色々なIF集   作:超人類DX

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新年入っての投稿。

新年早々ふざけてます。


番外その3

 憑依の低テンションの場合。

 

 

 他者への憑依という形で生き残ってしまった最後の赤龍帝の名と姿が変わってからの人生はまさに灰色そのものだった。

 

 愛した者は傍に居ない。

 肩を並べて共に世界へ抗った仲間達も居ない。

 

 そして何よりも、誰も本当の自分を理解する者もいない。

 

 それは苦痛であり、恐怖であり――そして絶望でもあった。

 

 唯一自分を知る赤い龍すらも居なかったと考えるだけでも背筋が凍る思いでしかないまま、結城リトとして生きるようになった最後の赤龍帝ことイッセーにとって、仲間達や心から愛していたリアスの喪失は其ほどまでに大きすぎたものであったのだ。

 

 しかしながら、運命というのは皮肉なものであり、リトとなったイッセーをただそのまま朽ち果てさせる事は無く、地球外の存在との邂逅が再び彼を甦らせる事になった。

 

 もっとも、出会った地球外の存在の全てと親しくなっていく訳でもなく、彼の心の中に土足で入り込もうとする輩の方が多いくらいだったので、そういった手合いの者達にはもれなく九分殺しの刑に処してやった訳だが……。

 

 とにもかくにも、生き方こそ違えど、リアスや共に世界に対して抗い続けた仲間達が居たお陰で、腐ること無く生きる事ができていた兵藤イッセーは、結城リトとして只独り生き残ってしまって以降は、近寄りがたい雰囲気を撒き散らすようになってしまい、リアス一筋が故に相手が例え美少女であろうが、嫌悪を感じれば隠す事無く辛辣となってしまった。

 

 つまり、本来の結城リトが持つ優しさによって惹かれていく者達との関わりが薄くなったり………逆に結城リトとして生まれ変わった、リアス一筋のイッセーだかるこそ逆に関わりが強くなっていったりと、色々変わっている世界にて生き延びている彼は今日も生きているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 紙一重の差であり、どちらが負けてもおかしくは無かったとはいえ、リトという名と姿として生き残っているイッセーは確かな敗北をした。

 

 相手はひょんな理由から関わるようになった宇宙人の少女達の父親にて、恐らくはこの世界の宇宙の覇者であるギドという名の男。

 

 仲間やリアスが傍に居ない事で、生きる気力を半ば見失っていたリト――そしてイッセーの頃から唯一変わらず共に存在するドラゴンことドライグにとってすれば、久々となるまともな敗北であり、その悔しさにリトは涙を流す程であった。

 

 だが、その敗北が無気力となっていたリトの心に対して、必ずリベンジをするという『火』を灯す事になり、イッセーの頃の半分程度まで落ち込んでいた力を再び取り戻す決意をさせる。

 

 しかし、その後一歩まで追い込まれる程の死闘であった事は、ギドにとってもかなりの刺激であったのと、何よりギドの嫁であるセフィの特性と真正面から対面しても眉ひとつも動かす事無く、寧ろ嫌悪丸出しな言動で罵倒までしたという、ある意味で頑固とも言える強靭な精神力は実に好ましいと思ったらしく、本人はとてもありがた迷惑も甚だしい事をリトにする様になった。

 

 具体的に言うと、異性としては欠片の興味も関心も無いギドの娘共を引き続き寄越してくるとか。

 

 

「ね、ねぇリト……?」

 

「なに?」

 

 

 そのギドの娘は三人居る。

 まずは長女にて、リトが宇宙人としての意味でも最初に出会った美少女のララ。

 

 

「何時もヤミとしゅぎょーしてるんでしょう? それでその……もし良かったらリトのしゅぎょーに耐えられるくらいの頑丈なお部屋を作ってあげよっか? ……なんて」

 

 

 故郷の星から家出し、逃亡した先が結城家の風呂場で、ちょうど入浴中のリトと出会したのが最初の出会いである長女のララ。

 その美貌は数多の宇宙人の王族が婚約を申し込む程であり、実際そういう話に嫌気が刺して家出をし、結果だけを言うと、ララにとってはかなり新鮮味のある対応しかしてこないリトに惹かれていった。

 

 

「め、迷惑だったら良いからね? リトの役に立てたらなって思っただけだから……。あ、あはははー……」

 

 

 しかしある時、リトであってリトではない心の一端にうっかり触れてしまい、その際のリトの対応がすっかりトラウマになってしまったせいで、天真爛漫さがリトの前では完全に消え失せるようになってしまった。

 

