ブラック・ブレット 夜の海と蓮の華   作:神流朝海

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こんにちわ。
受験まであと三週間!
という日に書いている今日この頃。
海夜「勉強したほうがいいんじゃない?」
・・・・・・
海夜「まぁ、私達の物語が進むなら別にいいんだけど~」
・・・・・・
勉強はもちろんやってますよ。これ書く前に2時間やりました。
書き終わった後も2時間する予定です。

はぁ~。はやく入試終わらんかなぁ。


では、どうぞ



お隣さんと天童民間警備会社

―――引越しと大家さんへの挨拶を終え、料理を作り始める。

「別にぼろいとこにこなくてもいいじゃないですか」

「はいはい、そういうことは言わない、月夜。別に豪華な環境に慣れてないし、私はこっちの方が好きだし」

「まぁ、私も豪華よりこっちのほうがいいですけど・・・」

「じゃあ、いいじゃん。あ、そうだ。お隣さんに挨拶に行かないと」

これもすでに三回目である。まぁ、別に問題ないけど。

持ってきたダンボール箱の一つを持って、お隣さんの部屋の前に行く。

 

「あの、すみません。隣に引っ越してきたものですが」

「あ、ああ。は?引越しとかあったっ・・・け!?」

「あ、はい。さっき・・・え!?」

扉を開けたのは、里見君だった。

「え、ちょ、え?」

「な、なんでここに?」

「いや、それはこっちのセリフなんだけど」

「いや、俺のセリフだろ」

「まぁ、いいや。はいこれ」

「ん、さんきゅ・・・!?これは・・・?」

「うどんだよ。トッピングも入ってる」

「・・・ありがとうございます!」

「蓮太郎、誰か来たのか?」

「ああ、お隣さんだ。ほら、こんなにうどん貰ったぞ!」

「やったぁ!・・・あれ?さっき会った人だ!月夜は?」

里見君のイニシエーターである藍原延珠・・・これからは延珠ちゃんって呼ぼうかな。

「ああ、ごめんね。延珠ちゃん。今ごはん作ってる最中だったから、月夜は部屋なんだ。・・・で、なんで服着てないの?」

「あ!お前、まだ服着てなかったのかよ!?」

「え、里見君ってそういう趣味?」

「いや待て!違う!断じて違うからな!」

「蓮太郎、そんなことより月夜のところ行っていいか?」

「そんなことじゃねぇ!いや、ほんとにマジで違うからな!」

「あはは、冗談だよ。ごめんね延珠ちゃん。また今度ね」

「ああ、なんつーか、ありがとな」

「いえいえ。これからもよろしくお願いします」

 

最後に一礼して、自分の部屋に戻る。

「ずいぶん楽しそうでしたね」

「うん。ほんと偶然。よかったね、月夜。いつでも延珠ちゃんに会えるよ」

「はい。声でわかりました」

そう言いながら、月夜が少し微笑む。

これは本物の笑顔だ。

それがわかるようになるまで、1年もかかった。

会ったばかりの頃は、おとなしい、というのが第一印象だった。

めずらしいな、と思いながら、一緒に生活をしていた。

けど、それは1年前に変わった。

1年まえのある日、あることに気づいて、月夜をよく見るようになった。

そしてわかったのが、月夜が周囲の空気にあわせて笑っている、ということだった。

でも、私と一緒にすごしていく中で、月夜は変わっていった。

少しずつではあるが、本物の笑顔を見せてくれるようにもなった。

「あ、そこのお皿取ってください。作り終わりましたよ」

「はいは~い」

 

少し前に聞いたのだけど、海夜は幼い頃、家族全員が何者かに襲撃され、殺された時に、右目と脳の一部を銃弾に貫かれ、瀕死の重傷を負った。

そして、病院に運び込まれ、手術を受けた。執刀医の名は、室戸菫医師。当時計画されていた『新人類創造計画』の最高責任者だった。

右目も脳の一部もバラニウム製の義眼、義臓で補った、と言っていた。

もちろん、私たち“呪われた子供たち”にも性格はある。

でも、海夜はその一部が欠けている。

時には、今のようにまったりな性格になったり、クラスをまとめる学級委員みたいになったり・・・と性格がころころと変わっている。

本人は無意識のようで、そのことには気づいてないけど。

けど、私はこの人に救われた。

たくさんの暴力や虐待を受けてきた私は、人を信じる、ということができなくなってしまっていた。

海夜に出会わなければ、きっと、そのままだっただろう。

今は少しかわりつつあるのが、自分でもわかる。

そしてなにより、今が楽しい。

だから、

「いただきま~す」

「いただきます」

この人についていくのだと、決めたんだ。

 

