色々なIF集   作:超人類DX

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完成したけど……。
なんだろ納得の行く内容にできなかった……


お礼(皮肉)

 徹底的にリスクを避けてきた。

 

 復讐する事を放棄し、リアスと共に生きる道を選んだその時から、一誠は『死へのリスク』を避け続けた。

 

 彼がそのリスクを無視しして行動する時、それはリアスの身に危険が迫った時以外には無い。

 

 そして動き始めた刻、彼は赤龍帝へと戻るのだ。

 

 

 

 

 まるで親の仇でも見るような表情の織斑春人を前に、イッセーはあくまで初対面である様な振る舞いを、まだ続ける。

 

 

「なるほど、今日予定していた彼女の婚約者候補との面談は彼のおかげ(・・・)で無くなった訳ですか……」

 

「そういう事だ。

織斑春人といえば、キミもニュースで見たことはあるのでないかね?」

 

「まあ一応は。

確か男では世界で最初のIS起動者がどうのと……TVの情報くらいしか知りませんけど」

 

「その彼が――どうにもあの様子と刀奈の話から推測するに、刀奈に対して何か思う事があるようだ」

 

「そうで無ければここまで来るとは思えませんからね」

 

 

 刀奈の両親もそれを察したのだろう、イッセーがそのIS学園で用務員として働いている事を悟られない様話を合わせながら春人について話をする。

 

 

『察しの良い夫婦で助かったな』

 

(まったくだ)

 

 

 現在進行形で春人から殺意を向けられてるが、まったく気にも止めずドライグと刀奈の両親の察しの良さに感謝するイッセーは、睨んできている春人を見る。

 

 

「まさかかの有名な織斑春人と顔を合わせるとは思わなかったよ。

………何故そんなに睨まれてるのかは知らないけど」

 

「………………っ!」

 

 

 わざとらしく隣に居た刀奈の肩に触れながら『外面の良さげな笑み』を浮かべる。

 ドライグがそんなイッセーの笑顔を見ながら『煽るなぁ』と笑っている通り、今イッセーは春人を煽っていた。

 

 

「有名人のキミはIS学園に通うこの子とその妹さんと顔見知りなのは察しは付く。

しかしだ、今日は何故ここに? 本当ならこの後この子の他の婚約者候補の者と競うという予定だったんだ。

まあ……キミのおかげ(・・・・・・)で労せずこの子の婚約者になれそうだから、初対面ながら言わせてくれないか? ありがとう」

 

 

 姿形こそ人畜無害に見えるかもしれないが、この男が過去に一夏に仕向けた事は箒やリアスと同じく、笑って見過ごせる事ではないし、元々イッセーもリアスもこの春人と似た存在によって弾き出されてしまった者。

 

 

「それでキミは妹さんの彼氏さんかな? 妹さんとも初対面だが、まさかテレビでニュースにもなった有名人とこんな形で知り合えるなんて光栄だよ」

 

 

 好きか嫌いかと聞かれたら、間違いなく嫌い――ではなく『死ね』と言ってしまいたくなる程度の生理的な嫌悪感を持っているのだから。

 思ってもない事を平然と無駄に爽やかなな笑みと共に言いまくるイッセーの姿に、春人は今にも殺しにきそうな目付きだし、簪はじーっと無言でイッセーを見ながらこの流れのまま終われと願い、刀奈は苦笑いだった。

 

 

(完全に煽ってるなぁ……。こういう惚けた所に一夏くんが似たのかしら?)

 

 

 必要なら気にくわない相手にすらヘラヘラと笑える面を間違いなく受け継いだのは一夏だと刀奈は感じた。

 そして逆にスイッチが入った時の辛辣さは間違いなく箒が受け継いだのだろうとも……。

 

 

「今後ともよろしくな?」

 

 

 本当にわざとらしい笑顔を浮かべながら春人に近づき、握手のつもりで手まで差し出すイッセー。

 そんなイッセーの態度に、まだ名も誰なのかも解らない春人は反射的にその手を叩いた。

 

 

「………」

 

「おっと、嫌われたかな?」

 

 

