色々なIF集   作:超人類DX

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削れてたので直しました。


平和で変態な世界

 バレると煩いのが居るので、明け方には叩き起こして帰してやったが……ハァ、これは怠いな。

 

 

「部室に来てね? お願いよ?』

 

 

 だとよ。

 他人の俺なんざ呼び出した所で何にもならんというのに――いやまぁ、普通に嘘なのがバレてるとはいえ、あの銀髪にブラフ噛ましたのは俺だがよ。

 

 

「あぁ……ハァ……」

 

「どうかしたんですかイッセーさん?」

 

「ちょっとね。自分の行動に反省してる最中……と云った所かな」

 

「え?」

 

「いや何でもない……」

 

 

 いっそバックレちまうか? いや、父さんと母さんがあのアホ一号の両親と知り合いな事を考えたら、後がより面倒だから駄目か。

 無関係なアーシアちゃんを巻き込んでも意味なんて無いし……これは俺が一人でさっさと片付けてしまうべき案件として動かないとな……。

 

 

「悪いけど先に帰っててくれアーシアちゃん。

さっき担任に呼び出されたからよ」

 

「え、それなら待ってますけど……」

 

「いや、多分遅くなるなら先に帰っててくれ……じゃ!」

 

「あっ……!」

 

 

 さて第一関門は突破。

 後はアホの巣窟に行って、さっさと終わらせて帰るだけだ。

 

 

 

 

 一誠の家でお泊まりデートしてきたの。

 

 と、本人が聞いたら無表情で寝言は死んでから言えボケと罵られるだろう、誇張しまくりな話を自慢気に眷属に語ったリアスは、眷属達から羨ましがられていた。

 

 

「ジュースをプレゼントしてくれたの。それにイッセーのベッドでぐっすりよ」

 

「……。フェニックス家との件から逃げたかと思ったら、ちゃっかりしてますね」

 

 

 ふふんと得意気にあること無いことを自慢しまくるリアス。

 後少しでグレイフィアが婚約者を連れてやって来るという現実を忘れてすらあった。

 というか、一誠の家に行ってましたな自慢話を聞かされて羨ましがってる眷属達も忘れているようだった。

 

 

「チッ、旧校舎なんて縁の無いもんだと思ってたが……」

 

 

 一誠の来る直前まで自慢しまくりなリアスだったが、流石に本人が現れたら自慢することは無くなった。

 だって殆ど話を盛りまくってたので、本人に真顔で『嘘に決まってんだろ、バカか』と言われたら立つ瀬が無くなってしまうからだ。

 

 明らかに嫌々……でも言われた通り律儀にやって来た一誠にリアスは来てくれた事を嬉しく思い、思わず頬が緩む。

 

 

「来てくれたのねイッセー」

 

 

 何だかんだで距離感が縮まってる気がするリアスからしてみれば、嫌々だろうが来てくれただけでも嬉しく思う訳で……。

 帰りたいオーラMAXで部室の隅っこに椅子を広げて座りだした一誠は眷属達の何か言いたそうな視線の悉くを無視して最近新しく読み始めた少女漫画の二巻目をペラペラと読み出しつつ、ボソッとリアスに質問する。

 

 

「で、此所に呼び出した理由は、昨日の話の続きって事で良いんだよな?」

 

 

 丁度憧れの先輩と幼馴染みの板挟みに迷っている主人公の女子高生のシーンのページに目を向けながらリアスに昨日の事についてなのかと確認する。

 

 

『!?』

 

「えぇ……後少ししたら昨日来たグレイフィアと婚約者って事になっている男が来るわ」

 

 

 何処か期待するような眼差しで先輩と幼馴染みの男二人が主人公の取り合いをしているシーンのページを下らなそうな目をしながら読んでいる一誠に頷くリアスに、眷属達は内心『ほ、本当だったんだ!』と一人一誠の家にご招待された事を本気で羨ましがった。

 

 

「チッ、大体の予想は出来るが、その婚約者とやらの前で銀髪に噛ましたブラフみたいな真似をすれば良いんだろ?」

 

「そうだけど……え、やってくれるの?」

 

 

 『チッ、外れだなこの漫画は』と小さく文句を良いながら、外野にされてしまっている眷属達にはイマイチ解らない内容の会話。

 二度と無いだろうなと思っていた話に、リアスは目を丸くすると、一誠は怠そうに本を閉じながら口を開く。

 

 

「アーシアちゃんの件に対する借り返しだ。

どこまで誤魔化せるかは知らねーが、借りた分の仕事はしてやるよ」

 

