魔法少女リリカルなのは-4人目の転生者-   作:Wisadm

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17.嵐の前の静けさの序曲

「取引だと!?ふざけるな!!」

 

クロノさんが我慢できないと声を荒げ、拘束を強める。

 

「何故僕達が次元犯罪者を名乗るヤツと取引しないといけない!」

 

驚いた…時空管理局は思っていたよりは高潔な組織なのか?

次元震とやらが起きた場所に倒れていた、次元犯罪者と名乗るフードを被って顔すら見えない不審な人物。

そいつが情報の取引といえば、少しは話に乗ってくると思っていたんだが。

困ったな、予定も狂っちゃったし、この人たちに会うのはもっと後の予定だったんだけど…

少しでも俺が悪役だと思い込ませながら、情報を聞きだす方法を考えないと。

 

「失礼します。艦長、もう1人の参考人の方が目を覚ましたそうです」

「そう。クロノ、私はもう1人の事情聴取に向かいます。その人はゲストルーム(・・・・・・)にお連れしなさい」

「はい」

 

すると、クロノさんは俺をバインドでグルグル巻きにして無理やり立たせて歩かせた。

つまりは、ゲストルーム――牢屋に放り込むつもりらしい。

何だか少し前にも牢屋に入れられた経験があるんだけれど。

俺は、牢屋に縁でもあるのか?

 

「ですが艦長、彼はどうやら記憶障害らしく…今までの記憶が無いみたいなんです」

「そう…昨日帰した子達みたいに、取り敢えずは様子を見て…きたいわ。何…情報を得…れる…いぃ……け…ど」

 

少しずつ部屋から遠ざかって行く中で、その会話を何とか拾おうとしたが角を数回曲がったところで途切れてしまった。

分かったことはさっきまでここに他にも誰か来ていた事と、おそらく銀髪であろう人物が記憶喪失になっているらしいこと。

…さっきまで誰か来ていたって言うのは気になるけど、銀髪の記憶喪失は凄くどうでもいい。

どうせなら他の情報がよかった。

欲を言えば、魅音やフェイト辺りが無事だ。とか分かりそうな情報がよかった…

しばらく歩くとすぐに牢屋(時の庭園より何倍も居心地が良さそうだ。)に着いた。

おそらく危険と判断した場合すぐに閉じ込める為に、ここの近くの部屋に収容していたのだろう。

 

「しばらくそこに入っていろ。いいか、妙な気は起こすなよ」

 

そんなお決まりなセリフを言い放ってクロノさんは何処かへ行ってしまった。

おそらくは銀髪の事情聴取へ向かったのだろう。

ご苦労なことだ。

…あ!一番情報を持ってそうなヤツからまだ話を聞いてなかった。

 

「(なぁシフォン?)」

 

声を小さくしてシフォンに話しかける。

一番情報を持っていそうなヤツとは言わずもがな、シフォンのことである。

実際俺の顔が割れていないのはシフォンが意識を失っていなかったからだ。

そうじゃなければバリアジャケットが解除されていて、俺の計画はいくつも練った中の一番面倒くさいものにしざるおえなかっただろうし。

つまりは唯一、あの場のことを詳しく知っているはずである。

 

≪…?なに?≫

「(とりあえず声を小さくして、俺の質問に答えてくれるか?)」

≪(…?ん、わかった)≫

 

良く判らないと言った感じだったが、素直に従ってくれた。

俺、この子に足向けて寝られないな…

 

「(まず聞きたいのは、あの場所で何が起こったか…俺の記憶とも照らし合わせたいから、銀髪に付いていたジュエルシードを封印していたときのことからだ。できるか?)」

≪ん。あの、ひとを――「(小さな声でお願いします!)」≫

 

いきなり普通のトーンに戻ってかなりビックリした。

この子たまにこういう事あるな…注意しとこう。心臓に悪い。

 

≪(…わかった。あのひと、を、おさえ…て、ふういん、しようとして…__、した)≫

「な、に…ちょ、ちょっと待て、いきなりおかしい」

≪?≫

 

いま、シフォンは何て言った?

