色々なIF集   作:超人類DX

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ら、ラブコメの時間だー!


空色の花嫁

 その後千冬に似た少女がどうなったのかは誰も知らないし、一夏も一晩眠ったら普通にその少女の事は記憶から消していた。

 

 

 だから、少女が所属する組織の回収部隊にもしかしたら絶命寸前で発見されて命だけは助かったかもしれないし、そのまま虫や小動物に肉体を食い散らかせて死んだかもしれないし、生きていて回収部隊に拾われても、全身を食い散らかせたおぞましい姿となっていて、回収部隊達がその場に吐き散らかすという事になっているのかもしれない。

 

 何れにせよ、一夏には関係の無いことであるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 もっと先の領域へと進もうと躍進中の更識楯無――いや、刀奈のタイプはリアスに近い。

 惹かれていく相手が同じである事もそうだが、何より今に甘んじずに添い遂げたい者と共に先へと進もうとする覚悟の在り方もまた似ていた。

 

 

「何故イッセーが私と同じ性質の魔力を扱えるかですって?」

 

「ええ、イッセーさんは元は普通の人間で、悪魔ではないんですよね?」

 

「ええそうね……今も一応種族としては人間ではあるわ」

 

「それならどうして先生と同じ魔力ってやつを扱えるのでしょうか? あのドラゴン波ってか◯は◯波みたいなビームも神器の力みたいですし……」

 

 

 その為に刀奈誰よりも向上心が強かった。

 まだまだ見えぬ先を歩くリアスと一誠に追い付く為に。

 何よりリアスとは反対側の一誠の隣を歩く為に。

 

 例え一誠に振り向いて貰えずとも、それでも変えられぬこの気持ちの為に、刀奈はこの世でもっとも強いと思っているリアスに教えを乞う。

 

 

「私とイッセーの異常が信じられない程に噛み合った結果というか、本当に偶然そうなっちゃったから、説明しろと言われても結構難しいわね」

 

「…………。それって前に先生が言ってた、イッセーさんと大人な事をした的な奴ですよね?」

 

「ま……まあ」

 

 

 織斑春人や妹の簪との一件以降、刀奈の覚悟は完全な形となり、その性質も覚醒段階へと到達していた。

 そんな刀奈が次のステップとして考えたのは、リアスや一誠――そして一夏と箒が持つ気質とは違う力――即ち魔力という概念を学習することであった。

 

 時折リアスと一誠がその身から放つ説明不能の異能。

 

 それはリアスの本来の種族――悪魔としての力であり、更にその性質は母方の血族が持つ『消滅』の力であった――と、説明された時は刀奈も当たり前ながら驚いた。

 

 

「つまり、リアス先生の性質に近い私が一誠さんと――え、えっとその……え、えっちな事をしたら魔力を使えるかもしれないって事ですよね?」

 

「………。刀奈ってこういう時が可愛いからちょっと妬けるわ」

 

「か、からかわないでくださいよっ! 肝心のイッセーさんは相手にしてくれないんですから……」

 

 

 とはいえ、それ以前から散々非現実的な現象を見せられてきたお陰か、本音や虚や真耶やシャルロットも含めて割りとすんなり納得と理解をした訳で。

 二人の領域にもっと近づきたい刀奈としては、完全に不可能ではないのなら是非その力を扱えたら――と思って、大元となるリアスに訊ねた次第だ。

 

 

「けどどうなのかしらね……。

確かに私に近い刀奈ならイッセーの異常性と噛み合えるかもしれないけど……」

 

 

 そんな刀奈の向上心に、刀奈自身を気に入っているリアスも惜しげもなく協力するのだが、思えばどうして一誠が悪魔である自身の血族と同じ魔力を扱えるようになったのかは、正直な所あまりよくわかってはいない。

 

 それこそ、思い当たる節があるなら、逃亡生活中に毎晩そういう事をしていたら、互いの気質が少しずつ入ってきたということぐらいな訳で……。

 

