今更過ぎる気もしますが…
ええと、自己完結気味になっているという感想が来ましたので、500文字ほど加筆修正してみました。これで駄目なら治そうとすると、少々お時間いただくことになります。
今朝は扉が開く音で目が覚めた。
この牢屋に窓は無いので、本当に朝かは分からないけど。
「おい、起きないか!艦長が話し合いの場を設けてくれるそうだ」
どうやらクロノさんが艦長さんに掛け合ってくれたらしい。
「う…ふぁぁぁっ」
「よくこんな状況で寝られるものだな」
「ええ、慣れてしまって。おはようございます、クロノさん」
「え、ああ、おはよう…ではなくて!!」
「あれ?こんにちはや、こんばんわの時間でしたか?」
惚けた様に言うと、溜め息の後少し拗ねたような声で返してくれた。
「もういい…!艦長が待ってるから一緒に来てくれ…」
「ええ、よいしょっと」
まだ眠ったままのシフォンを抱きかかえ、少し足の速いクロノさんに置いて行かれない様に付いて行く。
途中ですれ違う船員の人たちがクロノさんにしている挨拶を見るに、それなりに高い階級なのだろうか。
「さ、ここだ…入ってくれ」
連れてこられた部屋はどう見ても和室だった。
なんで和室、しかもよく見たら獅子おどしまで完備してるよ…
それに艦長さんも正座してるし…
次元世界って言っても案外似たような世界の出身なのかな?
「それで、…ええと何て呼べばいいかしら?」
そういえば、本名が名乗れないからって名乗らなかったんだった。
なんて名乗るべきだろうか。
相手にこれだ!と印象付けられるものがいいよね。
すぐに思いつくのは…このフード付きのローブぐらいか。
と言うか、わざわざ外からは見えないようにスッポリとローブに包まれてるからな。
深緑色だから…これかな?
「ああ、そうですね…では、フォレスとでも」
「フォレス、さん…ね。それで、お話と言うのは?」
「簡単に言えば、ジュエルシードの回収のお手伝いと…そのことについての考察を」
…反応が無い。
ってことは脈ありなわけだ、よかった。
この人たちの場合、脈無しならそのまま牢屋に逆戻りだろうから。
「もう話を始めても?」
「え、ええ、お願いするわ…」
何かを考えていたようで、少し驚いた様な顔をしつつも応じる艦長さん。
「じゃあまず、ジュエルシードの回収ですが…実はもう半分以上は俺が回収し終えています」
「何だって…?」
「残りのジュエルシードについてもあらかたの位置は掴んでいます。俺を引き込めばお得ですよ?」
一瞬の沈黙の後、クロノさんが口を開けた。
「だ、だが、君は次元犯罪者なのだろう?僕達は次元犯罪者と手を組むつもりは…」
「だから言ってるじゃないですか。俺は次元犯罪者じゃないですって」
「…どういう事かしら?」
艦長さんがかなりの興味を示した。
これはいけるか?
「最初にお会いしたときに次元犯罪者を名乗ったのは、あなた方の興味を引き、話を通しやすくできないかと思ったからでした。ですが、次元管理局という組織は思った以上に高潔なようで、そのまま連行されてしまいました。俺の一番話したかった内容はこの次の考察の部分なのです」
「でも、あなたが次元犯罪者じゃないという証拠が何も無いわ」
言いつつ艦長さんは首を振った。
「それこそ、俺が次元犯罪者だという証拠は俺が最初にした証言以外には何も無いでしょう?」
そしてまた沈黙。
今回は少し長かったが、艦長さんはゆっくりと重そうに口を開いた。
「…いいわ。続けて頂戴」
今回ばかりはクロノさんも反対しないようだった。
クロノさんもお堅いばかりでは無かったようだ。
「それでは、そう思ったに至った現象と、俺自身の考察についてお話します。今回俺は、あなた方管理局に追放された大魔導師プレシア・テスタロッサの要請を受け、ジュエルシードを集めていました」
「プレシア…だって?」
クロノさんが驚いて聞き返してくる。
管理局の人には悪いけれど、もちろん嘘だ。
プレシアさんには俺が協力を頼んだ。
作り話も信じれば神話になるのだから、人間というのは面白い。
「ええ、彼女はジュエルシードが地球にばら撒かれてしまったのをいち早く察知し、現地で既にジュエルシードを集めていた俺にコンタクトを取ってきました」
「そう、彼女が…」
「ただ、管理局は嫌いだそうですから、連絡は難しいかと」
「わかったわ…続けて?」
少し脱線してしまっていたのをたしなめる様に言ってくる艦長さんに、意図的に脱線したことに申し訳なさを感じつつ続ける。
これでプレシアさんは次元犯罪者とはかけ離れた人物として解釈されるだろう。
「まず1つ目の疑問は、何故ジュエルシードは願いを叶えるのか」
「…?それはそういうロストロギアだからだろう?」
と、クロノさん。
「なら、何故宿主に取り付く必要があるのでしょう?」
「…すまない。何を言いたいのか分からないんだが」
「願いをただ叶えるだけのロストロギアなら、宿主に取り付く必要は無いはずでしょう?つまり…願いを叶える機能は後付けだったのではないかってことです」
「後付ね…」
願いに歪みが出るのはそれが無理に後から付けたもの、もしくはもとより歪みが出るように作られたからだ。
「まあ、あくまで推論です。次の疑問に行きましょう。2つ目は、願いの暴走ともいえる現象です」
「それは…あの猫が巨大化していたしていた現象か?僕はそういうロストロギアだと思っていたんだが」
「願いを歪んだ形で叶えるロストロギアですか?でも、そうだと仮定すると歪み方に偏りがありすぎる気がするんです」
その全てが破壊活動に発展しかねないものばかりだ。
例えば、あの猫…町に出ていたならあの辺り一帯が動き回る猫に破壊され、逃げ回る人達が猫に食われていた可能性がある。
猫は一応肉食動物だ。
あの大きさになれば鼠で腹が膨れるはずが無い。
そうなれば周りをうろちょろしている人間を食べただろう。
そして銀髪の洗脳…あれは気色が違ったが、あのままだったならばどうなっただろうか?
