東方傷心記   作:咲き人

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どうも最近ヤバイ位忙しくて過労死してしまいそうな咲き人です………
多分どうも~咲き人というふうにどうもと咲き人との間に一言入れていおきます。
トレードマークさえ徐々に変更していくスタイル。


其の拾弐「異変狂気 6面下」

前回のあらすじ

 

珀雲を必死に説得する晴のその絵面が反抗期の子と親にしか見えない件について………

 

 

 

 

晴side

 

 

「騙されるかぁ!」

 

「珀雲………」

 

「そんな甘ったれた言葉なんかに騙されてたまるかよ!」

 

「馬鹿野郎!」

 

「何!」

 

「お前は忘れられてない!皆じゃなくてもお前のことを心配している奴がいるんだよ!

そんなことも分からないのかこの分からず屋が!」

 

「………………ハハハハハ!とんだ調子者だな!お前は!」

 

 

珀雲は突如笑い出す。その笑い声は少し掠れていてかなり無理して出していることが分かる。

そして珀雲は晴を見て何か言いたげな顔でギリリッと歯をこすり合わせる。

 

 

「お前………の………妹ってさぁ………どんな【能力】なんだろうなぁ?」

 

「は?な、なに言ってんだ?璃紗に【能力】だと!?」

 

「まあまあ、落ち着けよ。アイツの【能力】というよりは【人望】だ。」

 

「【人望】………」

 

 

晴は珀雲が何を言いたいのか分かった。璃紗は男子、女子生徒どちらからも人気がある。

そのため生徒会に所属しており、学校の風紀を乱すような奴を成敗しているためからかクールなお姉さんキャラをしている。

だが、実際は兄想いのいい妹キャラだ。そして珀雲のことが………

 

 

「アイツの人望のせいで俺はお前との仲直りが出来なくなってしまったんだよねぇ………」

 

「どういうことだ!?」

 

「お前があの時、俺の能力で気絶したとき、なんとアイツが少し離れたところで見ていたんだよ。」

 

「なんだと!?そんなまさか………」

 

「俺もあの時はそう思ったさ………もう、なんでも出来てしまう晴さんなら分かりますよねぇ?」

 

「じゃ、じゃあ………あの時の噂を広めたのは………璃紗なのか!?」

 

「そうだよ………アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 

珀雲が狂ったような笑い声をあげる。さっきの掠れて無理していたのとは別に自分の気持ちに素直に従っているようだった。

そうだったのか………俺だけでなく、璃紗まで………そうだよな。俺だけが珀雲が壊したんじゃない。俺の周りの存在が、珀雲の心を壊してしまったんだ。俺はきっかけ………くそ!なんでもっと早く気がつかなかったんだ!

こんなことになるって知っていれば………

 

 

すると珀雲は笑うのをやめ、晴を見る。その顔は昔の珀雲のような純粋に笑っている顔だった。

そしてまるで俺の気持ちが分かっていたかのように答える。

 

 

「そう卑屈な顔をするな晴。今の俺は幸せだ。親友に自分の気持ちを伝えられ、新しい生活が待っている………まるで高校生になったばっかりのときのようだ。」

 

「珀雲、ならどうして俺を殺そうとする!?お前はまるで俺の心が分かるようだった!

だったら何故、お前から殺気が消えない!?」

 

 

そうなのだ。珀雲は魔理沙以外には………気絶から治ったパチュリーにさえも殺気を向けていた。

魔理沙は伝わるような怒りに似た力を感じていた。それに加え、珀雲の顔はずっと笑顔なのが逆に不気味に感じるのも一つの要因だ。

 

 

「その質問に答えるのはとても簡単(very easy)だ。お前が【きっかけ】なのだからお前が【最期】になったほうが良いに決まっているだろう?」

 

「まさか………それだけか?それだけの理由で………いや、お前には人生に関わることだったな。」

 

