珀雲と魔理沙は人里に足を踏み入れていた。魔理沙自身は親がいる里などには行きたくもないのだが、あの親の性格上、人との付き合いが苦手なため、あまり外に出ても一瞬でわかるからすぐ逃げられると理解しているから悠々と珀雲とのデートを楽しむのであった。
ある程度楽しみ、団子屋で三色団子をたくさん食べた後に一つ気になる家を見つけた。昔ながらの字で幻想郷に来た当初は珀雲はとても見にくそうに目を細めていたが今にしては懐かしい過去だと笑い飛ばせるものだ。そしてそこには【寺子屋】と書かれていた。珀雲はそこで団子をほおばっている魔理沙に質問する。
「寺子屋?なんだこんなのもあんのか。」
「んあ?ああ、らしいぜ。私は行かなかったけどな!」
「知ってる。」
「なんだ君たちは?」
と言って寺子屋から一人の女性が現れる。腰まで届こうかというまで長い、青のメッシュが入った銀髪。頭には頂に赤いリボンをつけ、六面体と三角錐の間に板を挟んだような形の青い帽子を乗せている。この帽子は赤い文字のような模様が描かれている。
衣服は胸元が大きく開き、上下が一体になっている青い服。袖は短く白。襟は半円をいくつか組み合わせ、それを白が縁取っている。胸元に赤いリボンをつけている。下半身のスカート部分には幾重にも重なった白のレースがついている。長い。
彼女はおとしやかさそうな顔で言う。勿論だが見ない顔だからこそ少しだけ警戒しているようだ。
「俺は逆狩 珀雲。」
「私は霧雨 魔理沙だぜ。」
「珀雲に魔理沙かわかった。私は上白沢 慧音。見たとおりで寺子屋の先生をしているよ。それにしても【霧雨】?ということは霧雨道具店の娘さんか?」
「うぐっ。」
意表をつかれたように魔理沙はギクリという効果音とともに後ろに下がる。その姿に珀雲と慧音は薄く笑っている。
「いやいや安心してくれ。あの人は見つけたら教えろなんて言わないからな。でも、こうは言ってたぞ?」
「ん?」
「
「……」
魔理沙はすごい剣幕でここにはいない父親を睨む。あの馬鹿親父めとでも思っているのだろうか。その表情は余計なお世話だということがひしひしと伝わって来るが慧音はそれを無視して一つ提案した。
「そうだ!なら君たち今日はもう少し後から始まるのだが(寺子屋が)そこで先生をしてみないか!」
「「……」」
「今日は体調を崩してしまっている人がいて人手が足りないんだ。このとおりだ!」
「~~~っ……しかたない。」
「仕方ないぜ~。」
数十分後……
「皆、今日は臨時で二人の先生が来ている。逆狩 珀雲先生と霧雨 魔理沙先生だ。皆よろしくお願いしますって言うんだぞ?」
慧音がそういうと皆声をそろえて「よろしくおねがいしま~す!」といった。とても元気が子共のようだ。魔理沙は元気で非常によろしい!などと言っているが珀雲はとても不機嫌だ。第一子供が好かないのだ。
別室で授業が開かれる。慧音は二人の様子を見ている。魔理沙のほうは魔法についての勉強をしているようで聞いている子供たちもとても楽しそうに質問したり、周りと話し合っている。慧音の授業ではこうはならないからこそ、色んな授業を受けているときの子供たちが見れて慧音は満足しているようだ。ところで珀雲の方はというと……
「……で、ここの計算は……っと。」
「珀雲せんせーなんでそうなるのー?」
「指で数えてみろ。手と足の指は20本だ。そのうちにここの答えはある。」
「ありがとーせんせー。」
「……当たり前のことだ。皆、一つ言っておかなければいけないことを言い忘れていた。」
そのひと部屋が静まり返る。どうしたのかと慧音がじっと見つめる。
「先生とはこうかく。」
といって教卓の紙に筆で【先生】とかく。
