色々なIF集   作:超人類DX

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……。何で皆してコカビーだのガブリーだの言うのさ? 違うかもしれないじゃん?

……ねぇ?


双子の微妙な違い

 自分が何であるのかを『思い出した』のは、両親があの二人である事を理解したその瞬間だった。

 

 それは兄弟でもあり、俺自身でもあり、半身とも言える弟も同じく、あの二人が――というか、あの戦闘を人生の楽しみにしてるだけの男を振り向かせたばかりか俺達――つまりガキまで作るとは思わなかったのだ。

 

 何の因果なのか、俺にとってもアイツにとっても縁の深いあの二人の子供として生まれ変わるとは――――どうやらあの二人は俺達とは更に違う次元を抗いながら生きた記憶を持っているらしくて、互いにカミングアウトした時は色々と大変だったな……。

 

 もっとも、全くの別人として生まれ変わったとしても、そういった輩が付いて回る呪いじみたアレは変わらないし、案の定この世界の俺達は心を潰されかけていた訳で……。

 

 まあ、やっぱり根は俺達自身なので単純というか……まさか女一人のお陰で精神を持ち直すとは思わなかったよ。

 

 ………………今は親父と呼べるあの男をそのまま女にしたかのような性格な気がしないでもない女だけど。

 

 それはつまり、この世界の俺達――つまり一誠はオフクロ的な―――――

 

 

「モモ先輩が挑んできた不良を蹴散らしてる時の写真だが……」

 

「言い値で買おう!!」

 

 

 ……………。精神は見事に立て直したけど、色々と将来が心配になってきた気がする。

 

 

 

 

 今日の一誠はとても機嫌が良かった。

 

 惚れた先輩の写真を手に入れられたし、先日の敗北を反省した修行も良い感じに身にもなれた。

 

 

「ご利益がありそうなキックのシーンだぜ……。うへへ、この健康そうな太ももがたまんねーぜ!」

 

「言われてみりゃ確かに良いかもな……」

 

「うーむ、しかしウチの親父みたいなタイプなんだよなぁ……」

 

「それな」

 

 

 根は一誠そのものである秀康と貞愛も百代の写真を横から覗きながら一誠に同意はするが、性格というか精神性は二人の父親と重なるので、微妙な所だった。

 ちなみにこの写真一枚の為に一誠は、短期のバイトを重ねて貯めた貯金からおよそ諭吉様を五枚も出していた。

 

 

「帰りに200枚くらい焼き増ししておこう」

 

「「………」」

 

 

 一度でもそうなると周りが軽く見えなくなる性格はまさに自分達自身だ……と、平行世界の自分自身を眺める其々の世界で一誠として抗った秀康と貞愛は、客観的に自分を見れる様になったせいか、軽く呆れていた。

 

 

(そもそも女がどうとか考えてる暇なんて無かったしな俺の場合は……)

 

(あの時の事を思い出せば、一誠が女一人にマジになれる楽しい生活を送れているんだから、色々と頑張った甲斐もあるぜ)

 

 

 だが、真っ黒な青春時代を送り続けたかつての自分達の様にはならなくて良かったと、楽しげにしている一誠を見て心底思う。

 そして最大級の協力者がすぐ傍に一人と、両親として二人も居るというこの状況にも……。

 

 

「さて、そろそろその写真はしまえ」

 

「川神先輩を振り向かせたいのなら、わかっているだろう?」

 

「…………おう!」

 

 

 だからこそ守る。

 周りから間違っていると揶揄されようが、自己満足であろうとも……。

 

 

「昨日より強く、明日は更に強く!」

 

「「…………」」

 

 

 かつての自分自身を――奴等の及ばぬ領域へ。

 それがとある天使と堕天使の間に生まれし双子の目標。

 

 

「ところで二人は彼女とか作らないのか?」

 

「女体には興味深々ではあるが、そういった手合いは今の所はな……」

 

「ああ、マジで女体にだけは興味はあるんだがよ……」

 

「…………。二人して言ってることが軽く最低に聞こえるんだが」

 

 

 今は自分の母である女天使以外の女心というものに懐疑的になっているかつての一誠は今現在、名も顔も種族も変わって、少し枯れた事を言いながらも生きている。

 

 