俺の記憶と明らかに矛盾してる。

 

「た、頼む。もう一回だけ言ってくれ。今度は普通のトーンで構わないから」

≪ふういん、しようとして…失敗した(・・・・)

 

失敗?失敗した?何が?

あれは、失敗していいものじゃなかったんだぞ?

それなのに…失敗した?

 

「…ははは、失敗した?ちゃんと、上手くやってたじゃないか。なんでだ!なんで!!」

≪ふういん、は、とちゅう…までは、うまくいって、た。でも…まりょく、と、せいめいえねるぎー?を、じゅえるしーどが…すいこみだして…ますたーは、すぐに…はなれた。それ、から、ますたーが…うでを、きったら、きえた≫

 

魔力と生命エネルギーの様なものを吸って消えた?冗談だろ?

それって、ジュエルシードの中身(・・)が外に出たってことか?

もしそうなら、数日中に世界が一つは確実に消えるぞ…

そしたら、あの人たちが…俺のカゾクガキエル…?

イヤダ…ソウゾウシタクナイ…カンガエタクナイ…サッサト、シコウヲモドセ!!

 

≪…たー、ますたー…へい、き?≫

「…え?な、何が?」

≪いま、つらそう…だった。えいよう…どりんく、のむ?≫

「……ああ、貰えるか?」

 

ん?そういえば、今の話の最後…俺が腕を切った?

 

「シフォン、今の話の最後なんだけどさ。俺が切ったのって銀髪の腕か?」

≪ん、まちがい、ない…はず≫

 

解釈としては、俺が銀髪を助けたとも考えられるが…

記憶が飛ぶ前の俺の復讐か?

いや、復讐なら銀髪の惨殺死体がないとおかしい。

 

まさか…今更人が死ぬのが怖くなったのか?

この子のことはデバイスに変えたのに?

そうだとしたら最低だ。

絶対酷い死に方するな、俺。

 

「何でか分かるか?」

≪わから、ない。ごめん…なさい≫

「いや、怒ってる訳じゃないんだ。ありがとう」

 

まあいいや、今はどうだっていい。

今得た情報も含めた上で新しく計画を練らないと。

今までの計画じゃジュエルシードの中身が出てくる、もっと言えばジュエルシードがまさか本当に名前通りの種だなんて言うのは想定外だった。

まず考えるべきは、あれと戦う為の戦力。

現状この世界に来ている戦闘が可能な人物は、俺、魅音、銀髪、フェイト、アルフさん、そしてさっきのクロノさん。

俺が把握しているのはこの6人ぐらいか。

今から他の転生者が出てくることはもう無いだろうし。

足りないな…圧倒的に足りない。

しかもこれは3勢力全部が集まっての数だ、一体何人協力してくれるか…

計画を一度白紙に戻して、一から練り直したほうがいいかもしれないな。

 

 

私、リンディ・ハラオウンは困り果てていた。

こっちに着いて早々に次元震未遂。

保護した参考人は片や次元犯罪者を名乗る人物、片や右腕をなくした記憶喪失の少年。

そしてその近くでもう1つのジュエルシードを封印していた少女達。

…あと、息子のクロノ。

 

「はぁ…」

 

何一つまともな情報が得られなかった。

唯一まともな情報が手に入りそうなのはあのフードを被った謎の人物。

彼?は次元犯罪者を名乗った。

私達の仇敵である次元犯罪者を名乗る…ある意味では敵対行動とも取れる行為。

でも、その上で情報の取引を求めてきた。

つまりは、こちらが乗ってくるであろう状況を作ろうとしたとも考えられる。

その伸ばされた手をうちの子は思いっきり叩いたわけね。

 

「はぁ…」

「艦長、ため息ばっかり吐いていると幸せが逃げますよ」

「…ええ、そうね」

 

不安は出来るだけ表に出さないようにしてるけど、部下に言われている様じゃ私もまだまだね。

それにしても、今回のジュエルシードは何が願われたのかしら。

状況的には記憶に干渉しているとも考えられるのよね。

あの銀髪の子――確か、剣也君だったかしら。

そして、今回の事件解決に賛同してくれた現地の魔導師、この次元航行艦アースラに呼んだ3人のうちの1人。

魅音ちゃん…この2人は記憶喪失の程度は違えど記憶を失っていた。

剣也君は完全に記憶そのものが欠如している様だったし、魅音ちゃんは剣也君に関する記憶だけを失っていた。

 