 

 借りたものは絶対に返せという両親の教えを守るつもりでいる一誠にリアスは嬉しく思い、ありがとうと言おうとする。

 だがしかし、それを待たずして部室に出現した転送用の魔方陣のせいで最後まで言えず、一誠を除いた全員の表情が強張った。

 

 

「フェニックス……!」

 

 

 祐斗が表情を強張らせながら出現した魔方陣から感じる気配に向かって小さく声に出し、他の面子も同じように表情を固くする中……。

 

 

「……………。ま、期待はしないで貰いたいがな」

 

『演技下手だからなお前は』

 

「うっせ」

 

 

 一誠だけは退屈そうにドライグと話すのであったとか。

 

 

 

 

「よぉ、愛しのリアス。迎えに来たぜ」

 

「ライザー……!」

 

「………」

 

 

 来てしまったわねこの時が。

 する気なんて無いのに気付けば追い込まれた今回の騒動は、この相変わらず遊んでそうな風体のライザー・フェニックスという男と結婚したくないから逃げ回っていたのが始まりであり、ライザーはそんな私を確実に捕まえでもしたいのか、グレイフィアに連れられて人間界(ココ)に来てしまった。

 

 

「どうぞ」

 

 

 相手が相手なので、ひっぱいて断るなんて出来ないので、まずは適当にわざと朱乃に勝ってこさせた安い葉で淹れたお茶をライザーに出させる。

 するとライザーは得意気になってお茶を飲むと……。

 

 

「いや~リアスの女王が入れてくれたお茶は美味いな」

 

 

 賞味期限が十日を過ぎた……しかも淹れた後に床を拭いた雑巾の絞り汁入りのお茶を美味いと、朱乃が淹れたお茶は美味いと誉め始めている。

 

 

「い、痛み入りますわ……プフッ」

 

「……ん?」

 

 

 だ、ダメよ朱乃! いくら間抜けに見えるからって笑っちゃ駄目! 私だって笑いそうなのをお腹をつねって我慢してるんだから!

 確かに何も知らずにキョトンとしてる顔は傑作だけども!

 

 

「な、何しに来たの、ライザー?」

 

 

 誤魔化すつもりで話題を逸らさなければと、図々しく私の隣に座るライザーに不機嫌なのを隠さずに問う。

 だがライザーはそんな私の帰れオーラも物ともしない態度を崩さない。

 

 

「さっきも言ったろ? お前に会いに来たんだよ」

 

「帰って頂戴、私は貴方なんかに会いたくなかったわ」

 

 

 何が会いに来た、よ。

 それを言えば私が喜ぶと思うならとんだお笑い草だわ。というか勝手にベタベタ触らないで。

 

 

「いい加減にしてライザー、セクハラで訴えるわよ。

前にも言ったけどあなたとは結婚しない、自分の結婚相手は自分で決める」

 

 

 間抜けでアホかもしれないし、笑われる程に未熟なのかもしれない。

 けれど自分の意思を無視される決定だけは何が何でも突っぱねさせて貰う。

 

 

「しかしリアス…お前も知っている筈だ、先の戦争で純粋な悪魔の72柱の大半は消えた。

この縁談は純粋な悪魔を減らさぬよう、俺の父やリアスの父、そしてサーゼクス様の考えの総意なんだよ。

それに君のお家事情はそんなに言うほど切羽詰まっていないものでもないだろう?」

 

「家は潰さないし婿養子は受け入れるわ」

 

 

 確かにそうなのかもしれない。

 しかしだからといって産む機械になれと言われてハイそうですかと首を縦に振るつもは無い。

 

 

「なら――」

 

「でも、それは私が本気で好きになった人とよ。

決してあなたではないわ」

 

 

 だから私は……最悪勘当されるのも覚悟で言うわ。

 ライザーと結婚はしない……そしてその理由は既に相手が居るからとハッキリね。

 

 

「私が想いを寄せるのは彼――イッセーよ!」

 

 

 …………。決まったわ。

 シーンと部室が静まり返ってる辺り、この宣言はばっちりよ。

 だから頼むから『え、そんな話知らない……』って顔しないで皆。

 イッセーが満を持して名乗り上げられないから――

 

 

「くー……くー……」

 

 

 と思ってたら、寝てる……ですって……?