 今尚続いていく無限の進化を研ぎ澄ませながら……。

 

 

 

 

 軽くゲスな発言をしつつ、学園近くに偶々あった人もあまり寄り付かぬ空き地で修行をしている一誠、秀康、貞愛の三人の修行風景は端から見ればただの三つ巴も殴り合いの喧嘩にしか見えない。

 

 何かしらの武術的な洗練されたものは一切無く、殴ったら殴り返し、地面に叩きつければ輩の喧嘩の様な追い討ちの応酬があったり――例えるなら獣同士の争いを思わせる暴力的なものだった。

 

 

「オラァッ!!」

 

「ぐっ、しゃらくせぇ!!」

 

「良いぞ! この前よりパワーが増してるぜ!!」

 

 

 一誠が遅れを取りながらも二人に喰らい付き、秀康と貞愛はほぼ互角に殴って殴り返してをしながら一誠の面倒を見る。

 皮肉にもその時の双子の表情が、スイッチの入った堕天使の父親のそれに酷似しているのはご愛嬌だ。

 

 

「み、見つけた……」

 

 

 そんな喧嘩修行中の三人の様子を、少し離れた電柱の影から覗き見る者が一人。

 

 

「今日も三人一緒にあんなに楽しそうに……」

 

 

 と、顔に青痣を作りながらも、尚ケタケタと笑いながら殴りあってる三人を見て、楽しそうとズレてる様にも思える心境を呟いている長い黒髪を二つに束ねている少女の着ている服装は、川神学園のものだった。

 

 ある意味学園内で上位レベルで名が知れ渡っているという意味では一誠の事をこの少女も直接話をした試しは無いが知っている。

 

 それはつまり、武神こと川神百代にハイペースで勝負を挑んでは、勝ったらデートしてくれと毎度求愛しては軽く返り討ちにされてる一誠に用がある――――

 

 

「うー……今日こそ、今日こそは弟さんにあの時のお礼を……!」

 

 

 ―――では無いらしく、少女の視線は、余程親しくなければ殆ど見分けがつかない双子の片割れで、今秀康に渾身の一撃を貰って生じた隙を突かれた形で、一誠からフルパワーの拳を顔面に貰い、置いてあった土管に頭から突っ込んで盛大に破壊していた貞愛に向けられていた。

 

 

「今日こそ逃げちゃダメ……逃げたらダメ……!」

 

 

 一体少女は学園でも一誠の影に埋もれてて一切目立ちはしてなかった結城兄弟の片割れと何があったのか……。

 

 

「うぅ、また俺が最初に脱落かよぉ」

 

「そう簡単には負けてやれねーな」

 

「けど、ヒデから貰った一撃の隙を突いてきたのは上手かったぜ一誠?」

 

「派手に土管をぶっ壊しながら吹っ飛んだのにピンピンしてんだから、あんま褒められてる気がしねーぜ……」

 

 

 

 

「! い、行きます……!」

 

 

 緊張した面持ちで一歩を踏み出した時、それはきっと分かる―――のかもしれない。

 

 

「……………。ところでよ、今日もあの子が遠くからこっち見てるんだけど」

 

「あ? ……ああ、一誠のファンじゃねーの?」

 

「良くも悪くも今の一誠は目立ってるしな」

 

 

 もっとも、何時もその一歩が踏み出せず固まってしまうせいで、その本人からは一誠のファンの一人と勝手に思われてる様だが。

 緊張してしまい、何時もその一歩が踏み出せない少女は今も踏み出せずに固まってしまう中、その場に座り込んで予め買い込んでた飲料を飲みながら、その少女に視線は向けないまま居ることを話す三人。

 

 

「聞いてみるか……?」

 

「放っておけよ」

 

「偶々の通り道で偶々俺達を見てただけだろうしよ」

 

「そんな偶々があるのか……?」

 

 

 一誠は何時もあの少女が何のつもりで自分達を遠くから見てるのか気になる様だが、意外と他人に対する心のガードを暗黒青春時代のせいで形成するようになってしまった双子はほぼ興味が無い様な態度だった。

 

 

(やっぱ枯れてんなこの二人は……。しょうがねぇ!)

