色々なIF集   作:超人類DX

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朱乃ねーちゃん以外は総じて平等ではある


ある意味平等な風紀委員長

 男はただ先の領域を知りたかった。

 

 男はただ強さの限界を越えていきたかった。

 

 男はただ……上を見上げて生きていただけだった。

 

 

 血沸き、肉踊る戦いこそが生きているという実感を強く感じられる。

 

 それが男の持つ精神の『核』でありルーツ。

 

 

 そんな男の生き方を長き戦いの果てに疲弊し続けた多くの者達には危険と見なされた。

 

 神の領域をも越えようとする姿が傲慢にも見えた。

 

 だから男は堕ちた。

 

 されど男は堕ちても尚変わらずに上を見続けた。

 

 

 戦うことでしか己を表現できないが、己の意思で戦ってきた男は、神や世間からはぐれ者だと揶揄されても変わることなくいっそ純粋なまでに強さの探求をし続けた。

 

 その揺れぬ精神を知ったある者は、そんな男の歩む先を共に進みたいと願うようになった。

 そしてひたむきに愛するようになった。

 

 男に『お前はとことん変わっている』と言われても、彼女は変わらない。

 それが堕ちぬ天使と堕ちた天使の生き様だった。

 

 

 

 

 その話を相棒の天使から聞かされた時、堕天使の男に久方振りの武者震いが走った。

 

 

「セラフォルーを消したのか。

くくく……! 何があったのかは知らんがあの小僧、話だけでも俺を楽しませてくれる……!」

 

 

 内容は、つい最近現悪魔政権のトップの一人が一人の人間によって破壊されたという話だ。

 それは言うまでも無く、霧島一誠の事であり、人間界のとあるホテルの一室で寛いでいた堕天使のコカビエルは、相棒となる天使のガブリエルからの話にニタニタとした笑みが隠せない。

 

 

「バラキエルはうまく小僧を育て上げたようだぞ?」

 

「そうなってしまいますね……。

もっとも、こうなった理由はセラフォルー・シトリー側が何かをしでかしたかららしいけど」

 

「理由などどうでも良い。

どちらにせよ今の小僧の力は現魔王を片手間に葬れるだけの領域に到達しているということだ」

 

「ええ、まだ子供と言える年齢でそこまでとは私も驚きましたよ」

 

 

 

 最近の人間の子供の成長は色々な意味で早いとは聞いていたが、魔王の一人を破滅させられる程ともなれば戦ってみたいと思う。

 

 コカビエルはどうやれば戦えるかと笑いながら手に持っていたグラスに注がれているワインを飲む。

 

 

「小僧はバラキエルとその血を引く娘以外の堕天使を憎悪している。

つまり俺が奴の居る場所に姿を現すだけで、奴は俺を殺そうとするかもしれんな」

 

 

 一番手っ取り早いのは、堕天使のほぼ全てを嫌悪する霧島一誠の居る場所に乗り込んで挑発をすることだが、そんなコカビエルの呟きにガブリエルが待ったをかけた。

 

 

「待ちなさい。

その前に例の件を先に片付けないといけないでしょう?」

 

「例の件……? ああ、旧世代の遺物も甚だしいナマクラに大層な野望を抱いている人間の老いぼれと、悪魔に攻撃的なだけのガキについてか……」

 

「ええ、今更あの剣を一体化させた所で何がある訳ではありませんが、あの人間は精神があまりにも黒過ぎる。

しかも、アナタが背後に付いた途端にそれを傘に色々としでかしている様だし……」

 

 

 コカビエルの旧世代の遺物のナマクラ発言に対して、同意でもしているのかまるで気にせず話を進めるガブリエルは、コカビエルの空になったグラスにワインを注ぐ。

 

 

「どうやらあの人間は聖剣に対する適正のある人間の子供に対して相当な真似をやっていたようだわ」

 

「それがお前としては許せんと……?」

 

「安い正義感ではありませんがね……。

ただ、アナタ風に言うならば、議論なんてせず気にくわないから力で黙らせてやりたい……って所かしら?」

 

 

 緩いウェーブのかかった金髪の美女であり、一見するとほんわかとした雰囲気を纏うお姉さんにしか思えないが、言動が割りと武闘派なガブリエルに、コカビエルは少し苦笑いだ。

 

 

「よくもまぁそんな事を言いながら墜ちないものだな……」

 

 

 出会ってから今日に至るまで決して短くはない付き合いだが、自分の相棒なんてやってくれるせいか普通ならとっくに墜ちてもおかしくない真似をしても、何故かガブリエルは決して堕ちる、その背に広げる翼は純白のままだ。

 

 

「ふふ、きっと完全に堕ちる前に『壁を越えた』からでしょうね。

その前は何度も墜ちかけてましたし」

 

 

 そんなコカビエルにガブリエルは『運が良かっただけ』と微笑む。

 

 

「それに、今更墜ちた所で変わらない。

少なくともアナタはそうでしょう?」

 

「まぁな、お前が堕ちた所でお前が変わった女な事に変わりはない。

お前はお前だ」

 

