色々なIF集   作:超人類DX

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でけたので……。
まあその……一部アンチ。

※オマケのオマケを追加したよ。
……………一気に混沌とするというか、タイトルの意味がこういう意味化したというか


どこまで行こうとも……

 ISってのは意外と難しい。

 ぶっちゃけ、あんなもんを自分の手足の様に扱えてる人達は素直に凄いと思わんでもない。

 

 が、それは所詮普通の人間が作った普通の兵器で一喜一憂してるってだけだ。

 

 俺は知ってる。世の中にはそんなものに頼らずとも強い人を……。

 

 

『世の中には人の精神力の先に生まれる能力(スキル)が存在する。

それが俺が今までこうしてダラダラ生きていけた理由であり、岐路でもある』

 

 

 あらゆる事象に屈せず、あらゆる理不尽を真正面から跳ね飛ばし、あらゆる存在の頂点に君臨する。

 勿論その事をこの世のあらゆる生物は知らず、一見すれば単なる男にしか見えないだろう。

 しかし違うんだ……。

 

 

『そして今この時を以て、その力はお前にも生まれた。

どうやらお前は俺とオーフィスのせいで随分と似てしまった様が……。

ふむ、無限の力と幻の力……無幻大(ウロボロスヒーロー)――それがお前が自力で至った境地だ』

 

 

 偉大な兄と姉の前に全ては無駄となる。

 血の繋がりなぞくだらない。

 表面だけの友達なぞ無価値極まりない。

 

 神ですらぶん殴って勝利できる無限の兄と姉は……血の繋がりこそ無いが、間違いなく本物の繋がりがある俺の誇りだ。

 そして――

 

 

『まさかだったとはビックリだぜオイ、そのスキルは場合によっちゃ俺でも手こずる境地だわ。

ふむ……暗部の子って事で暗殺――いや安察願望(キラーサイン)って所だな』

 

 

 一誠兄ちゃんとオーフィス姉ちゃんがそうである様に、俺にも背を十全預けられる相棒が居る。

 

 

『全ての事象をすり抜けられ、自分からは任意に切り替えられるとかエグいスキルだな。

その気になれば外傷無しで相手の心臓を握りつぶして殺すとか出来そうだぜ。

おい一夏、くれぐれも簪は怒らせない方が良いぜ? キレた時のオーフィスみたいになりそうだし……』

 

 

 その相棒と共に、俺はこれからも強くなり続けるんだ。

 

 

 

 

 

 クラス代表が織斑一夏に決まり、クラス代表戦という一学年クラス対抗のIS試合を控えるとある朝。

 優勝したらデザート券が優勝クラスに贈呈されるという話があるせいか、こぞってクラスの女子達は織斑一夏に勝ってくれとエールを送っている。

 

 その際誰かが一年生で専用機を持っているのはウチのクラスだけだから勝てるよと言った時だった。

 

 

「その情報古いよ」

 

「鈴……?」

 

 

 という言葉と共に姿を現したのは、クラス対抗戦前に少しだけ話題になっていた転校生であり、その転校生の姿に織斑一夏は見知った人物だといった態度で気安く、少々小柄なツインテールの少女の――恐らく愛称らしく呼び名を口にする。

 

 

「中国の代表候補生……らしい。

見たところ彼と知り合いみたいだけど、一夏は彼女の事を?」

 

「いやあんな子は知らんな。

恐らく俺になってから知り合ったみたいだと思うぜ……。

へ、楽しそうにくっちゃべるのは良いが、クソヤローの後ろには鬼、あの転校生の後ろには虎が潜んでら」

 

 

 が、この二人――世界で二番目の男性操縦者……という事になってるオリジナルだった一夏とその相棒の簪は、後ろに立つ担任からの一撃で悶絶する転校生を流し目に今は懐かしきスーパーカー消ゴムでチキンランをして遊びながら、デザート券諸々含めてどうでも良さげに遊んでいた。

 

 デザートなんてどれを食っても同じか、自作でもしたら安く済む派である一夏。

 嘗て転生者により両親と個を失い、オーフィスにより拾われてからは、生活能力ゼロのオーフィスの為に自力で家事スキルを習得した一誠により闘い方を含めて全てを叩き込まれた結果主夫でもやっていけるレベルにまで昇華している一夏――に作って貰う方が美味しいと判断してる簪にしてみれば、転校生含めてどうでも良かったのだ。

