銀髪が立ち上がった瞬間を見計らって、今度はこちらから攻める。
出し惜しみは無しだ。
――スキルリセット
――刀術セット
――魔導師セット
――精神セット
――雷属性セット
――二刀セット
――回避セット
「『雷装』」
≪雷装≫
武器に属性を付加する魔法。
手に持った武器がバチバチと音を立て黄色く発光する。
そしてその高圧電流を纏った刀を、銀髪に向かって振りかぶった。
「…イージスゥ!!」
銀髪に当たる寸前で楯が出てくる。
剣だけじゃなくて楯も出せたのか、剣ならいい感じに感電してくれるかと思ったんだけど。
「まあ、あんまり意味無いけど?そのまま切るし」
言葉の通りに楯をバターのように切り裂く。
所謂、斬鉄なんて言われる刀術の奥義である。
そして、振りぬいた勢いそのままに左手の小太刀を首を狙って伸ばす。
しかしそれも右手の甲のジュエルシードに当たって防がれた。
当たった瞬間、ピシッと何かが欠ける様な音がした。
小太刀が刃こぼれしていないかを確かめる為に、勢いに魔力を上乗せして銀髪の顔面を蹴りぬいて距離を離した。
「ギャベッ!?…ブッ!…エ、ハッ!」
飛んでいくのを確認しつつ小太刀を見る。
幸い刃こぼれは無く、曲がりもしていない。
ならさっきの音はなんだったのか…
小太刀には刃こぼれや亀裂なんかは無い、ならばと、必然的に刃とぶつかった方を確認しようと木の幹に上下が反対になって抱きつき、ピクリとも動かなくなった銀髪を見る。
すると、やはりと言うか、ぶつかった場所――つまり、ジュエルシードに亀裂が入っていてそこから強烈な魔力が噴き出していた。
「なんか、ヤバイ…?」
≪高密度魔力反応…次元震の恐れ有…≫
次元震?何それ?
と言うか、何でシフォンはそんなこと分かるの?
「止め方は分かるか?」
≪ふう、いん…すれば、とまる?はず≫
やばい、凄い不安だ…
何故か知らないけど急にいつものたどたどしい口調に戻ってる。
≪どうするか…はやく、きめたほうが…いい≫
「分かった、封印してみよう。駄目なら逃げる」
≪ん。きぜつ、してるから、いまの…うち≫
銀髪は気絶しているという事なので、急いでジュエルシードを封印しようと近寄る。
すると、動かなくなっていたはずの銀髪が急に動きだしこちらの進行方向上に剣を投射してきた。
「なっ!?あいつ、気絶してたんじゃ…」
≪いまも、きぜつしてる≫
「どういうっ、ことだ?」
気絶している?
ならなんで動く!?
現に今も俺達を足止めするように剣を投射してきている。
つまりは、明確な意思を持っているはずだ。
≪じゅえる…しーど、から、まりょくが…ながれこんで、る≫
「…つまり、どういうことだ?ジュエルシードが気絶してる銀髪を無理やり動かしているとでも?」
≪たぶん…そう≫
でも、それはおかしい。
あいつがジュエルシードに何を願ったのか、俺は知らない。
けど俺が感じたジュエルシードの歪んだ魔力は右手だけだったはずだ。
全身を動かすなんて、まして能力を使うことなんてできるとは思えない。
もし今になって願いを変えたとかなら別だけど、それだって銀髪なら足止めじゃなくてすぐ殺したいはずだ。
それなのに、足止めをしてきている?
