気に入っているのだ。

 

 

 桐生藍華

 

 ????・オルフェノク

 

 

 人ならざる存在によって自身も家族も殺されたが、偶々通りかかった北崎によってその仇は討たれ、直後に自分だけオルフェノクとして蘇生。

 

 能力もモチーフとなる怪人態も現状不明だが、どうやら北崎の力で一切灰化しないらしい。

 そのせいで他人の体温を覚えてしまった北崎から、犬みたいに引っ付かれてしまってる模様。

 

 自身をオルフェノクである事や力の扱い方等を教えてくれた北崎の世話を主にしながら、人間に混ざって女子高生をやっており、他の種族への警戒は強い方。

 

 ちなみに、眼鏡は原作よりも底の厚いグルグルタイプなので、変態三人組達からは余計にそんな対象から外されてる模様。そして会話した事もほぼない。

 

 

 北崎について思ってる事は……『善人では絶対無いし手は掛かるけど、嫌いではない』

 

 

 

 オリジナルのオルフェノクであり、更に北崎から使い方を教えられてた為、その力は上位レベルではあるらしいが、本人はあまり戦いは得意では無いと言ってる模様。

 

 その証拠に、ドラゴンオルフェノクの様に形態を変化させられるレベルには達しているとかいないとか

 




補足

触れても触れられても相手は灰化する。

つまり人肌を知ることができない少年だった……みたいな。

だから最近クセになってるみたい。

その2
某井上様曰く『食卓シーンは濡れ場』

……………う、うん。やはり常人とは違うぜ。

その3
桐生さんのオルフェノク怪人態……。

いやほら没にしてたんで全然考えてないのよ?

何をモチーフにするかは大まかに考えてたんけどね……。

ドラゴンオルフェノクみたいに架空生物をモチーフにするとかまでは……。

……うーん
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