 リトが寝言で呟いたリアスという誰かについて聞いた時の、ララに対して向けた冷徹を通り越して、道端に落ちた煙草の吸い殻――つまり塵でも見るような顔は忘れられないし、もう二度と聞くまいと心に誓わせる程だ。

 

 只でさえ、普段ですらララに対して淡白な対応しかリトはしないのに、これ以上嫌われたら、それこそ妹の片割れと同じになる。

 

 

「少し興味はあるな……。ちなみに、どれくらいの強度なんだ?」

 

「!!!? リトのビームでも壊れないくらいの強度ならすぐにでも作れるよ! ちゃんと整備もする!」

 

「ふーん? ならお願いするわ。さんきゅーな」

 

「っ!? う、うん……! が、頑張るよ! …………えへ、えへへへ♪」

 

 

 

 リトに見捨てられたくないという――何だか常にDVに走る夫がたまに見せるほんのちっぽけな優しさのせいで別れられない奥さんみたいな状況に陥っているのがララ。

 

 云ってしまえば、可もなく不可も無い。

 リト的には害にはならないけど、興味も無いというのがララへの印象なのだが、逆にララの妹の片割れで末っ子に対しては―――

 

 

「あら? ララお姉様とどんなお話を? 妙にお姉様が嬉しそうですが」

 

「………………」

 

「ぅ……。い、嫌ですねリトさんったら~

私の声は聞こえてるはずですし、無視は―――」

 

「Fuck you.

朝っぱらからそのムカつく面を俺に見せんじゃねぇ。腸引きずり出されてーのかボケ」

 

「」

 

 

 視界に入ったら舌打ちは当たり前。

 話し掛けられたら無視も当たり前。

 しつこく話しかけてきたら罵倒も当たり前。

 

 ていうか、調子こいた時は比喩無しにヘドロ満載のドブ川に叩き落としてやったりも当たり前。

 

 つまり、ララの妹の片割れであるモモに対してリトの印象は『消え失せろ』であった。

 

 元々は人懐っこくて、転生者でもない相手にはいくらなんでもここまでの嫌悪の態度を示した事は無かったリトが、何故ここまでモモを毛嫌いしているのかというと……。

 

 

「そ、そんな御無体な……。

過去に何も知らずにリトさんに行った非礼の数々は反省してますし、二度とやりませんからどうか――」

 

「じゃあ俺に話しかけるな、半径5メートルは近づくな」

 

「」

 

 

 一言で云うなら――リトを年頃の男子と高を括ってしまったから………であるとしか云えなかった。

 とあるリアスの母を何としてでも元の世界に戻す為に奮闘している執事の彼の世界では、寧ろ仲は良い方だったというのにも拘わらずだ。

 

 そしてそんな執事の彼が特に互いに興味も関心も無かったりする相手とは逆に関わりが多かったりする。

 

 

「プリンセス・モモが死んだ眼をしながら壁に向かってぶつぶつと独り言を言っているのを見てしまいましたが、またアナタが彼女に何かを?」

 

 

 その一人が、当初は暗殺のターゲットとしてリトを狙っていた金髪の少女・イヴこと金色の闇。

 

 

「頼んでもないのに、勝手に近寄って来てベラベラと喋っていたから、黙れと言っただけさ」

 

「……………。その『黙れ』と言う前にかなり辛辣な言葉も入っている気がするのですがね?」

 

「別に良いだろ? どれだけ周りが言おうが、嫌いなものは嫌いなんだよ」

 

「…………。まあ、プリンセス・モモはアナタへの対応を完全に失敗したとしか思えませんから、私もこれ以上は何も言いませんけど……」

 

 

 基本的にヤミと呼ばれているこの少女とは紆余曲折の果てになんとリアスの特性を覚醒させ、更にはリトの中に宿るドライグから力を借りることの出来る特殊な状態となった少女なのだ。

 

 それはつまり、現状のリトにとっての最大の修行相手であるのと同時に、リトとしてではなく、イッセーとして知る数少ない存在の一人なのだ。

 

 だからリトは他の者達とは違ってヤミには『イッセー』として接する事が多い。

 

 

「そういえば、ララが俺たちのトレーニングに耐えられる部屋を作るらしい。

本当かどうかは直接試さないとわからないけど、もし完成したら、もう少し本格的なトレーニングができそうだ」

 

「…………。あのお方もやはり不憫です」

 

「は?」

 

 

 リアスと同じ性質に目覚めた事への怒りは当初のリトにはあった。

 だがヤミ自身はリアスと己は違うし、なり得ないと宣言し、その言葉通りリアスとは違う方向への成長を示した。

 