なら――
「――!いや、まさかそうなのか…でも…だとしたら、さっさと封印しないとマズイ!」
≪どうすれば、いい?≫
「シフォン…」
焦って1人でやろうとするのを、察してかは知らないが自分も何かできないかと俺に聞いてきてくれるシフォン。
こいつ、ホント頼りになるなぁ。
「ジュエルシードまで、全力で走って封印する。だから、その間の守りを完全に任せる。正直作戦と呼べるような代物じゃないけど…いけるか?」
≪ん。まかせて≫
『ステップフォース』を使って一気に近付く。
もし、仮説通りなら今すぐ封印しないとまずいことになる。
正直世界が消えて無くなろうとどうでもいいが、この町が無くなるのだけは嫌だ。
「『シーリング』!!」
銀髪の腕を取り押さえ封印を施す。
あまりの魔力量に封印を弾かれそうになるが無理やり押さえつける。
すると、銀髪がもがきだし、武器を俺に向けてくるのが見えた。
かなりの恐怖を感じたが、一切無視する。
シフォンが楯や武器で全てを迎撃してくれているのが見えたから。
「はあぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」
渾身の魔力を込めて封印を何重にも重ねる。
やば…魔力が、足りない。
順調に押し返される力が弱くなっていっているのにこれじゃ…
「クソッ…!もうちょっとなのに、返される」
≪てつだう…≫
「…えっ」
魔力が…回復、してるのか?
なんで…
≪できた。まりょく…の、じょうと≫
「はは…絶対俺より凄いよ。でも、銀髪の攻撃は?」
≪とま、った≫
なるほど、ジュエルシードを抑えればそこからの魔力の信号も止まるって訳だ。
ならこのまま…!
そしてゆっくりと、封印が行き渡って…
あとは、フェイトとアルフさんを拾って残りを集めて、それで…
終わった?本当に?
≪おきて…ますたー…はやく、おきて≫
え、もう朝…
何だ、俺床で寝たのか?
体中が痛いぞ。
「あ、あれ…起き上がれない?」
≪…よかった。もう、おきないかと、おもった≫
え、えぇ?な、なんで泣いて…?
起きないかとって、何!?
「一体何が…!?」
オイオイ、ここ何処ですかァ?
何処かの部屋みたいだけど、俺の部屋じゃないよな…
うん、プレシアさんが時の庭園を全面改装したとかじゃなければ、ここは俺の部屋じゃないな。
しかもよく見たらバリアジャケットの上から包帯でグルグル巻きにされている。
なるほど、体中が痛かったのは床で寝ていたからじゃなくて、体中ズタボロだからか。
あれ、でも俺封印が終わってからの記憶が無いぞ、どういうことだ?
「あら、起きたのね。よかったわ」
段々と落ち着きを取り戻して現状把握を始めだすと、騒ぎを聞きつけたのか、黒髪の少年を引き連れた青い髪の女性が部屋に入ってきた。
「あなた達は?」
「ふん、人に名を聞くときはまずは自分からだろう」
「ちょっと、クロノ」
「ああ、いえすいません。名乗らないこちらも悪いですので」
ふむ、あの人はクロノさんと言うのか。
魔力の反応があるってことは、魔導師なのかな?
どうも服装的には魔法関係の人っぽいけど。
「ええと、俺は――あぁ、なんて名乗りましょう?」
「ふざけているのか!」
俺のふざけているとも取れる発言にすぐさま切れるクロノさん、思ったより精神年齢は若そうだ。
でも実際、本名なんて名乗るわけにもいかないしな。
この二人がどういった組織の人かも分からないわけだし…
「なるほど、本名は言えないという事ね。ならせめて顔だけでも見せていただけるかしら?それとも、助けた相手の顔も見せていただけない?」
「すいません。それも…」
「そう、ならしかたないわね。情報もここから出る権限も上げることができないわ」
「何でここにいるのかぐらいは、いいでしょう?」
「…いいわ」
「母さん」
苛める様に言うクロノを無視して続ける女性。
「次元震の起こる寸前だった場所の中心にあなたともう1人…こっちは右腕が切り取られていたわね。まあ、あなた達二人が倒れていたのよ」
もう1人は、十中八九銀髪だろう。
でも、右腕が切り取られていた?
ジュエルシードを誰かが持っていった?
フェイトか?