 

 

「授業が始まる、さっさと自分のクラスに戻れ」

 

「は、はい! い、一夏、後で続きを話すから逃げんじゃないわよ!」

 

「いや逃げるもなにも無いんだが……おう」

 

 

 

「あのクソヤロー、俺の顔パクった癖に随分とモテるじゃんか……。テメーの顔でモテてくれよ頼むから」

 

「奪って真似しただけの男だし、多分元の姿に自信が無いんだと思うよ」

 

 

 どうせ織斑一夏に嘘みたいに惚れてるんだろうしという、くだらないとすら思える現象が必ずあるんだと思えば、兵藤一誠の弟として生きてきた本来の一夏は実に馬鹿馬鹿しく思えてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 更識楯無は悩んだ。

 悩んで悩んで、悩み抜いた。

 授業中、生徒会業務中、入浴中、就寝する直前の全てを悩みに悩んだ。

 

 それは妹の簪の全てを変貌させた切っ掛けという線が此度の出現と情報収集の上で濃厚となった男……世界で最初の男性操縦者の出現と共に丁度良すぎるタイミングで現れた男にて名前まで同じな世界で二番目の男性操縦者である男……兵藤一夏についてだった。

 

 

(どうする?

織斑一夏が本音ちゃんに漏らした『言葉』からして彼の事を何か知っている様な素振りがあるし、先に織斑一夏と接触して聞き出すべきなのかしら。

でも何なのかしらこの胸騒ぎは……? 織斑一夏と接触してしまったら何か『取り返しの付かない』事が起こる気がする……)

 

 

 楯無の名を継いだ勘が、織斑一夏と兵藤一夏両方に下手に準備も無しに接触するのは駄目だと警報を鳴らしている。

 これこそが楯無の悩みであり、もっと云えば苛立ちであった。

 

 

「ちょっと一夏! アタシが特訓に付き合うって言ってんのに――」

 

「いやあの、一夏違いの人違いなんだけど」

 

「は?」

 

「彼は兵藤一夏。アナタの知る織斑一夏はオルコットさんと篠ノ之さんとどっか行った」

 

「え!? そ、そうなのって……アンタが噂の二番目の男? ホントに一夏そっくりねぇ……というか名前まで一緒なんて偶然にしては恐ろしいわ」

 

「あー……そだね」

 

「……。一夏がそっくりじゃない、アッチが一夏の姿に化けただけ」

 

「え? アンタ今何か?」

 

「何でもない。それより織斑君を探さなくても良いの?」

 

「あ、そうだったわ。邪魔したわね!」

 

 

 寮の廊下から聞こえる騒がしい声に釣られて影から様子を眺めていた楯無は歯がゆかった。

 

 

「元気な子だなー」

 

「そうだね、ちょっとだけ苦手かも」

 

「お前煩いのとか嫌いだもんな」

 

 

「………」

 

 

 血の繋がる姉妹なのに、自分は簪の本心と対話出来ない。なのに目の前で簪と並んでのんびりとやってる男は簪の心を全て引き出し、当たり前の様に仲良くやっている。

 簪の全てを変貌させた元凶とも云うべき男を楯無は好ましく思えず、今も事務的で壁を感じる業務的な対応しかしない簪が心の底から慕っているという柔らかい微笑みをしながら隣の男と話しているのだ。

 

 聞けば入学初日にもクラスが一緒だったという理由で教室のど真ん中で抱き合ってたと本音から聞いた事もあった。

 同じ血を分けた姉妹――いや同じ人間なのかとすら疑ってしまう場所に引きずり込んだ男とだ。

 

 

(……。織斑一夏の方は訓練中みたいだし……)

 

 

 だから楯無は兵藤一夏も、その男と顔が似てる織斑一夏の両方が個人的には嫌いだった。

 特に、簪の心を変えてしまった兵藤一夏は大が付いても良いくらいだった。

 

 

「あ、そういや兄ちゃんにシャンプーとリンスとコンディショナー送って貰ったから簪も使えよ。

兄ちゃんとまではいかないけど、俺もシャンプーテクとか勉強してるし、何なら洗ってやっても良いぜ」

 