 その覚悟がきっとリトを少しずつながらも認めさせたのだし、リトとしてではなく、イッセーとしての側面を見せるのだろう。

 なので、そういう意味ではヤミは特別だし、ヤミ自身も運が良かったと思ってはいる。

 

 下手をすれば、もっともイッセーとしての逆鱗に触れた自分こそが殺されていたのかもしれなかったのだから。

 

 

「何でもありません。それよりも、そろそろ始めましょう」

 

「ドライグは今キミの中か……?」

 

「ええ、アナタ自身の力を取り戻し、更なる進化をする為には俺を使わない鍛練が良いとドライグが言ってますし、何より私の方はドライグの力を使いこなす鍛練にもなりますから」

 

『そういう事だ』

 

「なるほどね……。

納得はするが、妙に肩入れが過ぎねぇかドライグ?」

 

 

 気質は確かにリアスに近い。

 だが、自分はリアスでは無いし、リアスになることは絶対にできない。

 だからこそ創られた存在としてではない、リアスの模倣でもない――――只のイヴとして仕留め損ねたリトの立つ領域に到達する。

 

 

「行きますよドライグ……!」

 

『何時も通り、一切の油断はするんじゃないぞ』

 

 

 

 その細い腕を覆う赤き龍の力は、まさに赤龍帝の籠手。

 トランス能力と併用するヤミが籠手を腕に構えるのに対し、リトは修行とはいえ、ドライグ相手に戦うとはと、少しだけ感慨に耽りながらも、最初の邂逅とは違う真剣な表情と共に構えた。

 

 

「勝ったらたい焼きを奢ってくださいよっ……!」

 

「勝てたらな」

 

 とどのつまり、彼は結城リトとして生まれ変わったイッセーである。

 グレモリーとしてではなく、リアスそのものだけを愛し続けるイッセーなのである。

 

 リアスとの永久の別れと、本当の結城リトではない事実がその性格を少しヤサグレたものへと変えた訳で……。

 

 だからこそ、ギドとの最初の戦いに敗北した事はある意味リトにとって良いことであったのかもしれない。

 もしあの時ギドに勝っていたら、リトはイッセーとしての思い出に永遠に囚われ続けていたのかもしれなかったから。

 

 奪われた全てに対する復讐から、リアスを守る為に世界そのものに反逆したものに近い情熱が少しだけでも蘇った事は、どうであれリト自身に『前』を見ることを思い出させたのだ。

 そして、その『前を見る』事を思い出させたのは、ある意味でリトと近しいヤミではない。

 

 

「ゆ、結城君!」

 

「なに?」

 

「えっと、その……お、おはよ!」

 

「? ああ、うん……おはよう」

 

 

 本来の自分であった時には出来なかった事のひとつが『学生』であるリトは、今日も取り敢えず学校に行っている。

 理由は知らないが、気付いたらララの妹達なんかも何故か学校に通い始めていたりする中、何時も通り必死に付いてこようとするララなんかを後ろに教室へとやって来たリトに、緊張した面持ちで挨拶をしてくるクラスメートの女子が一人。

 名を西蓮寺春菜という、本来の結城リトが惚れている女子なのだけど、生憎中身がリアス馬鹿のイッセーの為、この春菜とはそこそこの挨拶を交わす程度の関係でしかなかった。

 

 

「そ、それでその……。きょ、今日は良い天気だよね?」

 

「は? ………今にも雨が降りそうな曇り空だと思うけど……」

 

「えっ!? あ、た、確かに! ご、ごめんね?」

 

「別に謝る事は無いけど……」

 

 

 実の所、西蓮寺春菜は以前にリトの気質を見てしまったが故にその気質を発現させた者だ。

 そして、それ故にリトが気になって仕方ない少女なのだが、元来そういった積極性が姉共々苦手だったりする春菜は未だにリトとは知り合い以上の友人以下の関係性に甘んじている。

 

 だから春菜の友人である猿山ケンイチがそんな春菜のフォローをしているのだけど、ただ今その猿山が別件で留守な為、上手いこと会話が広げられないでいる。

 

 

「…………」

 

「……。まだ何か?」

 

 

 春菜がリトと何かしているけど、下手に割って入ったらリトからまた『あの目』を向けられてしまうかもしれないと、現在の天気のような曇り顔で見ているララを背に、春菜はどうにかして会話を成立させなければと思案し過ぎてその場に突っ立っていると、そもそもリトにしてみれぱ単なるクラスメートの一人という認識しか春菜にしていないので、段々訝しげな顔となっていく。

