東方傷心記   作:咲き人

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どうも咲き人です。


其の参拾肆「宴会=異変 ④」

前回の直後に家に帰った珀雲はバタンと布団に倒れ込むと死んだようにぐっすりと眠った。朝起きれば魔理沙がにっこりと笑いながら話しかけてくる。

 

 

「おはようだぜ!」

 

「ん………ああ、おはよう。」

 

「ふふん!今日の料理は自身があるぜ!」

 

「そっか。期待しとくよ。」

 

「おう!任せろ!」

 

 

今日もなんだかかんだと言っていつもどうりな日々になると思っていた。そう、あの時、までは………

 

 

もう一度博麗神社に出向いてみた。今度こそ異変の首謀者を探さなければいけない。皆には不審に思われているだけでまともにこんなことをしているのは俺だけであろう。そしてどうやら霊夢は外出のようだ。珍しいなどとそう思っているともう一人が俺の後ろに現れる。晴だった。なんであろうか………どことなく変な雰囲気を感じる。

 

 

「晴か………どうしたんだ?」

 

「お前こそどうした?珀雲。」

 

「ちょっと気になることがあってな………そっちは?」

 

「ああ。三日おきに宴会が開かれるのが少し奇妙に感じたからな。まあこれをレミリアとかに言ってみたんだが、聞いてくれなくてな。」

 

 

晴はベラベラと自分が思っていることを語りだす。昔からこんな性格ではなかったはずなのだが………そう不思議に思っていると晴も聞いてくる。

 

 

「お前は?」

 

「大体同じだ。犯人がわからない以上どいつもこいつも怪しく思えてくる。」

 

「全くもってそのとおりだな。」

 

 

………………二人の間に静寂が流れる。

 

 

「なんだお前………今日なんかおかしいぞ」

 

「おかしいのはどっちだ」

 

「俺がおかしいねぇ………晴はそんなこと言わないぜ。」

 

「俺がおかしいなんぞ珀雲は言わん。」

 

「俺はおかしくないし、偽物でもない。」

 

「お前に意見を言う権利はない。おかしいかは俺が決める。偽物かも俺が決める。」

 

 

………………再び二人の間に静寂がながれる。

 

 

「このわからず屋ぁぁぁ!」

 

「うるせえぇぇぇ!」

 

 

二人は走り出す。足並みは殆ど同じタイミングだった。珀雲は右こぶしに【痛み】を纏わせ、晴は時を止める。だが、珀雲が以前やったように痛みで時止めを打ち破る。バリンと白黒と化した世界が壊れながら………色のある世界が現れ、二人はさけぶ。

 

 

「晴ぅぅぅ!」

 

「珀雲ぉぉぉ!」

 

 

二人のこぶしが衝突し合う。その衝撃は幻想郷中を震撼させた。こぶしの激突によるショックで二人は吹き飛ぶ。格闘攻撃をしてはいるが、世界のルールは【弾幕ごっこ】。二人は一人に集中して攻撃するような弾幕を放ち合い、相殺し合っている。休む暇もなく、別の場所に一瞬のうちに移動して殴り合いが始まっている。右拳、ストレート、上段蹴り、踵落とし、etc………どの攻撃も双方の体には届かず、お互いの攻撃がぶつかって相殺され、決定打にはならない。その時だった。お互いのこぶしがお互いの頬を思いっきり殴り吹き飛ぶ。口に溜まった血を吐き出す。もはや二人のイケメンフェイスは見事に腫れあがり、ドラマのワンシーンのようになってしまっている。それでも戦いが終わるわけではない。むしろ始まったばかりなのだ。

 

 

二人は懐から1枚のスペルカードを取り出し発動する。

 

 

「符の壱【生贄の痛み(ダメージ・オブ・サクリファイス)】!」

 

「符の壱【ノンストップトレース】!」

 

 

珀雲は大量の紫の弾幕を生み出し、それ全てを一つに纏める。そしてそれは強大な一つの小さな弾幕に凝縮される。それを放とうとした瞬間、珀雲は気づく。晴も同じ弾幕を持っていることに………トレースとは複写行為のことである。それがノンストップということはつまりそういうことかと珀雲は納得する。

 

 

なら、複写(トレース)が間に合わないぐらいの速度で放てばいいだけだ。

 

 

とでも思っているんだろう………だが、甘いぞ!

