東方傷心記   作:咲き人

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どうも咲き人です。


其の弐拾陸「辻斬り危機一髪 5面下」

珀雲が使ったスペルカード戀傷【どうして見てくれない?】は主に弾幕を出す技ではなく、剣の性能を変化させるスペルカードなのだが、実はそれだけではなく………

 

 

妖夢が弾幕を周りにまき散らしながら迫ってきても焦らないのは自身の能力があるのとスペルカードを発動中だということなのだが、ニヤニヤと笑っている時点がその目論見がバレバレなのだが、妖夢は気にしない。というかイライラが募りに募ってそんな考えなくても分かるものも取り敢えず「斬れば分かる」みたいな感覚で来ている。相当怒りで何もかも見えなくなってしまうタイプの残念系少女だ。

 

 

妖夢の一撃が横に振られる。その一撃を下駄で抑え、その威力を反動として後ろにバク転する。だが、容赦はもらえず妖夢はまだまだ突進を続ける。その一撃とその一撃から放たれる弾幕を笑いながら回避する。

 

 

 

 

妖夢side

 

 

何故だ?何故当たらない?自分は確かに人と相手して戦ったことが今までなく、自分のプレーを鏡として相手を想像し作り上げイメージトレーニングしてきた。だが、この男は剣士でなかったとしても少なくとも剣を持っている身だとするならばパターンも少しは自分動きは似ていてもおかしくはないと思っていた。なのに、全然違う。なぜこっちの攻撃を剣で防がない?なぜカウンターができたとしてもおかしくないタイミングも何もしてこない?まさか私を試しているとでもいうのだろうか?

 

 

一撃………

 

 

ケタケタと笑いながら回避する。

 

 

また一撃………

 

 

ケタケタと笑って以下略。

 

 

だが、なぜかその笑い声は徐々に周りからも聞こえてくる。はっと我に還ったときにはもはや、この【白玉楼】へと続く階段もひどく歪み、亡霊たちも何故いつものあの明るく優しい笑顔ではなく、狂気の笑みだった。恐ろしいという感情が溢れ出てくるようだ。だが、これは【弾幕ごっこ】………まさか亡霊どもが襲いかかってくるということはないだろう。そして肝心のあの男なのだが、ケタケタとは笑ってはいないが、嫌な笑みを浮かべている。

 

 

 

 

珀雲side

 

 

妖夢が下がり、やっとこさこちらのスペルカードの変化に気づいたらしく、警戒を強める。珀雲は笑いながらも剣を妖夢の前に突き出し、構える。次はこっちの番と言わんばかりの行為で妖夢は更に微塵たりとも緊張の糸を解かないほどの覚悟を決めている。

 

 

珀雲が途轍もない速度で妖夢に襲いかかる。いつの間にか左手に持ち替えていた草薙剣を横に振りかぶる。妖夢は白楼剣で弾き、反動で少し体が後ろに飛ばされるがすぐさま体制を立て直し、楼観剣で斬りかかる。その攻撃は草薙剣でガードする。妖夢の反撃が早すぎたためか珀雲の剣から鈍い音がなる。剣が壊れてもおかしくないような聞いてて気持ちの悪い音がなる。これは珀雲の顔も笑顔ではなくなる………つまり、圧倒的優勢ではなくならせることができると妖夢はそう踏んだのだろう。にやりと笑った。だが、笑ったのは妖夢ではなく、珀雲であった。

 

 

「クハハ!勝ったとでも思ったかぁ!?」

 

「何!?」

 

 

妖夢は目を疑う。目の前にいたはずの珀雲がいつの間にかいなくなっていた。それに答えるように珀雲は笑いながら言う。

 

 

「後ろだよ。」

 

「っ!」

 

 

妖夢が後ろから声をかけられ慌てて振り向く。だが、振り向いたときには珀雲はいない。そしてまた後ろから寒気を感じる。そう………

 

 

「だから後ろだって。」

 

 

ばっと振り返っても後ろから感じつこの寒気は拭えない。珀雲の笑い声が後ろからだけではなく、全身に響くように聞こえてくるようだ。その笑い声が聞こえなくなると珀雲が前に出る。

 

 

「このスペルカードは背景だけでなく、性格さえも歪める。今回は『ヤンデレ』ってやつだ。」

 

「ヤン………デレ?」

 

「言わば好きな奴を執拗に追ってくる奴。」

 

「わ、私のことがすすすす好きってこと………!?」

 

「いいや、全然。むしろ大っきらいだけど?」

 

 

妖夢の目はよけい痛くなる。殺気の質や量が明らか増えている。ただ珀雲は撤回しない。だって事実だ。それに他に好きな人がいるのにこんなこと知られたら本当にヤンデレになってしまうのではないだろうか?と危惧しているのだ。内心冷や汗をかきながら妖夢が何か言いたげな表情をしていたので質問を聞く。

 

 

「だ、だったとしても私の背後に一瞬で移動したのは………?」

 

「いっただろ?ヤンデレは執拗に追ってくる奴(ストーカー)だって………このスペルカードのもう一つの効果だ。あれは俺にではなく、剣の性格を歪めるものなんだが、俺の剣が特殊でな。俺もさっきみたいになっちまんだよ。剣というのは持ち主以外に好敵手(ライバル)にも好意を持ってしまうもんでな。それでもう一つの効果ってのが、惚れた相手の常に後ろをとるっていうものだ。」

 

「え、えっと………」

 

 

妖夢はまだ何か言いたそうにしている。理解できなかったのだろうか………それとも別の質問があるのだろうか。そのまま待っていると………

 

 

「じゃあスペルカードの時間制限が過ぎたってことですよね?」

 

「え?」

 

「だってそのさっきみたいな感じではありませんし………」

 

「………ヤンデレっていうのはな………「図星でしたよね?」

 

「………う、」

 

「う?」

 

「うっせえええええぇぇぇぇ!勝ちゃいいんだよおおぉぉぉ!痛符【モアペインスパーク】!!!」

 

「ええええぇぇぇ!?」

 

 

ピチューン!!

 

 

という音が木霊する。珀雲の気恥ずかしさの隠しの十八番攻撃で妖夢は気絶する。さすがに酷すぎたなと後悔してポリポリと頬をかく。

 

 

その時、突如として屋敷の方から爆音が聞こえた。そして後ろから声をかけられて慌てて振り向く。晴だった。驚かすなとだけ言って屋敷へと飛んだ。晴はやれやれと肩を落とし両手を上に上げわざとらしい手振りをしつつ珀雲のあとについていく。

 

 

 

 

 

 




珀雲のスペカ恐ろしす。


次回予告

「私は咲かせたい。この見事な桜を………」

「自分の考えと他人の考えをごっちゃにすんだったらそれじゃあ外の世界の社会では生きていけないな。」

「お前が見ている光景が全てと考えているからこそ、お前は負ける。」





「おっさんがいなかったら危なかったね。」

「あんた………どっかで会ったことないか?幻想郷でじゃなくて………外の世界の方で………」


次回「墨ヘト染マレ(アヤ)シイ桜 6面上」
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