魔法少女リリカルなのは-4人目の転生者-   作:Wisadm

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11.約束したから

「お兄ちゃん…ごめんね?」

 

嫌だ!死ぬなよ、__!俺まだ約束守れてねぇって!

 

「大丈夫だよ…もう、大丈…ぶ…ぉ」

 

あぁ、あぁああぁぁぁぁ!!?!!!?

 

「お前のせいだ!お前のせいで__は!」

「あなたのせいで…あの娘はあなたなんかとは違って優秀なのよ!あなたが死ねばよかったのに」

 

何で…父さん?母さん?待ってよ!!何処に行くのさ!待ってたら!!

嫌だ!俺が、いけなかったのかよ…俺が…

帰ってきてよ…

 

誰か――

 

 

 

「嫌な、夢だったな…」

 

家族の夢か…

と言うか生きてたんだな、俺。

 

「なら今度こそ、約束を…口約束でも、例え俺の自己満足でも、守ってみせるよ。って、ここ何処だ?」

 

確実にさっきの路地裏じゃない事は確かだけど…

見たことの無い機械や、設備でいっぱいだ。

 

「拉致されたみたいだな。可能性としては、俺を気絶させたあの2人か」

 

おおかた、魔石(あの2人はジュエルシードって呼んでたっけ)が見つからなかったから俺ごと連れて来たんだろう。

両手両足に枷が付いてるし、完全に捕まっちゃってるな。

でもまあ、指先が動けば脱出できるんだけどね。

インベントリから道具を三つ取り出す。

 

「煙幕、起動」

 

オフにするか壊されるまで機械を作動させない煙幕を張り続ける高性能煙幕。

監視カメラには俺がそこにいるように映り続ける優れもの。

死ぬ前に課金してネタとして使っていたものだ。

次にどんな鍵でも開錠するマスターキーこれも課金アイテム。

向こうじゃ、宝箱を開けるときにしか使えなかったが…こっちならどうだ。

ガチャンッと低い音を立てて手枷が外れる。

予想道理本当に鍵が外れた。

 

「これはこういうときにしか使えないから、今までインベントリの肥しだったんだよな」

 

何もないときに使おうとしても犯罪にしかならない。

他にもそんな感じのゾンビが作れる薬とか、ペットのタスマニアデビルが二足歩行するようになる薬とか、骨格から完全に別人になる薬とか、危険物がかなり多い。

そのまま牢の鍵も開ける。

 

「さて、これを飲んで…」

 

エーテル薬、言わずと知れた霊薬の1つ。

飲んだ者の体力と精神力その身に備わった力を数十分の間強化するチート薬。

魔法を2回しか使えない俺にはなくてはならない必須アイテム。

でも、問題だってある。

俺の薬師スキルはギリギリポーションがミスしないで作れるぐらい。

つまり、これには個数制限がある。

 

「奥の手、だったんだけどな。とりあえず歩くか。ステルスシフト…なんてね」

 

すいません、ステルスシフトなんて技はありません。

カッコつけて『隠蔽』を使っただけです。

 

誰にも見つからないようになり脱出も成功。

そして、何か知ってそうな人たちのアジトを自由に探索できる。

 

「災い転じて、福と茄子ってね。微妙に違うけど」

 

Side Out.

 

 

 

Side フェイト

 

「何だったんだろう、あの人」

 

名乗らずに出てきて、いきなりジュエルシードを渡せだなんて…

それに、魔法技術の無い世界だって聞いていたのに、あれは完全に魔法だった。

術式は見た事が無いものだったけど、魔方陣にコマンドを使っていたからミッド式に近いものだと思うんだけど…

それも気になったんだけど、あの人――

 

「――お母さんと、似た目をしてたな…」

 

色や形のことじゃなくて、雰囲気と言うか…

でも、今はどうでもいいよね。

ジュエルシードを集めないと。

 

そうだ、ここから出る前に一度会いに行ってみよう。

お母さんに似た雰囲気の人だったんだし、どうすればお母さんが喜んでくれるのかヒントをくれるかも…

 