 

 

 川神一子は性格が素直というか、単純だったこともあって早い段階でそれなりに双子とも打ち解けられたが、その他のクラスメートの面々とは殆ど話をしない事は一誠が一番よく知っている。

 そして二人が妙に他人に対して壁を作っている様な気がするのも。

 

 だからこそ普段のお礼という意味も兼ねて、一誠は自分のように楽しい目的を持って貰おうと、バキバキになった全身に鞭を打って立ち上がると、右足を上げたまま固まってしまって動かない少女にもとへと赴いた。

 

 

(わ、川神先輩とは違って可愛い感じの子だな……)

 

 

 近づくにつれて少女の容姿がハッキリ見ることが出来た一誠は、百代と比べてしまいながらも可愛らしいお嬢さんだと思った。

 

 

「えーっと、どうかしたのか?」

 

「うぇ!? あ、あ、あのその……!」

 

 

 話しかけてみると、それまで意識が飛んでた様なリアクションをする少女はアタフタとする。

 もしかしてあがり症なのか? と思った一誠は、少女を落ち着かせようとする。

 

 

「別に何にもしないよ。

キミ、最近よく俺達の後を尾行けてくるけど、何か用とかあるのか?」

 

「え、えっと……」

 

「あ、もしかして俺じゃなくて向こうの二人か?」

 

「! な、なな、なんでわかったのですか!?」

 

(…………………。軽くカマかけただけなんだけど)

 

 

 ビックリする少女に一誠は内心突っ込むものの、秀康か貞愛に用があるらしい事に少し驚きつつも、しめたと思ったのでそのままカマをかけることにした。

 

 

「えーっと、どっち? 秀康?」

 

「その……」

 

 

 リアクションが薄い。

 どうやらこの少女は秀康と貞愛の微妙な違いをある程度わかっているのかもしれない。

 これこそレアだと内心思った一誠は試しに貞愛の名前を出してみると。

 

 

「あ、あの……! そうだったらなと思うといいますかっ! い、言いたいことがあるといいますかっ!!」

 

 

 テンパった。それはもう驚くくらいに。

 その時点で少女が暫く前から尾行けてきた理由はわかった。

 

 

「………ヒデ!! ちょっと来てくれ!」

 

 

 そう決まれば貞愛を呼ぶ………前にまず秀康を此方に呼び寄せる一誠。

 

 

「なに?」

 

 

 呼び出された秀康は面倒そうな顔をしながらも来ると、アタフタしている少女の代わりに少女の目的を話す。

 

 

「サダの奴に礼がしたいだと? ……………ひとつ聞くけど、キミは俺とサダの違いがわかるのかよ?」

 

「は、はい! それはわかります! お顔はソックリですけど、纏う雰囲気といいますか、『色』が違うので!」

 

「色……?」

 

「は、はい! えっと、お兄さんの方は黒っぽくて、弟さんは白っぽいかなって……」

 

「……。そんな見分けの付け方する奴初めてだわ」

 

「スゲー、もしかしてキミ、二人の気質を何となくで見分けてるんじゃね? 確かに二人は顔こそそっくりだけど中身は微妙に違うからな」

 

 

 純粋に自分と自分の片割れをほぼ見分けてられている事に驚く秀康は、ボーッとしながら炭酸飲料を飲んでる片割れをチラリとうかがう。

 

 そう、この少女の言った雰囲気を色に例えて見分ける方法はアル意味間違いではない。

 というのも、秀康はどちらかといえば堕天使の父親に近い力を濃く受け継いいて、反対に貞愛は天使である母の因子を強く継いでいる。

 

 気質こそは同じだが、戦闘によるスタイルも多少の差異があるし、なにより貞愛の場合はアル意味で自分以上に他人に対して懐疑的なのだ。

 

 

(どうであれ、あの白ガキと殺し合いする意味での忌々しい繋がりが俺にはあったが、アイツにはそれすら無かったらしいからな。

親も殺され、たった一人の友達もクソ共に嵌められてゴミの様に殺され……。俺とは違ってゼノヴィアやイリナすらも敵だったと聞かされた時は俺以上に独りだったんだと思わされたもんだ……)

 

 

 死ぬその時まで独りであった平行世界の自分で、今は弟である貞愛から、不幸でもなんでも無さげに聞かされた時の事を思い返しながら、喰うことで無限に成長して来た白い猫と死ぬまで殺し合い続けた人生を記憶する秀康は、一誠と同じように貞愛にも自分ですら多かれ少なかれ持っていた繋がりを持って貰いたいと思っていた。

