色々なIF集   作:超人類DX

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対チートゴーレム戦――の、裏側になります。

※ちょっと直しました。


弄られる束姉さん可愛いよね?
無理矢理次元越えてまで会いに来てくれるソーナちゃんも可愛いよね――





――可愛いやろ?(脅迫)


眼鏡っ娘悪魔と天才お姉ちゃん

戦闘力(おっぱい)たったの2。ふん、ゴミめ」

 

 

 今でもこの言葉は忘れない。

 まだ学生だった頃、ドスケベでサボり魔で、どうしようもない問題児な彼が、偶々私のクラスが水泳の授業をしていた際、スケベな顔で覗き、偶々私と目が合った時に言われた時は往復ビンタでもしてやろうかと思うくらい腹が立った。

 

 

「あ、ひんぬー会長チーッス!」

 

 

 剰りにも腹が立ち、当時生徒会長だった私は、全生徒中でもブッチギリの問題児である彼にそれからは突っ掛かるかの様にその問題行動や言動を正そうと努めるも、彼は何時だってそんな私を嘗めきった態度のニヤニヤ顔で、ひんぬー――つまり貧乳だ貧乳だと子供の様にバカにする。

 その頃に眷属に言われたのが確か、会長らしくないくらいムキになってます……だったかしら?

 

 言われるまではそんなに気にしても無かったのに、彼のせいで貧乳と呼ばれると脊髄反射的に反応してしまう様になったのは絶対に彼のせいで間違い無く、気付けば何かにつけて彼と張り合っていた。

 

 けどその時の私は知らなかった。

 

 

「あらら? 50円の鉛筆の方が強いとか、どんだけナマクラなんだよそのへし折れた剣は?」

 

 

 彼が只の人間では無かった事。

 いやそれどころか我等という人ならざる存在を遥かに超越した存在で、本当なら私なぞ虫を潰せるかの如く簡単に終わらせる事が出来るんだと。

 

 そして何より――

 

 

「お前、イッセーに近寄るな」

 

 

 彼の傍らには世界最強の龍が居たことを。

 

 

 当然私は当初その事実に対して、同じく事実を知った者達と同じく彼という存在が解らなくなって恐怖した。

 口だけの子供じみた性格の単なる問題児な人間の男……という認識から、全てを踏み潰せる超存在という認識に無理矢理切り替えさせられた事が困惑と見失いにより、怖くなった。

 

 彼が傍らに居る龍神が当時組織し、その上で勝手に掛けられた冤罪を晴らす目的で三大勢力のトップの集まる席に現れ、半笑いで膝を付かせた姿に声すら出せず見ているだけしか出来なかった。

 

 それから友と共に、一夜にして無視できない存在となった彼と真実を知って初めて正面からの話し合いの席を儲けた時も、何か障れば殺されてしまうのでは無いかと怯える友や眷属と一緒に、顔色を窺った。

 

 だけど私は……。

 

 

「ちぇ~

ひんぬー会長までそんなんなのかよ……つまんねーの」

 

「所詮そんな程度だっただけ」

 

「っ……」

 

 

 ひんぬー会長。そのワードが私のコンプレックスを刺激すると共に、恐怖を吹っ切る切っ掛けとなった。

 

 

「貧乳はっ! 今関係無いでしょうがっ!! そんなに私のコンプレックスを刺激して楽しいの!?」

 

 

 あんな脂肪の塊の何が良いんだ。

 傍らに居るチビはまな板じゃないか。

 というかアナタに蔑まれる謂れは無い。

 

 等々、気付けば私は真実を知る前の様に彼へと食って掛かった。

 その時の彼の間抜けな顔は今でも覚えてるし、その後浮かべた微かな笑みもハッキリ見逃さず私の記憶に残っている。

 