「やっぱり、位置関係かしら…でもそれだとあのフードの子は…う~ん…」

 

ホント、困り果てていた…

 

 

「おーい、誰かー?聞いてるー?おいってばー?」

 

牢屋の中から声を大にして叫びまくる。

とりあえず、その辺にあるはずの集音機に向けて声を上げてみる。

集音機が無くても監視カメラぐらいはあるはずだ、騒いでいればそのうち誰か来るだろう。

 

「うるさいぞ!静かにしていろ!」

 

ほら来た。

声から察するにクロノさんだろう。

 

「その声はクロノさんですよね?ちょっとお話があるんですが」

「なんだ、手短にしろよ?僕だって忙しいんだ」

 

基本的にいい人だよねこの人…

絶対、貧乏くじとか呼ばれる人種だよ。

 

「いや、実は俺…次元犯罪者じゃないんですよ。だから、ここから出してくれません?」

「…冗談なら後にしてくれ。僕は忙しいんだ」

「おねがい!艦長さんに掛け合ってくれるだけでもいいから」

「駄目に決まってるだろう。だいたいお前は自分の立場が分かっているのか?」

「そんなこと分かってるよ!今はそんなことどうでもいいぐらいに危ないんだ!いいから、艦長さんに掛け合ってみてください!もし断られたら、ここから脱走して次元犯罪者の仲間入りしてやりますから!」

「なっ!?~~~っ!!はぁ、分かった。掛け合うだけだからな?だからこれ以上騒がないでくれ、仕事が増えるんだ」

「はい、お願いします」

 

これで上手く行けば、次の事情聴取時に次元管理局の協力は取り付けられるはずだ。

後は…

 

 

はぁ、また新しい転生者かぁ…

高町家に作ってもらった自室のベットにダイブしながら考える。

 

「あのフード、いつか泣かす…!」

 

フェイト陣営に付いているであろうもう1人の転生者――あのフード、絶対許すマジ!

あろうことかこの正義の味方、魅音ちゃんに家族を人質にして勝利するとか本当に許せない!

だいたい何だ、あのフードは!?

ご丁寧に顔隠しやがってぇー!!

 

「こんなときはアレだ。電話で凪にぃの声でも聞こう…」

 

凪にぃ…私の味方(ヒーロー)

いつも、ちょっと過保護なくらい心配してくれて、髪型や服装のちょっとの違いにも気付いてくれる。

絶対にシスコンだけど、私の憧れ。

私のために動いてくれたあの背中に、憧れた…

私も誰かを助けたいと、そう思わせてくれた。

あのときの凪にぃの様に私もなりたい。

そんなことを考えつつ実家に電話をかける。

 

「あ、もしもし?」

『はい、夜霧です』

「お母さん?」

『その声は魅音ね』

 

久しぶりにお母さんの声を聞いた気がする。

元気そうでちょっと安心した。

 

「そう私だけど、凪にぃは?いる?」

『もぅ、私とももう少し話してくれてもいいのに…』

「はいはい、お父さんみたいなこと言わないで。…凪にぃは?」

『え、えぇと、今出ていていないみたい』

 

えぇ…いないの…

クッソウ、私がモヤモヤするのは全部あの不振なフードのやつのせいだ。

絶対に何か仕返しをしてやる。

 

「そんなぁ、せっかく凪にぃに愛する妹の声を聞かせてあげようと思ったのに…」

『まあまあ、それで何か用事だったんじゃないの?』

「ううん、ちょっと声が聞きたかっただけ」

『そう…そっちは元気でやってるの?』

「うん、ちょっと問題もあるけど概ね順調だよ」

『そう、ならいいのよ。頑張ってね、大好きよ』

「も、もう…それじゃ、またね」

 

うぅ…顔が赤い…

自分の親なのに…なぜだぁ…

これが不意打ち効果ってヤツか。

今度凪にぃにやってみよ。

 

