東方傷心記   作:咲き人

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どうも咲き人ですん。


其の弐拾漆「墨ヘト染マレ妖シイ桜 6面上」

幽々子が扇を目の前にいる魔理沙に向けてかざすと、後ろから突如としてそれと全く同じ形、模様の扇がスクリーンに映っているかのように現れる。そしてその扇から紫の蝶と青色の蝶のような弾幕が交互に飛んでくる。魔理沙はその弾幕の特殊な形に惹かれつつも箒を魔力で稼働して回避する。だが、蝶型の弾幕は一向に尽きず、地面にぶつかって爆発している。その威力のせいで地面に近い位置には飛ぶことができず、案外危なく、怖いのだ。魔理沙が箒に体をくっつけるみたく体制を低くして弾幕を回避する。非常に言いにくいことなのだが、ここぞとばかりに胸が少し、若干、普通の人よりはほんのちょっとだけ平たくて助かった。幽々子は必死になって自分に向かって戦いを挑んでくるただの人間に興味津々のようだ。

 

 

 

 

幽々子side

 

 

自分が幽霊………亡霊と呼ばれる存在になったときの記憶しかなかったが………その時から自分と対等の立場、または自分を慕ってくれる存在しかいない。いわば恵まれた存在だったと思われた。自分が生前のときから知ってくれている【八雲 紫】………昔から西行時家を支えてくれた魂魄家………その中でも自分をまた生前の時から知っている【魂魄 妖忌】。その孫娘で幽霊になってからの自分しか知らない【魂魄 妖夢】。この三人に支えられて生きてきたためか、【敵】という存在がまるでいなかった。そして今回の異変でやっとこさそれを見ることが出来る。会うことができる。といったように異変の目的以外にもこういう欲求にも囚われていたのだった。敵がどのように自分と戦うのだろうかという興味が沸いていたのだ。無駄な抵抗でも抗う姿を見てもし、もし逆転する糸口があちら側には見出されてしまうのではないだろうかというドキドキ感があったのだ。

 

 

幽々子がはっと気づくと魔理沙は箒にしがみついてはおらず、土台にして立っていた。そして右手には妙な【魔道具(マジックアイテム)】を持っていた。何かしてくれる。というワクワク感も同時に吹き上がる。魔理沙はそれに左手をかざし、器のように支える形にして、幽々子に向かって構える。そしていつの間にかスペルカードがその魔道具の前へと落ちてくる。そして魔理沙は高らかにこう叫ぶ。

 

 

「恋符【マスタースパーク】!」

 

 

マスタースパーク………縮めてマスパは直線的に幽々子へと飛んでくる。幽々子もこれを喰らったらすぐにゲームオーバーだと分かったのだろう。幽霊らしくふわりふわりと避ける。だが、見た目のわりには威力やスピードが無い気がすると思っていると、魔理沙が持っている魔道具から壊れてしまいそうな嫌な音とともに黒い煙が吹き出し空を漂う。幽々子はもう興ざめしてしまったのだろうか………もうこれ以上あちらのエンターテイメントには期待できないとわかってしまったのだ。

 

 

 

 

魔理沙side

 

 

「亡郷【亡我郷 -宿罪-】」

 

 

幽々子の後ろの扇が怪しく光りだす。そしてそこからさっきの蝶の弾幕たちも飛んできたが、また別に黄色と青色の弾幕が交互に飛んできた。魔理沙は右手に持っているミニ八卦炉を見る。プスプスと何かが焼けた音が聞こえてきてはいるが、無茶をしなければ倒せない敵だと考えているため、多少の犠牲は仕方ないという結論に至る。

 

 

魔理沙は意を決してミニ八卦炉を箒の大型の筆状や刷毛状部にミニ八卦炉をセッティングする。そして魔理沙の魔力が箒に伝導してミニ八卦炉へと充填される。そしてマスタースパークの威力が箒の本来の行動力に更に掛け算のように倍増されていく………そして魔理沙は1枚のスペルカードを取り出す。

 

 

「彗星【ブレイジングスター】!」

 

 

通称:突進。だが、後ろのミニ八卦炉から放出される星型の弾幕も一応はある。突進攻撃が外れたとしても一応は相手はこっちに迂闊には攻撃が出来ない。幽々子は扇で口元を隠し、少しにがそうな顔をして魔理沙の奥にいる人物たちを見る。魔理沙はとっくのとうに気づいていた。そう………紅霧異変のときも自分一人だけでは解決できなかった。それは今回も同じだ。

 

 

「【博麗の巫女】………それに【悪魔のメイド】………」

 

 

知らない人もいると思うが咲夜は【妖々夢】のときの二つ名は【悪魔のメイド】で、ほかの咲夜が自機として出てきた作品での二つ名は大体【瀟洒な従者】なのである。

 

 

「遅すぎるぜ。」

 

「悪かったわね。」

 

「まあまあ。それにしても魔理沙が苦戦するとは………やはり相当な輩なのね。」

 

「あらあら。異変解決者という人たちかしら?」

 

「そうね。いい加減春度とかいうのを集めんのも止めてもらいにきたわ。」

 

「そっちの魔法使いさんにも言ったけれど、目的が達成すれば元に戻るわよ。」

 

「こんなことをしている奴の言うことを鵜呑みにする方がバカバカしいというものね。」

 

「そう?まぁいいわ。私はこの………【西行妖】を咲かせればそれで………」

 

「そのでっかい桜の木がどうしたってのよ。」

 

「この桜はね。1度も咲いたことがないの。だから私は咲かせたい。この見事な桜を………ね。」

 

 

幽々子の後ろの扇の輝きが更に増す。魔理沙はもちろん、霊夢と咲夜もさっきまでの魔理沙との戦いを見ていたために魔理沙以上に警戒を強める。

 

