「待て魔法使い!正々堂々戦え!」
魔理沙は箒に跨りながら後ろからもの凄い剣幕で走ってくる存在をあざ笑うかのように敵の弾幕を避けながらさらに奥へ奥へと進む。敵は銀色の髪をボブカットにし、黒いリボンを付けている。 白いシャツに青緑色のベストとスカート。さらに2つの刀を持っており、一つは長い剣で一つはそれよりも短い剣を持っている。
「へへーん!魔法使いは前線では普通には戦わないんだぜ!」
「くそ!戦え!」
魔理沙はその言葉に返事もせず、さらに奥へと進み、遂に目的の屋敷を見つける。
見つけたと思った。すると前に水色の和服の着物に同じ水色の妙な形の帽子にさらにその帽子に白い三角形に魂のような何かが描かれているのも付けている。そして白い巨大な帯を腰に巻いており、ピンク色のしだれ桜のような髪をしている豊満な胸を持っていて魔理沙からすれば憧れのような体型をした女性が現れる。その女は紫のようにふふふと扇で口元を隠して薄く笑う。
「貴女ね?私の目的を邪魔する輩は………」
「当たり前だぜ!お前の目的がどうであれ!地上の春をいつまでも止めちゃいけないぜ!」
「それもそうね。でも目的が終わったらちゃんと春が来るわ。」
「今更なんだぜ!目的を達成するまでに遅すぎてあくびが出るぜ!」
魔理沙がしゃべっていると後ろから殺気を感じる。さっき巻いたはずの女だ。
「すいません!【幽々子】様!今始末を………」
「いいのよ【妖夢】………それに女の子が始末なんて物騒なこと言っちゃいけません。この人間の魔法使いさんは私が相手するから貴女は他の人たちを相手してきなさい。」
「はっ!」
妖夢と呼ばれた女は幽々子という女に命令されるとしゃっと消えた。これで2対1の可能性は消えたが幽々子が言っていた【他の人】というワードに魔理沙は引っかかった。もしかして霊夢たちが来たのか?あの後どうにか説得して折れてくれたのだろうか。珀雲も来ているのではないかと淡い期待もしたが、ああ見えて結構頑固だ。どれだけあの紫がお願いしようが彼は自分から折れはしないだろう。
魔理沙は顔を横に振って前の幽々子を見る。そしてその後ろにあるものをみつける。【桜】だ。しかも特大の桜だ。そしてそれの木の枝の部分に魔理沙がここに来るまでに辿ってきた春度がついていた。もしかして咲くのだろうか?あの巨木に満開の桜が………
だが、別段咲いているとは言えないぐらいみすぼらしい姿のままである。………もしかするとこの幽々子という人物はこの桜の木を咲かせようとしているのではないだろうかという考えが頭によぎった………瞬間………
霊夢side
霊夢たちはほぼ無限に続いているのではないのだろうかと思えるぐらい長い階段を歩く訳もなく飛んでいる。そして頂上が見えた時、そこには一人の懐に剣が収めているのを見る限り剣士だということが分かる女も見えた。敵意をこちらに向けているので十中八苦敵だということが分かるだろう。霊夢と咲夜はそれぞれお払い棒とナイフを構えるが
その構えはすぐに解かれることになる。なぜなら目の前にはもう一人………いつの間にか、
珀雲がたっていたからだ。
「二人共さっさと行け………こいつは俺が相手する。」
「「珀雲(さん)!」」
「ふっ………お前らの手をわずらせるほどの敵ではないってことだ。」
「さっさと言いなさい。それに魔理沙にチクるわよ?」
「ははは。やめてくれ。」
「終わったらまた、お話でもしましょうね。」
「今度美味しいお茶の入れ方教えてくれよ。」
「はい!」
そう言って咲夜はとても笑顔になるが妖夢が三人まとめて相手するかのように長い剣で一閃しようとしているのを見て顔を険しくする。だが、その攻撃は………
「無駄だ………」
珀雲が片手を添えるだけで止まってしまった。珀雲以外の全員は驚きのあまり動けなくなっていたが、霊夢ははっと我に還り、咲夜を引き連れて奥の屋敷に行く。
妖夢は剣を取り戻して一旦後ろに引く。どうやら口ほどもあるということを確認したようだ。気合を入れ直したようで目つきが代わり、鋭くなる。
「【魂魄 妖夢】………妖怪が鍛えたこの【楼観剣】と迷いを断ち切る【白楼剣】に斬れるものなど………あんまりない!いざ参る!」
「そうか。なら記憶しろ。記録しろ。二度と忘れんなよ。今日は記念日になる。異変解決の日でもあり、何より………その斬れない物の中に俺が含まれるというお前にとっての最悪の敵が生まれる日なのだからな!」
珀雲は腰に携えていた剣を引き抜く。これは皆さんご存知の【草薙剣】だ。案外香霖堂になかったりする。
それはさておき、妖夢は楼観剣と白楼剣を携えて階段を駆け下りる。珀雲は剣を右手に持ったまま動かない。妖夢は珀雲との差を徐々に埋めていく。だけど、珀雲は一向に動こうとしない。カウンターの構えもしない。あくまで妖夢が攻撃してくるまで不動の構えを貫くつもりだ。舐められているとでも思ったのだろうか、妖夢はギリリと歯を噛み締めながら楼観剣を振り下ろす。だが、皆さんは覚えているだろうか?弾幕ごっこのルール上………剣で斬られても負けではないのである。
ガキンッ!
楼観剣は珀雲の左肩を斬りおろ………せなかった。妖夢は驚きを隠せない。楼観剣は確実に珀雲の左肩に振り落ちたがそこで勢いが殺された。もちろん、珀雲の【肉体と精神のダメージを反転する能力】である。
「どうした?ああ、そうか………あんまり斬れないんだったなぁ!」
「くっ!」
妖夢は悔しそうに後ろに後退する。だが、ただ下がったわけではなく………
「幽鬼剣【妖童餓鬼の断食】!」
スペルカードの発動を邪魔されないために下がったのだった。
このスペルカードはどうやら妖夢が自身の最高速で走り抜け居合い切りをする際に放たれる斬撃が弾幕として飛び交うものらしい。その程度と身構えたがされどこの程度といった具合で徐々に避けられる範囲を狭めていっている。そしてこれが本命というか妖夢自身が居合いの構えで突進してくる。珀雲は仕方なさそうに懐からスペルカードを取り出し、剣先に付け発動する。
「愛しき痛みよ。それ即ち孤独の印。構う者全て愛しき光。
珀雲のスペルカードに警戒していた妖夢は剣を構えながら敵がどのような行動をするか観察していた。だが、一向に変化は起きず、珀雲は笑いながら佇んでいる。その笑顔に腹がたったのだろう。こちらは真剣勝負をしているつもりなのにどこまで馬鹿にしているんだあの男は!といったぐあいだろう。妖夢はもはや我慢の限界をゆうに超えてしまい、敵がどのような行動をするかもわからずに無闇に突っ込んだ。
その行動を見て、珀雲はニヤニヤと笑うだけだった。
次回「辻斬り危機一髪 5面下」