色々なIF集   作:超人類DX

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ホントにラストにしたかったのですが、例の件だけはキチンと終わらせたかった。


※キャラが色々と改悪されてますので注意


お人好しでもキレる

 

 

 悪魔に転生すると基本的な能力が上がる……と、前に聞いた事があったが、偶然にも同じクラスである元浜と松田という二人組を見てると納得できる。

 

 体育の時間や、英語の時間……普段は並以下らしかった奴等の成績が急上昇したって評価になっているし、そんな二人の変化に他のクラスメートは困惑している。

 

 

「エロコンビが何でオカルト研究部の部員なんだよ!」

 

「そうよあり得ないわ!」

 

「はっはっはっ、普段の行いが良いからに決まってんだろう?」

 

「案視したえ諸君、キミ達の分まで木場の野郎以外の美少女ハーレムを築いてやるからよ! ナーッハハハハ!!」

 

 

 しかしそれ以上にクラス――いや学園全体を揺るがしたのは、何といっても新入部員は入りたくても取らないとされてるオカルト研究部にこの二匹が入った……という一点に尽きるらしく、嫉妬、憎悪、その他諸々の感情を剥き出しにしてくる相手に対して、元浜と松田はケタケタ笑いながら、教壇机に立って皆を見下しながら逆に煽ってギャーギャーと煩いのが、窓際の一番後ろの席に俺の目と耳に入ってくる。

 というか、発覚してから暫く経つのにまだ喚いてる意味が解らない。

 

 

「今日もやってんなー

だけど、エロコンビがオカ研ってなんの冗談だし」

 

「どうでも良いだろ、つーか何時まで喚いてんだよ。喧しくてしょうがない」

 

「お前はフェニックスさん馬鹿だから興味ねーかもしんねーけど、俺達を含めたその他からすりゃあ、衝撃的且つ殺意の沸く事実なんだよ」

 

「あっそ」

 

 

 本当は転生悪魔になったとは知らない一般人からすりゃあ、意味も分からずエロコンビが部員になったとしか思えないのは、まぁ解らんでも無い。

 無いが、女の比率が多いだけの部活に入ったからって何だってんだ? 結婚するでもあるめーし。

 

 

「オカルト研究部や生徒会の人達を見てろシラーっとした顔が出来るのはお前ぐらいなもんだぞ? そのせいである意味有名だし……フェニックスさんの事を含めて」

 

「有名? レイヴェルの事は良いとしても、その生徒会やらオカルト研究部については何の事だ?」

 

「いやお前さ、フェニックスさんが入学してから速攻でキャラが激変したろ? その上、例のオカ研登校風景の際に俺等が道開けて持て囃した時なんか、平然とオカ研の方々の前をフェニックスさんイチャイチャしながら通り過ぎたんだぜ? ぶっちゃけある意味スゲー事なんだよ」

 

「ふーん?」

 

 

 一山いくらにしか見えなくて、興味もノリに付き合ってやる理由も無いだけなんだけどな。

 いや、学園に通わせてくれた恩はあるけどね……それだけだ。

 

 え、レイヴェル? 可愛いのは当たり前だし、無敵だろ……全部が。

 

 

 

 

 

 元浜と松田のコンビは同じクラスにて、以前あった小競り合いの影響と主のリアスからの話により、前々からレイヴェルという美少女とイチャイチャしていた事もあって、勝手に敵視をしていた。

 

 

「一誠さま~!」

 

「はっはっはっ~ レイヴェルは可愛いな~」

 

「いやん❤ 一誠様に褒められるだけでレイヴェルは全身が発火しちゃうそうですわ!」

 

「イッセーさんとレイヴェルさんは仲良しですね!」

 

 

「「………」」

 

 