 

「一夏の場合は完全に私を見て覚えて、その一夏から箒にも分け与えられたから、多分刀奈も私の力を見て体感すれば扱えるようになるかも……?」

 

「なるほど……」

 

 

 技術のラーニングに関しては化け物じみた才能に到達している一夏と、その一夏と何度もイチャコラした結果到達した箒を例に上げるリアスに、刀奈は真剣に頷く。

 

 リアスもまたその気になれば―――例を挙げるならば、戦ったISの能力をラーニングしてしまえる異常性がある。

 つまり、一夏やリアスに近い刀奈ももしかすればそのラーニング能力を目覚めさせることで可能に出来る可能性は充分にある。

 だからまず刀奈はリアスの放つ消滅の魔力を直接見てみることになったのだが……。

 

 

「どうかしら? 私は何時も相手の力を見ると頭の中で理解して扱えるようになるのだけど……」

 

「う、うーん……。

こう、魔力という概念はなんとなく理解できましたが、扱えるかと言われたらまだなんとも……」

 

「まだ刀奈の経験が足りないからなのかしら……?」

 

 

 魔力という概念そのものは何と無く刀奈の中で理解はできたが、扱えるレベルには達してなかった。

 これは恐らく、箒や一誠の持つ『異次元レベルの進化速度』がまだ刀奈に存在していないからなのかもしれない。

 最早普通の人間が聞いたら『頭がおかしい』と思われる会話なのだが、本人達にその自覚はまったくない。

 

 

「あの……さっきから一体二人は何を言っているんだ? というか、当たり前のようにグレモリー先生の手から気功波のようなものが……」

 

 

 その普通筆頭(by一誠&一夏)であり、実は先程から保健室で二人のちんぷんかんぷんなやり取りを見ていた千冬は、この前から続く非現実的な光景にただただ唖然としていた。

 

 

「ああ、ごめんなさいね織斑先生?」

 

「実は魔力を使ってみたくなりまして……」

 

「ま、魔力? 魔力というと、よくRPGのゲームか何かで表現されるアレのことなのか???」

 

「あ、織斑先生もゲームをなさるのですね? えっとまあ……大まかに言ってしまえばそんな感じです」

 

「………………。兵藤さんは手からビームを出すし、一夏もこの前篠ノ之と飛び回りながら手から光線を当たり前のように出し合ってたのは夢ではなかった訳ですか……」

 

「あれですよ先生、ISの単一仕様能力みたいなものだと解釈すれば、案外納得されるでしょう?」

 

「……ISを扱う上での能力と、生身で手からビームを出すのとは前提からして違いすぎるだろう」

 

 

 あまりにも濃すぎる二人のせいで、本当にすっかり普通の女性化してしまっている千冬は、非現実的な単語ばかりポンポンと口にするリアスと刀奈に渋い表情だ。

 しかし考えてみればあの春人の炎が出る変な刀も非現実的だったので、微妙に意味合いだけは理解できてしまう。

 

 

「アイツの持っている刀と同じようなものだと思うことにしたよ……」

 

「今はそういう解釈で結構ですよ? それより刀奈、今織斑先生に言っていたISの単一仕様能力(ワンオフアビリティー)――だったかしら? その言葉で思いついたのだけど……」

 

「? なんでしょうか?」

 

「私の魔力をそのままそっくり真似るより、アナタの専用機の能力を魔力で再現した方が良いんじゃないかしら?」

 

「え?」

 

「………………」

 

 

 リアスの提案に目を丸く刀奈と、『無茶苦茶な……』と非現実的な話にしょっぱい顔になる千冬。

 第一そんな事が人間で可能なら、ISなんて必要ないし不可能だ。

 

 『物は試しよ』と場所を移動しようとするリアスとそれについていく刀奈にちゃっかりついていきながら、千冬は普通の女性らしく思うのだった。

 

 

 

 