「そうさ。もはやお前を憎むのはやめだ。俺が今憎いのはお前の周りの存在………と言っても紅魔館の奴等は違うがな………」

 

「………それでどうする気だ?お前はもう幻想郷の住人なんだろう。だったらアイツらを憎んでも意味がない。」

 

「そうだな。それは俺が一番分かっている。でも憎むこと自体は罪でも何でもない。

それに、お前が幻想郷に来てくれたお陰でアイツらは俺のことを【化け物】と蔑むがそれと同時に奴等はお前が突如として消えたのは俺のせいだという恐怖心が芽吹くだろう。ざまあみろ。アイツらはもう二度と会わない俺を恐れながら、一生消えない過去を持ちながら生きるんだ。そうさ。アイツらがいけないんだ。

何もかも奪ったのは璃紗が原因。でもそれを信じたアイツらが悪い。だから仕返しして何が悪い?法律で認められなくても俺は仕返しというものに賛成だ。法律なんて今と過去を比べてみろ。くだらねえ絵空事と綺麗事ばっかりじゃねえか。あんなのに縛られる方が馬鹿なんだ。そうと思わないか?晴………お前も化け物になったのなら少しは俺の考えもわかるだろう?」

 

「………さっぱり分からないよ。お前は………見えないもののせいにしている。そんなことすれば自分の身を苦しめるだけだ。

そんなことで自分が幸せになれるとは俺は思わない。多分、ここの皆全員知っている。」

 

「………………分かってもらえると思ったのだが………なら仕方ない。俺は異変解決に来たんだ。

邪魔する者は例え親友だろうと殺す………って言った方がお前も荷が軽いというものだろう。」

 

「ああ。………俺はこの紅魔館の執事として侵入者は排除するという役目を我がお嬢様から仰せつかっている。

俺はその名目に従い、お前を排除する!この【優しき悪魔】がな!」

 

「は!実にお前らしい化けの皮を被ったような名分だな晴!そうだな。俺は名乗る二つ名など特に決めていないのだが………強いて言えば………【ただの魔法使い】だ!」

 

 

もう一度、戦いが始まる。それはとても酷く(ひどく)酷く(むごく)、見ていられないものだった。

それは弾幕ごっこというのには無理があった。ただただお互いの体を殴る。ただそれだけだった。

自分達が傷ついているのにもかかわらず、相手の腹目掛けて殴るだけであった。

お互いの頬は腫れ、痣が出来ている。そしてお互いの服もビリビリになっていた。

これが本当に闘いなのだろうか………?魔理沙も周りの人達もそれぞれ目を閉じたり今にも泣きそうな顔していた。

 

 

「ゴホッ………」

 

「ガハッ………」

 

 

お互いに口に溜まっていた血を吐き出す。それよりも敵が目の前にいるのだから戦うという選択肢以外はありはしない。

珀雲と晴の拳同士がぶつかり合う。その衝突の勢いで二人は吹き飛び、同時に壁にぶつかり合う。

 

 

「クッハハハ!………痛みを………俺が喰らった痛みを知れ!」

 

 

珀雲が黒く、濃い色の魔力弾を放つ。それを見て晴は一つのナイフをそれに投げ当てる。

すると小さなまるで爆竹程度の爆発が起きる。この瞬間に晴は吹き飛ばされた場所から移動し、弾幕を放つ。それは珀雲のどす黒い弾幕とは正反対の白い霊力の弾幕だった。

 

 

「喰らえ!」

 

「チッ………」

 

「続けて行くぞ!止符【ストップボム】!」

 

 

晴が放った弾幕を珀雲が避けようとするとそのスペルカードの名前を聞き慌ててその場で止まった。

そう………弾幕が動かないのだ。しかもすぐ避けられると踏んであまり注意して見ていなかったがすぐ脇に弾幕が停滞している。恐らく弾幕の全ての速度を0にしているのだろう………