 

 

「……………。おいリアス? キミの言うイッセーという男はどうやら爆睡しているみたいだが?」

 

「ちょ、ちょっとイッセー!?」

 

 

 状況が解ってないライザーは放置して、私はスヤスヤと眠っているイッセーを慌てて起こそうと立ち上がる。

 な、何て事……話が長過ぎて寝ちゃうなんて何て大物よ。

 

 

「先輩先輩……起きてください。部長がいきなり変な妄想をぶちまけだしたので」

 

「そうそう、早く起きてリアスの妄想を否定しないと」

 

 

 むかっ、小猫と黒歌がイッセーを起こしつつ私の言ったことを妄想と言ってくれたわ。

 確かに嘘だけど、本人じゃない子から言われると何かモヤモヤするし、さっきから何を隠れて笑ってくれてるのよグレイフィア。

 

 

「んが……?」

 

 

 そうこうしている内に起きたイッセーは、ライザーにまじまじと見られているのもまるで気にせず、マイペースに身体を伸ばすと、寝ぼけ眼のボーッとした顔で私達を見ながら一言……。

 

 

「…………。リアスとはCまで行ってます」

 

 

 イマイチ意味がよく解らない言葉を発した。

 Cって何の事かしら?

 

 

「Cだと!? 出鱈目を言うな人間風情め!」

 

 

 あらライザーは意味を知っているみたいだけど、何なのかしら? かなり怒ってる様子だけど……。

 

 

「逆にどうしてこんな状況で嘘なんざ言わなくちゃならないんですかね」

 

 

 イッセーはライザーの怒声に対して飄々とした態度を崩ささずに煽る。

 だからCって何よ? 何かの隠語かしら?

 

 

「に、人間風情が悪魔と――しかもグレモリーと等と許させる訳が無いだろう! 今この場で俺が殺して――」

 

「落ち着いてくださいライザー様」

 

 

 結局よく解らないまま激昂したライザーが危うくイッセーに攻撃しようとした所でグレイフィアが間に割って入る。

 うん……このままライザーが攻撃したら迷わずイッセーは返り討ちにしてしまうだろうし、イッセーの何かを知っているらしいグレイフィアが止めたのは必然なのかもしれない。

 

 

「止めないでくださいグレイフィア様! この人間は私の婚約者に手を出したのですよ!?」

 

「例えそうであろうともです。どうしてもこの場で事を起こしたいのであるというのなら、僭越ながらこのグレイフィア……全力で止めさせていただきます」

 

「うっ……」

 

 

 火を操るフェニックスの力を解放させようとしたライザーに、グレイフィアが静かな殺気を放ちながら警告すれば、流石に最強の女王を相手に大きく出れる訳もなく、激しく燃え盛ろうとしていた炎はシオシオと萎れて消えていく。

 そして、渋々しながらも殺意溢れる視線で暢気に椅子に座ってるイッセーを睨むライザーに攻撃意思が無くなったと判断したグレイフィアは、抑揚の無い表情で今度はイッセーを見ながら声を掛ける。

 

 

「……。確認しますが、アナタ様は『そういう意味』と分かってて、先程の言葉を口にされたと取って宜しいのですね?」

 

 

 昨日イッセー越しに誰かを見ているような笑みが嘘のように淡々と問い掛けるグレイフィアのこういう公私を別ける所は流石だなー――なんて私が発端になっているのに外から見ているギャラリーみたいな事を思いつつ見ていると、イッセーは特に気にもせず――いえ寧ろグレイフィアと同等の淡々とした表情を見せながら口を開く。

 

 

「分かってて言ってるから何か?」

 

「貴様っ! グレイフィア様にまで何て口の聞き方――」

 

「結構。

となれば、既にリアス様とアナタ様の関係は深いものだとグレモリーとフェニックスの両家に伝えても構わないと判断します。宜しいですね?」

 

「グ、グレイフィア様!? こんな人間の戯れ言に耳を傾ける必要はありません! 今すぐにでも純血悪魔を汚した罪として断罪すべきです!」

 

 

 話が思わぬ方向に行ってることが面白くないのか、ライザーは殺す殺すとうるさい。

 うん……多分それは不可能だと思うとは敢えて言わないし、アナタ完全に二人に無視されているわよ?