「お姉ちゃんの髪は羨ましいぐらいに綺麗だもんね。

お兄ちゃんがずっとお手入れしてあげてるみたいだけど、シャンプーだけならプロ並みだと思う。

でも一夏がお兄ちゃんみたいに出来るの? 前に無理矢理やらされた時はゴワゴワにされたんだけど……」

 

 

 

「………」

 

 

 勘は今も警報を自分の中で喧しく鳴らしている。

 しかし楯無はこれ以上目の前の男に簪が毒されたく無かった思いが勝ち、警報を無理矢理黙らせることで踏み出した。

 

 

「ちょっと……良いかしら?」

 

 

 簪を変化させた……簪に宿った人間じゃない力の正体を探り、叶うことなら元の姉妹に戻るために。

 更識楯無は部屋に戻ろうとした二人の前にその姿を現した。

 

 

「ん? あ、簪のねーちゃん――ぬほ、やっぱり近くで見ても特盛っ!」

 

「姉さん?」

 

「っ……」

 

 

 その選択が果たして正しかったのか。

 少なくとも二人の少女――いや転校してきた二人目の幼馴染みに追われて其どころじゃなかった織斑一夏が居たら、全力で邪魔をしてだろうが……楯無にはそれは分からなかった。

 ……自身の胸をガン見しながら騒ぐ男とのほぼ初めての邂逅を――

 

 

 

 

 本音が一夏を探るような様子であったから、どうせこんな事だろうとは思っていたけど、案の定刀奈姉さんは一夏に対して不信感を抱いているみたいだ。

 

 

「いやー簪から姉が居ると聞いてましたが、布仏さんと同じく素晴らしきぽよんぽよんをお持ちで……へへへ」

 

「っ……!」

 

「一夏。多分一夏がモテないのはそういう事だと思うから取り敢えず静かにして」

 

 

 立ち話で済む事じゃないだろうと、私達の部屋に招待し姉さんを椅子に座らせお茶を出す最中、どう見ても好意的じゃない顔の姉さんを気にせずにその胸を見てだらしなく笑ってる一夏を黙らせた私は、普通に何の用かと……本当は察しているものの尋ねてみる。

 

 

「普段はお仕事のお話しかしない姉さんにしては珍しいけど、どうしたの?」

 

「…………」

 

「まあ、その顔を見れば何と無く察しは付くよ。

私が一夏と知り合いだった話を何で隠してたか……ってところ?」

 

「…………。それもある」

 

 

 別に私は姉さんや本音や、今日は見てないけど姉さんの付き人の虚さんが嫌いな訳じゃない。

 寧ろ話せば普通に話すし、喧嘩だって一度もした事なんか無い至極真っ当な姉妹だとすら思ってるつもり。

 けど姉さんはそうでも無いらしく、スキルをコントロールする練習をしてた私を見てから、明らかに化け物を見る目をしてる。

 

 それは本音も虚さんも両親もそうなのだけど、特に姉さんは私が能力保持者(スキルホルダー)となった事に対して、そうさせたのは私が内緒で会っていた誰か……つまり一夏、一誠お兄ちゃん、オーフィスお姉ちゃんのせいで、私がそうなったのが気に入らない様だというのが妹故に分かる。

 

 だからヘラヘラとしてる一夏に隠せてない嫌悪の目を向けてる……今もだ。

 

 

「アナタが世界で二番目の男性操縦者と昔馴染みだったのは驚いた――」

 

「兵藤っす、兵藤一夏っす! 気軽に一夏と呼んでほちぃ!」

 

「……………。兵藤君と関わる様になってからわよね? アナタがその……変わったのって」

 

 

 ほらね。

 残念だけど一夏、姉さんは心の底から一夏が嫌いみたいだよ? まあ、一夏のその変なアプローチは単なる建前の演技で、露骨にフラれた事に対してどうとも思ってないと私には分かるけどね。

 

 

「変わった……ね。

そうだね、一夏と出会えたお陰で今の私がある」

 

「……」

 

「お兄ちゃんとお姉ちゃんとも出会え、変わるのは何時だって自分の意思次第だと教えられ、自分なりに強くもなれたと思うし、何より一夏という相棒(パートナー)にも恵まれた……」

