「なぜ………分かったんだい?」
女は二人の姿をしっかりと見据えながら桜の木から降りてくる。やはりそうだ。珀雲が以前見つけたあの女だった。やはりかと思いながら珀雲は女をジト目で見る。その姿には皮肉にも子供のように見えるが実はその内に秘めた力があるはずだとは思っていたが、目の前で目の当たりになったとこにより、更にこの少女の強さが見えてくる。珀雲のその視線に気づいたのか少し頬を紅く染めてからかう。
「おや、そこのお兄さんはこの体に興味があるのかい?」
「馬鹿か。俺がガキが嫌いなんだ。」
「あはっはっは!そうだよな!そういう感じだっていうのは知っていたよ。」
「なら誘おうとするな。ガキが見栄張っているように見えるぞ。」
「ククク………いや、手厳しいねぇ………」
少女はポリポリと手を後ろに回して頭をかいている。
「さて、話題を戻そうか………どうして私があんたたちを見てるってわかったんだい?」
「簡単に言えば、先に信頼出来る者には話をつけており、暗号化させながら情報交換してたってことだ。」
晴はそう言って珀雲を見る。珀雲は何もアクションをしなかったが少し笑ったように見えた。それを感じ取るとふっと笑い、話を続ける。
「さっきの『なんだかおかしい』なら『犯人が近くにいる』ってところだ。速攻で考えたから聞いてて疑問に思うことは多かったろう?」
「そうか………さっきまで言ってた『鬼神』や『鬼子母神』はすでに私の正体を教え合っていたということ。」
「そういうことだ。結構理解するの大変なんだがな。」
「うるせー。こういうのは苦手なんだ。」
珀雲は目を細めてそう言う。かなり恥ずかしかったようで少し頬が紅い。少女はなるほどと頷き、持っている瓢箪から酒らしきものをグビグビと呑んでいる。どう考えてもサイズの差があまりなく、珀雲も晴も口をポカンと開けている。
「どうしたんだい?ああ、これ呑むか?凄く美味いぞ。」
「いらねえよ。それよりも俺らはお前を取り敢えず、ぶっ飛ばそうと思って来ただけだ。」
「そうかい。まあ分からんでもないと思うけど私は別に悪いことは一つもしちゃいないよ。」
「本当か?」
「鬼は嘘を嫌い、又嘘をつかない。」
「それが本当かどうかよりもお前は何が目的で宴会を開かせている?」
「これも鬼にとっては当たり前のこと。楽しみたいからさ。なんたってようやく春が来て宴会が始まったのにもう終わろうとしていたからさ。何回も味わいたいからあ~ゆ~のをやったんだよ。異変なんて大げさだと思うし………」
「誰も異変と思っていない異常の出来事こそ異変なんだ。」
「私からすれば正常だ。皆楽しそうなんだしいいじゃないか。」
「初日から疲れるんだよ。それが何回も続いてたまるか。」
「………どうやら相容れないみたいだね。本当に………【昔から】。」
「………またそういう話か。お前の知っている奴と俺は違う。」
「いいや、違わないさ。言っていること全く同じで聞くだけ懐かしい。」
「お前………俺が誰かに似てるなんてありえないんだよ。俺はオリジナルだ。俺は唯一だ。俺は無二だ。俺は誰でもなくて一である。一で有り続ける。個である。個だ。個なのだ!なぜならなぁ………俺は俺だからだ!」
「そうだな。誰か似てるなんて言う奴は人を見ていない奴だ。誰もが違うんだよ。自分の感性で物事を決めるな!」
「全部………全部………似てるよ………だからこそ今こそ【リベンジ】する!この【伊吹 萃香】の名にかけてなぁ!」
次回【宴会=異変 ⑥】