 そうだ、バカみたいに凄い力を持とうが持ちまいが、結局の所彼は年下でスケベで、何より私をバカにして楽しむ子供なんだ。

 喚き散らしたと同時にそれを思い出した私は最早彼に対する恐怖はなくなった。

 いやそれどころかこう思った。

 

 

『彼を膝付かせ、私を羨望するかの様な眼差しを向けながらキスでもさせてやりたい』

 

 

 …………。正直別に好きとかそういうのはその時考えず、ただただ負けん気から来たアホな思考だったけど、それでも彼はヘラヘラ笑いながら私を貧乳とバカにし続けている内に、そして何より傍らに常に引っ付いて私に対して彼に近寄るなと、世界最強とまで吟われた龍神直々に嫉妬の念を向けられた時に新たに私は悟った。

 

 

『あぁ、彼は私が好きなんだ。

だから事あるごとに私を貧乳だなんてバカにして気を引こうとしてる……人間の男の子が小さい時にやる心理なんだ』

 

 

 と。

 そう思った瞬間、私の中に足りなかった歯車がガッチリと嵌まり、そして緩やかに回りだした。

 目の前の彼は私を気にしているからバカにするんだ。

 考えてみたら彼は私の周りに居る胸の大きな女性に対して騒ぐことはあれど、それ以上の事はせず寧ろ無関心な所がある。

 

 なるほどなるほど……本当はどっちかと言えば小さい方が好きなんだ、でも素直じゃないからああやって私を貧乳だとバカにしてるし、そういえば一度思いきりバカにしてる私の胸を鷲掴みした事もあった。

 

 

 そう思った、思案した途端……私は彼が可愛く思い始めていた。

 まあ、ひんぬー会長と言われるとイラッとはするけど、それでも以前程過剰に反応する事は無くなった。

 

 傍らで何時もの龍神がますます面白くなさそうな顔をするのも何と無く気分が良かったし、それからの私は幾分か冷静になって彼と顔を合わせる事が出来るようになったのは成長の証だと思う。

 

 しかし所詮はそこまでだった。

 自分でも恥ずかしく思いながらも、もしこうなったら私にこうしてくださいなんて言っても彼は特に何にもせず、私自身も本気にされなら困惑する程度の関係のままズルズルと彼が神を撃破したりとかでドンドンと様々な存在から目を付けられていく姿を見るだけしか無かった。

 

 私は純血悪魔ソーナ・シトリーで彼は人間兵藤一誠。

 純血により定められた運命もあり、これ以上の関係は結局は無いと思っていた。

 でも会う度にその思いは変化し、何時しか呪いという名の夢となっていった。

 

 彼を膝付かせ、惚れたと言わせやりたいという夢。

 

 

 そして……あの日、あの時、あの瞬間から私の認識は完全に変化する。

 

 悔しがらせてやりたい男から……永遠にその傍に居続けたい想い人へと昇華したとある出来事を境に、私は血による運命など知らないとすら思うようになっていた。

 

 

「おいおい、ひんぬー会長大丈夫ですか?

まったく、アンタの所のあの兵士クンは足止めされてて来れない感じで仕方無くと思ったんだが、どうにも知り合いがボロボロにされてるのを見るのは結構嫌なもんだと感じる程度の人間らしいぜ俺は。

思わずアンタにエロい事しようとした連中をズタズタにしちまったが……ま、普段の借りを返したつもりなんで気にしないでね」

 

 

 ミスを犯し、敵対勢力に拉致され……危うく畜生に犯されそうになったその時、既に神ですら完全に捻り潰せる領域に鎮座するただ一人の人間として名を馳せていた彼は、私を助けたのだ。

 無限の龍神……そして彼を恐怖せず接する数少ない者達以外の為には基本的に例え好みの女性がピンチでも助けない様な彼が、圧倒的な力で全滅させながら私を助けたのだ。

 

「アンタとは他人って訳じゃあ無いし、オーフィスに敵意持たれる快挙を成し遂げてる時点でスゲーとある意味尊敬してるし、借りた分は取り敢えず返すさ……んじゃ」

 

