問題児の方でコラボっているので、こちらが遅れてしまいました。
前回と同じく、短いです。
コツコツ書いていくので、お付き合いお願いします!
では、どうぞ
ヘリが飛び立ってしばらくして急に雨脚が強くなってきて、窓の外は豪雨になっていた。
里見君は助手席、私たちは本来患者が乗るスペースに座っている。
沈黙の中、最初に口を開いたのは操縦士。
「あれはなんでしょうか?」
操縦士が指差す方向は、下。私たちのいる後ろの席からは見えない位置だ。
里見君が目を凝らし窓に額をくっつける。
「クモのパラシュート……チクショウそういうことか、操縦士さん追ってくれ」
「君にはあれが……のかッ?」
……あれ、眠い。一日中里見君の看病してたから疲れてるのかな?
看病といっても、ただの針治療だけどね。
前にちょっとだけかじったことがあって、疲労回復のツボとか覚えてるのが役に立った。
いやぁ、私って多才だね♪ さすがに眠気には勝てないけど……。
「……海夜、大丈夫?」
「……ふぇ!? な、なにが?」
今のは寝てないからね!?
まぁでも月夜にはお見通しのようだ。
じゃあここは月夜に任せて、おや――
すみ、と続けようとした瞬間、突然鉄板をぶち抜いたような暴力的な音と共に、機体が大きく振られる。
寝かけていた私は、その衝撃に耐えられず、頭を操縦席とここを隔てている壁に勢いよくぶつけてしまった。
……いったい!? え!? 今の、なに?
「待て延珠!」
「待ってください延珠! 私も!」
里見君と月夜の声がヘリの中で響く……いや月夜の声は外から。
今さっきのショックで完全に起きた私は、やっと状況を理解したのと、里見君が操縦士に指示を出すのとは、同時だった。
「高度下げて! 早く!」
「ビニール紐でよければあったよ!」
何かないかと辺りを見回すと、小脇に置かれた荷造り用のビニール紐が目につく。
さっきの衝撃でもう私起きたよ!
まだまだ頭痛いけど!
ビニール紐をあるだけ取り出して、二重にして座席の一部にくくりつけ、それを引っ張って何度か強度を確認する。
うん、これくらいなら大丈夫かな。
即席ロープを延珠ちゃんが開けた扉から垂らし、その扉の前まで行くと、思ったより高い高度に一瞬眩暈がした。
いくら私でも、怖いものくらいあるんだよ?
「落ちても俺が受け止めるから安心しろよ」
いつのまにか隣に来ていた里見君がそう言う。
しかしその声は少し震えていて。
「あはは、頼りにしてるよ? ……さあ行こうか」
意を決し、ロープに手を掛ける。
雨に濡れたビニール紐は、思ったより滑りやすかった。
先に下りた里見君が止まりかけたとき、私の耳にもヒュオンと聞こえるほどの突風が紐を大きく、強く揺らす。
「……っ! 里見君!」
私が叫んだときにはもう遅かった。
里見君の手からロープは離れ、彼は空中に投げ出される。
地面につく寸前に姿勢を正し、足から着地した里見君を見て、安心した。
「……大丈夫だよね? 着地したとき四回転ぐらいしたけど、ちゃんと生きてるよね?」
数秒経ち、里見君が起き上がると、私に、ヘリに弱々しく手を振る。
それに安堵してしまって、先ほどと同じような、いや、ビュオン! と聞こえるほどの突風が来たことに気づくのが遅れた。
「えっ、ちょ……まっ……」
油断しきっていた私は、あっさりとロープに見放され、宙を舞う。
即座に義眼と義脳を使って演算を開始する。
結果は、もし助けがない場合、“生存確率0%”。
その演算結果に驚くが、まぁそれもそうか。
私は里見君みたいに身体強くないし。
一秒が、一分、一時間とすごく長く感じる。
地面まで、3、2、1――
「――ふんぬッ……!」
一瞬身体の落下がストップし、また始まる。
そのまま地面を里見君と一緒に三回転くらいして、ようやく止まった。
「よし、無事着地!」
「いやいやいや、無事じゃねぇっての……」
「受け止めてくれてありがとねっ」
私が演算結果に驚いたのは、里見君が助けてくれる確率が100%だったからなんだ。
この世に絶対なんてないと思ってたけど、絶対ってあるんだね。
「ちょっとまだ身体痛いけど、月夜たちのところに行く……?」
「あぁ、少し急ぐか」
背の高い常緑樹の帳の向こうから、断続的に戦闘音が響いてきていた。
枝に手をつきながら視界を遮る小高い丘を登っていくと、眼下では戦闘が繰り広げられていた。
一方は毒がありそうな牙を開き威嚇しながらレイピアのように鋭い細い八本足を巧みに操って突きかかるモデル・スパイダーのガストレア。
だけど、灼熱色の眼をした延珠ちゃんと月夜は、ガストレアのあらゆる動きを見切っていた。
延珠ちゃんは巧みに繰り出される刺突をくぐり、神速でガストレアの懐に潜り込むと、鉄槌の如き蹴りを真上に蹴り上げる。
蹴りを喰らったガストレアは上空十メートルまで吹き飛び、空中で月夜の二刀によって捌かれた。
ガストレアの体は大きくぶつ切りにされ、地面にボタボタと音をたてて落ちていく。
「……月夜もすげぇんだな」
「ふふっ、そりゃあ、私のイニシエーターですから」
私も月夜のスキルはすごいと思う。
小太刀ではなく、刀を二本とも使うのだ。
月夜の刀は私のと比べると少し短いけど、それは身長が違うからだ。
普通、二刀流なら、小太刀二本か、刀と小太刀を一本ずつ持つ。
「……こればかりは兄さんに感謝感謝だよね」
「蓮太郎! 倒したぞ! 妾たちが一番乗りだ」
延珠ちゃんが私たちに気づくと、両手をぶんぶん振ってこちらを見ている。
月夜も刀についた血を掃い、鞘に戻すと、こちらに小さく手を振ってくる。
あんなに大人っぽい月夜が、だ。
やっぱり同年代の子と一緒にいるからかな。
私も月夜を小学校に通わせてあげればよかった。
「行くか、神流」
「そうだね、里見君」
私たちも手を振って、延珠ちゃんたちに近づいていった。
今回も短かったですね、すみません。
最近書く時間が減ってきて、結構困ってますw
でも、これは更新していきたいので、これからもお付き合いお願いしますっ!
読んでくれてありがとうございました。
感想書いてくれたら嬉しいです