異変が解決されたと同時刻の白玉楼にて………
その前から紫は境界から珀雲たちの様子を伺っていた。そして珀雲が幽々子の扇で吹き飛ばされたとき、不意にそちらに意識を向けた。するとなんだろうか………意図的に力を抑えて見つからないようにしている輩達がいた。そこへ移動しようと思った瞬間、珀雲がそこから飛んでくる。その時の珀雲の目はどこか無理にでも意識を幽々子に向けようとする緊張しているような目をしていた。誰がいたのかはしらないが、恐らく幽々子が迎えたという【客】と呼ばれていた奴らなのだろう………早速【
そこには長い髪を後ろで紐で結び上げ、実際年齢よりも年老いたように見える無精髭が第一印象としてわかる。その男は朱色の羽織のような服を羽織り、その中にはピンクのワイシャツをして黒のベルトを腰に巻いている。そして黒のズボンの膝辺りはダイヤの形でピンク色の宝石のようなものが埋め込まれているといった不思議な服装だ。この幻想郷では中々見られない奇抜なファッションだ。
そしてその男の傍らにいる男は身長は主観で約2Mぐらいの大男で顔は鉄仮面のようなものをつけており、中は光る眼光だけが見える。そして藍色のような色をした鮮やかな色の鎧を纏い、とても重そうな印象を受ける。何やら話をしているらしい。盗聴などはこの能力はもってこいだ。
「ヴァルガン………涙脆い………?」
「そりゃ………ね。自分の甥っ子との感動の再開なんだから………」
聞いてつい声を張り上げそうになった。この男が珀雲の叔父!?さっきの珀雲の目の真意はそういう意味だったということだったのか………と納得する。男たちはまだ話している。
「でも………計画………大事。逆狩………珀雲………………利用、する。」
「………」
今度は男は答えない。珀雲を利用するという言い方に嫌なひっかかりがあるということなのだろか………まぁ、自分で感動の再開と言っているぐらいなのだからそうなのだろう。
紫が一度目を閉じた。瞬きした。その瞬間だった。あの男がいつの間にか手ぶらだったはずなのにも関わらず弓をこちらに構えている。何故だ!?これでも気づかれる要素の境界は最小にまで引き下げたというのに………だが、これほどのことで狼狽えるような八雲紫ではない。しゅるしゅるとスキマから出てくる。
「………八雲 紫ちゃんだよねん?いちお、おっさんはヴァルガンっていうんよ~。」
「そう………私まで知っているということはあなたたちが幽々子を操ったのかしら?」
「ノンノン!おっさんは関係ないって………そりゃぁ悪さもしていないわけじゃないけど………」
「やはり貴様………」
「どうしてそうなるの!?」
紫はヴァルガンの言葉に返事もせず、問答無用だと境界を開き、攻撃してくる。紫色の弾幕の密度は生半可なものではなく、殺す気でいるのがばればれだが、隠す気もない。ヴァルガンは必死に避けているように見えるが、見た目の割にはとても機敏に動いており、息も整っている。紫はこの程度では済まさないといった勢いのまま1枚のスペルカードを取り出す。
「結界【
ヴァルガンを外すように二つの大玉が発射される。
すぐに大玉は破裂し、一方はヴァルガンを狙いにするように変化した米粒弾を乱射してくる。 もう一方は大量の楔弾を発生させた。
「おいおい!おっさん死んじゃうって!」
少し陽気そうに言っていてどこか余裕そうな表情だと伺える。その顔に腹がたったのか、紫のスペルカードが終わると同時にもう1枚のスペルカードを取り出し発動する。
「結界【
ヴァルガンを狙う大きい弾幕が発射されると同時に、ヴァルガンの位置に使い魔を設置される。ヴァルガンの位置に設置された使い魔は周囲に小弾をまき散らしながら消滅していく。 そのため大きく動きつつ避けることを強いられてしまっている。
つまり、大きく避けないと被弾してしまう。だが、一か所で細かく避けても被弾する。
まさに動と静の均衡が取得のカギとなっているのだ。
ヴァルガンはスペルカードの名前どおりだということが分かっているのだろうか、紫の周囲を回りながら弾幕を避けつつ、どうやら反撃に出るようで弓を構えている。
「今度はこっちの番ってね!弓符【シール・ロビンフット】!」
ヴァルガンのスペルカードが発動した瞬間、ヴァルガンの弓が緑色に変化する。そして放たれた矢も緑だ。紫は境界に入り込み、別の場所から現れる。矢が刺さった場所からは大量の蔦や雑草のような小植物が絡まっている。
紫は考えた。恐らく彼の能力で撃てる弓矢の種類が変えられる。それならば人を操作できるような矢も撃てるのではないだろうか?外の世界では少し前【恋のキューピット】なるもの話が存在していた。今やそれも忘れ去られているように思えるが………それと同じことができるはずだろう………やはりこの男は自分と似ている………嘘を平然と言い、ポーカーフェイスで表情を隠し、自分という存在の中身を悟られたくないがために悟らせないためにおどけたことを言い少しだけ話題を変え、それを錯覚させないようにするという他人からすれば………というか自分しか楽しめない性格なのだ。いくら同じ性格だとしても馴染めない。そんなことよりもこいつは敵なのだから馴れ合うなどという甘えはない。
紫は一度頭を横に振って敵を見る。こちらの位置を特定し、着実に当てにいっている。
まだ、この程度なら………
グッ!?