 

 

「結構だ。何を言ってくれようが構わない。借り返しつもりだったが、気が変わった。

嫌がるテメー等の餓鬼の言い分も聞けねぇクソボケはさっさと絶滅しちまえバーカ――とでも言っておくぜ」

 

「…………。実に痛いところを突きますね」

 

「ま、アンタ等種族も切羽詰まってたんでしょうし、これは単なる他人の独り言ですがね」

 

 

 そう言いながら少し笑ったイッセーの啖呵は、実に清々しく聞こえた気がした。

 

 

 

 

 …………。俺、何で他人相手に此処までしてるんだろ? 考えてみればみるほど自分のやってる事が解らなくなる。

 リアス・グレモリー以下アホ共は確かに顔見知りではあるが、別に親友でもなければ、況してや婚約とやらを消す為に偽装恋人になってここまでやる必要も無い。

 あくまでアーシアちゃんの借りを返す為にとは分かってるが、嘘吐いてどうでも良いような女の恋人気取りになってるのが果たして正しいのかと聞かれたら、ぶっちゃけ後ろめたさが半端無い。

 

 

「貴様……覚えてろよ」

 

「………」

 

 

 金髪のホストっぽい男にそんな捨て台詞を吐かれ、銀髪と一緒に取り敢えずは帰っていった後の部室で、俺は正直『全部うっそでーす!』と言ってやりたい気分にすらなっていた。

 

 

「…………。自分の甘さにヘドが出るな」

 

『俺はお前らしいと思うがな』

 

「あり得ねぇよ。他人相手にあそこまでやった事なんざねーだろ」

 

 

 知ったような事を言ってくるドライグに、自分らしさが無くなってる事と合間ってイライラしていると、アホ共が話し掛けてきた。

 

 

「ありがとうイッセー だけどCって結局何の意味だったの?」

 

「あぁ、そう言えば私も知りませんね小猫ちゃんや黒歌ちゃんは?」

 

「さぁ? 姉様は?」

 

「んーん、私も知らない。木場とギャスパーは?」

 

「何処かで聞いたような気がしたけど……うーん思い出せない」

 

「ネットで見たような……ごめんなさい、僕もちょっと……」

 

 

 あぁ、Cの意味を知らんのか。

 …………。

 

 

「昔の不良用語で、男女関係の進行具合のアルファベット順にしたもの……と、ウチの親父とお袋が言ってたのを思い出して使っただけだ」

 

 

 全部ブラフなんだし多少大袈裟にしちまえ、なんて思ってCと言ってしまった事に今更ながら地味に恥ずかしいが、何も知らない奴ってのは中々残酷で、意味を教えろと煩い。

 

 

「へぇ、じゃあCは三番目だけど、どんな意味?」

 

 

 知ってどうするんだよ……と思うが、この顔は純粋に好奇心で聞いているだけなんだと思った俺は、めんどくさくなったのでさっさと教えることにした。

 

 

「Aはキス。Bは触る。Cは………ま、健全風に言えば素っ裸でプロレスごっこだ」

 

『……………』

 

 

 ほら、教えた瞬間やっぱりフリーズしやがった。

 あのライザーって奴は意味を知ってたみたいだが、やっぱコイツ等バカに加えて餓鬼だな。

 

 

「え、ええ~!? と、ということはこれから私はイッセーとそういう関係だと父や母にも知られるって事なの!?」

 

「そうなるな」

 

 

 まあ、そんな事実は未来永劫無いがな。

 あくまでその場しのぎの嘘っぱちだ。

 

 

「ず、ずるい、事実でないにしろリアス部長だけ何で……!」

 

「そーだそーだ!」

 

「知るかバカ。流れでそうなっちゃったんだよ」

 

 

 ハァ……めんどくせぇな。

 早く帰ってアーシアちゃんとアイス食いながらTVが見てぇ。

 

 

 

 ライザー様をお送りした後、気になった私はリアスお嬢様の元へと戻ってみると、あのお二人の子である彼はお嬢様の眷属の皆さんに詰め寄られており、その直ぐ横でお嬢様一人がブツブツと何かを呟きながら顔を赤くして俯いている。

 恐らく彼が意味を知らないから教えたのでしょうが、成る程女性陣の詰め寄り方やお嬢様の反応から察しますに、やはりあのお二人の血を受け継いでますね。

 

 

「兵藤様、この度はとんだご迷惑をお掛けしました。

取り敢えず旦那様と奥様にはあなた様の事を話すことになりそうですが……」

 

「あ、はい……そりゃ構いませんけど……あの、近いんですが」

 

 

 そしてこうして近くで見れば見るほど、お二人の子供なんだとよーく解る。

 思わず懐かしさが込み上げてしまう。

 ふむ……。

 

 

「……………。ふぉへほほへ。(何のつもりだ銀髪)」

 

「な、何してるのグレイフィア!?」

 

『!』

 

 