 

 

「な、なんでもないよっ! そ、それじゃあ!」

 

 

 結局春菜は途中で力尽きてしまい、逃げる様に自分の席へと退散してまう。

 それに対してリトは疑問にこそ思ったものの、それ以上考える事もせず、昇天寸前の担任教師が来るまでヤミ

から渡された本を読み続けるのであった。

 

 ちなみに、進級の際に風紀がどうこうとララやリトに絡んできた女子生徒が居たのだが、やはりどこぞの執事の世界とは違って、無視を決め込み続けた結果、あんまり関わり合う事も無くなったのだった。

 

 

 

 

 宇宙人のララと知り合ってからというもの、リトの居る環境は確かに激変はしただろう。

 ララとの婚約を確定させる条件のひとつとして組まれたせいで、どこぞの宇宙人に狙われたり絡まれたりするのもそのひとつだ。

 

 しかし、何よりも変わったのは、『敗北』をする事による心境の僅かな変化であろう。

 リアスと共に生きるという願いの為に人の限界を常に越え続けてきた事で遂に復讐を遂げられたリトは最早化け物だった。

 

 だからこそリトへと生まれ変わった事で、全盛期から大きく力を落とたとはいえ、全力を出しても負けたのは、久しくなかったリトの抱える対抗心に火を灯したのは、ある意味で変化であろう。

 

 ドライグはそんなリトの負けに関して、負けて良かったと言っている。

 何故ならあの負け以降、ただ怠惰で続けていた鍛練にかつてと同等の気合いが込められて来たのだから。

 

 

「よ、リト。やっぱり此処に居たんだな?」

 

 

 そして何よりも、リアスや仲間達と共に在った頃と同じ『前を見る』事を思い出させてくれた者と巡り会えたから。

 その者こそが、リトにとって特に思うこともないララの妹で、最高峰に毛嫌いするモモの双子の姉でもある少女……ナナだった。

 

 

「ナナか……」

 

「昼休みになったらいつの間にか居なくなったって、皆が言ってたのを聞いてな。

まあ、直ぐに見つかって良かったけど」

 

「煩いのに絡まれるのはごめんなんでな」

 

 

 学校の体育館裏という、ほぼ人の寄り付かない場所の壁を背に寄り掛かりながらボーッと座り込んでいるリトの居場所を探し当てた、学生服を着たナナを一瞥だけして再びボーッと空を眺めているリトに、ナナは苦笑いをしながら隣まで近寄ると、そのまま並んで座り始める。

 

 

「………」

 

「…………」

 

 

 

 そしてそのまま暫く二人して何を話すでもなく空を眺める。

 これがもし隣に座りだしたのがモモだった場合、秒で追い払うのだけど、ナナの場合はそれが全くない。

 

 姉や妹に似た髪や顔立ちだというのにも拘わらずだ。

 

 

「モモもリトを探してたみたいだけど、此処とは正反対の場所を適当に言っておいたぞ」

 

「ああ、助かるわ。

屋上から紐無しバンジーの刑に処してやる手間が省けそうだから」

 

「アタシも妹がそんな目に遇わされるのを見る心配をしなくて済みそうだよ……」

 

 

 寧ろ不思議な程に、リトは三姉妹の中ではぶっちぎりでナナに対して心を許している。

 それは、ギドに敗北した後、独りで凹んでいた時にナナから向けられた優しさが理由であったりするし、何よりナナの場合は結城リトとしてでも、兵藤イッセーとしても変わらずに接してくれるし、否定もしないのが大きいのだ。

 

 ナナ自身も、強いけど強がっているリトを放っておけずにアレコレとしてあげている内に、元々動物等といった者達と心を通わせることのできる特性を持っていたという事もあり、リトに対してのみ包み込む様な優しさを向けるのだ。

 それがたとえ、リトがイッセーとしての思い出を忘れる事無く、リアスに対して想い続けていても……。

 

 

「なぁ、こうして独りで居る時って、やっぱり昔の事を思い出してるのか?」

 

「え? あー……まあ、大概はそうなるかな」

 

「そっか。

じゃあやっぱり一番に思い返すのはリアス・グレモリーの事?」

 

「…………。そうだな」

 

 

 リアスという名はリトにとって大切なだけに、地雷ワードでもある。

 以前はそれが理由でララはトラウマを植え付けられたりもしたし、精神干渉による力で覗いてきたとある生物兵器達は、ドン引きレベルに八つ裂きにされ、結果完全なるパシりにさせられた。

 