 こうして学園の外れにある、訓練場に移動したリアスと刀奈となにげについてきた千冬。

 一体何をするのかと千冬が思う中、リアスは刀奈にISを起動してみなさいと言い、刀奈はそれに頷いて割りと久々に自身の専用機――霧纒の淑女(ミステリアスレイディ)をその身に纏う。

 

 

「最近必要性を感じなくなりつつあったので、久々の起動になりますけど、どうしてですか?」

 

「その状態で私と少し手合わせしましょう」

 

「……………」

 

 

 空中に留まる刀奈が訊ねれば、リアスは軽い準備運動をしながら、普通の人間が聞けばありえないと叫びそうな事を言い出す。

 

 しかしそんなリアスの言葉に対して刀奈は勿論、普通代表の千冬も驚く様子は見せない。

 

 というのも、千冬は生身でISを粉砕するであろう一誠と真正面から、ISの速度よりもえげつない速度でやりあえていたリアスの姿を見たことがあったので、今更驚きようも無かったのだ。

 

 その証拠に、刀奈はリアスのその言葉に対して臨戦体勢に入っているのだから。

 

 

「生身ではない分、ちょっとムラがありますよ?」

 

 

 そう言って武装のひとつであるラスティー・ネイル

と呼ばれる蛇腹剣を手に構える刀奈。既にその剣は水で覆われている。

 

 刀奈のISはざっくばらんに説明すると水をテーマにした能力が多い。

 

 他のISとは違い、見た目は殆ど生身に近く一見すれば防御に難があると思われがちだが、その実ISから供給される薄い水の膜が刀奈の全身を覆っているので、実際の防御力は寧ろある。

 

 それに加えて、ロシアの国家代表レベルである操縦技術もある。

 つまり、並の存在では刀奈を倒すのは容易ではない。

 

 だが――

 

 

「フッ……!」

 

「っ!?」

 

 

 相手は人ではなく悪魔。

 そして何より、現在に至るまで一誠と共に進化を続けてきた異常なる者。

 

 普段は一誠に守られがちなイメージを持たれているリアスだが、その力は紛れもなく――一誠の隣を歩く者であった。

 

 

「ぐっ!?」

 

「油断大敵よ刀奈?」

 

 

 一瞬で音もなく目の前まで肉薄され、軽いジャブが刀奈の頬を掠める。

 本能的に顔を逸らした事で掠める程度で済んだものの、直撃していたら一発で意識を持っていかれていたと戦慄する刀奈は、当たり前のように空に立っているらはリアスから距離を取ろうと後退しつつ蛇腹の剣で仕掛ける。

 

 

「…………」

 

 

 鞭の様にしなる刃がリアスを襲う。

 だがその悉くを冷静に紙一重で避けるリアスは後退する刀奈の速度よりも更に速く再び肉薄し―――――

 

 

「あ、あれれ? リアス先生がたくさん居るように見えるわ?」

 

「……………嘘だろ」

 

 

 その速度によるものなのか、リアスが増えたのだ。

 それは、かつて一誠が最初にリアスに教えた技術のひとつ――名を光化静翔・アコースティックバージョンのように。

 

 

「ぐぅっ!?」

 

 

 質量のある残像が一斉に刀奈を四方八方から叩く。

 それも速いだけではなく、重さのある攻撃であり、アクア・クリスタルから生成した水のヴェールを削り取っていき、やがて刀奈に直接ダメージを与え始める。

 

 

「このっ……!」

 

 

 しかし刀奈とて意地で食らい付こうと、襲い掛かるリアスとその分身達に反撃しようと剣を振るいつつアクアクリスタルから供給していた水のヴェールを左手に集中させる。

 

 速度とパワーで既に負けていると悟ったからこそ、刀奈は意地で一矢報いようとギャンブルに打って出たのだ。

 それは恐らく自爆技となってしまうが、直撃すればダメージを与えれる程の威力にはある――

 

 

「今っ!!!」

 

「!」

 

 