 

「その兵藤君と、兵藤君の兄と姉からの教えとやらでアナタはあんなおかしな力を持つようになったのね……」

 

 

 おかしな力……か。

 人間なら誰だって発現できる可能性のある力を変と言われたら確かに否定は出来ない。

 一誠お兄ちゃんも自分で『普通の人間と自称するには若干無理はあるわな』と苦笑いしながら言ってたし、普通では無い自覚はある。

 

 姉さんの顔はスキルに対して――いや自分とは違う見知らぬものを持つ存在に対して嫌悪する人間の本能を垣間見せる顔をしながら、黙ってミニ冷蔵庫からジュースを取って飲んでる一夏に責める様な眼差しを送ってるのがよーく分かるよ。

 

 

「やっぱりアナタとアナタの家族とやらのせいね……。

よくも簪にあんな得体の知れない力を……!」

 

「は?」

 

 

 結局の所姉さんの目的は、私を化け物にしたと勝手に思い込んで、元凶とも思ってる一夏とお姉ちゃんとお兄ちゃんに対して憎悪してるだけだ。

 その憎悪が言葉となり、一夏へと向けられた瞬間、さっきまでヘラヘラしていた一夏の表情が僅かに変化した。

 姉さんは気付いてないみたいだけどね……。

 

 

「あんな力? あぁ、マジで安察願望(キラーサイン)を使ったところ見られたんだ?」

 

「うん、まさか此処まで化け物扱いされるとは思わなかったけど」

 

「うっ……!?」

 

 

 その言葉が失言だった事に……。

 

 

「ま、待って! わ、私は簪の事を言ったつもりは……」

 

 

 ハッとして慌てて私に謝ろうとする姉さん。

 いや……うん、別に私は全く気にしてないから謝らなくても良いんだけどね――何というかさ……。

 

 

「そんな言い訳がましく慌てなくても良いよ楯無姉さん」

 

 

 そんなもの、スキルに目覚めた時から向けられるアナタ達の目でとっくに自覚してるんだもん。

 今更そんな程度で傷付く程柔でも無いんだよ姉さん?

 

 

「化け物……結構だと思う。

実際、姉さん達普通(ノーマル)からすれば、私と一夏は異常(アブノーマル)な人間に見えるんだろうし」

 

「ち、違っ……私はそういう意味で言った訳じゃないの!」

 

 

 変わりたかった。

 でも自分じゃどうする事も出来なかった。

 だから、一夏に手を差し伸べられた時は本当に嬉しかったし、一夏の足手まといになりたくないと、修行に関しては一切妥協を許さなかった一誠お兄ちゃんとオーフィスお姉ちゃんの扱きにも堪えられた。

 

 その結果化け物と実の家族から罵られようと構わない。

 うん、慌てて撤回しようとしてる刀奈姉さんには悪いけど……。

 

 

「私は自分から進んで一夏の隣に居続けたいと、変わることを望んだ。

だから……何を言われようが私は一夏のパートナーで在り続けるし化け物と思いたければ好きに思っても良いよ」

 

 

 私はもう……昔の私じゃない。

 

 

 

 ……………。わぉ、リアルな修羅場だなこりゃ。

 姉妹ってだけあってやっぱり近くで見ても似てんな~とか思いつつ眺めてたらまさか過ぎるぜオイ。

 

 

「大丈夫、別に姉さんの事が嫌いとかは無いから。

第一そもそも一夏もお兄ちゃんもお姉ちゃんも、言葉は悪いけど姉さんの事は『どうでも良い』から」

 

「違う……違う! 私はアナタをねじ曲げたソイツ等が……!」

 

 

 おっと? めっちゃ睨んできたぞ。

 しかし、やっぱりどうとも思わない辺り簪の言ってることは大当たりだわ。

 

 

「アナタのせいよ……! アナタが簪を……!」

 

 

 憎悪増し増しって顔で俺を責める簪のねーちゃん。

 うーん……この分じゃ確実にクソヤローも俺の顔パクったから生理的に受け付けなくなったな。

 まあ、奴がこの簪のねーちゃんをどう思うかは知らんけど。

 

 

「自分と違うからって直ぐに化け物とアンタに罵られてもな……。

さっきはその特盛を理由に適当に騒いでやったが……簪の言う通り痛くも痒くも無いね」

 

「なっ、何ですって……!」

 

「事実だしな。まあ、アンタは簪のねーちゃんだし? 別にどう思おうが勝手ですがね、簪は自分を変えたかったから今の簪になったんだぜ?