本当に末恐ろしい能力だなと珀雲はつくづく思う。だが、これだったらずっと止まっているだけでこのスペカは終わってしまう。

どうするつもりなのだろうか?恐らくこのあとも放った弾幕は止まる。

すると目の前にある弾幕が少しずつ動いているのだ。しかも全弾がこちらに向かって………

弾幕を止めているだけでなく、支配するというスペルカードだということが今更に分かってしまった。

慌ててその場を離れようとしたが行く先々に弾幕がある。恐らく晴が珀雲の逃げ道を無くすためにあらかじめ周囲に弾幕を放っていたのだろう。

 

 

「おいおい………これじゃ逃げにくいじゃねーかよ。」

 

「(こんだけやったてのに【逃げられない】じゃないのかよ。)………」

 

 

珀雲は偶然見つけた唯一弾幕密度がそこまで高くない一本の道を近くにある弾幕をひょいひょいと躱しながらこのスペルカードを突破した。

そしてお返しだと言わんばかりにおもむろにスペルカードを取り出して宣言する。

 

 

「魔符【三角魔法(トライアングルマジック)――カストワ――】!」

 

「あぶねえ!………周りの弾幕が………」

 

 

このスペルカードは本来晴を苦しめるために使うはずだったのだが、周りの弾幕が邪魔だったのでそれを消すためだけに使った。

そして珀雲はゆっくりと口を開く………その声は憎しみが大量に溢れ出ていた。

 

 

「くだらねえ過去があって何がやり直せるだ!」

 

「………あの時の過去は確かにお互いに忘れられないものだ!でも、無くなった絆だったら

諦めて新しく絆を作ればいいじゃないか!」

 

「今更そんなものが作れるとでも思っているのか!?」

 

「思っているさ。何故なら………俺………たちは………親友だからだ。」

 

「~~~~っ!!!」

 

 

言葉にできないような怒りを滲み出している。よくそんなことが平然と言えるなとでも言いたそうな目だった。

言えるわけないだろ。俺も狂ってしまったんだから………お前を大切に思っているから、

自分から狂う道を選んだんだ。そのことを伝えようと口を開こうとしたその時だった。

 

 

 

 

その時だった。時が止まったのは………

 

 

 

 

晴は常時、自分の体の時が止まる速度を0にしていたため、時が止まったときに分かったが、珀雲は全くとして動かない。そう、止まっているのだ。紅魔館にはもう一人、止める行為ができる存在がいたことをさっきの殴り合いのせいで忘れてしまっていた。

メイド長の十六夜 咲夜だ。

咲夜は走ってこちらに向かっているわけではなく、向かっている方向はなんと珀雲の方だった。

そして悟った。咲夜は珀雲を殺そうとしているのだと………それだけは止めなければ………!

 

 

「やめろ!」

 

「珀雲を殺しはしないわ………ただ気絶させるだけよ。」

 

「まだ勝負はついていない!」

 

「あんな勝負、周りの人が見て喜ぶと思うの?」

 

「他人なぞ、関係ない!この戦いは俺と珀雲の因縁の戦いなんだ!」

 

「私にはお嬢様の命令があるの………二人の戦いを止めろっていうね………恨んでくれても構わないわ。でも、私は………珀雲を………」

 

 

何か咲夜は珀雲を殺すの躊躇っているようだった。

 

 

俺が召喚されたとき、偶然俺の足元に落ちていた写真立ても一緒に召喚されていた。

その写真は俺と珀雲が笑顔で肩を組み合ってお互いが幸せな顔をしながら撮った写真だった。

それに興味を示したのかパチュリーと咲夜は釘付けになるほど俺たちが写っている写真を見ていた。

そう………あの時の写真と同じような笑顔で二人の絆が結ばれるように絶対してやると俺は誓った。

だからこんな非道な行為は認められない。

 

 

こうなったら咲夜を気絶させるしかないと思った矢先だった。

 

 

