色々なIF集   作:超人類DX

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これは……もう全てにおいてふざけてます。


勝手な行動ばかりの眷属のモーニングルーティン

 

 

 

 今回は、本気を出せば凄い強いけどちょっと怖いとも思う眷属を持つ王である私のリアルな朝を見せるわ。

 

 

「部長、朝になりました。起きてください」

 

「んー……」

 

「ほら部長……! リアス……朝ですよ!」

 

「んん……」

 

 

 私は眷属を持つ悪魔なので、朝は何時も眷属に起こして貰うわ。

 今日はどうやら私の右腕であり女王である朱乃が起こしに来てくれたみたい。

 揺さぶられるように起こされた私はボーッとしながら目を覚ますと、私の顔を覗き込むようにして見ている朱乃と目が合ったわ。

 

 

「起きたら顔を洗ってリビングに来てください。

朝食を用意してありますから」

 

「ん……OK」

 

 まだボーッとする頭のまま頷くと、朱乃が部屋を出る。

 

 

「眠い……」

 

 

 寝間着を着替える私の頭はまだボーッとする。

 

 というのも実の所今居るこの場所は自宅ではなくて実家が所有している土地に建てられた別荘で、とある理由により私は眷属を連れてしばらくこの別荘に滞在しているの。

 

 だからあまり寝付きが良くなくて眠いわけで……。

 

 とにかく眠いままリビングへと行く前に洗面台で顔を洗い、なんとかボーッとする頭を覚醒させた私がリビングに行くと、テーブルには用意された朝食が並べてあり、それを囲うように座る4人の男女。

 

 

「あ、お早うございます部長さん」

 

「部長の席はこちらになります」

 

「ん」

 

 

 さっき私を起こしてくれた朱乃の他に、小猫、祐斗、イッセー

 イッセーはまだ見習いなのだけどこの四人が私の眷属。

 

 挨拶をしてくれる眷属達に返事を返した私は共に朝食を頂く。

 

 

「昨日も話した通り、ライザー・フェニックスとレーティング・ゲームをすることになったわ。

私はまだ悪魔としては成熟前だからゲーム自体もこれが初めてだけど、理由は皆の知っての通り負けるわけにはいかないわ」

 

 

 朝食がてらミーティングをするわ。

 皆私の言葉を真剣に聞いてくれているみたい――

 

 

「おい木場、マカロニやるからその目玉焼きくれや」

 

「ちょ、マカロニと目玉焼きとじゃ平等な交換にならないじゃないか。 せめてウィンナー一本とじゃないと……」

 

「23杯目でーす」

 

「ハイハイ、今よそいますからねー」

 

「………」(だる)

 

 

 訂正、誰も私の話を聞いてないわ。

 

 

「はいどうぞ小猫ちゃん……っと、何の話でしたっけリアス?」

 

「………なんでもないわ」

 

 

 お察しの通り、私の眷属は一人一人が少し暗い過去を背負っているのだけど、小猫………というか小猫が昔目を血走らせながら『眷属にすべき』と拉致――いや連れてきたイッセーのせい? いやお陰? ともかくイッセーもイッセーで結構笑えない過去を持っているくせに一切引き摺らずに今を楽しく生きている姿を見てきたせいなのか、朱乃や祐斗も最近――ちょっと色々と緩い所がある。

 それが悪いとは言わないのだけど……。

 

 

「部長さん、お醤油ちゃん取って貰えます?」

 

「………どうぞ。

ねぇイッセー? 最近醤油を何故ちゃん付けで呼ぶのかしら?」

 

「チロリ……ああ、最近ある人にお醤油ちゃんの偉大さを教えられたもんで……」

 

 

 ちょっと先行きが不安ね……。

 

「おネギさんしみるぅ……」

 

「あ、ゴボウさんみっけ」

 

 

 というか最近のイッセーのキャラがわからないわ。

 

 

 

 

 

 

 朝食後

 

 

 朝食も済ませて準備も終えた今こそ、さっきの話をするわ。

 

 