 

 ズルい。

 私は去っていく彼の背を見ながら思った。

 子供じみて、おバカで、低レベルな罵倒をしてケタケタ笑うチャランポランなのに、どうしてこんな時だけ無駄にカッコ付けるんだ。

 これじゃ私は――只の張り合い相手と思えなくなってしまうじゃないか。

 

 その日から私は彼に完璧な呪いを掛けられた。

 叶わないと永久に解けない呪い。

 彼を欲したいという呪いを……。

 

 だから私は無限の龍神にて同じく彼に惹かれた事により、擬態では無く完全な人型へと変化させたオーフィスが如何に彼と近かろうが関係なくなった。

 

 態度はそのままに、彼と距離を縮め、オーフィスに何を言われようとも関係なく彼に近こうと無駄に努めた。

 周囲はそんな私に反対したし、実家の繁栄の為に様々な相手との縁談を吹っ掛けられたりもしたが、私自身が彼に近付こうと強くなり続ける事により、何時しか誰も何も言わなくなり、兵藤一誠に拘りすぎて拗らせた独女と最近は言われるが、そんな陰口なんて知った事じゃない。

 

 

「何ですって? 一誠君がオーフィスと消えた?」

 

「お、おう……」

 

「い、一応解る様に置き手紙が置いてあってな……。

あ、アンタにも伝えた方が良いかなと……」

 

 

 

 夢というのは呪いと同じ。

 解くには夢を叶えるしか無く、叶えられなければ一生呪われたまま……。

 そしてその呪いを掛けたのは正しく一誠君であり、何時もの様にのんべんだらりとしているだろう彼のお家に眷属達に伝えてからやって来た時、私はショックを受けた。

 

 

「『オーフィスとどこか知らない世界でニートになってきます。帰るのは最低三百年後かもしれませんが……まあ、後はヨロピコ』…………ですって?」

 

 

 一誠君の自称友達であり、一誠君を追いかけている内に世界最強クラスの実力を得た曹操とヴァーリという男性二人から教えられ、渡された一誠君直筆の置き手紙を読んだ私は、その時自分でもどんな表情をしていたのか覚えなかった。

 

 

「う……!? お、おいヴァーリ、ソ、ソーナ・シトリーから絶対零度の気配を感じるというか、確実に室温が下がってる気がするんだが……」

 

「き、奇遇だな。俺もちょっと寒気が――」

 

「お二人とも」

 

「「は、はいっ!!

な、何でございましょうかソーナ・シトリー様!」」

 

 

 曹操とヴァーリが何故か震えながらその場に正座してるという辺り、相当酷い顔になっていたんだと思うけど……私はそんな事より二人に協力を申し込む為、一時的にシトリー家当主を務めてた頃の貴族らしい高貴な言葉遣いでこう言ったのは覚えている……。

 

 

「今すぐ三人で次元に風穴ブチ開けて追い掛けたいのだけど、アナタ達も協力しますよね?」

 

 

 してくれませんか? と言わなかったのは、この二人だって私が言わずとも彼を追い掛けると踏んでいたからであり、決して嫌だと言わせない為という意図は無いです。

 私を見ながら揃って滝の様な汗を流しながらカタカタと震えているのが良く分からなかったけど。

 

 

(お、おい案の定じゃないか! い、一誠めとんだ爆弾を放置してくれたぞ)

 

(正直ドン引く程一誠に対してストーカーじみた執着心を示していた処か、オーフィスとまともにやりあって擦り傷で済む女だからな……。こんな置き手紙で納得するわけが無い)

 

 

 ヒソヒソと何かを相談してる二人。

 まさか私を置いて二人だけで一誠君と次いでにオーフィスを追い掛けるつもりなのかしら? と感じた私は今や家主の居ない居間のテーブルにあった割り箸を持ち、先を二人に向けながらもう一度言った。