耳元に声が聞こえてきたのは………

 

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 

 

からかうような笑い声だった。

その声は咲夜のむこう………珀雲からだった。咲夜は驚愕の顔をしていたのだ。

それもそうだろう………何故なら珀雲が笑っていたから………その体は動いていないは

ずなのにずっと笑って、笑い声も聞こえてくるという恐怖が咲夜に逃げろという脳の命

令を重要視させていた。すると珀雲の口が動き始める。その言葉に耳を疑った。

 

 

「世界は痛みを共感した。」

 

「な!?」

 

 

咲夜は急に珀雲が喋り始めたことに驚いたのだろう、吃驚して咄嗟に後ろに下がった。

そして珀雲の口は更に動き続ける。

 

 

「世界は時を止めるのを【痛み】と判断した。

世界は痛みから逃げるために考えた。そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界は考えることをやめた。よって、時が止まる現象は崩れた。」

 

「「何!?」」

 

 

俺と咲夜は驚いた。珀雲の言葉が本当だったらと思い、周りを見回すと咲夜がいつの間にかいることに皆が吃驚してそれぞれのリアクションをしていた。そう、咲夜の能力が【破られた】のだ。

珀雲はさっきと同じ表情でその場に立っていた。俺は恐る恐る珀雲に聞いた。

 

 

「何だ今のは………?」

 

「さあ?なんのことだ?」

 

「とぼけるな。お前の能力は【肉体と精神のダメージを反転する程度の能力】だろう。何故あんな芸当が可能なんだ!?」

 

「さあな。それよりもずるいことしているじゃないか。そこのメイドと共闘か?1対2とはこれ如何に。」

 

「今、退場させる………咲夜できるだけ離れてくれ。」

 

「でも、貴方達が戦っていい体じゃない!」

 

「へぇ………どうやらそこのメイドはどかないみたいだぜ?」

 

「咲夜!急いで離れろ!」

 

「おせえよ!」

 

 

珀雲は一瞬で俺と咲夜の間合いに詰め寄って剣で一閃する。

咲夜は咄嗟に時を止めたがさっきよりも早く時止めが無くなり慌てて体制をずらしたため床に引きずられるように倒れる。そして珀雲の一閃をひっそりと咲夜のナイフをくすねてそれで防御するが流石に剣相手に沢山のナイフを重ねて防御力を上げても簡単に突破されてしまう。

腹に浅かったが傷を受ける。なんのこれしきと思っていたが急に腹に負った切り傷が痛み始める。

なんだ!?毒………なら侵攻速度を0に………それよりも傷の範囲が広がる速度を0にして………少し痛みが収まるがまだ痛い………まだだ。珀雲が味わった痛みに比べればこの程度………と強がるがかなりの体力を傷を塞ぐのに費やされた。

 

 

ここで気づく………珀雲が持っているあの剣。さっきは分からなかったが【力】を感じる。

なんだあの力は………俺は霊力を持っている。妖力も見た。魔力も見た。でもあの力は見たことがない。

何なんだあの力………待てよ?たしか、まだ見たことがない力があるとパチュリーが言っていた。

 

 

たしか………その力の名は………!?

 

 

馬鹿な!?なんであの剣にあの力が!?それに何故珀雲に扱えるんだ!?

 

 

「何故………その剣が使える!?」

 

「オリハルコン製のこの剣がどうかしたか?」

 

「そんなことは聞いていない!その力を持っている剣を何故扱えると聞いているんだ!」

 

「ああ。この………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【神力】を持った剣のことか?答えは簡単だ。これが【草薙剣(クサナギノツルギ)】だからだ。」

 

 

 

 

 

霊夢side

 

 

霊夢とレミリアの戦いはヒートアップするばかりであった。

弾幕が飛び交い、霊夢は自身の当たり判定の小ささでなんとか弾幕を避け、レミリアは蝙蝠化して逃げるなどという避け方で二人はともに自身の最高の好敵手(ライバル)だと認識していた。

