今回のサブタイトルは原作を知らない方にはまったくわからないものです。すみません。
気がつくと春休みもあと約一週間・・・時間ってすぎるのが速い・・・
では、どうぞ
「それ―――本当かよッ?」
里見君が携帯電話を手に勢いよく立ち上がった。
私もその他の雑談をしていた生徒達もびっくりして里見君を見る。
「ど、どうかしたの?里見君」
「あ、ああッ。延珠が―――」
そこまで言うと、里見君は走って教室を出て行ってしまった。
延珠ちゃんに何かあったの・・・?
「ごめんね。今日は早退するから先生に伝えておいて」
「え、ちょっと海夜?」
友達にそれだけ言って、私も教室を出た。
そしてそのまま二軒隣にある勾田小学校まで走る。
昇降口で急いでスリッパに履き替え、里見君の後を追って職員室に行く。
里見君は一人の教師と話をしていた。
「どういうことなんだよアンタッ。延珠は本当に―――ッ」
「ちょっと落ち着いて里見君。何があったの?」
私の問いに、里見君ではなく教師が答える。
「藍原さんが『呪われた子供たち』という噂がどこからともなく立ちまして。給食の頃には、藍原さんに対する・・・その・・・嫌がらせのようなものが始まりまして」
「そんな・・・延珠ちゃんは否定しなかったのですか?」
教師は下を向きながらしきりに額にハンカチを当て始めた。
それがなによりの答えだった。
「里見さん。あなたはいままで『呪われた子供たち』ということを、黙って藍原さんを通学させていましたね」
「事前に言えば、アンタらは理由をつけて延珠の入学を断ったんじゃねぇのかよッ?」
その里見君の言葉に、教師は視線を外した。
その通り、ということだ。
『呪われた子供たち』ということで差別され、小学校にさえ通えない。
なんで・・・彼女達が差別を受ける?
彼女達は、ただ、生まれてきただけなのに。
「藍原さんはショックを受けていたようなので早退させました。こんなことを言えた義理ではないのですが、一緒にいてあげてくれませんか?里見さん」
それから、私と里見君は家に帰った。
もちろん、延珠ちゃんに会うためだ。
しかし、延珠ちゃんはいなかった。
それどころか、月夜もいなかった。
「・・・え?月夜?いないの?」
いつもなら、「お帰り」とか「早かったですね」とか絶対に言ってくるのに。
急いで月夜の携帯に電話をかける。
「・・・はい。もしもし」
「あ、よかった。月夜、今どこにいる?」
「・・今は延珠さんの後を追っているのですが・・・見失ってしまいました。何かあったんですか?」
「・・・うん。延珠ちゃんを最後に見たのはどこ?」
「第三十九区です」
「わかったよ。ありがと」
そう言って電話を切る。
「里見君。もしかして延珠ちゃんは三十九区の出身?」
「・・・・ああ、そうだ」
「月夜が延珠ちゃんを追ってて、最後に見たのが三十九区だったんだけど―――」
「本当か!?・・・でも、あいつは、延珠は戻ってくるかも・・いや、今日行くべきか・・?だがもう時間が・・」
「明日にしよ?延珠ちゃんももしかしたら戻ってくるかもしれないし。それに無理したらだめだよ?そんな里見君をみたら延珠ちゃんだって悲しむよ」
「・・・そうか。すまないな、神流」
「うん。そうと決まったら晩ご飯、なににする?」
「・・・・今はそんな気分じゃない」
「あ、じゃあカレーかな。さぁて作るぞ!」
・・・なんで、神流はこんなに明るいのだろう。
本気で延珠のことを心配してくれていて、それでいて、こんなにも明るい。
いつもの俺なら、確実にキレていた。
延珠がこんな大変なときに、明るく接してくる。
はっきり言って前の俺なら確実にキレていた。
だが、俺はキレてない。
それどころか、少し嬉しい、と感じている。
・・・どうしてだ?
暗かった空気が、少しずつ明るくなっていく。
どうしてだ?