 

 

「返事は?」

 

「「はい、ソーナ・シトリー様の為に喜んで!!」」

 

「ん、宜しい」

 

 

 思えば最初は一誠君絡みで知り合ったお二人で、当初は私が一誠君の知り合いの中では一番弱かった。

 だけど一誠君――いや何よりオーフィスにだけは色んな意味で負けっぱなしは癪だった為、一誠君の戦い方から修行方法……そしてその根底にある能力(スキル)について自分なりに研究し、真似、鍛え、足掻いて足掻いて足掻きまくった結果、一誠君本人も驚愕したのだけど、私はなった――

 

 

「ほ、本当にアンタは一誠が好きなんだな。

未だに信じられんよ、アンタが一誠みたいにそこら辺の文房具やら物で敵をぶちのめす戦闘が出来るなんて……」

 

「それなりに頑張りましたからね。

彼を追い掛け、見聞きして自分なりに研究して鍛練をした――それだけです」

 

「いや、ある意味オーフィスですら達成出来なかった領域なんだぞ? それだけですじゃ済まないのは俺達でも解る」

 

 

 オーフィスですら未だ踏み入れられない一誠君の領域……能力保持者(スキルホルダー)に。

 まあ、ただ……それでも一誠君とオーフィスに負けてばかりだし、さっきから何故か私の顔色を伺ってるお二人に負ける事もあるので、一誠君の足下に到達できたってだけなんだけど。

 

 まあ、それは良いとして、とにかく私はこの二人と協力し、オーフィスが次元を遊泳する時に使用する力を文字通り力業で無理矢理次元の裂け目を空間に作り、三人で揃って中へと飛び込んだ。

 

 それは確かに危険な賭けでもあったけど、私達三人は共通して一誠君が居なければこの世界に居ても意味なんて無かったので、躊躇は一切無かった。

 故に、二人とは途中ではぐれてしまったものの――私はやり遂げたのだ。

 

 

「えーっと、どちら様? というか何処から入ってきたの? この束さんお手製の移動式研究室(ラボ)は普通に入れないんだけどなぁ?」

 

 

 寧ろ嫌いだった相手だったのに、今や他がどうでも良くなるくらいに惹かれている彼を求めるが故に。

 貧乳だとバカにして笑う様な低レベルの男なのに会う度に欲しくて堪らないと思うが故に……。

 

 

『イッセーにーちゃん、今日も頼むよ』

 

『おーう』

 

 

「あ、今日もいっくんは兵藤一誠ってのとロリッ娘ちゃんと修行を――」

 

「っ、い、一誠!?」

 

 

 ここに来て天運にも恵まれ、私は着いたと同時に見つけられたのだ……。

 

 

「一誠、いっせー……いっせぇ! 私ですよ! アナタが逃げたら堂々と追い掛けさせて貰いました! さぁ、観念してレーティングゲームがプレイ出来る程の子供を作りましょう!」

 

「あ、あのー……それ映像だからこっちの声は向こうに聞こえないんだけど? というか彼の事知ってるの?」

 

 

 彼を……夢という名の呪いを私に与えた想い人を直ぐに見付けられた。

 その時点で同行していた曹操とヴァーリの事は頭から消え、何やら事情をしるだろう女性から話を聞いた後、敢えてオーフィスと一誠君に存在を悟られずに気配を誤魔化して消し、時が来るまで女性と共に行動する事にした……というのが私のこれまで。

 

 全く、最初から最後まで私は振り回されてばかり。

 けどそれでも良い、彼に掛けられた呪いは例えオーフィスからの妨害があろうとも解いて見せる。

 

 だから……ふふ♪

 

 

 

 

 

 

 

「別の次元に勝手にフラフラ行こうが、私は追い掛けますよ一誠。

アナタに掛けられた呪いを解く為に、ね」

 

 

 どこに行こうが、私は必ず捕まえる。

 

 