 ミストルテインの槍と呼ばれる技術であった。

 本来はもう少し違うのだが、緊急というのもあったのか、左手のみに集中させたアクアナノマシンを一気に解放し、リアスの攻撃に合わせてカウンターのように放った。

 

 その瞬間、両者の間で大爆発が発生し、刀奈はその衝撃で吹き飛ばされてしまう。

 

 

「くっ……!」

 

(な、なんという無茶苦茶な……)

 

 

 地面へとなんとか着地する刀奈を見ながら、千冬はただただこの光景を眺めていた。

 何せその一撃を直撃した筈のリアスは――

 

 

「今のは驚いちゃったわ」

 

 

 ほんのちょっと胸元が破けてしまって、決して小さくは無い刀奈と千冬が軽く敗北感を抱く程度にはメロンなそれが少しだけ露出したリアスが感心した様子でそこに君臨しているのだから。

 

 

「だ、だと思いましたよ。

これ、去年くらいまでの私の持つ技中でも最大攻撃なのに……」

 

(……。べ、別に私だって無いわけではない。

さ、最近篠ノ之にも負けてるとかも思ってないし……)

 

 

 ゆっくりと地面に降りるリアスに、乾いた声で笑う刀奈は参りましたと降参する。

 そして千冬は何故か、自分の胸をちょっと両手で触れながらリアスの胸と箒の胸への敗北感を感じるのだった。

 

 こうして刀奈のISと軽く触れ合ったリアスだが、勿論単に手合わせをしていたのではなく、ちゃんとした目的があった。

 

 

「刀奈のISの能力を体験してわかったわ。

どうやらISの能力も模倣くらいはできるみたいね」

 

「そうなんですか? ああ、だから私にISを使えと……」

 

「…………」

 

 

 予感を確信に変えるリアスの言葉に刀奈は納得する。

 千冬がずっと自分の胸を両手で触れて大きさの確認している横で模倣を可能と断定したリアスは、刀奈に告げる。

 

 

「刀奈、アナタは自分のISの能力を完全に自分のものにしてみなさい。

そうすれば私や一夏とは違う自分だけのオリジナルが手に入る筈よ」

 

「霧纒の淑女の能力を……?」

 

「そうよ。

アナタがこれまで専用機として使ってきた能力を自分自身で行使する―――アナタの宿した魔力としてね」

 

「私の魔力……」

 

「その為にはまず魔力の感覚を掴んで貰うわ。

私の魔力ではなくて、アナタ自身の魔力としてね」

 

 

 またしてもファンタジー全開な事を言うリアスだが、言われた刀奈は思ってもみなかった方法に目を輝かせていた。

 自分の専用機を自分自身の力とする。

 

 それはまるで一誠の神器のように――そしてリアスの魔力のように。

 

 霧纒の淑女を刀奈の力そのものへとする。

 

 

 リアスに近い気質だけど、リアスの模倣ではない自分自身のオリジナル。

 その道は刀奈自身の心を興奮に震わせるに十二分だった。

 

 

「そうと決まればちょっと強引だけど、一誠を呼ばないと……」

 

「へ?」

 

「ブツブツ……少なくとも更識よりはある。……あるよな?」

 

 

 

 

 

 織斑春人と取り巻き――特に取り巻き達から罵倒されまくるのを無視して一夏と箒と本音と虚とシャルロットと真耶のトレーニングを見ていた一誠は、携帯でリアスに呼ばれたのでその場所に行ってみると、何故か居る千冬―――は無視して一緒に居た刀奈に片手をあげて軽く挨拶しつつリアスに『どうしたの?』と訊ねる。

 

 

「お願いがあるのだけど……」

 

「?」

 

 

 お願いがあるのだけどなんてわざわざ聞かなくても、リアスに言われたら世界征服だろうがやれると自負している一誠が首を傾げると、リアスは刀奈をチラッと伺ってから口を開く。

 

 

「………………。刀奈とキスとかできない?」

 

「……………………は?」

 

