「お嬢様!大変です!」
咲夜が慌てて主の間に駆け込んできた。突然の咲夜の慌てようにこっちがびっくりするわと言わんばかりにレミリアは座っていた椅子がずり落ちるが、何事も無かったかのように座り直す。
「どうしたのかしら?」
「は、晴からこのようなものが……」
そう言って咲夜がレミリアの机に置いたのは一通の手紙であった。そこには【
『これを見ている頃には多分俺はどこにも見当たらないだろう』
……と。
咲夜に慌てて問いただす。
「晴は!?」
「そ、それが探したのですが……」
咲夜は俯く。それは案にいないということを指していた。一体晴に何があったのだろうかとレミリアは驚きが隠せず、手を震わせながら手紙を見た。
『八雲 紫が珀雲が行方不明になってしまったと言った。恐らく外の世界にいると言われたので探しに行ってくる。ほんの一晩すれば何事も無かったかのように帰ってくるだろうからあんまりオーバーに悲しまないでほしい。それとレミリア……こんな無茶な要求をしてしまったお詫びとしてはなんだが【俺の秘密】を語ろうと思う。』
「!?」
『俺は……いや、皆原家は昔から地位が高い位の家柄だった。昔で例えるならば貴族……といったところだろうか?まあ、それはいい。問題はそんな家にも【ある時期】があった。貧困の時期だ。家が潰れてしまうといったところまで堕ちるに堕ちてしまった。今も……まあ無事上がってこれたとは言いにくいが……取り敢えずだ。その時は敵対しているお家が多すぎたんでな、誰も助けてくれなかった。もう終わりだと思ったそんな時に神の威光のように一筋の光が差し込んできたんだ。それが……【逆狩一族】……その時はもう【逆狩家】だったけどな。』
「……」
『影ながらに援助してくれたおかげでなんとか持ち直すことができたんだ。当然感謝した。いずれこの恩は返すとまで約束した。だが、皆原家はその後からまた堕ちぶれていってしまったんだ。』
自分を卑下するような言い分も理解でき、納得してしまうほどに晴がこの手紙に込めた感情が強かった。
『約束も忘れ、恩人の家に泥を塗って暴力をふるい、友人の精神を壊しやがった。だが、珀雲は俺だけには教えてくれたんだ。このことをな。俺は知ったとき、泣いてしまったんだ。嬉しさのあまりな。苦しいことが一瞬で過去になったような気分だった。だから俺はあいつを助けに行く。一族の約束だけじゃなく……な。だから……』
躊躇うように書かれている最後の文一体何が書かれているのかと恐る恐る見てみると
『帰ってきた時、怒るのだけは勘弁な(ゝω・´★)』
「……はあああああ!?」
「お、お嬢様!品が……」
「な、なんだこの手紙~!」
といって怒ってしまったレミリアは手紙をビリビリに引き裂いて周囲に散りばめた。レミリアは怒りがまだ収まらないのか紅魔館で数少ない窓から月を見る。何やら異変を感じる。
「咲夜。」
「はい。」
「貴女はあの月……どう思う?」
「満月としか……」
「いやな感じがするわね。逆狩 珀雲が消えた。晴がいない。そしてこの月のおかしさ……妙な胸騒ぎを感じる。今は夜……咲夜行くわよ異変を解決しにね。」
「お嬢様の仰せのとおりに……」
次回「零か壱かの絶対」