それを自分の知らない領域で間接的に見下されてるからって喚かれてもな……萎えるわ」

 

「くっ、そんな事――」

 

「無いわけ無いよな?

蓋を開けたら自分の遥か上に簪は立ってて、どう逆立ちしたって簪には勝てないと本能で思い知らせてるのを俺達のせいにして誤魔化せればそれに越した事は無いもの」

 

「ふ、ふざけないで! アナタみたいな得体の知れない男に妹が付きまとわれてるのが――」

 

「今の言葉は流石に許せないよ姉さん……撤回して」

 

「ぐっ!?」

 

 

 本能の恐怖を元凶と決めて罵れば誤魔化せる……。

 人間の本性の一つだしそれを責めるつもりもないが、流石に簪は許容出来なかったのか、冷たい殺気を放つと簪のねーちゃんは顔を歪めながら言葉を詰まらせた。

 

 

「憎みたければ憎みなよ、俺は全く気にしないから。

けどこれだけは言っておくよ……」

 

 

 明らかに簪に怯えて声が出せない更識……えっと楯無? に何の感情も湧かないのを自覚しながら、俺は自分でも恐ろしく冷めた気分で座ってたベッドから立ち上がり、そのまま彼女を見下ろしつつ言葉を紡ぐ。

 

 

「変化を受け入れる事も出来ない軟弱者は、勝手に受け入れないままご自由に生きなよ。

そして勝手にトチ狂って、無駄で無理だと思うが簪をどうこうするのであれば――例え簪の身内だろうがぶち殺す」

 

 

 失ってから漸く得られた繋がりを切る者には誰だろうと容赦しない……と。

 

 

「う……ぁ……!」

 

 

 ま、クソヤローと比べたらこの人の言い分は解らんでも無いんで、それ以上何も言うつもりはございませんがね。

 

 

 

終わり

 

オマケ・似た者兄弟

 

 

 一誠がオーフィスと共に居る様に、一夏もまた簪と共に居ることを望んでいる。

 それが簪の姉の更識楯無に否定されたとしてもだった。

 

 

「珍しく感情的になっちゃった……はぁ、悪い事したな。

これで完全に嫌われたわ」

 

「うん……姉さん胸は大きかったし、一夏的には残念かもしれないけど」

 

 

 失意の表情で部屋を後にした楯無を見送った後、部屋の中では何時も以上な光景となっていた。

 嘗て赤龍帝を殺した際に決意した一誠がそうした様に、今一夏はベッドの上で簪の身を後ろから抱き締めていた。

 嘗て一誠がそうだった様に、簪を誰にも渡さないという言葉に出さない気持ちの表れが出ている様にだ。

 

 

「そんなのはどうでも良い。

俺は結局口だけのエゴ野郎さ……お前の肉親と対立してまでお前と一緒が良いなんてほざいてんだからよ」

 

 

 TVもつけず、電気もつけず、スタンドライトのぼんやりとした明かりだけが照らす部屋で、簪の身体を抱き締めながら呟く一夏のネガティブな言葉。

 どれだけ取り繕うとも、どれだけ嘯いても……結局一夏は自分と一緒に此処まで来れた相棒が大切であり、それが例え彼女の身内から否定されようとも変える事の無い決意だった。

 

 

「んんっ……! そ、そんなに胸を触られたら変な気分になっちゃうから……ぁ……!」

 

「あ、ごめん……」

 

「はぁ、はぁ……。

っ……別に良いけど、一誠お兄ちゃんみたいに一夏はヘタレだから何時も生殺しで辛いんだよ? 今もお腹がムズムズして切ないし……」

 

「ん……ごめ」

 

「もう……そんな声で言わないでよ……ずるい」

 

 

 しかし簪とて同じだった。

 否定されようが、嫌われてようが、自分の相棒は兵藤一夏しか居ない。

 

 

「私は何処にも行かない。だから大丈夫……」

 

 