 お昼休みや放課後に入れば何時でもやってくる、独り者に対して拷問とすら思えるイチャ付き。

 悪魔や人じゃない存在の事を知り、そして自らもその身を悪魔へと転生した後も、レイヴェルがリアスと同じ悪魔であった後も、そして何より一誠達が持つ自分達を鼻で笑う程の力である神器を持って正体を知った後も、二人は気に食わなかった。

 

 しかも加えるなら、もう一人金髪美少女が居るのも気に食わなかった。

 

 

「チッ、何が赤龍帝だ」

 

「チッ、レイヴェルたんとイチャイチャしやがって。しかもアーシアちゃんにまで……ちくしょう」

 

 

 自分達も神器を持っているが、一誠の神滅具と呼ばれる強大な神器と比べたら、悲しい事に弱い。

 自分達の事を一度殺した堕天使レイナーレとその一味をレイヴェルと……ライザーと呼ばれたホスト崩れみたいな男と一緒になって殲滅し、美少女な主に対して実に失礼な真似をしくさったというだけで、元浜と松田からすれば重罪人だった。

 

 

「何時かしばく事にするのは確定として、行くか」

 

「おう、ハーレム王になって見返してやるぜ! もしかしたらレイヴェルたんやアーシアちゃんも心が変わって『素敵! 抱いて!』って出来るかもしれないしな!」

 

 

 だから元浜と松田は取り敢えず一誠をライバル視する事にした。

 あわよくばレイヴェルの意識を自分達に向けられたらな……なんて考えながら。

 

 まあ、そんな事を本気でやった場合は……行き先地獄になるだろうとは思わずに。

 

 

 

 

 ライザー・フェニックス、男のケジメの時間がやって来た。

 フェニックス家で絶賛保護中のアーシアは一誠とレイヴェルが付いてくれているので安全面の心配は全くしていない。

 しかしライザーは今日に限り、早いとこ帰りたくてしょうがなかった。

 

 

「あの……これ、父が大変ご迷惑をお掛けした事に対してのお詫びです」

 

 

 人間界・駒王学園旧校舎・オカルト研究部の部室。

 その場所にライザーは、リアス・グレモリーの兄であり魔王である男の女王であるメイド服姿の銀髪の女性悪魔を付き添いに、数日前から選定に選定を重ねた結果購入したお高い和菓子セットの菓子折りを、のっけから帰れオーラ全開のリアスとその眷属達が見ている前で、テーブルの上に置いた。

 

 

「既に話は聞いているかと思うが、此度の騒動は我がフェニックス家当主であるシュラウド・フェニックスが泥酔してジオティクス・グレモリー様に絡んでしまった結果……何故だかそんな話になってしまったという事であります。

つきましては、私としてもリアス嬢の意見を尤もと思い、此方側から是非とも婚約の話を取り消させて頂こうと思う所存であります」

 

「………」

 

「……。この前兵藤と一緒に居たエセホストじゃん」

 

「婚約話を取り下げに来たのかよ」

 

「二人とも……! 口の聞き方に気を付けるんだ!」

 

 

 超低姿勢。

 奇人・変人・異常に加え、女遊びばかりしてる男と言われてるライザー・フェニックスのこの姿勢に、さしもの元浜と松田以外のリアス達面々は面を喰らった顔をしてしまった。

 中立の為にやって来ていた魔王の女王であるグレイフィアのまた、ペコペコしまくりなライザーの態度に若干目を見開いている。

 

 

「……何か企んでいるのライザー? アナタがそんな特勝な態度をするなんて」

 

 

 だがリアスはそれでも信じなかった。

 会合で初めて彼を見た時、全員女で構成させた眷属達と会合そっちのけで遊んでいたのを見たリアスは、ライザーの行動を疑っている。

 

 

「いや……もう、俺をどう思っても構わないんで、穏便に済ませたいんだよ。

そもそも結婚なんて考えてもないし……キミもそうだろうけど」

 

 