 

 

「で、キミは俺の弟に何を望むんだ? 力か? 金か? 名声か?」

 

「わ、私は……」

 

「そ、そんな言い方……」

 

「悪いな一誠。

お前と同じ様に、俺はアイツにも人並みの生活を送って貰いたいんだ。

だから、ふざけた理由でお前やアイツにすり寄る輩は、例え神だろうが殺す」

 

 

 戸惑う二人に二人三脚で超越し続けた天使と堕天使の子として――――秀康という仮の名ではなく、二人に名付けられた『テオス』として、赤き龍の帝王としての運命から外れた元・赤龍帝は今一度少女に問い掛けた。

 

 

「興味本位でアイツに踏み込むだけならよすんだな。

プロメス―――いや、貞愛は意外と傷付きやすいんだ」

 

 

 繋がりを知るからこそ、裏切る者には誰よりも苛烈となる秀康の放つ圧に少女も一誠も圧されたのだが、少女は吃りながらも言った。

 

 

「私は弟さんの事をまだ何も知りません。

でも、あの時――駒王という町に行った時、人とは思えない何かに襲われた時、白い翼のようなものを背に広げながら私を助けてくれました……」

 

「く、駒王町……だと……?」

 

「…………」

 

 

 まさか遠く離れたこの市で、一誠にとってはトラウマでしかない地元についての事を、初対面の少女から聞かされるとは思わなかったせいか、一誠は軽く顔を青ざめさせながら震えるが、必死に頭を振って過去の記憶を消そうとする。

 

 

(人じゃない……大方はぐれの類か。

なるほど、だからなのか……)

 

 

 震える一誠の肩に手を置いて落ち着かせながら秀康は、母の因子が強くてその背に広げる翼の色が純白の天使のものに近い貞愛と自分の見分けが付けられる理由を理解した。

 

 

「だ、だからお礼もしたいし……お、烏滸がましいと思われるかもしれませんけど、おとっ……お友達になれたらなぁ……って」

 

 

 俯きながら、話す少女の言葉に嘘の類いは感じない。

 しかし問題は貞愛だ。

 

 退屈そうに向こうでボーッとしてるからして、この少女を覚えてるかどうかも怪しい。

 

 

「サダ!!」

 

 

 取り敢えず、どこかの連中の様に気質を吸い取る様な輩ではないと判断した秀康は、貞愛を呼び寄せる。

 その瞬間、少女は面白いくらい緊張でガチガチになる中、退屈そうな顔をしたままこっちに来た貞愛。

 

 

「なに、まだ終わらないのか? 長くなりそうなら俺先に帰るぞ」

 

「そうさせたいのは山々だが、この子―――あ、ごめん、キミの名前は?」

 

「あ、は、はい! 黛由紀江ですっ!」

 

「って子が前に駒王ではぐれに襲われた際、通りかかったお前に助けられたんだとよ。

で、そのお礼がしたいんだってさ。それと友達にもなりたいと……」

 

「は? 一誠じゃなくて俺……? つーかはぐれに襲われた事があって俺が助けた???? ………。全く覚えてねーんだが」

 

「ぅ……」

 

 

 やはり覚えてないらしい貞愛が懐疑的な顔で、覚えてないと言われて軽くショックな黛由紀江なる名の少女を見据える。

 

 

「仮にその話が本当だとしたら言うけど、全く気にしなくて良いよ。

別に善意でキミを助けたって訳じゃないし、多分結果的に助けた形になっただけだから」

 

「で、でも……! そうだとしても私は――」

 

「それと友達がどうとか言ってたらしいけど、やめとけよ。

つまんねーぞ絶対に」

 

「そ、そんな……」

 

 

 真っ黒過ぎた過去故か、女体には興味がある癖にシビアな物言いの貞愛に秀康と一誠はなんとも言えぬ表情となり、由紀江はショックを受けていた。

 

 

「最近尾行けてくる理由も分かったよ。

うん、気にしなくて良いし、俺達なんて付け回してもなんにもならないからやめた方が良いぜ? 時間はもっと有意義に使うべきだ。

じゃあそう言うことで………。二人とも、俺先帰って飯の支度しとくわ」

 