―――――

 

食事を終えて片づけをしていると、隣の部屋から大きな声が聞こえてくる。

「元気ですね。お2人とも」

「あはは、そうだね~。・・・明日も学校あるし、早く寝ようか」

「そうですね」

私も海夜も布団に入る。

海夜はすぐに眠ってしまった。

その、自分のプロモーターの寝顔を見て、小さく笑ってしまう。

そして、考えてしまう。

「いつか、この人ともお別れなんですね・・・」

私たち“呪われた子供たち”には。「体内侵食率」という避けられない壁がある。

侵食が遅いだけで、いつかは私もあの男性のようになるのだ。

それが何日後、何年後になるかはわからない。でも、

「できるならずっと、この人と一緒にすごしていたいな」

そう、思う。

 

 

―――――

「・・・てください・・・起きてください」

「・・・ぇ?ああ、おはよ、月夜」

「おはようございます。朝ごはんは作ってありますから、早く食べてくださいね。でないと遅刻しますよ?」

遅刻しますよ。という言葉に、私は時計を見る。

「・・・え?うそ!?もうこんな時間!?」

「これでも結構起こそうとしたんですよ?」

「うっ・・・まぁけど、ありがと。早く食べて行かなきゃ!」

 

・・・数十分後・・・

 

「ごちそうさま!じゃ、行ってきます!」

「はい、行ってらっしゃい」

ガチャッと勢いよくドアを開けて飛び出すと、

「うぉ!?あっぶねぇ」

「あ、ごめんね里見君。それとおはよ」

開けたドアが通路を通っていたらしい里見君にぶつかりかかった。

「大丈夫だけど・・・って延珠!学校遅れるぞ!」

「ま、待つのじゃ蓮太郎!」

「あ、よかったらタクシー乗ってく?」

「・・・え?いまなんつった?」

聞こえなかったのかな?もう一回言ってみる。

「よかったら、タクシー乗ってく?」

「い、いいのか?」

「ん?なんで?」

「いや、タクシー代は?」

「ああ、いいよいいよ。さっきのお詫びってことで。ほら、行くよ」

「あ、ああ。すまないな。よし、延珠、行くぞ」

「わかったのだ!」

階段を下りているとき、気になったことを話した。

「延珠ちゃんを学校に通わせてるの?」

「ああ、そうだ。もちろん延珠が“呪われた子供たち”であることは伝えてない」

「大丈夫なの?」

「今は友達もたくさんできてるって延珠が言ってたし、たぶん大丈夫だ」

「じゃ―――」

「蓮太郎!海夜!はやく来るのじゃ!」

「あ、おい。昨日会った人を呼び捨てにするなよ」

「え?別にいいよ?」

「いいのかよ・・・じゃあすまないけど今日は頼む」

「うん、いいよ」

そこで、アパートの前に停まっているタクシーについた。

私はタクシー会社と、毎回同じ人、そして決まった時間にここに来るように契約をしている。

そのタクシーに乗り込む。すると、いつもの運転手が声をかけてくる。

「おはよう、神流さん。今日はお連れさんがいらっしゃるんですね」

「うん。いつもありがとね」

「いえいえ、これも仕事ですから。ところで、彼氏さんですか?」

「ち、違いますよ!」

「はは、そうですか。では、どちらまで?」

「里見君も延珠ちゃんもはやく乗って、で、どこに向かえばいいの?」

「え、じゃあ、お邪魔します。延珠の通ってる学校は勾田高校のニつ隣の小学校だ」

「了解しました。里見さん、ですね?もしかして神流さんの彼氏さんですか?」

「・・・は?違いますけど」

「そうだぞ!蓮太郎の恋人は妾なのだ」

「ば、バカ!そんな誤解を招くようないいかたをするなと言ってるだろ!」

「・・・では、里見さんは保護者、なのですか?」

「・・・ああ、延珠の親とは顔見知りで、亡くなってから俺が引き取ったんだ」

「・・・そうですか。すみません。そんなことを思い出させてしまって」

 

それから少し時間がたち、小学校前まで来た。

勾田高校はそのニつ隣なので、そこから歩いていくことにした。

タクシーを先に下りた延珠ちゃんが、私と里見君が下りるのを待ってから、言った。

「よし、じゃあ妾は勉学に励んでくるぞ。しばしの別れだが、妾がいなくとも泣くなよ」

里見君はその言葉を聞いて、ニつ隣の勾田高校を見て、呆れながらため息をついた。

私は呆れるんじゃなくて驚いているんだけど・・・里見君にとってはいつものことなんだろうか?