 その春人の態度を受けて、予想通りだったイッセーはヘラヘラと笑う。

 当たり前だ、完全にただ煽ってるだけなのだから。

 

 そしてその思惑通り、内面は激しい激情に支配されていた春人は低い声で言った。

 

 

「僕と勝負しろ……!」

 

「! 春人、なんで……!」

 

 

 どれだけ記憶を辿ってもこの目の前の男が誰なのかは解らない。

 だが逆を言えばこの男が仮に消えても今後に影響は無いし、何よりこの男を見る刀奈の表情が春人にとって絶大に気にくわない。

 

 だから激情に駆られるがままに春人は簪のショックすら見えずに言ってしまったのだ。

 

 

「キミみたいな子供に勝負を挑まれる様な覚えは無いんだがな……」

 

「僕は子供じゃない! 僕は楯無――いや、刀奈先輩の婚約者候補達に勝った! だけどお前は何もしていない! 何もしていないくせに先輩の婚約者になるなんて許される事じゃないんだ!」

 

「許可した覚えもないのに真名で呼んで欲しく無いのだけど……」

 

「それに誰に許されなきゃならないんだか……。

というより、キミのガールフレンドはほったらかしで良いのか?」

 

「簪は今関係無い! 良いから勝負しろ! それとも逃げる気か!!」

 

 

 完全に周囲が見えなくなってしまっている春人に、イッセーはかったるそうな表情で刀奈の両親に問う。

 

 

「……と、彼は言ってますけど、どうします?

この子の妹さんの彼氏かと思っていましたが、どうやら彼はこの子に気があるらしいです」

 

「……。その様だね。

まるで簪を利用して此処に来たみたいで正直ムッとするが、確かに刀奈の婚約者候補を倒したのは事実だ」

 

 

 簪がショックを受けた表情で立ち尽くしている姿を見ながら、刀奈の父親は目付きを鋭くさせる。

 それは先代の楯無である母親も同様であり、この時点で春人が簪を利用していただけだと判断する。

 

 

「では先代楯無として二人となった婚約者候補に約束しましょう。

純粋なる決闘に勝利した者が、次代の楯無――刀奈の夫となれる事を」

 

「「………」」

 

 

 どうやら簪はとんだ男に捕まったらしいと夫婦は思いながらも、イッセーと春人に宣言する。

 楯無を継ぐ刀奈の夫として必要な条件は心技体の高水準で高めている者でなければ務まらない。

 

 だからこその『決闘』なのだ。

 

 

『良かったな。勉強の出来る出来ないの競い合いだったら詰んでいたぞ』

 

(………)

 

 

 そして今、イッセーはリアスでは無い誰かの為に初めてその力を解放する。

 世界そのものを敵に回してでもリアスと生きようと、共にもがき続けた結果到達した最後の赤龍帝としての力を……。

 

 

「では場所を移動するからついてきたまえ」

 

「刀奈と簪もついて来なさい。

そして見届けなさい」

 

「春人……」

 

「………」

 

 

 刀奈と簪の父の後に無言で頷いて付いていくイッセーを睨みながら更にその後を追う春人。

 そんな春人の刀奈に対する異質的な執着を示す姿にショックから立ち直れない簪は、思わず姉を見る。

 

 

「……なに?」

 

「っ……」

 

 

 その視線に気付いた刀奈は、ほんの半年前までの顔色を伺う様な態度ではなく、毅然とした態度だ。

 それはまるで、本当に簪とは姉妹ではあるが、徹底的な線引きをしている様な……。

 

 

(ち、違う。私は間違ってない。

春人にはきっと何か考えがあるだけ……!)

 

 

 そんな姉の姿に、簪はほんの一瞬だけ、もはや取り返しのつかない事になってしまったのではないかと思ったが、必死に自分へ言い聞かせる様に否定した。

 

 

(こんな家の奴等より、春人の方が優しかった。

だから私は間違えてない……!)