 

「つまりどうしても勝たなきゃいけないの」

 

 

 

 紛いなりにもこの子達の王として振る舞う私に対して眷属達は今度はちゃんと聞いている。

 そう、学校を休んでまで時間を作った理由はただひとつ。

 

 私の婚約の話を解消させるための悪魔のゲームに勝つため。

 その為の修行の為にこの場にいるのだわ。

 

 

「質問よろしいですか部長?」

 

「なにかしら祐斗?」

 

 

 眷属の中では真面目で紳士的な騎士の祐斗が軽く挙手をする。

 ええ、きっと早くトレーニングがしたいのね……? ほれで私の考えたメニュー内容を早く聞こうと。

 ふふん、そんなに慌てなくても今―――

 

 

「正直言ってゲーム自体はイッセーくんか小猫ちゃんだけで勝てる気しかしないんですよ」

 

 

 まあそうだけど、イッセーと小猫だけではなくレーティングゲームはチェスの駒に見立てた所謂チーム戦。

 だからイッセーと小猫だけがって訳にはいかないのは祐斗も知ってるし、きっと足を引っ張らないように頑張りたいと言いたい筈――

 

 

「だから僕はゲーム当日まで寝て過ごしたいですね」

 

「…………」(だる だる だる)

 

 

 つまりサボりたいらしい……。

 いやいやいや、どうしたのよ祐斗? 祐斗らしくない――

 

 

「私も祐斗くんと同意見ですわ。所詮非公式ですし、小猫ちゃんとイッセーくんが開始と同時に敵本陣を叩けばそれで終われそうですし」

 

「朱乃まで!?」(うそだろぉ~?)

 

 

 と思ってたら朱乃までやる気がなかったらしいわ……。

 まさに嘘だろという言葉が頭の中で何回も繰り返される私は怒るよりも先に二人の怠惰さに驚いてしまう。

 

 

「やろうと思えば可能ではありますが……」

 

「殺しても良いのなら手っ取り早く済むので構いませんよ」

 

「だ、ダメよ! 朱乃も祐斗もしっかりしなさい! これはゲームなの! スマートに勝たないと意味がないの! 勝手な行動は許さないわ!」

 

「「えー……?」」

 

 

 だ、ダメだわ。

 トレーニング以前にモチベーションが終わってるだなんて考慮してないわよ。

 

 

「祐斗先輩も副部長もすっかり緩くなりましたね」

 

「いやぁ、悪魔の仕事をちょろちょろやっといて後はあの部室で皆とダラダラ過ごせたらそれで良いかなって思うようになっちゃってさぁ?」

 

「贅沢を言うなら私もイッセーくんと小猫ちゃんのような仲の良い方と出会えたらなぁなんて……」

 

 

 ど、どうすれば……。

 

 あ、そうだわ!

 

 

 

「イッセー、ちょっと……」

 

「へ?」

 

 

 こうなったらこの前ライザーとグレイフィアをうもはも言わさず部室から追い出したときのイッセーに頼るしかないわ……。

 そう思った私は落ちてた枯れ枝を使って地面を無意味に掘ってたイッセーを呼び寄せ、他の子達には聞こえないように耳打ちをする。

 

 

「頼めるかしら?」

 

「別に良いですけど、所詮単なる猿真似っすよ?」

 

「構わないわ。流石にこの緩みきった空気だけは張りつめさせたいし」 

 

 

 そう言った私に対してイッセーは『そういうことなら……』と了承し、一旦別荘へと戻らせる。

 そして20分後……。

 

 

 

「なぁ、分かっちょるの?」

 

「………はい」

 

「今眷属(チーム)ええ感じやねん!」

 

「…」(だる×20)

 

 

 エナメルポーチを抱え、グラサンを掛けた――曰く関西にあるとある大学野球部の監督の格好をしたイッセーにお説教をされていた。

 

 

「お前みたいななぁ、ゆるいキング……ゆるキン、もう要らない」

「……」(だる)

 

 

 ………そう、何故か私が。

 