 

 ガブリエルの言葉に、コカビエルは当たり前のように返す。

 ただの天使だった女が壁を乗り越え、自分と同等の領域にまで到達した。

 そこに至るまでの彼女の壮絶な努力を一番近くで見てきたコカビエルにとって、ガブリエルという存在は最早己とは切っても切れぬ間柄であり、更なる次元へと共に到達しようと誓い合う相棒だ。

 

 

「ちなみに、ミカエルが盗まれた聖剣を奪還しようと人間の悪魔祓いを派遣した様です」

 

「人間だと? ミカエル達は出てこないのか?」

 

「色々と忙しいようでしてね。

多分その人間の子達はアナタを敵と思うでしょうけど……」

 

「まあ、敵じゃないと言っても信じてはもらえんだろうが……」

 

 

 その容姿のせいで割りと誤解されがちなコカビエルが自虐的に言う。

 

 

「私は好きよ? アナタの顔」

 

「…………。とことん変わった女だよお前は」

 

 

 そんなコカビエルにガブリエルは微笑みながらコカビエルの隣まで移動して座り直すと、そのままもたれる。

 

 

「私、アナタの助けになれているかしら……?」

 

「少なくとも俺は、今まで出くわしてきた女の中ではお前が飛び抜けて変わっていて、それでいて強くて良い女だと思っている」

 

「そう……。ふふ……頑張ってきた甲斐があったわ」

 

 

 コカビエルの言葉に対して、嬉しそうで少し甘えた声を出すガブリエル。

 闘う事や強さを求める事ばかりだけど、ある意味で誰よりも純粋な男だと感じたガブリエルは、ただ一途に彼を愛するのだ。

 

 

 

「ねえ……少しで良いから抱いてくれますか?」

 

「……ああ」

 

 

 これまでも、そしてこれからも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 記憶が確かなら、そろそろ聖剣に関する騒動が始まると考えている兵藤凛は、木場祐斗の様子が最近おかしいことに気付いているのだが、気づかないフリをしていた。

 

 このままいけば彼は聖剣に対するトラウマと復讐心で暴走を始める。

 だが、それはあくまで彼女の中での知識での事であって、最早知識が何の役にも立たなくなりつつあるこの世界ではどうなるかわからない。

 

 何故なら生徒会ことソーナ・シトリーは先日の時点で完全に消えたも同然だし、そもそもこのまま祐斗がこの後やって来るであろう悪魔祓いと喧嘩になったら、逆に危険なことになる。

 

 何故ならこの学園には、躊躇がまるでない風紀委員長が居るのだから。

 

 いや……既に手遅れだったのだけど。

 

 

 

「学園への無断侵入および、学園への危険物の持ち込み……」

 

「が、がふっ……!」

 

「う、ぐ……」

 

 

 そう、霧島一誠には冗談など通じないのだ。

 それは、リアスを訪ねに正式な手続きもせず学園の部室へとやって来た悪魔祓い達にだって例外ではない。

 

 

「わ、私はちゃんと警告したのよ? 学園に入るにはまず事務に行って手続きをしないといけないって。

で、でも悪魔の言うことを何故一々聞かないといけないのかって……」

 

 

 例のごとく、一切の躊躇いゼロで悪魔祓いの二人を半殺しにする一誠に、リアスが怯えながらあれこれと言っている。

 

 

「話はわかりましたよ。

どうやらそっち側に関する事でこの侵入者共はやって来たらしい。

けどルールはルールなんでね」

 

「「………」」

 

 

 そう言って僅かに意識のあった凛にとっては幼馴染みであったイリナという女性の顔面を容赦なく蹴り飛ばし、立とうとしたゼノヴィアなる悪魔祓いの脳天に踵落としを決めた一誠。

 

 既に復讐心で暴走しかけていた祐斗も、彼の極悪なやり方を前に大人しくなってしまっている。

 

 

 

「それで? これ等との話とやらは終わってるんでしょう?」

 

「え、ええ……。それについてなのだけど、後でアナタに聞きたいことがあるから、話を聞いて貰っても良いかしら?」

 

「……? 内容によりますがね。

取り敢えず今はこの侵入者共の後始末をしますので……」

 

 

 そう言って怯える自分達を気にせず、ゼノヴィアとイリナの髪を掴んで引きずるように連行していく一誠を誰も止める事はできなかった。

 

 

「だ、だから言ったのに……。あの悪魔祓い達はもう駄目ね」

 

「い、イリナちゃんが……」

 

「そういえば片方はアナタの幼馴染みだったみたいだけど、彼は全く知らなかった様子だったわよ?」

 

「ま、まあ会ったことはありませんから……」

 

 

 こうして始まる新たな騒動だが、この騒動により霧島一誠は強大な壁を知る事になる。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

 久々に呼び出されたので行ってみたら、何だか知らないけど慌ただしかった。

 なので理由を聞いてみた所、どうやら彼等は次期ボスとその守護者の地位をかけて暗殺部隊だかなんだかと戦わないといけなくなり、その修行をしなければならないとか。

 