 ……。似てる……凄い似てる。

 わー……似てる、斬様と来夏様の子供で絶対間違いない。

 面影ありすぎるわ……。

 ありすぎて、これは実に困った……。

 

 

「ぐもっ!?」

 

「どうしましょう、お二人の面影ありすぎて食べたくなりました……あぁ、もう堪らないです!」

 

『なっ!?』

 

 

 何というか……こう、本能が行けと煩いのでついそのまま抱き締めてしまった。

 男の子だから斬様寄りに似てるせいで色々と燃えてしまってる私は……割りと過去を引き摺る女なんだなー……なんて他人事様に思うのであった。

 

 

「失礼しました。忘れていた女としての執念が復活しちゃいまして……」

 

「確定……やっぱりアンタもアホだったのか」

 

「あ……そ、そんな本気モードの斬様とそっくりなお顔でアホと罵られると……あぁん♪」

 

「グ、グレイフィアが壊れた……」

 

 

 そして気付く。

 お二人の子供もやはりドSで間違いなく、やんわりとしたSであったお二人と違って、ドストレートに罵られるのも私の中では大アリだった。

 

 

「ちなみに私の夫であるサーゼクスは、その昔来夏様をストーカーしてましたわ。故に私はまだマシです」

 

「お袋のストーカー……だと? 究極の悪趣味じゃねーか! つーかアンタの言い分じゃあアンタ自身もド変態じゃねーか! ええぃ、触るな寄るな見るな変態女が!!」

 

「ひんっ!? 乱暴に突き飛ばすなんて……斬様以上に乱暴ですのね一誠様は……もっとお願いしても?」

 

「やるか! オイアホ共! 魔王の女がド変態なのはどういう事だ!? 悪魔は皆してバカなのか!?」

 

「い、いや……グレイフィアがこんなんだって私知らなかったし……」

 

 

 ボイスレコーダーを持ってくれば良かった。

 この罵倒は最高だわ!

 

 

「もう帰る!」

 

「待ってください一誠様! 帰る前に私のお尻を蹴り飛ばし、その後地面に伏した所を踏みつけてください!」

 

「うるせっ! テメーの性癖に誰が付き合うかド変態クソメイド!」

 

「あぁんっ! ……い、今ので替えの下着が必要に――」

 

「ファックユー!!」

 

 

 以上、不条理な世界。

 

 

 

 

 

 

 

オマケ・不死鳥

 

 

 リアスの婚約者だったのに、ぽっと出の人間に邪魔されたライザー・フェニックスは、帰るや否や、その怒りを眷属で解消しようと、女王であるユーベルーナと部屋に籠っていた。

 

 

「ちくしょう……あの人間殺してやる」

 

「はいはい、ライザー様もあろうお方が人間相手にお怒りにならないでくださいな」

 

「だがあんな人間にリアスが……リアスが……くそぉ……」

 

「…………」

 

 

 ライザー・フェニックスの眷属は女性のみで構成されている。

 それは本人の性格もあるのだが、実の所、他にも理由が眷属側にあった。

 それは……。

 

 

「よしよし、悔しいですねー? 今度会ったら倒しましょうね~?」

 

「……うん、おれ頑張る」

 

 

 キングサイズのベッドにて、自身の女王に膝枕されながら子供をあやす様な言葉で励まされる王。

 そう……実はライザー・フェニックスは不死属性だが……。

 

 

「よしよし……ふふふ。(あーもうライザー様可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!)」

 

「むにゃむにゃ……」

 

 

 メンタルが所謂豆腐並みに崩れやすく、精神ダメージによって性格が幼児化してしまうという、何とも言えない弱点があったのだ。

 そしてメンタル回復は眷属達との天然幼児プレイなのだが……。

 

 

「あは♪ ライザー様をこのまま食べちゃいたいわ」

 

 

 ユーベルーナ以下ライザー眷属全員が、主の性根を叩き直すタイプじゃなく、ダメ男に弱すぎなダメ女な性格をしてる処か、幼児プレイを仕込む側という……変態の集まりだったのだった。

 

 

終わり




補足

平和は歩いては来ない、お互いに歩み寄って変態となるしかないのだ。

と、いう冗談は置いておき、強いと何かしらの変態属性が加わる悪夢。

『まともなのは俺だけか!?(エメリッヒみたいに)』


その2

ストーカーな魔王
変態マゾメイドだった女王。

そしてメンタルを壊されて幼児プレイしてるフェニックス。

え、その妹はどうなんだって? ……………さぁ?

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