「で、本当にこのISをアナタの友達が勤めている学校に送りつけるつもりなのですかタバネ?」

 

「うん、正確にはちーちゃんにじゃ無いんだけど」

 

 

 世界を渡って最初に降り立った時に偶々目の前に居て、縁があってそのまま行動を共にする事にしたこのタバネという女性と協力し合いながら、一誠君とオーフィスがこの世界で行動を共にしている一夏と男の子と簪なる女の子の様子を観察しつつ問うと、何やら小難しい端末を操作し、人が乗らないISを起動させたタバネは頷いた。

 

 頼まれたから宿代わりに私の戦い方を無人機のIS相手に見せ、戦闘データを取らせていたのだが、まさかISにそのデータをインプットしたばかりか同じようなデザインの機体を何時のまにやら増殖させていたの名かは流石に驚いたものです。

 

 

「いや~ソーナちゃんの戦闘データをインプットしたお陰で凄い強化出来ちゃってさ。ちーちゃんの弟君に一先ず借りを返してあげられそうだよ」

 

 

 等と、姉のセラフォルーに何となーく似てなくもないテンションで語るタバネに私は特に何を思うこともなく、近未来を彷彿とさせるモニターに映るタバネが送り込んだ最初の無人機IS三体程度に手こずっている人達を眺める。

 

 IS……私が知る限りでは元の世界には無かった人間の技術らしいが、常人があれ程の力を出せるのであれば作り上げたタバネは確かに天才だと思う。変人だけど。

 

 

「うーん、流石にソーナちゃんの印のゴーレムの前には皆無理ゲーかなー? 次々堕ちてるしー?」

 

 

 しかしそれ以上に感じる事があるのだが……本人はその事に果たして気付いているのか、それとも気付いていないのか。

 私の戦闘データをインプットした無人機が、真っ白なISに乗り、妙に狼狽えながらがむしゃらに突っ込んでくる少年の振るう剣を奪い取る様子を、急に無機質な表情になって眺めているタバネはたまに読めないので不明だ。

 

 

「おいおい、わざわざちーちゃんの雪片の後継武器をくれてやったのに奪われちゃってんじゃん。

いっくんから奪っておいてそりゃないんじゃないのー?」

 

「一応再現度としては私自身の億分の一でしょうし、何とかするのでは?」

 

「どうかな、碌な挫折も知らなそうな顔してるし、そのまま折れちゃったりするかもね。

ほらほら、いっくんったら簪って子とポップコーンなんて食べながら避難もせず見てるだけだし、キミのお仲間もリタイアしてるんだから頑張ってよー」

 

 

 無人機に一機に手こずり、その内2機目3機目と数が増えて袋叩きにされてる織斑一夏なる少年に飽きでもしたのか、端末を操作しながら映像を切り替え出したタバネはドームの観客席らしき場所で全く動じずにお菓子を分け合いながら、つまらなそうに眺めている顔立ちが織斑一夏なる少年とそっくりな少年を……今度は嬉しそうに目を細めながらタバネは眺め始める。

 

 織斑一夏なる少年とそっくりな黒髪の少年の名前は兵藤一夏。

 水色の髪の――更に言えばオーフィスと声質がほぼ同じな少女の名前は更識簪。

 

 置き手紙の通りニートをしていた一誠君とオーフィスは、『色々な事情』を理由にあの二人を鍛えていたらしく、タバネの盗撮で大体彼のこれまでの人生はタバネ伝いと観察で大体把握している。

 

 

「はぁ……あの簪って子にちょっと妬けちゃうなー」

 

 

 随分と一誠君に似てしまった様だけど……ふふ。

 

 

「アナタもアナタで気付かれてないのを良い事に彼の入浴の場面を盗撮してるし、おあいこだと思いますけど……」

 

 