神流のおかげでパニックには陥らず、今やるべきことが見えてきた。
まず延珠の携帯に電話をかけた。
だが繋がらない。どうやら電源を切っているようだった。
次はメールを送った。
それから一時間くらい待ったが、返事は返ってこなかった。
「返事を返さなくていいんですか?延珠」
「・・・すまないな、月夜。海夜に嘘を言ってもらって」
「いいえ。友達が困っているときには助ける、というのがあたりまえですから」
「・・・そうか。ありがとうなのだ、月夜」
「それで、これからどこへ向かうんですか?」
「いや、な」
延珠がマンホールの蓋を持ち上げて、中に入るように促す。
中に入るとそこは温かかった。
「・・ここは?」
「ここは排水管。マンホールチルドレンが住んでいるところだ」
「おや、どうかしましたか?二人とも」
私たちの前に現れたのは眼鏡をかけた優しそうな老人だった。
「あの、あなたは?」
「私は松崎、といいます。この子たちの面倒を見ている者です」
「・・・あなたは優しいのですね」
「いえ、そんなことはありませんよ。世の中にはたくさんこの子たちがいるのに、私が見ていられるのはほんの少しの子供たちなのですから」
「いいえ、あなたは優しい人です。例え少しの子供たちだけでも助けるのなら、それは優しい人だと私は思います」
「・・・君は随分と大人びているね」
「・・?そうですか?私は友達以外と話す時はいつもこの口調なのですが。というか延珠、ここに来たけどなにをするの?」
「カレーできたぞぉ!」
「・・・すまないな。なにからなにまで」
「ううん、別にお隣さんなんだからいいじゃん。あ、お皿取って里見君」
「あ、ああ」
お皿を渡す。
ちなみにカレーを作る、なんて材料はウチにはなかったので、海夜がほぼ全部家から持ってきてくれたのだ。
「いただきます!」
「・・いただきます」
静かにご飯を食べる。
延珠は・・・温かいご飯を食べれているのだろうか?
「さあどうだろうね?私はたぶん食べれてるんじゃないかな?と思う。それに月夜もまだ帰ってこない。私の予想では、たぶん月夜も延珠ちゃんと一緒にいるんじゃないかな」
「・・・・・」
そうか、と小さく呟いた。
特に話すことがない。
・・・・・いや、あった。
「なぁ神流。『新人類創造計画』って知ってるよな?」
「うん。知ってるよ?影胤はその計画によってあんな力を手に入れたわけだし」
「神流は・・・何を持ってるんだ?」
「・・・月夜が話した?」
「ああ」
「そっか、じゃあ隠さなくていいね。私のは『二二式黒膂石義眼』と『二三式黒膂石義脳』。まあフルで使ったことはないんだけどね」
「・・・俺も話そうと思う」
立ち上がり、バラニウムの義手義足を出す。
「・・・里見君も『新人類創造計画』の一人だったの!?」
「ああ。十年前、ちょっと、な」
「・・・使ったことは?」
「ない」
「そう・・・でも影胤との戦いはその力を使わないと勝てないわよ。あいつに生身でいって勝てる確率は里見君の技量では0%。これは私の演算結果。わかった?」
「・・・ああ」
俺よりも高度な演算領域を持っている神流が言うのだ。
その演算結果はあっているのだろう。
「ま、でも大丈夫だよ。私がいればなんとかなる!」
と神流はピースをこちらに突き出してきながら言う。
「・・・、それはありがたいな」
「でしょ?だから今は食べて食べて!明日は延珠ちゃんを探すぞ!そして見つけた後、問題のガストレアを斬りに行くぞ!」
「お、おう」
その後ご飯を食べ終わり、片づけを終えると、
「じゃあお休み~蓮太郎君」
「おう、お休み・・・じゃねぇ!!なんで俺の家で寝るんだ!お前ん家隣だろ!」
「えぇ~そんな細かいこと気にしないでよ~」
「細かくねぇ!!」
「私は気にしないよ~」
「俺がするわ!」
「もぉ~蓮太郎君、別にいいじゃん~」
「よくねぇ!!」
「まぁまぁ、じゃあお休み~」