「・・・おい延珠。たった何時間か別々に行動するだけなのに、その挨拶は大袈裟すぎねぇか?」

「そ、そうだよ延珠ちゃん。たった数時間だよ?」

「いや、どうせなら二十四時間一緒にいたい。そうだ蓮太郎。妾のクラスに編入してこないか?ホラお主、頭がそんなによろしくないだろう?この際だから小学校からやり直せ」

「・・お前って藪から棒にとんでもないこと言うよな。いたわれよ俺のプライド」

「むぅ、じゃあ妾が六年後高校二年生になるまで留年して待っていろ。これが最終譲歩だ。文句あるまい」

「ぷっ、あははは。だってよ?がんばって、里見君」

「・・・それはどういう意味のがんばれだ?今の俺には留年するようにがんばれとしか聞こえないんだが」

「さあねぇ~~」

「ぬぅぅ!蓮太郎と一緒のクラスになりた~~い!」

「ま、まあそれはわかった。ところで延珠。学校内でのことだが―――」

「・・・わかっている。決して妾が“呪われた子供たち”だとバレないよう、クラスでは最大の配慮をしている」

延珠ちゃんの瞳が、冷たいような、寂しいような瞳になった。

「・・・そうか。ならいいんだけどよ・・・スマン」

「・・・じゃあ、行ってくるのだ!」

「ああ、行ってこい」

里見君が声をかけるときには、小学校に向かって延珠ちゃんは歩き始めていた。

 

「じゃ、私たちも行こうか」

「おう、待たせちまってわるいな」

それからまた歩き出す。

それから教室につくまで仕事のこととかを話した。

「ああ・・・神流?なんで俺と一緒のクラスに来てんだ?」

「え?だって私、このクラスだもん」

「そうなのか・・・は?・・・そいつは知らなかった」

「あはは、いっつも寝たり、人のこと無視したりしてるもんね」

「あ、おはよう。海夜・・・ってちょっときてきて」

級友から声がかかる。

「あ、おはよ。ん?なになに?じゃあ、里見君、また後で」

「お、おう」

そう里見君に言ってから、級友のところへ向かう。

そしてその級友が言ってくる。

「ちょ、ちょっと、なんで仲良さ気に話してるのよ?あの人、クラス一番の嫌われ者でしょ?」

「え?仲良さ気に話してるわけじゃないんだけど」

「いや、でもあいつと関わると仲間はずれにされるかもよ?」

「それこそ、里見君は悪い人じゃないし、私は周りからどう思われようとどうでもいいんだけどね」

 

・・・・なんか少し失礼な会話が聞こえてくるのは俺の気のせいだろうか?

まぁ別にクラスのやつに好かれようなんて思ってないし、仲良くする気も無いが。

とりあえずはこれから始まる国語の授業、数学の授業を寝てすごしたら、その後どうすっか?

そして本鈴のチャイムがなる。

さて、寝るか。今日も退屈な一日になるのだろうか。

考えるのもめんどくさいな。よし、寝よう。

――――――――

次に俺が起きたのは休み時間のときだった。

起きると、小動物系の学級委員の女が、おずおずと1人だけ提出していないアンケートの催促にきたが、無視したら泣きそうな表情で帰っていった。

「あはは、今のはちょっとひどいんじゃない?」

「・・ああ、神流か。別に。いつも通りだ」

「なんでそんなに人を避けてるの?」

「・・・それを言うならなんで俺に構ってんだ?周りからなんか言われんぞ」

「別に?私は周りの意見なんて気にしないから。ただ単に集団に入ってるだけだし」

「いや、それでもな・・・っとすまん、電話だ」

里見君が携帯を取り出して電話にでる。

ちょうどそのとき、私の携帯も鳴った。相手は、

「はいもしもし。私に直接聖天子様から電話とは、なにか急の依頼ですか?」

「はい。海夜さん、至急防衛省まで来てください。そこまで急がなくていいですが、なるべくはやくお願いします。依頼内容を話すだけなので、イニシエーターと一緒でなくてもいいです」