 

 

 自分には春人しか居ない。

 その依存心が簪を更なる現実逃避へと向かわせながら……。

 

 

 

 

 結局の所、織斑春人は刀奈の婚約者候補を名乗る男の正体がわからなかった。

 どう見ても自分の記憶には無い存在だし、出てきた描写も無かった。

 

 だから春人はこの男を自分という存在を理由にしたイレギュラーと断定すると同時に、今は刀奈や両親達の手前殺さないにしても、確実に後日消す事を決めていた。

 

 

(まずは勝つ……。こんな訳の解らない奴に取られてたまるか……!)

 

 

 その為には一先ずこの男を下す。

 下して自分が婚約者となる。

 

 

「ここがキミ達の決闘の場所だ」

 

「……………」

 

 

 今はまだ刀奈からも警戒されているが、その内絶対にその警戒心を解いてみせる。

 そんな決意を一人でしている内に、刀奈の父親の声で現実に戻る春人。

 

 どうやら決闘を行う場所に着いたらしく、更識家が個人で所有する屋敷裏の竹林の奥にある開けた空間だった。

 

 

「ここは更識家が所有している」

 

「今からここで行われる事について何があろうと(・・・・・・)、法による介入はありません。

つまり……」

 

「相手を再起不能にする大ケガを負わせても罪にはならない……という事ですか?」

 

「そうだ」

 

 

 頷いた刀奈と簪の両親に、都合が良いと春人は内心笑う。

 徹底的に痛め付けても文句は無いし、表沙汰にもならない――それはつまり『うっかり死に追いやってしまっても』、不慮の事故と見なされるのだから。

 

 俄然やる気を出す春人は、刀奈と何か話しながら準備運動をしている茶髪の男を見据える。

 

 

「春人……」

 

 

 傍で簪が悲しげな表情を浮かべている事も見えず、ただ刀奈と親しげな男に憎しみの感情を浮かべて……。

 

 

「ある意味ちょうど良かった。今後あの二人が越えなきゃならないレベルがどれ程なのかがわかるからな」

 

「嘘でも私の為に勝つとか言ってくださいよ……」

 

「そんな事は一々言わなくてもわかるだろ? でなきゃ放棄して逃げてるよ」

 

「じゃあもし先生だったら?」

 

「そりゃあ勿論、ウザいくらい言っちゃうかなぁ……」

 

「ほらやっぱり! そんな気はしてたけどあからさま過ぎますって!」

 

 

 一夏と箒が越える必要のある壁がいかほどなのか確かめる気でいるイッセーは、子供みたいに膨れて不満そうな顔の刀奈にヘラヘラ笑いながら、その額を指で小突く。

 

 

「こればかりは変えられないんだよ俺は……悪いな」

 

「……。ふーんだ、そんな事言われても諦めませんよーだ!」

 

「強情な子だなキミは……。

まあ良いさ……今はとにかくキミを取り巻くうざったいもんを消し飛ばしてやるさ」

 

 

 何度も同じことを言っているのに、それでも尚諦めるつもりのない刀奈の態度に、イッセーは首の関節を鳴らしながら一歩前へと出る。

 対面には、全く興味のない織斑千冬に似た男が此方を睨んでいる。

 

 

(精々一夏と箒達の糧になれるぐらいは期待するぞ……全部が借り物野郎)

 

『さて、どうするイッセー? 最初から全開で捻り潰してしまったら測れんぞ?』

 

(出方を伺うだな。

勿論、毛ほども油断はしないぜ……)

 

 

 かつて自分とリアスから全てを奪い去った男と、容姿こそ違えど、その目の奥のどす黒さだけは同じだとイッセーはドライグと共に感じる。

 自分とリアスは戦う事を放棄して逃げた。

 だが一夏と箒には自分達と同じ様な道は出来ることなら歩んで欲しくない。

 

 だが……一夏と同じか――いやそれ以上にリアスに酷似する刀奈が狙われてるのであるなら、リアスを慕ってくれる子であるのなら……。

 

 

「ではそろそろ始めようか」

 

「両者、向かい合って」

 

(久々の実戦か……。

最後にマジになったのは、リアスちゃんを裏切った元・眷属共と、幼馴染みとほざいておきながらあっさり掌を返したクソ眼鏡悪魔とその眷属共と、お尋ね者だったくせにさっさと無罪になってたあのクソ猫の姉を、殺さないギリギリで原型留めない程度にグチャグチャにしてやった時か……)

