東方傷心記   作:咲き人

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どうも咲き人です。今回はタイトルどうりですね。



第三章「春雪異変~春落ち冬昇る~」
其の弐拾「珀雲異変解決行かず!?」


「珀雲なんか知らないぜ!」

 

 

そう言って魔理沙は箒に股がって飛び去ってしまった。場所は博麗神社。霊夢と紫が俺をジト目で見てくる。

俺が悪かったのだろうか?いや、魔理沙が一番知っていても不思議ではなかったのに一番理解されなかった。どうしてなのだろうか………

 

 

 

 

話は数分前にさかのぼる………

 

 

今回も異変が起きた。なんともう季節は春だというのに未だに雪が降っているのだ。

後に【春雪異変】と呼ばれる異変だ。流石に寒さは俺は好かない。だが、それでも異変解決だとはしゃいでいる魔理沙を放っておくのも忍びないのでまたまた仕方なく博麗神社に足を運び入れた。霊夢もこの寒さに行きたくなさそうな雰囲気を醸し出している。

魔理沙は先ほど捕まえたチルノを霊夢の前に差し出し、言った。

 

 

「ほれ、見ろ!最近、氷精が活発的になってる。しかも今は春だというのに雪が降っている。どう見ても異変だぜ!霊夢、さっさと解決しにいこうぜ!」

 

 

だが、依然として霊夢はそれに「あっそ」としか言わない。どれだけ興味がないのだろうか。そしてこたつに置いてある煎餅を齧る。

なるほど。相当出たくないらしい。魔理沙は霊夢のその行動に腹が立っているのだろう。チルノを思いっきり遠くに投げ飛ばす。

チルノ、大妖精。またうちの魔理沙がやらかしやがった。俺の胃がマッハでやばい。今度また何か冷たいものでも奢ろう。アイスって幻想郷にあんのかな?まぁ、かき氷でいいか。最悪作ればいいしね。

 

 

魔理沙は霊夢に怒るという行動さえもできず悔しいのだろう。俺に同意の眼差しを向けてくる。いや、俺が説得するわけじゃないのなら

俺いらなくてもよくね?大体「ヒーローは遅れてやってくるものさ(`・ω・´)」っていうのが外の世界の常識ですよ?まさかそんなロマンが幻想郷にないわけないだろう?ね、魔理沙。っと心の中で質問しているので勿論答えが返ってくるわけもなく、

謎の期待の眼差ししか返ってこなかった。どうしてそんな目でこっちを見るんだ?俺に期待しても特なにもないぞ?

いや、流石に無言も俺が辛い(主に珀雲だったら何かいいこと言ってくれそうっていうふうに見てくる魔理沙の視線が)。

 

 

「霊夢。仕事は仕事。こたつが温かいからといってそれは私情。少しは厳しさを知らないとこの先がつらいぞ。」

 

「でも、温かいものは温かいのよ?出たくないに決まってるじゃない。」

 

「………確かに。実際には俺も入りたいさ。それでもやらなくちゃいけない。」

 

 

珀雲はひと呼吸離してからまたしゃべりだす。

 

 

「………そこの人も期待しているしさ。」

 

「………魔理沙?」

 

「全くだ!そっちが行かないならこっちから………ってやつだぜ!」

 

 

魔理沙はどこかで聞いたことがある台詞をドヤ顔で吐き、霊夢に何にも説得力もなかった俺の台詞をまるで自分のものかのように言う魔理沙さんそれはフラグの一種です。予想通り霊夢ははぁ………とため息をつき煎餅をもう1枚齧りだし、もの噛みながらもしゃべりだす。

 

 

「あんたが私に何の期待をしてんのか知らないけど私は動かないわよ。」

 

「あ~もう!いいさ、霊夢がやらないってんだったら私たちで解決してやるぜ!」

 

「あっそいってらっしゃい。」

 

「~~!」

 

「まあまあ。」

 

 

ミニ八卦炉を構える魔理沙をそっとなだめる。さすがにここでぶっぱなしたら異変どころじゃなくなるからな。

そして俺は多分傍から見れば優しそうな顔をしているのだろうが急に真面目になる。

 

 

「霊夢。どうやら魔理沙よりも怒ってるのがいるみたいだぜ?」

 