「………………はぇ?」

 

 

 一瞬リアスが何を言っているのか理解が出来ずに固まる一誠と、同じく刀奈。

 

 

「えーっとリアスちゃん? ごめん、流石に意味がわからなすぎる」

 

「き、きす? 鱚? お魚? え? えっ???」

 

 

 だが時間と共にリアスがとんでもないことを言っているのだと理解した一誠は、意味がわからないとリアスに訊ね、刀奈は思考がショートしてしまっていた。

 

 

「いえね、刀奈が私のような『魔力』の概念を手に入れたいっていうから、アナタや一夏みたいに私と同じ性質ではなく、この子オリジナルの魔力性質に目覚めさせられてあげたらなー……って」

 

「それと俺のキスとの関係性がわけわかめだぜリアスちゃん……」

 

「だ、だってほら……。

イッセーが私と同じ魔力を扱えるようになったのって……あれが理由だと思うから……」

 

「あれ? ………あ、ああアレね。確かにそうかもしれない説はあるけど、でもそれって俺とリアスちゃんの異常が繋がる事で互いに分け合ったからじゃないの?」

 

「その分け合うに至ったのってやっぱり肉体的な繋がりがあったから……って思ったのよ」

 

「………………。理由はわかったよ。

でもいくらリアスちゃんの頼みでも流石にそれはできないよ」

 

「ま、まあ……刀奈にも悪いし、自分でも思い付いて最低な事を言っている自覚はあるけど……」

 

 

 

 

 

 

「き、キス? わ、私とイッセーさんが……こ、これは夢? 夢なの? そ、そんな急に……えへ……えへへへ♪」

 

「……………。あの子は私と同じくらいイッセーが大好きだし、私もあの子は好きだからと思って……」

 

「そ、そんな馬鹿な……」

 

「私だってもしイッセーが知らない女に迫られてるのを見た、その女を八つ裂きにしてやりたくなるくらい、イッセーは好きよ? でも刀奈はそれでもアナタが好きだってずっと想い続けてくれていたから――なんだか自分の事のように思えちゃって……」

 

 

 まさかな急展開で一誠も戸惑うばかりだ。

 だが流石に刀奈にキスはしたいしたくないという話ではなくしてはならないと考えているので、退くわけにはいかない。

 

 確かにリアスが刀奈を気に入っていて、それこそ刀奈の行動に妬くこともしないのは知っていたが、だからといってそれとこれとは別だ。

 

 

「あ、あのっ!」

 

「な、なんだよ?」

 

「わ、私! 知ってると思いますけど、初めてです! だ、だからイッセーさんからして欲しいですっ!」

 

「いや、するの確定な訳じゃないし」

 

 

 が、刀奈はどうから覚悟完了したらしく、ほんのり頬を染めながらシチュエーションのリクエストをしている。

 しかしどう考えても駄目だろうと思っているイッセーは頑なに断ろうとする。

 

 

「だ、駄目だ駄目だ! いくらなんでも駄目だ!」

 

 

 そりゃあ刀奈の成長の手伝いが出来るのならしてはやりたいが、そういうやり方はあまりにも邪道だと一誠は断る勢いでその場から逃走しようとする。

 

 

「………。私をリアス先生と間違えて抱き枕にしたくせに、イッセーさんのいくじなし……」

 

「ぶっ!?」

 

「あら、そんな事まで刀奈にしておきながら……」

 

「ち、違うっ! あ、あの時はこの子の親父に勧められた酒を断れずに飲んで意識が飛んじゃってだな……!」

 

 

 刀奈ちゃん抱き枕にされちゃった事件を引き合いに出されて焦る一誠。

 

 

「寝ぼけて抱き枕にされたあげく、リアス先生の名前ばっかり呼ぶし、胸が萎んだって言われるし……」

 

「イッセー……」

 

「そ、それは謝っただろう!? 第一――ぬわっ!?」

 

 