紫はいつの間にかすぐそばにまで来ていた蔓が左腕に絡んでおり、引っ張られスキマから落とされる。
「何!?」
「~♪」
「くっ!やはり卑怯者が!幽々子を操ったのは貴様だな!」
「おいおいそんなことしていないって………」
「言い訳なんて聞いてなんかいない!」
「全くもぅ………
一旦黙ろうか………」
!!!
大量の怒気に圧される。どう考えてもただの人間が放てるものではない。これが、敵………ヴァルガンという存在なのだろうか………
これほどの実力があるというのならもう容赦はいらないだろう………
「結界【
ヴァルガン自体は狙わずわざと外す大きな弾幕と、広くばら撒かれる小弾を同時発射される。2回ずつ撃ち、それが何回にも渡って起きている。 大きな弾幕は軌道上にレーザー光源を設置し 放たれたレーザーは格子状に交差し、ヴァルガンの動きを封じようとする。 このスペルカードで放たれる弾幕は全て赤色の弾と青色のレーザーで構成されている。赤色は光、青色は闇のイメージともとれる。
ヴァルガンはわざとキョドったふうを装いながらも網目の間へと入り、一時期の安全地帯を有効的に活用してこのスペルカードを突破する。
そしてスペルカードの時間が終わった瞬間にヴァルガンはポケットから1枚のスペルカードを取り出し発動する。
「弓符【シール・ジークフリート】」
発動した瞬間にヴァルガンの弓矢は約20cmの鏃になる。何をしてくるのだろうかと紫が見ているとすぐにソレは放たれた。さっきのヴァルガンの怒気以上の念が込められているようなそんな覇気を持ったまるで王者の威厳のようなあの勢いの強さがその矢にはあった。紫がまたスキマに逃げようとした瞬間に何かに引っ張られる覚えがある。さっきの蔓だ。そして矢が触れる寸前に1枚のスペルカードを発動する。
「
ストレートに進む米粒のような小さな弾の列状に発射しつつ、カーブを描くような大きな弾幕を全方位に展開するスペルカードのようだ。
ちなみにだが、罔両とは日向と日陰の間(紫の操る【境界】)に現れる薄い影のことだ。
それらの弾幕とヴァルガンの放った矢が衝突する。だが、この勝負に勝ったのはヴァルガンの放った矢だった。かのジークフリートという勇者は約20cmの鏃で敵を打ち倒したのだ。それが凄いことだということは分かるであろう。その矢に恥じぬ名であるヴァルガンの矢はその真っ直ぐに紫に向かって飛んでいく………
紫はさっと体をひねり、矢を回避する。紫はスキマでの移動ばかりでいつも寝ているような印象があり、全然動けなさそうな雰囲気があるが実際は一般人以上には動ける。さすが妖怪とだけはあるが、今の攻撃を回避するのは至難の技だったろう………
「俺は………おっさんはヴァルガン=アンチハント………狩る者を逆に狩る者だ。」
逆に狩る………その言葉は聞いたことはないが、珀雲の苗字である【逆狩】とはそういう意味であったのだろうかと一瞬思考してしまうが、敵をもう一度睨みつける。
紫は思ってもみなかっただろう………ヴァルガンの隣にいた人物がどっかにいったこともまたしかり………
珀雲の身にも【異変】が起き始めていることに………
ヴァルガンの元ネタがわかる人はテイルズファン。
次回予告
「逃げさせてくれないのかしらん?」
「私の友人を操った罪………その身にとくと味わいなさい!」
「全く………焦っちゃなんも成功しないよ?」
「くっ!」
「お遊びはここまでだ………」
次回「狩ルト狩ラレル境界デ EXTRASTAGE下」