 見れば一発でスキルホルダーである事が解るし、相当入れ込んで鍛えてあげた様ね……あのオーフィスも一緒になって。

 だからこそタバネは特にあの簪という少女にほんのりと嫉妬を覚えている様だけど、今言った通りタバネもタバネで色々とやってるので私としてはおあいこだと思う。

 

 

「うえっ!? ど、どうしてその事を!?」

 

 

 私の言葉に心底驚いたって顔でモニターから私へと顔を向けて聞いてくるタバネ。

 どうも一誠に育てられた彼は中々憎い男の子らしく、このタバネという一回りは離れてる女性に――微妙な想われ方をされている。

 まあ、それもこれも彼から全てを奪い取った織斑一夏とやらの存在が似非だと見抜けたからこそらしいが、悲しいかなタバネの好意は愚か自分を認識すらしてないとすら彼は思ってるので完全な一方通行だけど。

 

 

「声」

 

「へ? 声がどうし―――っ!? ま、まさか……」

 

 

 故に行動がエスカレートして盗撮してるのも、まあ、私個人としてはどうとは思わないし、隠す必要も無いとも思う。

 というかあんな丸聞こえだったからわざとやってるのかと思って一言で理由を答えてあげたら、明らかに目が泳ぎ出した。

 どうやら隠してたつもりらしい……。

 

 

「ええ、その『まさか』ですよタバネ。

バレないと思ってる方がおかしいというか……まあ、アナタも若いですし? 私も似たようなものなので否定するつもりはありませんよ。

それこそ、夜中に盗撮映像をみながら発散してようがね」

 

 

 ただ、良いは良いけどその際の声が激しいというか……もう少し慎みを持つべきというか。

 遇えて黙っていた事を話した瞬間、羞恥で真っ赤になりながら固まるタバネも何だかんだ女の子なんだなー……と微笑ましさすら覚える。

 

 

「え"? そ、そ、そこも……?」

 

「防音を過信し過ぎです。

それに、誰がアナタの下着を洗ってあげてると思ってるんですか?」

 

「あ……わ……うぅ……そ、ソーナちゃんでした」

 

「その通り。

ですが、二度言いますが別に否定はしませんよ。

ご本人が聞いたらさぞアナタを変態だと思われるでしょうが」

 

「なっ!? ソ、ソーナちゃんに変態なんて言われたくないんだけど!

私が席はずしてる時に衛星ハックして映した映像であの一誠って人相手に聞こえもしない妄言で会話してるくせに!」

 

 

 え、あぁ……確かにしてますけど。

 

 

「良いんですよ私は。全部実現させるんですから」

 

 

 それが恥ずべきとは思わない。

 

 

「うわ、軽くメンヘラじゃん。相手にされてない癖に」

 

「まだ彼から認識すらされてないのに、盗撮した挙げ句その映像で独り慰めに耽ってるアナタよりマシでしょう。

何ならその際のアナタの口にした台詞を再現しましょうか? 『あ、い、いっくぅん……そ、そこは――』」

 

「わーわー!!! 鬼! 悪魔! ソーナ! わざわざ言わなくて良いからっ!」

 

 

 …………。まあ、時折虚しくはなりますけど。

 その内その虚しさも一誠を捕まれてしまえば問題ない。

 彼は純血悪魔じゃないので沢山子供が作れるでしょうし……ふふふ。

 

 

「うぅ……ま、また弱味を握られちゃったよぉ」

 

「好き好んで本人に告げ口はしないから安心しなさいタバネ。

ただ、アナタって兎の頭飾りを好んで付ける通り、かなり性欲が――」

 

「い、良いじゃん別に!