 …………。実際は会合に出された食事を隠し持ってたタッパーに詰めて抜け出し、眷属達と一緒に食べてただけだったりするのだが、タイミング悪くリアスは眷属達がライザーにひっつきまくってる所を見てしまった故に、完全に誤解していたのだ。

 

 

「女性のみで構成させた眷属と遊び呆けてるアナタを信じろとでも?」

 

「「なぬ!?」

 

 

 故にリアスは刺々しく、わざわざ座らずに下座で直立不動しているライザーを睨みつつ女だらけの眷属について言及すると、それに目敏く反応したのはやはり新人二人だった。

 

 

「どういう事ですか部長?」

 

「このエセホストさんの眷属が女だらけって……」

 

「言葉の通りよ。ライザーの眷属は皆女性…それもライザーの好む顔やスタイルで選んでるのよ」

 

 

 噂の広まりというのは実に恐ろしい。

 本人の知らぬ所で勝手に誇張されてしまうのだから。

 この時も、デマにデマを上塗りした様なありもしない話をリアスの口から飛び出だした瞬間、新人転生悪魔の二人は一気に敵意をむき出しにする。

 

 

「な、なんて羨ま――じゃない、酷い!」

 

「女性を何だと思ってるんだ!」

 

「…………。え、えぇ……?」

 

 

 ライザーは自分が純血悪魔だからだとか、フェニックス家だからだとかを傘に威張り散らすタイプじゃなかった。

 故に本来なら殺してやっても誰にも咎められないだろう下僕悪魔二匹からの不敬な言葉を受けても、ライザーは『どんだけ俺って女好きな事になってるんだし……』と若干凹みつつ、ただただ乾いた様に笑って済ませようとした。

 

 

「お言葉が過ぎますよそこのお二人。リアスお嬢様も、下僕の教育をキチンとしていない恥知らずの王と取られますよ?」

 

「……。わかってるわよ。二人とも、下がりなさい」

 

「「うっ、はい……」」

 

 

 しかしそれを咎めたのが、中立位置のグレイフィアであり、何も言い返そうともせず笑って済ませようとするフェニックスの三男に対する個人的な評価を上方修正しつつ、新人二人とリアスに注意をする。

 尤も、リアスの表情は不貞腐れたソレで、あんまり反省は無さそうだったが。

 

 

「ま、何だ……俺が言いたいのはお互いこんな話はさっさと忘れてしまおうと言いたくて……」

 

 

 しかしながら誤解ついでに述べておく。

 ライザーは確かに顔に似合わずお人好しで、誠実で、助ける義理もない他人もついつい助けてしまう男なのかもしれない。

 失礼な事を言われても大概は笑って済ませる穏便さもあるのかもしれない……。

 

 

「そうね……」

 

 

 だが……忘れてはならない。

 

 

「アナタの妹とあの赤龍帝の人間が学園に通える為には低姿勢に努めようとしている理由も分かるし――

 

 

 

 

 

 ――顔で選んで散々洗脳した眷属達が尻を振って媚びてるアナタと結婚は私も嫌だし――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………あ"?」

 

 

 彼は憤怒の女帝・エシルの血を、レイヴェルよりは比率的に業火の不死鳥・シュラウド寄りだとしてもちゃんと継いでる男だという事を……決して忘れてはならない。

 

 

「今、お前……何て言った?」

 

 

 何が原因でその血が目覚めるか解らないのだから。

 

 

「は? 何よ急に?」

 

 

 それまでヘラヘラとしていたライザーの様子が変わった。

 しかし低姿勢なライザーに対して見くびりの気持ちを強く抱いてしまったリアスはそれに対しても嘗めたままの態度のまま、寧ろ挑発的にライザーを睨んだ。

 

 その瞬間だった。

 

 

「図に乗るなよ――――ドカス共がぁぁぁっ!!!」

 

 

 フェニックスの象徴である不死鳥の翼が背に現れ、その額には小さな赤い炎が浮かび上がる。

 

 

「っ!?」

 

「な、な!?」

 