今は考えるだけ無駄か…情報が足りなさ過ぎる。
「だから助けたと」
「ええ」
「重要参考人として?」
「…ええ、そうです」
一瞬悲しそうな顔をしたが、そのまま言い切った。
へぇ、割り切ってるつもりなわけだ。
この人は結構いい人みたいだ。
少なくとも嘘は言ってないだろう。
「そうですか、それが聞けただけでも収穫はありました」
「あと、悪いのだけど見張りを付けさせて貰うわ」
「お構いなく、勝手に出て行きますから」
「あら、それは脱走するという事かしら?なら問答無用で逮捕することになるのだけれど」
逮捕と来たか…
この人たちはどう考えたって警察じゃないから、プレシアさんの言ってた時空管理局とか言う人たちで間違いないだろう。
なら、俺がここで出すべき手札はこれしかないな。
「俺は元から次元犯罪者ですから関係ないですね」
「何!?」
「クロノ!捕らえなさい!」
凄い早業でデバイスを起動し、こちらに突きつけてくるクロノさん。
結構早いね、意外。
「どういう事か教えてもらおうか!」
「いいですよ。そちらが情報をくれるなら」
何処までも、この二人の前では悪役を演じなくては。
プレシアさんとの約束もあるし、ね。
「さて、取引を始めましょうか?」
キャラクター設定
フェイト繋がりでFate風にしてみました。
葛梨 凪斗(くずり なぎと)
9歳+(元22歳)
中立・善
ステータス
E~Aのランクが1つ上がるたびに平均10程変わる。
+はある状況において1つにつきパラメータが倍になる。
C+なら60になり、Aの50より上になる。
一般成人男性
筋力C C
耐久D C
敏捷B+ C
魔力E++ -
幸運? D
魔力光・無色透明(通常時)
固有スキル
勇猛(D+)
威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。
また、格闘ダメージを向上させる。
強力な精神干渉は無効化しきれない。
戦闘続行(-~A)
名称通り戦闘を続行する為の能力。
効果は彼の思いの強さによって変わる。
Aランクでは決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。
技能点在(EX)
彼の特典に起因するスキル。
自身のスキルを付け替えることにより、専門スキルを使い分けできる。
戦闘、生産、知識といった、総数100に及ぶスキルについて、Bランク以上の習熟度を発揮できる。
同時に6つまで使用可能。
魔力変換資質・空間(EX)
彼の特典に起因するスキル。
彼はインベントリとして理解しているようだが、
実際は結界や束縛、浄化の魔法がこのスキルによって強化されている。
魔力を魔法を解すことなく結界などに変換できる。
しかし、彼はこれを正しく理解していないため、魔法を解してしか発揮されていない。
????(不明)
彼の特典に起因するスキル。
内容は不明。
転生者 (EX)
転生した者に与えられる特殊スキル。
幸運が判別不明になる。
特典
1.特典の数を4つに
2.死ぬ直前に起動していたVRMMORPGのアバターのスキル
3.同じくアバターの所持しているアイテム
4.自衛に適したもの(不明)
デバイス・生体デバイス『ブック・エンド』
愛称・シフォン
彼が特典で持ち込んだ課金ペットカードと最も気に入っていた武器を使い、プレシアからもらった本とスキルを活用して数時間で作り上げたデバイス。
セットアップ時の基本形態は本。
効果はデバイス自身に埋め込まれているリンカーコアを使って魔力を作り出し自身で使う、もしくは他に供給することができると言うもの。
演算能力は以上に高く、攻撃方法も多岐に渡る。
主人公のインベントリと繋がっている為、無数の武器を展開し操ることも出来る。
人物解説
全5人の転生者の中で4人目に転生した人物。
戦闘センスはVRで養ったのか元々高く、彼の義父にも教えを受けているため中々の錬度。
使えるものは何でも使う戦闘方を取る。
だが、魔力は低く一般魔導師の最底辺レベル。
友達や家族の為なら笑って死ねると思い、それを実行に移す少年。
そのために必要なら人殺しや非人道的な行いも許容する。
しかし、やった後で後悔と自責の念に駆られる。
死ぬ寸前のことや死んだ理由、細部の記憶が不明瞭。
生前は妹を事故で死なせてしまい(このときに何か約束をしていた模様)、それを元に家族は離散。
そのときの傷からか、自身の身内に対して執着を持つ。
それから死ぬ寸前まで、バイトで貯めたお金を使ってVRゲームをやっていた。
感想等お待ちしてます。