 

『バカな事に、奴等がリアスを攻撃した事で、お前が激怒し、所謂『ミンチよりひでぇ』状態にされたカス共か……。

徹底的に、二度と直らない技術を込めてやったから、永遠にあのまんまだが、果たしてあのゴミはそれでも『愛してやる』なんて吐き気のする台詞をほざけているのか……。ま、どうでも良いが』

 

 

 簡単に裏切り、恩も何も忘れてリアスを傷つけた元眷属達を引く程のミンチにしてやった以来なかったまともな戦闘を直前に、珍しく高揚しているイッセー

 

 

「イッセーさん」

 

「ん、なんだ?」

 

 

 流石にミンチとまではいかないが、二度と刀奈に近付けなくなる程度にはしてやる気でいるイッセーに、刀奈が声を掛けた。

 振り向くと、刀奈は少しだけ何かに躊躇うような顔をするも、口を開く。

 

 

「………。別に先生の二番煎じのつもりじゃないし、私に言われた処でイッセーさんのモチベーションが上がるとは思ってませんけど、言わせて貰っても良いですか?」

 

「あ? 何を――」

 

「頑張って……!」

 

 

 それはリアスがイッセーに送る言葉と同じだった。

 自分で言った通り、リアスだからこそ意味のある言葉であると刀奈は思っているので躊躇った。

 

 けれどそれでも……リアスに負けたくないその気持ちが、刀奈の背を押したのだ。

 

 

「………」

 

「ぅ……そ、そんなキョトンとした顔しなくても良いじゃないですか……。

わかってますよ、どうせ先生に言われるのとでは違うんだって事ぐらい――」

 

「そりゃあそうだろ。

けどよ……」

 

「ぁ……」

 

「リアスちゃん程じゃないにせよ、悪い気はしない。

うん、わかった―――頑張る」

 

「!」

 

 

 その想いは果たして通じたのか……。

 ポンと優しげに頭に手を置かれ、子供の様な笑顔を浮かべたイッセーを見れば、多少は分かるだろう。

 

 

「イッセーさん……」

 

 

 ほんの少しだけの触れ合いが終わり、背を向けたイッセー。

 そんな背中をただ見つめる刀奈は、やはり思う。

 

 守られるだけでは駄目だと……。

 だから見なければならない。イッセーとリアスが到達した領域がどんな場所であるかを。

 

 

「始めっ!!」

 

「…………」

 

「…………」

 

 

 其々の思惑が渦巻きながら始まった決闘。

 

 先代楯無とその夫。

 現楯無とその妹が見る中、織斑春人は脱力した佇まいで此方を見据える男と相対しながら、自身の武器である部分展開させた雪片弐型を手に構えた。

 

 

「……ルール上、ISを使用しても問題無いですよね?」

 

「……。まあ、良いでしょう」

 

 

 眉をひそめるような反応をしたイッセーを無視し、先代楯無に確認する春人に、先代は若干微妙な顔をするものの頷く。

 それを聞いた瞬間、春人は地を蹴って肉薄し、雪片弐型の刃を躊躇無く、首目掛けて横に振るった。

 

 

「………」

 

「!」

 

 

 しかしその一太刀は紙一重で上体を反らしたイッセーに避けられた。

 そして避けられたと同時に上体を反らした状態という、力の入らない体勢のままイッセーは春人の脇腹に拳を叩き込む。

 

 

「うっ……!」

 

 

 骨の軋む音と同時に内臓の空気が無理矢理押し出される様な感覚と共に膝を付く春人。

 その隙を突く様に、今度は膝を付いた春人目掛けて反らした上体を戻したイッセーの膝が春人の顔面に迫る。

 

 

「くっ……!」

 

 

 咄嗟に雪片弐型でガードするも、まるで金属同士の衝突音の様な高音と共に春人の身体は後方へと弾き飛ばされる。

 

 

「……………」

 

(こいつ……!)

 

 

 鈍い痛みを残す脇腹を押さえながら立ち上がる春人は、この一瞬のやり取りで見せられた男の立ち回りがただの一般人ではないと察知する。

 

 

(僕の一太刀を避けたばかりか反撃をしてきた。

……本当に何なんだこの男は?)