「あ、おいこら待て!寝るな!神流!」
スースーと寝息をたて始めた神流の肩を揺するが、一向に起きない・・・
「まじかよ・・・俺どこで寝るの?」
「私の隣で寝ればいいじゃん~」
「は!?起きてたのか!」
「・・・・・・」
「寝言か!!?」
「あはは、そんなわけないでしょ~?」
「・・・わかったわかった。俺台所で寝っから、神流はそっちで寝とけ」
まったく。なんで俺はこの年で女と一緒に布団に入らなきゃいけんのだ。
少し寒いが、たまにはこれもよしとするか。
「え~?じゃあ私もそっちで寝るよ~」
「・・・・・・」
「・・・だめなの?」
「だめもなにも、俺は男、お前は女なんだが」
「うん。それがどうかしたの?」
・・・・もう無理だ。
相手するの疲れた・・・
月夜はすげぇな。
毎日こんなことしてんのか。
あ、そういえば、この前
「海夜の相手をするとき・・・の注意点、といいますか、そういうことを教えておこうと思います」
「おお、それは助かる。で、どんなのだ?」
ということで、月夜に教えてもらったのだ。
俺のこと里見君、と呼ぶときはまぁ普通の女子なんだそうだ(まぁってなんだよ)
このときは特に注意することなく友達として接すればいいらしい。
蓮太郎君、と呼ぶときはゆるい、すべての物事にゆるい女子なんだそうだ。
このときは前のデパートからの帰りみたいに海夜の言うことを聞けば静まる、というか静かになるらしい。
里見君、と真面目に呼ぶときは何かを斬りたがっているとき。
なにも呼ばず目だけで合図するときは本気を出しているときなんだそうだ。
重要そうな部分しか覚えてないから、なんか曖昧だな・・・
とりあえずはこの神流は言うことを聞けば静まる。
・・・・・それって俺が神流と一緒に寝るってことか・・・?
いやいやいや、ちょっと待て!
今の文誤解を招くからやめろ作者!
(はいはい、そんな発言しな~い)
・・・くッ。
「わあったよ。俺もそっちで寝るからさっさと眠ってくれ」
「ほんと!?うん!一緒に寝よ~」
内心ドキドキしながら布団に入る。
延珠は枕を使っていない(俺の腕を枕にしている)ため、枕は一つしかない。
つまり自然的に背中を合わせるか向き合うかの態勢にならなければならない。
もちろん俺は背中を合わせる方を選択したのだが、
「ど~ん!」
「は!?ちょ、おい神流!」
「放さないもんね~」
神流は向き合うという選択をしてしまったようだ。
そして突然後ろから抱きつかれた。
いやそんな冷静に状況を伝えてる場合じゃねぇよ!
神流の木更さんほどではないが大きなむ・・・そんなこと考えてる場合じゃねぇよ!
「・・・くッ」
「放さないっていったでしょ~?」
「・・抜けられねぇ・・・!」
「ほ~ら、寝るよ?お休み~」
そしてすぐに寝付いてしまった。
「ったく、俺はお前に抱き枕にされたせいで寝れねぇよ」
「・・・・・」
返事は返ってこない。本当に寝たのだろう。
「・・・まじかよ」
神流が寝てからも、抜け出すことはできなかった。
「・・・・あぁッ。緊張して寝れねぇ」
その時、ピコンッ、と携帯がメールを受信した音が聞こえた。
「!?延珠からか?」
携帯を開き、メール欄を見る。
そこには新着メッセージが一件あります。
と表示されていた。
そのメッセージを開く。
開いた瞬間、少し涙が出てきそうになった。
『蓮太郎へ
妾は・・・妾は大丈夫なのだ。
延珠』
と、そのメールには書かれてあった。
「延珠・・・よかった・・・」
連絡を取れて、本当によかった・・・。
「・・・いつ帰るかは書かれてない、か。明日は三十九区をしらみつぶしに探すか」
延珠からメールが来て安心したのか、蓮太郎は気が抜けたかのように眠りに着いた。
読んでくれてありがとうございました。
問題とかありましたら感想までお願いします。
感想書いてくれたら嬉しいです。ありがとうございました