「うん、行ってみよう」

「あれ、フェイト、どっか行くのかい?」

「昨日アルフが気絶させた人の所だよ。少し聞きたいことがあって」

「そうかい、アタシも付いて行こうか?」

「ううん、大丈夫だよ」

「気を付けるんだよ?」

「うん」

 

 

 

「ここ、だったよね…」

 

そこは両手両足を繋がれたあの人がいるはずの牢屋。

でも、そこにあるのは凄い煙幕と、誰もいない牢屋。

これって…

 

「逃げられた?でも、幾らなんでもここから誰にも気付かれずに逃げるなんて…」

 

そういえば、私も話しかけられるまで気付かなかったし、アルフだって…

でも、そんな実力の人が私達に捕まるのは変だ。

なら、ここに来る為にわざと捕まった?

もしそうだとしたら、目的は…

 

「お母さんが、危ない!」

 

気が付くと私は走り出していた。

 

Side Out.

 

 

 

Side 凪斗

 

ここ何処?

ずっと同じ様な扉と廊下…

出口も書庫も情報端末的なものも一切見つからない…

まあつまりは、

 

「迷子ですね、分かります」

 

と言うか、この状況で迷子って。

 

「でもなぁ、適当に歩いてるだけだから扉も開けてないし」

 

いっそ、その辺の扉を1つ開けてみるか?

失敗して捕まっても、ここの責任者に合わせてもらえばいいか。

 

「たのもー!」

「…あなた、誰かしら?」

 

…あれ?ここ魔王城でしたっけ?

何だか、本気でヤバイ魔力を感じるんですけど。

あのオバサン。

ちゃんと調べてから入ればよかった。

ごまかして逃げるか…

 

「強いて言うなら、通りすがりの迷子です」

「そう、残念だけどあなた永遠に迷子よ。ここで死ぬもの」

 

そう言って、手から雷を放つオバサン…って、雷!?

 

「ま、『魔法障壁』」

 

ギリギリのタイミングで防ぎきるも、障壁は全壊。

あの人今、軽い感じで放ってきたよな…この障壁は魔法特化型の中級魔法なんだけど?

と言うか捕まるのはいいとして、殺されるのは勘弁して欲しいです。

まだ、あいつを助けられていないのにこんな所で死んでられない。

あと使えるのは上級一発分の魔力だけ、中級が二発と下級が一発に分けてもいいけど…

下級を十一発として使って、一撃でしとめる。

 

「やるわね、あなた」

「そういうあなたは、強すぎますね」

 

オバサンの放ってくる雷を『ピンポイントバリア』を使って、掠るぐらいの避け方でほとんど避けずに進む。

肩口を狙ってくるなら肩に、足を狙ってくるなら足に『ピンポイントバリア』を張ってに掠らせる様に避けて進む。

 

「そんな避け方、いつまで続くかしらね…」

 

正直体中痛くてたまらないが、こんなのとまともに戦ってたら魔力切れか薬の効果切れで死ぬ。

もう、少しで届く!諦めてたまるか!!

 

「おおおぉぉぉああぁぁぁぁぁ!!!!」

「本当にやるわね!危うく間に合わなくなる所だったわ!」

「なっ!?」

 

その言葉と共に雷を放っていた方ではない手を突き出す。

その手に篭っている魔力はさっきまでの10倍強、あんなものをこの至近距離で喰らったら俺なんて完全に蒸発するぞ!?