「わかりました。これから向かいます」

ピッと通話終了ボタンを押す。

いや~国家元首様相手に電話を切るとか、なかなかできないよね。

そして今私の目の前・・・里見君の真後ろには、ミワ女の制服を着た胸の大きい生徒が立っていた。

・・・・いいなぁ。私なんかまだまだなんだけど・・・

という悔しい思いを心の隅っこなやり、その生徒に聞く。

「で、あなたが天童民間警備会社の社長さんですよね?」

「え?里見君、誰?この人」

「初めまして。私は神流海夜といいます。あなたとは一度手合わせしたいと思っているんですけど、どうですか?天童木更さん」

「な、なんで私の名前を知ってるの!?里見君、話した?」

「い、いや、俺は話してない」

「調べさせて頂きましたよ。それくらいのことは簡単に調べられるアクセスキーを持ってるんで」

「・・・え?それって、結構序列が高いんじゃ・・・?」

「まぁ、そうですね。ということで、今度手合わせお願いしますよ。タクシー呼びましたから、はやく行きましょう。聖天子様が待っています」

今度はどんな依頼なんだろう?

この前は護衛だったけど。

あれ、なんで2人とも止まったままなの?

「・・?行かないんですか?」

「・・いや、行くけどよ」

「あなたにも聖天子様から連絡が来たの?」

「はい、ありましたけど。さっき電話で。ほら、はやく行きますよ。タクシーが待ってます」

私は未だ唖然としている2人の手を引いて教室を出て、校門前に着く。

ちょこっと前から思ってたんだけど、

「このリムジン、木更さんが呼んだんですか?」

「え?ええ、そうよ」

「私、タクシー呼んだ意味ありましたかね?」

「もちろん意味あったわ。だってこのリムジンに乗るとお金とられるもん」

「イタ電掛けたのかよッ?」

「大丈夫よ里見君。ちゃんと鼻つまんで偽名使ったから」

「そういう問題かよ・・・」

 

そのままリムジンを通り過ぎ、(木更さんは何故かリムジンに乗り込んだようなパントマイムをやっていたけど)タクシーに乗る。

そしてそのまま防衛省までタクシーで移動する。

―――――

「今さらだけど、延珠は呼ばないでよかったのか?」

「戦いになるわけじゃないの。むしろ延珠ちゃんには眠くなるような話よ」

「うん。私も依頼内容を伝えるだけだからイニシエーターは来なくてもいいよって言われた」

「ああなるほど」

「私も詳しくは聞かされてないわ。とにかく来い、だからね。役人は嫌い。東京エリアを守っている民警に、仕事をくれてやってるだけありがたいと思えとか、真顔で言うもの」

「じゃあ、今回の依頼、断ればよかったじゃねぇか」

木更さんが里見君の顔をちらっと見ると、肩をすくめた。

・・・あ、そうだ。忘れてた。

「まさか私たちみたいな弱小は、仕事を回さないと仄めかされれば従うしかないわ」

「あの、忘れてたんですけど、はい、これ。警部さんから貰っておいた報酬です」

2人が時が止まったかのように静止する。

・・・え?大丈夫ですか?

「あ、あ、ありがとう!神流さん!」

「ま、まじでか。さんきゅ。神流!」

「ねぇ神流さん、会社入ってないんでしょ?うちの会社に入らない?」

「え?そうですね・・・それもおもしろそうでいいかもしれません。じゃ、私天童民間警備会社に入ろうかな」

「ありがとう!大歓迎よ!里見君、これで二組目よ!もう少しきつい依頼も受けられるわ!」

「そ、そりゃよかったな木更さん。神流、ほんとにいいのか?うちは貧乏だぞ?」

「ええ、問題ありません。楽しく過ごせれば、それでいいです。あ、そうだ。月夜を木更さんに紹介しないと」

「その月夜っていう娘は神流さんのイニシエーターよね?」

「うん。今度会社に行くときに一緒に連れて行くよ」

「お、そろそろ着いたみたいだぞ。防衛省」

 

里見君のその言葉で会話はとまり、タクシーのドアが開く。

着いたのは、防衛省。

あ、そうだ。一応口頭だけでも入社したんだから天童民間警備会社だと名乗るべきだろうか?

いや、それだと私の報酬が一回全部会社に入るんじゃ?

ま、いいか。給料もらえるし。

民警になってから初めて、会社に就くことになった。

今回の依頼はなんだろうか?

私を呼び出すほどの、私に直接聖天子様が電話を掛けてくるようなこと。

危険じゃなければいいけど・・・。

「さあて、行くか」

「そうね。行きましょう」

「はいは~い」

 

でも、里見君なら、大丈夫だろう。

なぜだか、そんな気がする。




と、いうことで天童民間警備会社に入社しました。
月夜の影が薄いことに少し焦っています。
いや、入れれるところが少ないんですよ?
次話は蛭子影胤と蛭子小比奈が登場するところ辺りでしょうか。
考え中です。

読んでくれてありがとうございました。
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