…それにしても、私以外の転生者か。

なのはの言ってた銀髪のイケメン…私にはどうしても思い出せないけど。

今まで考えるだけでドキドキしてたのに、急にそれがなくなったとか言ってたっけ。

それから、森で合ったフードのやつ。

他に、まだ表に出てきていないのが2人。

この2人は時期的に後半年は出てこないと思うけど。

管理局が出てくるのはもっと後のはずなのに出てきた。

原作が始まって一ヶ月もしない内に、もうこの世界が原作通りに進まなくなってきている。

つまりは原作知識が通用しないってことか。

 

「深く考えるのは性に合わないんだけどなぁ…」

 

まぁ、リリカルマジカル頑張りますってね♪

そうと決まれば早く寝ようっと。

夢の中ぐらい凪にぃに甘えたいし…ウへへ…

 

 

背筋がゾワッ!!っとして目が冷めた…

何だったんだ、今の…悪寒がしたと言うか…

 

≪…うゆぅ…≫

「…大丈夫だよな?」

 

人型だったら間違いなく頬っぺたでも突いている様な寝言を言うシフォンを抱き込み、さっきの寒気はきっと布団がないせいだと無理やり納得して二度目の夢の中に落ちていった。

 




竜崎 剣也(りゅうざき けんや)

9歳+(元14歳)

中立・中庸

筋力D+
耐久E+
敏捷C
魔力SSS
幸運?

魔力光・鈍い銀

固有スキル

精神汚染(C→A→-)
妄想により他の精神干渉系魔術をシャットアウトできる。
ただし、同ランクの精神汚染がされていない人物とは意思疎通ができない。
ジュエルシード入手後に強化されている。
しかし、記憶を失ったことで失われている。

魅了(C→A→-)
彼の特典に起因するスキル。
魔力を帯びた笑顔と利き手で頭を撫でることによる異性への精神干渉。
ジュエルシード入手後に強化されている。
しかし、右腕を切り取られたことにより永遠に失われている。

無限の剣製(EX)
彼の特典に起因するスキル。
目視した刀剣を脳内に登録し複製する。
ただし、複製品の能力は本来のものよりランクが一つ落ちる。
また、神造武器の類は複製不可とされる。
同じようなことが出来るが、Fateの錬鉄の英雄の固有結界とは完全に別物。
と言うよりは、固有結界でさえない。
そのため、複製や射出はできるが材料は自身でそろえなければならない。

魔力変換資質・錬鉄
彼の特典に起因するスキル。
魔力を魔法を解すことなくさまざまな精錬された鉱物に変換できる

転生者(EX)
転生した者に与えられる特殊スキル。
幸運が判別不明になる。

特典
1.銀髪オッドアイの美形
2.ニコポナデポ
3.無限の剣製
4.SSSの魔力

デバイス なし

全5人の転生者の中で1人目に転生した人物。
今まで喧嘩などしたことが無く、戦闘のセンスは低いがそれを補って余りある凡庸製に富んだ特典を持つ。
さらに、魔力も規格外に高く、これで戦闘センスがあればそれこそ最強であったであろうと思われる。
彼を担当した神は、凪斗の担当が願い事1つだったのに対し最初から4つとかなり影響力が強く、上級神の一柱だと思われる。
リリカルなのはの世界に転生し、ハーレムを作ろうと画策した少年。
5歳のときになのはにニコポナデポを使用しようとするも失敗。
その後、9歳になった頃に特典で手に入れたニコポナデポをジュエルシードで強化し、再行使する。
そのときは成功し、学校中の女生徒を一時手中に収めるも、ジュエルシードが成長し、魔力と生命力を吸い尽くされそうになる。
生命力を吸い尽くされる寸前で、凪斗に腕を切り落とされ一命を取り留めた。
しかしながら、凪斗には助ける意図などまったく無く、唯単純にジュエルシードがこれ以上成長するのを止めたかっただけである。
現在、生命力を吸われた後遺症から記憶喪失中。
生前は、かなりひどい容姿で虐められない日は無かったらしい。
彼が歪んだのはそういった過程を経て望む力を手に入れてしまったからかも知れない。



フフフ…ついに睡眠時間まで削ってみました。
現在進行形で吐き気が…
しかもこのあと普通に勉強しないといけない。
感想等アドバイスに評価お待ちしてます…うぷっ!?
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