 

「喰らいなs…ゲブォ、エホッ」

「え…」

 

突然オバサンが血を吐いて倒れた。

 

「大丈夫…ではないよな」

「そう、ね。この体じゃあんな高出力の魔法打てるわけ無いのに…うっ」

 

自嘲気味に呟きながらもいつでもこっちを殺せると言わんばかりに手をこちらに向けている。

その姿には死ぬかもしれないなんて考えは無く、まだ死ねないと言う思いが込められているように感じた。

 

「…薬、ありますか?」

「そんなもの、あるわけ無いでしょ…」

「そう、なら少し待ってください。効きそうな薬を探してみます」

「何を…」

「俺にだって分かりませんよ。ただ、個人的に死なせたくないと…そう、思っただけです。それに、あなたはまだ死ねないって、そう思っているでしょう?」

 

最初こそ疑うような素振りを見せたが、しばらくするとそれも無くなった。

 

「そう…わかったわ。少し休んでくることにする」

「ええ、戻ってくるまでに用意しておきます」

 

よろよろとよろめきながらも、ゆっくりと出て行くオバサン…

あ、しまった。

名前聞き忘れた。

 

「さてと、無いよりはまし程度だけど薬師スキルつけて「お母さん!」…ああ、昨日の」

「遅、かった…の?間にあわな…うあぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「え?」

 

唖然としている中、少女は武器を手に凄いスピードで飛び掛ってくる。

でもさ、何で泣きながら切りかかってくるんだよ…

俺が何かしましたか?

したんだろうな、泣いてるもんな。

 

「このおぉぉ!!」「うわっ!?「くうぅ!!」ちょ、あのっ!「はああぁぁぁ!!」ですね!「当たれ!!」俺、「このっ!」何か、「フォトンランサー、ファイア!」しました…か!?」

 

黄色の魔力光の刃を避け続けながら、何とか話を聞こうとするも、確実に当たれば死ぬ様な魔法を放たれる。

特に最後のはほっぺが2、3ミリ死んだぞ。

 

「お母さんを殺したくせに、何かしたか聞くなんて…バカにしてるの!」

「え?あの、お母さんを殺したって…何のこと?」

「とぼけないで!私のお母さん、プレシア・テスタロッサを返してよ!」

「それって、さっきこの部屋にいた人?」

「うぅ…」

 

泣きながらも首肯する。

これって、ばれたら魅鐘さんに殺される…

これ以上刺激しないように喋るんだ、俺。

 

「それなら、さっき部屋に戻るって言ってたよ?」

「ふぇ…?本と、うに?」

「え、う、うん。本当に」

「よ、かった…良かったよぉ。うわあぁぁぁああぁぁぁぁぁ…!!!!」

 

え、え、え…な、泣き出しちゃった!?

ど、どうすれば…俺女の子の扱いとかわかんないよ!?

と言うか、ほとんど女の子と話したこと無いんだぞ…

 

俺が焦ってワタワタとしているうちに泣き声も段々収まっていった。

な、泣き止んでくれてよかった。

これ以上は胃に穴が開く…

 

「え、えと、落ち着きましたか?」

 

コクコクと首肯、うつむいて口を利いてくれません。

精神的にストレスが…

 

「その、ココアどうですか?落ち着きますよ?」

 

インベントリからココアの完成品を取り出し渡す。

受け取るものの、やはりと言うか何というか、口を利いてくれません。

 

「え、えぇと…」

「…なさい」

「え?」

「だから、その…ごめんなさい」

 

涙目で謝らないでください。

目が純粋すぎてなんだか、俺が謝りたくなるんですが…

 

「別に、気にしてないって言ったら嘘になるけど、気にしないで?俺も勘違いさせてしまったみたいだし、ごめんね」

「いえ、そんな私こそ」

「いやいや俺が」

「私が」

「俺が」

「私!」

「じゃあそれで」

「え!?」

「ク、フフッ…」

「アハハ、ハハ…」

 

あんなことがあったせいか、なんだか久しぶりに笑った気がした。

ただ単純なことが、おかしくておかしくて、荒んでいた心が明るくなっていく気がした。

そうだよな、いつまでもウジウジと荒んでたって駄目なんだよな。

そういう約束だもんな?

 

――笑っていてね?約束だよ!

 

あれ?でも、誰との約束だっけ?これ。

 




UAが5000、お気に入り登録数が100を超えました!
それを記念しまして、外伝的なものを一段落してから書こうと思います。
何かリクエストありますか?

もちろん感想等々もお待ちしています!
ではでは、また次回ノシ
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