 

「? 恭ちゃん先輩もその守護者ってのになるんですか?」

 

「そんなものに僕は興味は無いよ。

ただ、そこの男が偉そうに修行をつけてやると言ってきたから噛み殺すだけ」

 

「べ、別に偉そうにはしてないんだけどな……」

 

「へぇ……?」

 

 

 イタリア人っぽい男性が苦笑いしている。

 どうやら綱吉の知り合いらしく、跳ね馬がどうとか。

 

 

「ああ、沢田くんより前にリボーンってのに家庭教師されてた人なんすね」

 

「おう、リボーンやツナ達からお前の事は聞いてるぜ?」

 

「そりゃどうも……」

 

 

 こうしてどこぞのマフィアのボスと知り合ってしまう一誠。

 しかしそれ以上に驚かされたことがひとつ。

 

 それは以前、親のネグレトを受けて心を閉ざした少女を沢田家に預けた訳だが、久々にその少女と会った時、少女がかなり変わっていたのだ。

 

 

「……………ごめん、その変な髪型はどうした?」

 

 

 具体的には髪型がかなり奇抜になっていた。

 後、別に失明してる訳じゃないのに眼帯までしていた。

 

 

「私の師匠になった人が似合うって言ったから……。

あの……変かな?」

 

「そいつどこ? 取り敢えず半殺しにしたくなってきたんだけど」

 

 

 取り敢えずその師匠らしき存在をぶちのめしてやりたくなったが、本人が割りと気に入ってるっぽいので仕方なく堪える事に。

 

 

「忙しそうだし、俺は帰るよ」

 

 

 とにかく今は忙しいようなので、落ち着くまで地元に帰ろうと決めた一誠。

 しかし案の定ひき止められる……。

 

 

「も、もう帰っちゃうのですか……?」

 

「う……」

 

「私たちのこと……嫌い?」

 

「ぐっ……? や、やめろ! お、俺をそんな捨てられた子犬みたいな目で見るんじゃねぇ!!」

 

 

 居ない間に何故か仲良くなってたユニと凪と呼ばれた少女の泣き落とし攻撃に断念する一誠。

 

 

「ビアンキ、成功した」

 

「イッセーさんが残るって言ってくれました!」

 

「♪♯♯♭!」

 

「ふふ、言った通りだったでしょう?」

 

「アンタか!? 余計な事を吹き込みやがって!」

 

「女の子をほったらかしてフラフラするような男に言われたくはないわ」

 

「フラフラしてねーわ! 単に家に帰ってるだけだっつーの!」

 

「どうかしら? その朱乃って女にばかりかまけててこの子達をほったらかしにしてる時点で宜しくないわ」

 

「ぐっ!? な、何故か知らんが言い返せねぇ……」

 

 

 触れたらなんでも毒料理となる女性に言われて言葉に詰まったり……。

 

 

「わ、悪い朱乃ねーちゃん。

色々あって暫く帰れないかも……。うん……」

 

「「…………」」

 

「………」

 

 

 こうして暫く滞在しなくてはならなくなった一誠。

 

 

「悪いな、またまたキミの部屋で寝かせて貰うことになって」

 

「いいよいいよ! お、オレも霧島くんが居ると結構楽しいし」

 

「そうか。

にしても大丈夫か? 結構無茶な鍛え方してるみたいだけど……」

 

「うん。

でもやらないと皆が酷い目にあうかもしれないから…」

 

「……。キミはやっぱ強いかもな」

 

 

 リボーンの影響もそうだが、会う度に精神的に成長していく綱吉に感心したり。

 

 

「てか、何でお前らまでここ来るんだよ……」

 

「こ、怖い映画を見てたら寝られなくなっちゃいまして……」

 

「一緒なら怖くないから……」

 

 

 綱吉の部屋に泊まると必ず押し掛けてくる少女達だったりと……。

 

 

「おい、俺にひっついて寝ていいのは朱乃ねーちゃんだけだ」

 

「「むぅ」」

 

(そこに関しては本当にブレないんだよなぁ霧島くんって……)

 

 

 奇妙な繋がりは続いていくのだ。

 

 

「すぴー………朱乃ねーちゃん……」

 

「またあの人の名前……」

 

「知っててもモヤモヤしますね……」

 

「いやでも仕方ないんじゃ……。前に写真見せて貰ったけど、姫島さんってかなり美人だったし……。

それに写真の感じからして相思相愛――」

 

「「「……………」」」

 

「―――ま、まあ今後はわからないかもしれないねっ!! あ、あは! あははは……」

 

 

 

終わり




補足
コカビーとガブリーのコンビは最強コンビです。

簡単に言えばベリーハードのリーアたんとイッセー的な



その2
悪魔祓い、痛恨のミスにより風紀が執行されてしまった。

そのまま彼女達は下水道に流された模様。


その3
定期的に訪れる度に妙な小技を覚える少女達に、微妙困るらしい。

ただ、その少女の一人が奇抜な髪型をしていたのには微妙に怒りを覚えたとか。

……その張本人は水牢ですけど。
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