「先に生きている者という意味だ。昔から人は口伝と呼ばれる物で歴史を語り継いできた。こういう紙ができてからはそれに書くように……人は人へと何かを教えて生きていく。これが無限に続く。これこそが外の世界で言うサイクルというものだ。ちなみにサイクルは複数の動作を一連に結びつけることだ。言わば書道の基本と同じだ。少し話がずれたか……まあ何が言いたいかと言うとお前らもいずれ
珀雲の論文のような語りは少しゆっくりだった。だったからそこ皆は集中し、真面目になって聞いていたことだろう。慧音は驚いた。さっきまで子供が嫌いだから本当はこんなことやりたくないっと言っていた人間が言うことではないと……立派な先生をこなしているではないかと。
珀雲は少し疲れたのかひと呼吸おくと笑顔で
「以上だ!」
と言う。すると子供たち全員が「ありがとう」と言った。どうやら珀雲の言いたいこといは無事伝わったようで満足していた。そして景気づけともう一つ話をすることにした。
「皆はこの土地がどんな場所か知っているか?」
「「「げんそーきょーでしょ?」」」
「そうだ。だが、それ以前を知っているか?」
「「「?」」」
そこで慧音が割って入る。
「幻想郷が出来る前はここは人里があって、妖怪たちがうようよ襲いかかってきていたんだ。それを見かねた幻想郷の管理者は博麗の巫女とともに【博麗大結界】を作ってその中には信頼できる妖怪のみを結界に入れたんだ。」
「へえ~。」
と子供たちは納得したようだったが、珀雲は何やら不機嫌そうだ。
「すまない。割って入ってしまって……」
「違う。」
「え?」
「その歴史は少し違う。」
「なっ!?」
慧音は驚愕する。子供たちは何がなんだか分かっていないようだった。
「確かに最後の方はあっていた。しかし、そんなに昔に人里はなかった。」
「なかった!?そんな……」
「話を聞け。人里はなかったが妖怪は跋扈していた。そしてここは【ある一族】の集落があってこことは少し別の離れたところにあった。そこの一族の名は【逆狩一族】……まあ本来は違うが……聞いたとおりにやばい名前に妖怪たちも恐れてあまり近づかなかった。いや、もの好きは相当きたらしいが……兎に角妖怪は襲わなかったし、当然そこの人たちは名に恥じない強さを持っていた。だからこそ幻想郷の管理者はこの逆狩一族に話を持ちかけた。幻想郷に住んでみるか?とな。だが当時の集落の長は断った。こんなうまい話をな。ここから大人の話だから子供はここまでだ。授業も終わりだ。さあ帰った帰った。」
慧音は口をぽかーんと開けて呆然としているが、子供たちは珀雲のことをひどく気に入った様子でまた先生してねと言われた。魔理沙はもうすでに子供たちを帰していて最後の方を聞いていたがあの秘密を言うとはと半ばやれやれといった感じで頭を振っていた。
しばらくして慧音が我に返り話の続きをきこうとしている。魔理沙は既に聞いたことのある話だったので横に座って珀雲に寄りかかっている。
「さっきの話の続きだったな。うまい話を断った話だが……こう言ったらしい。『俺はそんな場所に行きたかねえ。夢物語だとか笑っているわけじゃねえ。俺はこの場所が好きだ。だが、もっと大切なモンがある。それは【命】と【傷】だ。俺たちはどうせ死ぬ。これからのことなど知る由もない。だからこそ、幻想郷なんていうものができたら見てやる。だが、そこには住まねえ。ここがここじゃなくなるからなぁ。ここは常に妖怪に襲われ、人が怯え、妖怪を楽しむ。人間が言っちゃなんだがこうじゃなきゃいけねえ。だから今の俺らに平穏はいらねえ。今の俺らは大黒柱を作り上げる最中なんだ。いずれ俺らの子孫がそこに住む……かもしれねえな。はっはっは!』」
「……なんというか……君の祖先とは思えないぐらい別人というか凄い人物だ。」
「俺もそう思うぞ。」
「あ、話終わったのぜ?」
「ああ、そろそろ帰るか。」
「いい経験になったよ。また来てくれ。」
色々と凄いけど実はまだ晴クンの秘密はばらしてないのよねぇ~☆彡
次回「湖で釣りをするだけの話」