 後ろから抱きつく弱いところもあるヒーローのその手を握りながら、簪もまたその身を委ねていく。

 ちゃんとここに居る……ずっと一緒だと確かめ合う様に……。

 

 

終了

 

 

その2

イレギュラーにはイレギュラーを

 

 

 そもそも織斑一夏がオリジナルの一夏の生存を知らなかった。てっきり死んだとばかり思っていた。

 この時点で既にイレギュラーとしての歯車は回っていた訳だが、それ以上にイレギュラーとも云うべき存在である兵藤一誠とオーフィスをも認知していないイレギュラーが存在しても不思議ではないのかもしれない。

 

 

「ふーん、それで?」

 

『だから、兵藤一夏という人物についてお前は何か知らないか……と』

 

 

 とある国、とある場所、とある一室。

 とあるだらけの謎だらけ……とにかく謎過ぎて本人以外はトップシークレット空間となっているこの場所にて、一人の人物が端末越しに誰かと会話をしていた。

 会話の相手はどうやらこの人物と旧知の仲であるらしく、その相手とはあの織斑千冬であり、内容はどうやら自身の弟と瓜二つの容姿の世界で二番目の男性操縦者についての話らしく、千冬の質問を受けたとある人物は何時もの調子でこう答える。

 

 

「いやー知らないなー? ちーちゃんの弟君とソックリなのにはびっくりだけど、詳しいことを知ってるかと言われたらなーんも知らないよ。

まぁでも、ちーちゃんがおねだりしてくれるんなら、束さんはベスト尽くして調べたげるけど?」

 

 

 掴み所の無い調子で答えると、端末越しに顔をしかめたものの、千冬は仕方ないとため息を吐きながら口を開く。

 

 

『うむ……なら頼めるか?』

 

「合点承知! ちょちょいのちょいで調べるから暫く待っててね~!」

 

 

 千冬からすれば余りにも弟に似ている少年が単なる他人とは思えない。

 もしかしたら何処かの国が非人道的に生み出したクローンなのかもしれない……と様々な考察を展開しつつも、結局は解らなかった。

 故に本当は気は進まないが、この手の事に関しては優秀を通り越した結果を示す友人――ISの生みの親である篠ノ之束に調査の依頼を決心し、こうして約束を取り付けた次第であった。

 

 

『では頼むぞ束』

 

「はいはーい、弟くんによろしくねー」

 

 

 しかし、見返りが面倒なもので無くて良かったと内心ホッとしつつ回線を切った千冬は気付いて無かった。

 

 

「やっぱり気になるよねーそりゃあ」

 

 

 回線を切る直前に見せた束の表情を……。

 そして接続が切れた後に小さく口にした聞こえることの無い呟きを。

 

 

「調べるまでも無いんだよちーちゃん。

だって彼こそが……いっくんなんだから」

 

 

 千冬は……聞くタイミングを完全に逃してしまったのだ。

 そして何より千冬は……いや、織斑一夏として生きてる転生者も知らなかった。

 

 

「ネタバラシしても信じてくれそうも無いし、何よりいっくん本人があの偽者を始末さえすれば、ちーちゃん達との関係修復はどうでも良いとすら思ってる。

参ったよね~ よりにもよっていっくんが信じてる相手がアナタの知り合いなんだもん――」

 

 

 千冬が束と会話をして居るその後ろで、何者かが静かに佇んでいるという事実を。

 回転する椅子を回し、クルリとその佇んでいた人物へと身体を向けた束は微笑みながらその人物の――イレギュラーの名を口にする。

 

 

 

 

 

 

「でしょ、ソーナちゃん?」

 

「…………」

 

 

 黒髪のショートカット、紫色の瞳……そして眼鏡。

 一見すれば地味な美少女にしか見えないこの人物こそ、束が偶々出会って拾い、利害の一致故に行動を共にする、この世界の常識を根底から覆すイレギュラー……。

 

 

「しかしビックリだよねー……まさかいっくんを拾って育ててくれたあの人外ペアの知り合いだなんて。

でもお陰で接触しやすくはなったし、良い拾い物をしたと束さんは思ってるぜ?」

 

「タバネ。

前から言ってますが、私はアナタより一応年上なので、ちゃん付けで呼ぶのはやめて貰えますか? まるで姉を相手にしてる様で疲れるんですよ」

 