 

 

 ただ者ではないと察知して記憶を改めて辿るが、やはり目の前の男に関する知識も記憶も存在しなかった。

 

 

(……。やっぱり確実に消えて貰うしかない)

 

 

 冷たい目で見据える男の正体がわからない。

 いや、わからないからこそ生かしておいたら危険だと判断した春人は、ISの一部である雪片弐型を待機状態に戻す。

 

 

「は、春人。なんで雪片弐型を……」

 

「…………」

 

 

 その行動に簪が戸惑うが、春人にとってこの行動こそが本気の意味であった。

 神から与えられた力を行使するという意味で。

 

 

「出来れば使いたくはなかったけど、皆には僕を知って貰いたいから使う……」

 

 

 そう尤もらしい台詞を吐きながら春人は右手に一本の刀をどこからともなく取り出し、鞘から抜いた。

 

 それは武骨な日本刀であり、まるでISの部分展開の様に右手に持った春人は――――

 

 

「………残火の太刀」

 

 

 確実に負けないと自負できる力を解放した。

 そして……。

 

 

「残火の太刀・東・旭日刃……」

 

 

 その刃を――先程とは比べ物にならない攻撃力を誇る一太刀をイッセーに放った。

 

 

「!」

 

 

 その瞬間、それまで無表情であったイッセーの顔色が変わり、咄嗟にその場から飛び退く。

 するとイッセーが居た場所は一瞬にして底の見えない大穴が開けられ、焼き焦げた様な臭いが竹林全体に充満する。

 

 

「…………」

 

『熱……炎でも操る力か? どちらにせよ、奴は周囲の被害を考えず、お前を殺したい様だ』

 

 

 開けられた――いや、焼き斬られたとでも言うべき大穴の所々から燃える小さな炎、そして周囲を全て燃やさんとばかりの熱を放つ春人の刀の力を解析していくドライグに、イッセーも同じ考えだったらしく、小さく頷く。

 

 

『これはあまり時間を掛けては居られないらしい。

早くしなければ小娘共もその親も無事では済まなくなる』

 

(………ああ)

 

 

 そしてドライグの、時間を掛けられないという意見にも同意する。

 現に春人の力の余波によって、信じられない程に気温が上昇しており、竹林の竹は溶ける様に崩れていくし、刀奈も簪も両親達もこの高温に長時間は耐えられない。

 

 能力の大体は解った今、最早遊んでいる理由も無くなったし、やはり予想の通り強い力を持っているだけの存在だった。

 

 だからイッセーは―――

 

 

「遊びは終いだ」

 

『Boost!』

 

「なっ!?」

 

 

 その熱気をも消し飛ばす暴風の様なオーラを全身から放ったのだ。

 

 

「なん――ガッ!?」

 

 

 そして驚愕する春人に肉薄し、ただシンプルにぶん殴る。

 かつては戦う事を放棄したとはいえ、鍛える事を放棄したつもりはない。

 

 この先同じような存在と対峙するのかもしれないという考えはあった。

 あったからこそ、イッセーはその一撃に『二度と修復する事は叶わない破壊の技術』を込め、春人の刃ごとシンプルに殴り飛ばしたのだ。

 

 

「そ、そん……な……」

 

 

 殴り飛ばされ、ゴム毬の様に地面をバウンドしながら転がり、やがて停止した春人はへし折られた刃を手にピクリとも動かない。

 対転生能力を軸に徹底的に鍛えたからこそ可能にした決着。

 

 

「一々見てやる程、俺は自信家ではないんでな」

 

 

 それはあまりにも呆気なく。

 あまりにもつまらなく。

 

 あまりにもどうしようもない戦いとも呼べぬ何かなのであった。




補足

マジになられる前に殺る。

それがリーアたん一筋イッセーのスタイル。

言うなれば、大魔王サタン様をフルボッコにした塩試合マンとか呼ばれてしまってるジャスティスマンの様なそれ。


その2
寧ろぶちのめした後の方が大変だったり。


………どーせ被害者ぶってチクリ入れるから、保護者共からのクレーム的な意味で。





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