「え?」

 

「そのとおりよ。」

 

 

そう言って空間に亀裂がはしる。そして大量の目がこちらを見てくる。更にそこから一人の女が現れる。

八雲 紫だ。彼女は上辺だけ見れば明るい笑顔を霊夢に向けている。が、内面は少しばかりの殺気と怒り。

霊夢のその怠惰という大罪に裁きを下しに来たのか笑みが怖い。そう珀雲と魔理沙の二人は思った。紫は静かに扇で口元を隠し、笑顔を崩さないまま、霊夢に語りかける。

 

 

「霊夢。貴女は【博麗の巫女】なのよ?異変を解決するのも貴女の仕事よ。勿論、それなりの報酬も出してあげるわ。」

 

 

金で釣る気か?できるのかな?霊夢は1万円で一回土下座しかけたからな。ありえなくもない。

だが、今回はこの寒さも相まってあの紫の言葉を鵜呑みにするのか、それとも無視を決め込むのか迷っているみたいだった。

魔理沙も紫の登場に霊夢も動くと思っているのだろう。期待の眼差しを今度は霊夢に向ける。そして霊夢は口を開く。

 

 

「いらないわよ。そんなの。」

 

 

驚愕の一言だった。この場の霊夢以外が驚きのあまり固まっている。霊夢はそんな表情をしている他をほうっておき、煎餅を食べてからお茶を美味そうにすすっている。ブチという魔理沙から堪忍袋の緒が切れたような音が聞こえた………気がする。

だって顔が怖いんだもの。そしてため息をついて俺は襖に腰を下ろし紫に話しかける。

 

 

「どうしたんだ?今度は異変の解決について焦っているように見えるが?」

 

「………今回の異変の首謀者は【冥界】にいるわ。」

 

「!?」

 

 

【冥界】という言葉に俺は顔をこわばらせた。冥界とは死者の魂………つまり霊魂が必ず来る場所。

そこに行けばもしもう一度会うことを諦めた人でさえ会うことができるのだ。俺はそこに行きたかった。

どうしてももう一度だけで良かったからあの声を聞きたいという願いが昔ながらの馬鹿みたいな考えが頭の中から蘇った。

しかし、会えるわけがない。だって10年もだ。【あの人】が死んでもう10年も経っていた。冥界のあとは三途の川を渡り、閻魔の判決を聞き、天国か地獄かに行く。その1サイクルまでに10年もかかるはずがない。そう冥界に【あの人】がいるわけがない。だから別に行くことに楽しみがなくなる。ただそれだけだった。紫の次なる一言を聞くまでは………

 

 

「彼女の名前は【西行寺 幽々子】。【死を操る程度の能力】というとても危険な能力を持っているわ。」

 

「あ、じゃあ俺先抜けた。」

 

「「え?」」

 

 

紫と魔理沙は信じられないかのように思ったことが口に出ている。無理もないだろう。まさかやらないなど言う奴だと思っていなかった

お前たちの問題でもあると思うがな。魔理沙は詰め寄るように聞いてくる。紫もそこまでではないが興味ありげに見てくる。

 

 

「な、なんでなんだぜ!?いや、確かに聞くだけじゃ強そうだけど………」

 

「無理だろ。だって俺達は避ける(すべ)も知らないしな。」

 

「で、でも………そうだ!珀雲の能力を使えば………!」

 

「無理だ。」

 

 

珀雲は簡単にも否定した。理由も簡単にでも説明しておこうか………

 

 

「あのな。俺の能力は簡単に言うと書き換えだ。肉体で受けたダメージを【受けた】という事実を精神に書き換えているんだ。それでダメージがないように見えるが、即死は俺の能力の書き換えが出来ない。」

 

「な、なんでだぜ?当たった攻撃を精神に置き換えるなら大丈夫じゃないのぜ。」

 

「なら魔理沙は俺が精神がボロボロになって廃人になった姿が見たいのか?」

 

「!や、やだぜ………もう………あんあのは………」

 

 

魔理沙の脳裏に蘇ったのは紅霧異変のとき、フランに壊されてしまった珀雲。妙に優しく、珀雲の最期を思わされるようなあの嫌な優しさなどもう見たくない。魔理沙は唇を噛み締め、拳をぎゅっと握る。だが、フランの戦いのときも珀雲は生きていた。そこから魔理沙の頭に矛盾が生じているのが浮かんだ。