どうせ私は、あの偽物に奪われて追い出される前のいっくんに好きだって言われて本気にしてるままのアホだよ! だから偽物が偽物だってすぐ分かったし、いっくんが無事だって分かった時は狂った様にしちゃったさ! ビショビショにしちゃった変態だよ! 文句ありますかぁ!?」

 

「いえ別に。ふふ、アナタって本当に私に似てるわ。だからこそ応援したくなる」

 

「ふ、ふんだ! もう頭に来たからゴーレムもっと突撃させてやる!」

 

 

 あは……この世界まで追い掛けて来た甲斐があったわ。ホントにね……ふふっ。

 

 

 




補足

流石にソーナさんだぜ! 成人してから○○年経って独女貫いてるせいで多少の事でもあっけらかんだぜ!

てか束姉ちゃんも大概だぜ!

割りと良いコンビだぜ!


その2
束さんが見抜けた理由は、まだ本物だったしょた一夏が割りと結構自分に懐いており、その時あった数々のエピソードについてを、偽物が一夏と入れ替わった時にその雰囲気の明らかな違いと、一夏と束さんが当時二人だけの秘密にしていたエピソードについてそれと無く質問したら偽物が答えられなかったので、コイツ違うとなりました。

で、千冬や箒――もっと言えば周囲全体が偽物を一夏と信じて疑いもしない中、そいつは違うと一人気づいた束さんは、行方を探し続ける。
 その結果、本当の一夏は人の域を明らかに超越していたペア・一誠とオーフィスが保護してたと辿り着く。

でも、偽物の登場により一夏は一夏としての全てを奪われにより、一夏が自身が自分も(束)偽物を信じてると思い込んで見限られてると感じ、その成長を盗撮――もとい見守ってるに留めている内にムラムラ悶々きゅんきゅんと……ね。

ちなみに一夏自身は束さんの考えてる通り、偽物を信じてるだろうし、偽物との清算が終わっても元に戻るつもりはないと思ってます。
てか、しょたの頃に束さんに懐いてた事はほぼ忘れてます。

まさに女泣かせよ。


最後。

ソーナさんはど偉く覚醒しました。

一誠を眺め、一誠を追っ掛け、一誠を研究し、時には枕を失敬し、時には誤差範囲の胸の成長具合を見せつけ――等々、一誠にヒーロー見参宜しくに助けられてからは頼る事無く自力で鬼のような鍛練により精神力が更に進化し……結果、時たま額から鬼の角の様なものが生えているのが幻視され、そこら辺の消ゴムの欠片を凸ピンで飛ばせば神レベルの存在を射殺できるまでご成長なされました。

お陰でソーナちゃんは『私は自分より強い方でないと結婚なんてしません』と、明らかに一誠以外お断りという意思表示を示し、冥界上層部は怖くて文句が言えず……アホな悪魔が名欲しさとエロエロしたくて挑んだら竹ひごでぶちのめされ――――――となった結果、眷属達が次々とゴールインしていく中彼女だけが見事にアラサー手前の独女みたいな感じになっちゃいましたとさ……。


そんな彼女に一誠くんはニヤニヤしながら一言……。


「ほーら、やっぱひんぬーだから相手にされねーんだー! やーいやーい行き遅れ~! 地味ひんぬ~」


 と、半笑いで煽るせいでますますソーナちゃんは拗らせるのは云うまでも無い。


はい、皆さんせーの……


『お 前 の せ い だ!!』



 更にちなみにですが、匙きゅんは日に日に変態化していくソーナさんにドン引きしつつも、失礼すぎる一誠に対して文句を言いたかったが、あまりにも差がありすぎて尻込みしてしまい、同じく一誠に腕をへし折られた事があるセラフォルーさんと何時しか相談し合う内に、つい何と無くというベジータとブルマみたいな理由で結ばれました。


その際、冥界の上層部が……ソーナがそれなんだからセラフォルーまで他種族の血を持つ者と交わったらシトリー家が終わるからやめろ! と反対しましたがバックホーンにソーナが居たので結局そのままゴールを認めなくてはならなくなったとか何とか。

 最終的に現在の匙きゅんは5児の父親兼、嫁さんの専属ジャーマネーをしながら主のソーナさんを心配してる日々を送ってます。

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