 

 

「呪詛【ブラド・ツェペシュの呪い】!」

 

 

ここでレミリアが埒があかないと判断したのだろう………ここで3枚目のスペルカードを発動する。螺旋状に進み、その軌道に紅弾を残すナイフを13本放ち、時間差で紅弾が襲ってくる。霊夢は落ち着いて来る弾幕を紅弾が密集していない場所を見極めて避け、難無く突破する。

次は通常の弾幕なのだが、もう霊夢は軽く突破できると思っているらしく、

最初の紅い針のような弾幕をばら撒く攻撃を避け、その次の九つの方向に紅い大きな弾幕を連射する弾幕もちょっと体をひねらせて回避し、その次の全方位に炎の弾幕を連射してくるものもいとも容易く突破してしまい、レミリアは少しめげてしまいそうだった。そんなレミリアに対し霊夢は封魔針を飛ばしてくる。

かなりレミリアの方も苦しくなってきたそうで更にここで4枚目のスペルカードを発動する。

 

 

「く!こうなったら………喰らいなさい!紅符【スカーレットシュート】!」

 

 

3つ目の攻撃のような、中弾と小弾が付随した大弾を撃ってくる。撃ち方にはパターンがあり、5方向に少し大きめの紅弾を撃ち、その後、続けざまに同じのを2連射。

更にさっきのより紅弾同士の幅が狭い3方向の弾幕、そして最後に5方向の紅弾×2連射、のループとなっていてさっきまで余裕ぶっこいていた霊夢もこれは厳しいと本気になって回避に心がける。

 

 

「面倒な弾幕ね………!(ん………?)」

 

 

それぞれの流れの中で中央の弾だけが自分(霊夢)を狙っているので、

上手く誘導して少しよければそんなに難しい攻撃ではないことが分かった。

ここまでわかればあとは楽に思いのほか、楽に突破できた。そしてレミリアが最後のスペルカードを掲げる。

そのスペルカードはさっきまでのと同じ赤い色をしたものだったのだが、

霊夢の勘には得体の知れない力が隠されていると直感した。

そして霊夢も1枚のスペルカードを手に持つ………さっさと終わらせて自分の本当にやりたいことをやろう。 

 

 

「スペルカード 「レッドマジック」!!」

 

「霊符【夢想封印】!!」

 

 

紫色にも見て取れるその紅弾は色々な方向に飛んでいく………だが、それは密集しているものだと分かった。

夢想封印は五色のとても大きな弾幕であった。そしてその弾幕に見とれていたレミリアははっと我に返ると悟った。

自分の負けだと………そのままレミリアの景色は夢想封印の弾幕で覆われていた。そしてそっと目を閉じた。

 

 

ドカーンという音の代わりにピチューンという音が鳴った。締まらない音ではあるがこれでめでたく異変解決である。

 

 

レミリアは床に叩きつけられたかのように羽を使わず重力に身を委ねて落ちていった。

霊夢もゆっくりと床に足をつけると過度な疲労が全身を襲った。そのため腰をおろした。

そして暫しの間、二人は沈黙していた。レミリアがゆっくりと立ち上がると霊夢に静かに言った。

その声はどこか楽しめたという満足感を覚えたばかりの声とよく似ていた。

 

 

「私の負け………霧はもう消しておいたわ。」

 

「そ、ならいいわ。まだだだこねようとするならもっと痛みつけなきゃいけなかったし………」

 

「恐ろしいこと言うわね。まあ、体がいうことを聞かないみたいだけど………」

 

「舐めんじゃないわよ。」

 

 

霊夢は意地を張るように体を起こした。全身ボロボロでかなりのダメージを負っているはずなのだが、

いとも容易く体を動かせたことにレミリアは驚いてため息をつく………

 

 

「全く………貴女は予想出来ないわね。私の能力でも………」

 