 

 

「ま、待てくれだぜ。だったらフランのときは?あの時みたいに一定時間無敵状態になれば………」

 

「そうすると俺は防御だけになってしまうぞ?あと、言っておくがアレはまぐれだ。次もあんなのが起きるとは限らない。そしてついでについでなんだが、フランは俺の心臓を壊そうとしていたのは事実だが、あれは【死ぬ】というよりも【壊す】という行動があったからだ。」

 

「………」

 

 

魔理沙は口ごもる。反論も何もないからだ。やはり珀雲でも死ぬのは怖いのだろう。それにあんな奇跡だって一回起きること自体が奇跡なのだ。二回も起きる方がおかしいというものだ。だが、それでも魔理沙だって同じだ。能力では何にもできない。そう思うとついカッとなってしまい、イライラしてきてしまう。こたつをガンと叩き、魔理沙は怒ったようにぷくーと頬を膨らませて箒に股がって飛び去る。そう言って今回の冒頭の言葉を放って………

 

 

「珀雲なんか知らないぜ!」

 

 

紫は呆れたように珀雲に向かっていう。さっきのようなポーカーフェイスはしておらず、心底呆れているようだった。

 

 

「珀雲………さすがに空気を読みなさい。」

 

「………常に空気を読まない奴には言われたくない。」

 

「………図星だけど、それでも貴方ほどではないはずよ。第一、魔理沙だってそんな回避なんかできるわけないのに魔理沙がやるというのにそれでも貴方はいかないのかしら?」

 

「まさか。またお前の陰謀なんだろうと思って投げやりに返しているだけだ。」

 

「………………」

 

 

紫は珀雲の一言に黙り込む。今回は陰謀というよりは頼み事というような感じなのだが、珀雲が言った【また】というのが気になる。最初の頃………まだ会ってもいないころに自分の気配を気づけた実力がある珀雲からすれば紫が何か考えているのは知っていても内容は分かっていないはず………それなのに【また】というのは紅霧異変のことなのだろうか。確かに珀雲が来てまもなく異変が起き、少し偶然とは思えなくはないがこれは紫の仕業でもなんでもなくただの偶然だ。紅霧異変も裏で取引をしたのは事実だが、レミリアだって相当のプライドの持ち主だ。簡単には話さないはずだ。つまり珀雲はそれ以外のことを指しているのだろうか?そうポーカーフェイスで試行錯誤していると不意に不敵に笑っている珀雲が目に映った。その時、【ある人物】を思い浮かべた。それは遥か昔の過去の偉人とも呼ぶべき存在だった………彼は昔のある人物と同じことを言った。

 

 

「さあ、それはどうかな?」

 

 

まるで心を読んでいるかのように………そして否定しているような表現なのに次に出てきた言葉はまるでヒントを与えるかのように………

 

 

「俺が幻想郷の味方になった覚えはない。俺は幻想郷が外の世界よりましと考えているだけだ。それに………俺はちげーが、幻想郷だって恨まれているじゃないかなー。」

 

 

まるで場違いな言葉だった。幻想郷のことと異変のことは今はあまり接点がないのにも関わらず………だった。霊夢は何がなんだかわからず、珀雲の話を聞いて唖然としている。

だが、紫が珍しく怒り………否、焦っているようなに見える。

 

 

「ま、まさか貴方………」

 

「だから俺じゃないって………」

 

「………知ってはいるのね。」

 

「ああ。それに俺が異変解決しなくても………あ、そうだ。ちょうど今、紫の弱み握ったんだから一つパシリさせてやるか………」

 

「え?」

 

 

紫は驚く。確かに弱みだ。だが、それでパシリとはどういうことだ?本来、どこかに行く気だったのか………それをちゃんと聞くためにゴクリと唾を飲み込み珀雲の話を聞く。

霊夢は以前としてポカーンしている。珀雲は笑顔のまま話を続ける。

 

 

「何、ちょっと汚名を返上させてやろうかなってな………」

 




珀雲の秘密………何なんだろうね。

次回「黒幕登場 1面」
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