 

 歳は重ねても慎ましき胸は変わらずのソーナ・シトリーその人だった。

 

 

「えー? いっくん達と変わらない見た目してるのに?」

 

 

 ソーナ・シトリーは一誠やオーフィスにすら悟られないレベルにまで成長し、この世界に紛れ込んでおり束の元で突撃してドヤ顔をしてやるタイミングを伺っていた。

 理由? そんなものは決まっている。

 

 

「そんな事より一誠くんとオーフィスの様子はどうなんですか? まさかまたイチャイチャと……」

 

「え、あ……うーんと……。あ、ソーナちゃんについて話してるね。

確か彼の言うひんぬー会長ってソーナちゃんの事でしょ?」

 

「……………。ええ一応。なるほど、本人が居ないのを良いことに随分と言いたい放題と言ってるみたいね。

ふふふ……無駄よオーフィス、いくら貴女と一誠君が深い仲になろうとも、一誠君に植え付けられた呪いはその度に強くなる。

アナタが彼と深くなればなるほど、私は永遠に諦めず、必ず彼を私のものにしてやるんだから……ふ、ふふふふ♪」

 

「わーぉ、ソーナちゃんのプチヤンデレきたー」

 

 

 夢という名の呪いを植え付けた一誠に責任を取らせる為、例えオーフィスと繋がろうが諦めずに自分に『惚れ直したので結婚してください』と大人なキスをさせつつ言わせる為……。

 

 覚醒してから月を重ねた結果、世界最強クラスに成長した曹操とヴァーリという一誠の友人男二人すら『黙らせることが可能』くらいにはなったソーナ・シトリーは、一誠の異常性に対して吹っ切れた処か同じ境地に達した唯一の純血悪魔だったのだが、その後を拗らせ過ぎて未だ独身のまま……ストーカーと言われても否定できない所まで来てしまっていたのだった。

 

 

『ひんぬー会長相手にしてた方がまだ健全な絵面ではあるかもなー』

 

『む、あの雌悪魔の話はしないで一誠。ムカムカする』

 

『お前……昔からだけど、どんだけあの人嫌いなんだよ。

オーフィスに此処まで敵意持たせるひんぬー会長はやっぱスゲーよな』

 

 

「そうでしょう一誠? 何なら今すぐにでも私の元に来て手にキスをしても良いわよ? その後は子でも……ふふふ♪」

 

「あのソーナちゃん? それ映像だけだから此方の声は向こうに聞こえないよ?」

 

「そうね、子供はレーティングゲームが出来るくらいは作って、ちょっとボロくて狭いお家に住まいだけど、仲睦まじい家族で居たいわ。アナタもそうでしょう?」

 

「……。拗らせ過ぎてるね……」

 

 

 ソーナ・シトリー……。

 拗らせ過ぎて次元突破を単身でやらかす冥界最凶の女性悪魔はすぐそこまで来ており、さしもの束もドン引きの眼差しで、聞こえもしてない自分の声を恍惚じみた表情で聞かせるソーナを見つていた。

 

 しかしだ……。

 

 

「アナタの私の事は言えないんじゃないかしらタバネ? 一誠君の弟になった一夏という少年を盗撮し続け、挙げ句あのオーフィスにそっくりな声の少女に嫉妬する。

フッ……私と一緒じゃない?」

 

「う……」

 

「まあ、私の場合は例えオーフィスと一誠くんがゴールインしようが、すたれた関係枠で突撃しますけどね」

 

「……………。あ、その手が―――――ハッ!? い、いや違うから! 束さんはソーナちゃんとは違うし!」

 

 

 束も束でちょっと怪しかった。

 

 

終わり




補足

まあ、異常者を前に此処まで食い下がれただけでも十分……か?


その2
ホント一誠とオーフィスたんと似すぎな関係になってるお二人。
え、ひんぬー会長ポジ? さぁ?


続きは……また感想でモチベ上げられたらですかねー


その3

感想覗きでティンとしたので……。

何気に両シリーズ初代メインヒロイン同士の結託にも見えなくない。

ソーナさんはある意味強か過ぎて逃げられない………不倫枠とかもうね……
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