 

 

 

 

全ての弾幕たちが衝突し合う。決して地面などには当たらず、全てが全て敵の弾幕に当たる。殆ど休みのなく、終わらない速度で発射され続けられている。珀雲と晴の消耗は殆ど同じくらいなのだが、一向にやめない。そしてやっとこさ、行動が起きた。

 

 

なんと珀雲がスペカを止めてしまったのだ。この行為には流石の晴も驚いているがだからといってトレースも終わるわけではない。一度複写したものを何度も複製し続けているだけなのだから………だが、その攻撃が当たったとしても珀雲は表情を変えない。珀雲の能力で精神にダメージがいっているのだが、それでも堪えない。そして何発かダメージを喰らった後、ついに晴のスペルカードの時間は終わる。

 

 

だが、晴のスペルカードが終わった瞬間、少しだけのクールタイムの隙をついて珀雲が動く。まずは大振りではあるが、上顎に確実に一撃を加えた。思わず能力を使おうとしているが、上顎にダメージが来ているため、頭が命令を出していても体がついていけない。晴の体が自然と後ろへと後退する。すかさず腹パンを喰らわす。更に空いているもう片方のこぶしで顔面を殴る。だが、この一撃は腹パンでふらついていたのか首のあたりに当たる。どちらにせよ………痛いことと当てられては支障をきたす部分なのだが………晴はたまらず、スペルカードを発動する。その瞬間に珀雲もスペルカードを発動する。

 

 

「符の弐【止まりゆく振り子】!」

 

「符の弐【降誕の痛み《ダメージ・オブ・ザ・アドベント》】

 

 

珀雲のスペルカードからは白色の弾幕が放たれる。だが、さっきのスペルカードとは真反対で最初は小さな弾幕だったのだが、徐々に拡大していっている。それらが周囲を飛び散り、散弾銃のように飛んでいく。晴はそれを回避しつつ、スペルカードが発動するのを待っている。

 

 

そして晴のスペルカードが発動した瞬間、左右からウエーブのような弾幕が触手のようにべタンベタンと叩きつけるかのように動き回る。その姿は醜いが振り子ととっても良いだろう。そしてそれを避けているとそれらの動きが徐々に遅くなっていく………そう思ったのも束の間、触手のような弾幕は破裂して、もっと小さいサイズになって飛び散る。とても小さいため、躱すのは至難の技だ。

 

 

まず、足元に弾幕が来て咄嗟に後ろに下がろうとするとすぐに弾幕が飛ぶため、回転しながら飛ぶ。弾幕を躱し、地面に足をつけた瞬間、大きく海老反りをする。そしてその時に弾幕の位置関係を確認すると海老反りをしているまま、顔に横に手を地面につき、その時の勢いで足で地面を蹴り、跳ね除ける。すぐさま猫背になって後ろからくる弾幕を回避し、着地した反動で少しバウンドする。そして最後に通過した足元に飛んできた弾幕も回避する。片手を地面に擦りつけ、勢いを殺し、晴を見る。

 

 

「俺は戦いを好む………まるで鬼神のようにな。」

 

「そうか………なら俺は鬼子母神のような人想いの存在だ。大切なものを守るために怒る。」

 

 

なぜ彼らがこんなことを言ったのかは恐らくここに周囲に人がいればなんのことだかさっぱりであろう………だが、二人は笑っていた。愉快に………そう………とても愉快に………ましてや、【彼女】のことなんてどうでもよさそうに………

 

 

「さあ!見せてやるぜ!弾幕はパワーで言葉は凶器だ!覚えておけよ!生きた中で【最も】痛い一撃をお見舞いしてやるぜ!符の参【モストペインスパーク】!」

 

「下らない時の流れも俺の手にかかれば地獄行きの特急列車に乗ることになる!さあ、止まれ!お前の心の鼓動さえも!符の参【ストップアース】!」

 

 

 

珀雲の巨大な閃光と晴の周りを隆起や空へ飛んでいる地面が急にとまり、それらが敵に向かって飛んでいく。衝突しあった瞬間に勝負は始まっていた。

 

 

二人はさらに二枚のスペルカードを取り出し、発動していたのだ。

 

 

「どんな痛みさえも亡者が受けた全ての激痛には敵わない。今こそ混沌は地獄の底から這い上がり、先人達の痛みの強さを重さを現世(うつつよ)に知らしめろ!激痛【ネクロペインスパーク】!!!」

 

「覇者の如き煉獄に耐え百戦錬磨を繰り広げし猛者たちの歴史其れ即ち時よりの軌跡也。そんな時さえも凍り付く冥府の扉!今ここに混沌を生じよ!最期【ストップライフ】!」

 

 

禍々しい黒と紫の閃光と心臓のようなものが止まり、それが破裂し、大量の弾幕が衝突し合う。

 

 

ゴゴゴゴゴゴ………

 

 

という爆音というよりも地鳴りに似た音が聞こえてくる。流石に妖精も妖怪も近づこうとするもの好きはいなかったであろう………一人を除いて………

 

 

煙が巻き上がり、やがて二人の姿が周囲から確認できるようになる。二人は片手を交差しあい、合図を交わしあって笑っていた。

 

 

この戦いは引き分けで終わったのである。

 

 

 

 

「「ククク………あははは!」」

 

「いや~中々本気で楽しかったよ。」

 

「ふっやっぱりお前とは決着が着かないみたいだな。」

 

「永遠にそうなるといいな。そして………」

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「お前が犯人だな。」」

 

 

 




次回か次々回でこの章終わるね。

次回「宴会=異変 ⑤」
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