1人の男を中心に置いた女性国家。
少し考えが飛びすぎているが、あの調子ならやりかねなかった気がする。
ある意味、文明社会…もっと言えば人間という種が滅んだかもしれないだろう。
女性が何人いようと、男はあいつのみになったはずだ。
「あれは…意図してああなっているのではないかと、俺は考えました」
「それはどういう…?」
俺は話の核心をつむぎだす為に、息を吸い込み、逃げ出す前に吐き出した
「あのロストロギアは意思を持っているとしか思えない。もっと言えば、無機物のはずなのに生きていると言ってもいいでしょう」
これが、俺の導き出した核心。
銀髪と戦っていたときに高確率で間違いないと直感した。
気絶していたはずの銀髪が銀髪らしくない行動をしたのは、十中八九それだろう。
「ど、どういうことなんだ?飛躍しすぎて意味がよく判らないぞ」
「あなた方はよく知っているはずですよ?」
「えっ?」
本当に、よく判っていないのだろう。
何を言っているのか分からないという顔をこちらに向けてくる。
「俺が言ってるのは、そのデバイスですよ。もっと言うならインテリジェントデバイス、ですけど」
デバイス、魔導師と呼ばれる人達が使う演算代替装置。
その中の意思のある機体は、このロストロギアとかなり似た性質のものなのではないだろうか?
分かり難ければ、魔法を願いに置き換えればわかりやすいと思う。
デバイスは所持者の魔法を代理演算して発動を促すものだったはずだ。
それを置き換えれば、願いを聞き届けて叶える物だと考えられる。
「そう、ですね。まあ、ありえないことのはずですが、例えば意思のあるデバイスがわざと演算を間違えたとしましょう。すると、書き換えた部分に余剰魔力が生まれ効果も若干違ってきます。これをジュエルシードに置き換えると、わざと願いを聞き違えて叶え、余剰な生命力や魔力を吸い上げ願いが歪むと言う風にも解釈できませんか?この推測はジュエルシードに意思があることが前提ですが、
全くの見当外れと言う訳でもないと思います」
「ちょ、ちょっと待て!?生命力や魔力を吸うだって!?確かにあれだけの効果を持つのに何も消費しないのはおかしいと思っていたが…」
一応クロノさんも不思議には思っていたらしい。
「そ、そうか!そういう…ん?いや、待てそれはおかしいだろう」
「ええ、それは変よ。デバイスは魔力を持たない機械だもの」
クロノさんに賛同するように艦長さんも意義を唱える。
そう、それは知っていた…
ジュエルシードは一個で次元震が起こるほどの魔力を持っていたはずだ。
それを考えなかった訳じゃない。
俺も確かに途中でこの推論は間違いだったんじゃないかと思った。
でも、つい昨日…確信に変わった。
「いえ、ある特殊なデバイスは、魔力を持つことができるんですよ」
「何を言って…」
「生体デバイスって知っていますか?」
「確か、生き物を素体にしたデバイスだったか?でも、それについての文献は何も残っていないと本で読んだ覚えがある。それが何だって言うんだ?」
「素体にリンカーコアがあった場合、生体デバイスは魔力を持ちます。これは間違いなく事実です」
「なん、ですって…」
ええ、何度も実験しました。
シフォンを作ったときに俺は試作として、動物やペットカードを使ってデバイスを作り出した。
いや、正直実験の様子はグロテスク、その一言につきる為思い出したくない。
そして昨日の晩、寝る前にペットカードを基に作った試作型を調べてみたところ魔力を感じたので、これは推論ではなくなったわけだ。
「そして最後に、宿主から切り離したジュエルシードが消えました。恐らく転移魔法で」
「それが本当なら、あなたの考察はただの妄想には思えなくなってくるわね…」
「仮定としては超高密度魔力生命体を封印していた石が、内側から改造された物というのが俺の見解です」
喋りきるとカコンッと獅子おどしが鳴って、重苦しい空気になってしまった。
誰も喋りださないので、俺は気になっていることを聞いてみることにした。
「そういえば、俺が腕を切り落とした少年は無事ですか?」
「あの右腕が切り取られていた少年のことを言っているのなら、どうやら記憶が完全に抜け落ちているようよ…」
「そう、ですか…魔力と生命力を急激に吸い出したジュエルシードから助ける為とは言え、腕を切り落としましたし、一目あって謝りたいのですがいいですか?もしかしたら直すことも可能かもしれませんので」
「ええ、大丈夫よ」
まあ、もちろん謝る気などサラサラ無い。
どっちかといえば今回助けた(後天的にそうなった)恩を着せまくって永遠に駒扱いしようと思っている。
上手く行かなくても今回だけ戦力として使えれば、正直その後どうなろうが知ったこっちゃ無い。
アハハ…精々役に立ってくれよ?銀髪君。
これで、戦力収集の目処がたってきた。
このまま何も無くって、さっきの推測も推測のまま終わってくれればいいのに。
話し合いは上手く行ったはずなのに、心の中で溜息が止まらなかった。
時間があまり取れなくなってきているので、更新が亀更新ですが、ちゃんと最後まで書く所存です。
入試が終わった頃にはまた元の更新速度とまでは行かないまでも頑張りますのでお楽しみに。
そろそろ一時的に日常編にカムバックします。