「は?どういうことよ。」

 

「私の能力は【運命を操る程度の能力】なの。」

 

「それ使ってたら勝てたんじゃないの?」

 

「私は能力で決まった勝利なんて欲しくないわ。欲しいのは自身の実力で掴み取った勝利よ。

それに貴女相手じゃ能力も思うとおりに発動できなかったでしょうしね。」

 

「はぁ………やっぱり無茶しすぎかな?疲れてきた。」

 

「あら?博麗の巫女ともあろう存在が弱音かしら?」

 

「私はそんなのに縛られて生きたくないから。」

 

「ふふ………やっぱり面白いわ。」

 

「どうも。」

 

「さあ、行きましょう?」

 

「………どこへよ?」

 

「そんなの決まっているだろう?私の執事と逆狩 珀雲の戦いを、よ………」

 

 

だが、この時、レミリアはまだ知らなかった。

 

 

霊夢と戦う前に晴と珀雲の運命を見て【逆狩 珀雲が皆原 晴との戦いで負ける】という運命が………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【逆狩 珀雲が――――に殺される】という運命に書き変わっていることに………

 

 

 

 

晴side

 

 

「草薙剣だと………!?」

 

 

俺は珀雲から飛び出た言葉にただただ耳を疑い、それをオウムのように返すだけであった。

それを聞いて珀雲は面白いおもちゃを見つけたかのように子供っぽい表情をする。

その表情に昔、子供の時一緒に遊んだあの時の面影を感じた。

珀雲はケタケタと笑ったあとにその笑顔のまま、俺のオウム返しを答える。

 

 

「そうさ………こいつは本物の草薙剣だよ。魔理沙の家にあったんだ………ねえ、魔理沙?」

 

「そう、だぜ………」

 

 

霧雨 魔理沙の返事がとても絶望したような声に聞こえた。それもそうだろう。

珀雲と俺との戦いを一から全て見てしまったのだから、それよりも彼女からしたら珀雲の心が分かるのだろう。

俺にも分かる。とても苦しんでいて、助けを求めている。そう………俺は救うんだ。珀雲を………

 

 

 

 

霧雨 魔理沙は今すぐにでも泣きそうな顔をしていた。いや、もう泣いたのだろう。

目の周りが赤くなっている。泣きじゃくった跡であろう………

それを見て珀雲もとても思いつめた顔になる。珀雲にとって霧雨 魔理沙は大切な存在なのだろう………だから、彼女を悲しませたくないというのが彼の表情で読み取れた。

 

 

 

 

そして何か決したように真剣な顔つきになる。さっきまで狂気な笑い声をあげていたときとは全く違い、キリっとしていて、学校にいたときに部活動をしていた頃と面影を重ね合わせた。

そして重々しく口を開く………俺に向けて言おうとしているのだろうが目はこちらを見ていない。

しかし、口を開くとすぐ薄く微笑んでにっこりとこちらに笑顔を向けた。

その顔がとても悲しんでいるようには思えず、それどころか満足しているようだった。

 

 

「さらばだ………唯一の………友よ」

 

 

そう珀雲が言った瞬間だった。珀雲の体が爆発して大量の血を噴き出して珀雲が倒れていったのは………

 

 

俺たちは一箇所から強い力を感じ取ってそこを見た。そこにいたのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂気の笑みを浮かべているフランドール・スカーレットだった。

 

 

 

 

次回予告

 

 

「信、じて………た………よ。」

 

「許さないぜ!よくも、珀雲を………!」

 

「コワレナイ?ナラ遊ボウ!コワレチャダメダヨ。」

 

「フラン。俺はお前を正すからな。親友が気づかせてくれた俺の弱さで………」

 

「違うのが違うのさ………」

 

「復讐するのか?」

 

「な、何を言って………」

 

「過程よりも結果を見てくれよ。」




次回「異変終幕 EXTARSTAGE」
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