 

 それでも構わず貞愛はさっさと先に帰ってしまった。

 

 

「め、迷惑だったんですね。

そうですよね……私みたいなのにつけ回されたって嫌な気分にしかなりませんよね……?」

 

 

 完全に拒否られたと思った由紀江は、自嘲気味に笑うが、ほぼ泣きそうな顔だった。

 

 

「ち、違う違う! サダはちょっと照れ屋なんだよ! キミみたいなかわゆい子に友達になってくれなんてアイツ一度も言われた事無くてさ! なぁヒデ!?」

 

「戸惑ってる事に関してはマジだ。

アイツは他人からの些細な好意にすら軽く疑ってかかるんだよ。

その、悪気は無いんだけど、代わりに謝るよ……」

 

 

 かなり不憫に思った一誠と一緒に、最初は軽く疑ってた秀康も謝る。

 

 

「ど、どうしてもお友達にはなれないんでしょうか……?」

 

「! アレだけ言われてもキミはまだ……」

 

「その、変だと思われるかもしれませんけど、ああいう事を言われた筈なのに余計貞愛さんとお友達になれたらなって思ったので……」

 

「…………! ほ、本当かっ!? ひ、ヒデ! この子良い子だ! めっさ良い子だ!」

 

「世に蔓延る似非シスターなんぞ目じゃないくらいの聖人っぷりだ……! 疑って悪かった!」

 

 

 それでも貞愛が気になると言う由紀江に一誠と秀康はマジの覚悟を感じ取る。

 

 

「よし……こうなったらウチのお袋に連絡して、どうすれば良いかの傾向と対策を教えて貰おう」

 

「え、お母さん……にですか?」

 

「確かにあのおかーちゃんなら不可能も可能にできる可能性を教えてくれそうだぜ……」

 

 

 結果、戦闘バカだった堕天使の男を追いかけ回し、最終的にはデキ婚まで漕ぎ着けた最近の天使様の助言を獲ようと秀康は電話を取り出すのであった。

 

 

「! す、凄くお綺麗な方です……! こ、この方がお二人のお母様ですか? その方のお隣の男性は……」

 

「ビックリするだろうけど、こっちは親父」

 

「ええっ!? そ、そうなんですか!? な、なんというか……」

 

「怖い顔、だろ? 大概はそう思われるし、信じられねーだろうが、この親父にアタックしまくってたのがオフクロの方なんだぜ?」

 

「顔は怖いけど、普通にいい人なんだよね。

なんつーか、細かいことは基本気にしないタイプっつーの?」

 

「へ、へぇ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんですって? プロメス――貞愛のお友達になりたいという子が? ふむ、貴女がそうなのですね?」

 

「は、はい! でも私……今貞愛さんに嫌がられてしまって……」

 

『それは違います。あの子は戸惑っていただけですよ。

だからこそです……当たって、当たって当たりまくる! 砕けても尚アタックあるのみです! ふふ、私はそうすることで鈍過ぎな夫と一緒になれましたから……』

 

「な、なるほど……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………。なあヒデ? 友達の話なのに、何故か恋愛的な話になってーねーか?」

 

「……………。それは俺も途中から思ってたけど、本人は友情的な意味だと思ってる筈だから大丈夫だろ……」

 

 

終わり




補足

テオスとプロメス

元ネタは某限りなく進化する力を排除しようとする黒ダミ様と人間にその力を与えた白い方。

顔はあんなイケメンちゃうけどね。


その2
テオス=秀康の過去はD×S系統に近いもの。

プロメス=貞愛はどこにも系統しない、孤独ルート。

故にその経験の差もあり、基本的に一番ドライなのが弟で、ドライでもないけど身内に対する愛着が強すぎて、身内になにかされたら絶滅タイム入るのが兄貴。



その3

『とにかくアタックしました。
アタックし続けた結果二人も子に恵まれて今幸せです』

 以上、嫁さんのコメント。


『……。起きたら全裸で、横見たら幸せそうなツラして俺にしがみついてる全裸のアイツが居て、ワケわからん間に両陣営のトップに呼び出されて、アイツが完璧に言い負かせて納得させてあれよあれよと所帯を持っていた……』


以上、夫のコメント

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