 

「亡舞【生者必滅の理 -死蝶-】」

 

 

またもや蝶のような弾幕が弧を描き、更には色とりどりの弾幕と大きく円を描くように飛んでくる。三人一同が思ったことはたった一つだ………

 

 

 

 

綺麗だ。

 

 

 

 

死に様というのは綺麗で儚く散ってしまうものだ。一瞬の出来事………そしてその体は二度と起きないという人間という運命のレールの上に立たされた以上の終着点。絶対に回避できない奇跡。それだからこそ、美しく散るというものが色んな物語でも重要視されていたりする。

 

 

だが、はっと我に還ったときには遅かった。弾幕たちはもはや魔理沙達がよけられないほどの距離にまで近づいていた。直感で死への感情が蘇る。紅霧異変のとき、狂気に染まっていたときのフランの殺気を込めたあの目に睨まれたときのような絶望感。目の前から希望の光がみえなくなるようなあの苦しみが一瞬で脳内に刻み込まれた。

 

 

 

目を自然と閉じてしまった。死を受け入れる準備をしてしまっているのだ。

 

 

その時だった………

 

 

あの時のように一筋の希望が見えたかのようなあの温かい気持ちになる。そおっと目を開ければいつもの笑った顔が見える。

 

 

「息災かな?魔理沙………」

 

「本当に期待した時にしか出てこないんだぜ!もう………」

 

「俺もいるぜ。うちも暖房用の薪がきれそうなんでな。」

 

「晴!」

 

 

珀雲と晴の登場は幽々子にとっても予想外だったのだろうかギリギリと悔しそうに歯を食いしばる。そしてもう一度ポーカーフェイスを装って扇で口元を隠す。

 

 

「また増えた。私は桜を咲かせたいだけだというのに………」

 

「それが全てだと決めつけんな。自分の考えと他人の考えをごっちゃにすんだったらそれじゃあ外の世界の社会では生きていけないな。」

 

「それもそうだな。お前が見ている光景が全てと考えているからこそ、お前は負ける。」

 

「ふふふ………言ってくれるじゃない。やってみるがいいわ異変解決者さんたち。」

 

 

そう言って持っている方の扇を高く挙げる。すると後ろの方の扇も怪しく光りだす。

そして大量の弾幕が飛んでくる。全てが全て、触れればゲーム的にも人生的にもゲームオーバーになってしまう。だが、さっきのような絶望感は漂っておらず、希望という名の自信が溢れ湧き出ている。

 

 

珀雲が先に動く。幽々子に急接近し、直接攻撃するつもりなのだろう。右手にも左手にも黒いオーラを纏い、両手をかざし、珀雲の十八番技が放たれようとしているまさにこの時、幽々子は扇で珀雲を仰ぐ。

 

 

「な!?」

 

 

見た目ただの扇のくせに珀雲の体重さえも軽々しく、浮かせられるほどの勢いの風を吹かせた。そして珀雲は体の自由が効かなくなり、屋敷の奥へと更に飛ばされる。

 

 

「珀雲ぉ!」

 

「俺よりも前をみろ!」

 

「くそ!」

 

 

吹き飛ばされてしまった珀雲に目がいってしまい、弾幕に当たりそうになる。

 

 

 

 

珀雲side

 

 

珀雲が地面に足をつけられた場所は枯山水の庭であった。ここにはお茶などが置いてあり、彼女たちの私生活が分かるような特別な空間であった。だが、珀雲がここに足をつけたのは自分の力ではなかった。謎の人物に背中を支えられていたのだ。その男を珀雲は見たことがあった。あの紅霧異変が終わって直後の宴会で博麗神社から見た人里にいた人物のうちの一人であった。警戒するという言葉よりもまずはじめに珀雲が口に出した言葉はそんな警戒を装う言葉ではなかった。

 

 

「おっさん………」

 

「おっさんがいなかったら危なかったね。」

 

「おっさん………あんた………どっかで会ったことないか?幻想郷でじゃなくて………外の世界の方で………」

 

「さあね?おっと、おっさんの名前は【ヴァルガン】よん。まぁ、おっさんと呼んでくださいよ。さて、さああっちに行くんじゃないのかい?」

 

「あ、ああ………いや、待てあんたは………あんたとは………」

 

「あはは、お久しぶり、珀雲の坊や………」

 

 

この男は長い髪を真ん中の辺りでゴムバンドで結び、顎は無精ひげが渋く、チャラい男らしさを醸し出している。そして最後のヴァルガンの一言で珀雲は何を思ったのか、何も言わずに弾幕が飛び交う、あの場所へと飛んでいった。

 

 

男はずっとニヤケ顔ではあったが、少し懐かしそうに珀雲を見ていた。するとズドンズドンという音ともに巨体を忙しそうに動かしている人物が現れる。この男も珀雲がヴァルガンを見たときに一緒にいた人物であった。

 

 

「ヴァルガン………どうだ………?」

 

「ん~ん。やっぱり覚えていてくれてたみたいだ。おっさん嬉しくて涙でちゃいそう………」

 

「なるほど………ヴァルガン………涙脆い?」

 

「………まぁね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の甥っ子との感動の再開なんだから………」




最近咲夜さんとか、みょんみょんとか書いたんだけど案外あれ写し絵もきついよね。主に書き終わったあとの手の汚れが………


次回予告

「人が手を加えた桜は」

「桜ってのは花びらだけじゃなくて」

「桜一本咲かせるためだけに」

「本当に桜に思いがあるのだったら」

「いくら桜が綺麗な色だとしても背景は」




「「「「「お前の負けだ。」」」」」

次回「墨ヘト染マレ妖シイ桜 6面下」
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