「あ、あのイッセー、私じゃなくて……」

 

「監督と呼べや!?」

 

「ご、ごめんなさい! えと、では監督さん? 私じゃなくて祐斗と朱乃のゆるさを注意して欲しいといいますか……」

 

「確かにあの二人は緩い。

けどそうさせたのは誰かって話よ? キング――キャプテンであるお前の責任とちゃうんか? え?」

 

「う……」

 

 

 パイプ椅子に深く座りながら、グラサン越しに私を見上げるような眼差しを向けて、妙なガラガラ声で話すイッセーこと監督さんに私は言葉を詰まらせてしまう。 

 

 

「っっっ!!」

 

「ぷーくすくす!」

 

 一番腹が立つのは、監督さん化しているイッセーから見えないように後ろから朱乃と祐斗がサイレント爆笑をしている。

 

 

「ハッキリ言って邪魔! 害悪! ……出ろ!」

 

「………はい」

 

 

 こうして勝手な行動をする眷属のせいで私はトレーニングから出されるのだった。

 

「溜めて、溜めて解放……!」

 

「おお、白音はよーわかっとるのぉ! 偉い! よーしよしよし!」

 

「な、なんで私だけ……」

 

終わり

 

 

 

 こうして一度きりのネタかと思ってたどこぞの大学野球部の監督化を続行したイッセーにより、偶々の見学の際に見たその野球部のトレーニングをさせられる羽目になるリアス。

 

 

「「「「カイ、ホウ、カイ、ホウ」」」」

 

「チェーンジ?」

 

「「「「カイ、ホウ、カイ、ホウ」」」」

 

 

 軽快な電子音と共に行う――曰く『カイホウエクササイズ』なるものだったり。

 

 

「「「「溜めて、溜めて、解放」」」」

 

 

 失敗した砲丸投げのような奇怪な動作を繰り返す『カイホウエクステンション』なるアップトレーニングだったりと、リアスが折角作った時間は無駄になっていく――――

 

 

 

「溜めて溜めて……解放!!!」

 

「!?」

 

「ぶ、部長の魔力が山を一発で消し飛ばした……!?」

 

「え、あ、あれ? う、嘘でしょう?」

 

「監督さん曰く、それが溜めて解放理論らしいっす」

 

「昨日直接話を聞きに言ったら、癖のある話し方ではありましたが丁寧に教えてくれました」

 

「私はその監督さんという方に会ったことはないけど、ただ者ではないわ……」

 

 

 

 訳ではなかった模様。

 

 

「これはお礼のお手紙を出すべきだわ……」

 

「ええ、僕も溜めて解放理論のお陰で神器を禁手化させられましたし」

 

「私も溜めて解放理論のお陰で雷の力を完全制御できましたわ」

 

 

 溜めて解放理論のお陰で壁を乗り越えられた悪魔達から、知らない所で妙な尊敬をされているとは――そもそも悪魔の存在すら知らない野球部の監督さんなのだった。

 

 

終了

 




補足

関西のとある大学野球部の監督。

どんな時でもエナメルポーチを片手にグラサンを掛けた男性。

溜めて解放理論なるものを叩き込むのだが、男前で野球も上手いのにサボる事に努力を惜しまなすぎるある野球部員からは完全に舐められてる模様。

 先日高校生の男女から『監督さんがされてるトレーニング法を教えて欲しい』と煽てられまくった事で気を良くして教えた結果、本人の知らぬところで間接的に悪魔にまで溜めて解放理論を伝授した―――という設定。


その効果は凄まじかったらしく、少なくともリアス、朱乃、祐斗の三人は一気に三段階は壁を超えたらしい。


後日、まだほぼ女子高の生徒(リアス達)から写真付きのお礼の手紙を貰って余計機嫌が良くなったらしいのだが、監督を舐めてる男前な部員にリアス達の写ってる写真とお礼の手紙を見られてむっちゃ嫉妬されたとかなんとか……。

その2


 雨の日は朝から晩までカイホウエクササイズ!

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