 しくしくと泣いて―――いるフリをしながらリアスに色々とバラしていく刀奈に、一誠は更に焦ったその時だった。

 完全に動揺して油断していたその隙を突かれる形でリアスに背後に回られた一誠は、そのまま抱き着かれるように羽交い締めにされる。

 

 

「な、なにを!?」

 

「そこまで刀奈にしたのなら一度くらいしても許されるべきだわ」

 

「ば、馬鹿な! こ、この子はまだ子供なんだぞ!?」

 

「………気づいてないのイッセー? アナタ、決して刀奈とはしたくないとは一言も言っていない事に」

 

「え……? あ、あれ……? い、いやそんな事は……」

 

「半年くらい前のアナタなら、無表情で『ありえねぇな』って言ってた筈よ?」

 

「う……」

 

 

 リアスの指摘に声が出せなくなる一誠を見て、ちょっと微笑むリアスは、実は普通に初心であわあわしていた刀奈を鼓舞する。

 

 

「今回はこれで我慢して欲しいけど、その内きっとイッセーからアナタにしてくれる筈よ?」

 

「で、でもイッセーさんは嫌がって……」

 

「本当に嫌だと思う時の一誠の態度――刀奈ならわかるでしょう?」

 

「ぁ……」

 

 

 リアスの言葉に刀奈は思い返すと同時に胸が高鳴る。

 そう、もしイッセーが本気で拒否する場合、ボロクソに詰るか、虫けらでも見るような目をする。

 

 けど今のイッセーはしていない。

 言葉にしてもそんな理由で刀奈にキスなんてできる訳が無い――と、刀奈を気にかけているようにも解釈のさできる。

 

 そう……それはつまり――

 

 

「……………」

 

「お、おい考え直せ……! 俺だぞ!? 俺じゃなくてもっと――」

 

「他の誰かなんて居ません……」

 

 

 リアスに羽交い締めにされて身動きが取れない一誠が考え直せと説得するが、刀奈はゆっくりと近づき爪先で立ちながら手を伸ばす。

 

 

「あはは……やっぱり変わらないや。

リアス先生が大好きだって知っていても、それでも一誠さんが好きです……!」

 

「っ……!」

 

「だから―――」

 

 

 息を飲む一誠の頬に手を添え、それでも変わらぬ想いを打ち明けた刀奈はゆっくりと顔を近づかせ……。

 

 

「…………」

 

 

 一誠の唇――ではなく、限りなく唇に近い頬にキスしたのだ。

 

 

「……ぅ」

 

 

 固まる一誠。

 見守るリアス……。

 

 

「あわわわ……! わ、私は見てない! 何も見ていないぞ! で、でも何だろう、またしても言い知れぬ敗北感が……」

 

 

 少女漫画読んでドキドキしてる少女みたいな顔であたふたしている千冬が居て……。

 

 

「いつかきっと、本当の意味で振り向かせてみせます……! だからその時まで……ね?」

 

 

 自分の力で振り向かせてみせるという意思を示す刀奈が居た。

 

 その身体の奥に宿り、広がる淑女の力と共に……。

 

 

「キミには時々負けるよ……」

 

「あはっ♪ 女の子は日々成長するんですー!」

 

「いえ、私も今の刀奈には負けたわ」

 

「ふっふーん! その内本当にイッセーさんとイチャイチャしてやりますからねっ!」

 

 

 更識刀奈

 

 歩刀不屈(アブソリュートオーバー)

 

 魔力……覚醒。




補足

一切ブレが無いのがリアスさんのお気に入りポイント。
だから協力したくなるらしい。


その2
たっちゃん、地味に進化する。

そして地味に用務員を落としにかかる。

……まあ、あとでお部屋のベッドの上でバタバタやりながら枕に顔埋めることになるけど。


その3
チッフー……はまあ、うん。

そして『完全に否定の言葉』を一言もたっちゃんに言わなかった用務員――あとはわかるな?



………頑張れたっちゃん!
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