 

 それは全盛期のシュラウド・フェニックスとエシル・フェニックスが灯した炎に色は違えどそっくりであり、突如豹変した怒りの形相と共に全身から波紋の様に広がる炎の波は、一瞬にしてオカルト研究部を――いや、旧校舎の半分を灰と帰した。

 

 

「くっ……お嬢様!」

 

「部長ぉ!!」

 

 

 幸いにも時間は完全下校時刻を過ぎ、日も暮れた夜だった故に一般の人間にこの爆発を見られることも無く、また、咄嗟にグレイフィアがリアス達を守る様にして防御の障壁を張ることで怪我人は出なかった。

 だが……。

 

 

「俺をどう思うが、どう罵倒しようが笑って済ませてやるよ。

だがな……アイツ等の事を知りもしねぇ癖に、アイツ等を馬鹿にする事は、例え魔王だろうが許さん!」

 

 

 大地を統べる炎帝の怒りが収まる事は無かった。

 

 

「落ち着いてくださいライザー様!」

 

 

 夜空を照らす大地の炎を額と両手に灯したライザーに、焦った様子でグレイフィアが説得に入る。

 しかしライザーはその怒りに呼応するかの如く、灯した炎の出力を上げながら、怒りの声でその要求を却下する。

 

 

「怒ったら負けなのは認めてやる。

しかし! 俺はそこの小娘をぶちのめさないと最早気が収まらん……形態変化(カンビオフォルマ)!」

 

 

 一度キレたら相手を消すまで暴れる。

 かつて憤怒の女帝とまで呼ばれ、怖れられたエシル・フェニックスを思い起こさせる激昂を見せるライザーは、両手灯した自身の炎を胸元で合わせ、形態変化なる言葉を発した。

 

 

「な、何をする気なの!?」

 

「下がってくださいお嬢様!」

 

 

 その意味が分からず、そしてフェニックスの力を表側しか知らないリアス達やグレイフィアはライザーの行動に焦りを覚えつつも手が出せずに見つめるしか出来ない。

 ちなみに、元浜と松田はまた気絶したが……誰もそのことに気にしている暇も余裕も無かった。

 何せ……。

 

 

「フェニックスの籠手(ガンドレット)……!!」

 

 

 憤怒と化したライザーの圧力は、最早魔王同士の戦闘を思わせるソレだったのだから。

 

 

「ラ、ライザーの腕に……籠手?」

 

「シュラウド様はグローブを、エシル様は2丁拳銃を武器(エモノ)として使用していましたが、ご子息もやはり武器を持たれますか……!」

 

「な、何か知ってるなら――」

 

「お嬢様、直ぐ様冥界にご連絡を。

サーゼクス様と……可能ならシュラウド様とエシル様を此方にお呼びしてください!」

 

「はぁ!? な、何でライザーを止めるのにそんな事まで……!」

 

「急いで! まだ解らないのですか! そもそも婚約の話を持ちかけたのは、フェニックス家の力を吸収しようと考えた此方側なんですよ!」

 

「なっ!?」

 

 

 全てを燃やし尽くさんと上空から戦闘体勢に入るグレイフィア、リアス、そして眷属達を見下ろすライザーは、揉めてる連中に待つこともせず、その両腕に出現させた籠手に七色の炎を灯すと、眼下に居る者達向かって右手を翳し、左手を自分の後ろに向けながら静かに呟いた。

 

 

「オペレーション……(ゼロ)

 

 

 万象全てを灰に帰す、ライザー・フェニックスの奥義を放つ……その準備を。

 




補足

あのテラ子○ボイスで輩の口調……。

彼にとっての怒りのは、眷属達や家族を馬鹿にされる事ですね。

ぶっちゃけ、言い方間違えてしまえばマジでヤバイ。


その2

エセホストみたいな格好なのに、某超死ぬ気モードみたいな戦い方……あ、合わねぇ。

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