 それだけリトにとっては大切で、勝手に覗かれたくない過去だけど、ヤミやナナはその地雷原をフリーで素通り出来る唯一の存在だ。

 だからこうしてリアスについてナナが訊ねても、リトは気を悪くした様子も無く―――いや、寧ろ逆に言いにくそうに言葉を濁す。

 

 

「アタシとヤミは『夢』で何度か会った事があるけど、如何にリト―――イッセーが大切にして来たのかがよく分かったよ」

 

「夢、か。それが本当の夢なのか、それとも安心院さんのスキルによるものなのか。

どっちにしろ俺はまだ会えてないけど……」

 

「あの人曰く、イッセーの夢の中に入り込めないんだってさ。

理由はよくわからないとも言ってた」

 

「そうか……」

 

「やっぱりまだ会いたいのか?」

 

「そりゃあな……」

 

「そっか……そうだよな」

 

 

 リアスとまた会いたいと言うリトに、ナナは少し寂しそうな眼差しだった。

 自分だけがリトとして生き残り、自棄になってしまっている姿が放っておけずに色々としている内に、強いけど弱いリトを独りにはしない事を決意するまでになったナナだけど、同時にどこまで行っても過去を忘れる事が出来ないリトに寂しさを感じてしまう。

 

 最初はそれでも良いと覚悟をしていた筈なのに……。

 

 

「それなのに、寝惚けてアタシを抱き枕にする癖は直んないとか、ズルいんだけど……」

 

「………。悪い」

 

「別に良いんだけどさー……」

 

 

 少しずつ前を向き始めた、しかしそれでも過去は忘れられないリトを、その感じる寂しさを紛らわす為にちょっとからかうナナ。

 その事を言うとリトは素直に謝るし、実際問題ナナ的にも悪い気は全くしないので、全然構わないのだけど、何度も寝言でリアスの名を呼び続けてるのを聞かされると、複雑な気持ちになる。

 

 でもナナはそんなリトの背中を押してあげられたら良いと思っている。

 キレたら容赦しないし、モモには辛辣だし、他人に対して殆ど興味を持たないやつだけど……。

 

 

「予鈴が鳴っちゃったね?」

 

「………めんどくせーからこのままサボるわ。

お前は戻りな」

 

「わかった―――なんて言うと思うか? リトがここに居るっていうならアタシも居るよ。迷惑じゃなければだけど」

 

「………。少なくとも、迷惑とはもう思わないよ、ナナにはな」

 

「なら居る」

 

 

 それでもナナは、今もまだ過去と現在の間で揺れて不安定なリトを支えられる一人でありたいと想い続ける。

 リトにこの先ずっとそう見られなくでも……。

 

 

「ほら」

 

「! な、なんだよ急に?」

 

「いや、ずっと外だと寒いかなって思ったからさ。

リアス・グレモリーさんと違って胸はぺったんこで悪いけど、そこは我慢してくれよ?」

 

「そ、そういう問題かよ?」

 

「いーんだよ、好きでやってる事なんだから。

それとも嫌か……?」

 

「いや、別に……良いけど……」

 

「ふふ、じゃあ決定だな? 強がってばっかりだし、たまには誰かに寄りかかったって罰は当たらない。

アタシで良ければ、寄りかかったって良いからな?」

 

「…………」

 

 

 弱さを癒せる者で在りたい。

 親や姉妹にも見せた事は無い程に優しく、母性に満ちた表情で戸惑っているリトを抱き寄せるナナは、コンプレックスにも思っている控えめな胸で抱きながら、背中を優しく叩くのだった。

 

 

終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ・??な場所にて

 

 

 

「ほ、本当に私は大丈夫ですから……! ドキドキしてあまり眠れなかったですけど」

 

「す、すまん……」

 

「前に美柑さんにもやってしまったというのは聞いていましたが、私は寧ろ嬉しかったといいますか……。

だって乱暴な事は本当にしませんでしたし……そ、その、甘えてくるように抱きしめてくれてましたし……」

 

「……」

 

「で、でも流石に私の胸に赤ん坊さんみたいにしてきた時は色々と大変でしたけど……」

 

「…………。殺してくれて結構だぞ……マジで」

 

「殺しませんってば! 私としてはこれでやっとスタートラインに立てたって思ってますし!」

 

「…………」

 

 

 とある世界では、逆に末っ子の方とそこそこ仲良くなっており、ある朝にとんだTo loveるが発生して大変だったとかなんとか。




補足

基本的に地雷踏まれたらその時点で終わり。

それが憑依リト龍帝。


その2
ヤミたそー


その3
ナナたそー



その4

逆にモモ姫さまー
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