この話ではグリューネシルトの登場はまだ先になります。まだ繋がっていません。マユカでませんすいません。
そして主人公の本妻ポジもまだ出てないという…早く出したいなぁ…
――ある日、世界は《連結》した
突如として開いた
世界はそれぞれ青の世界、黒の世界、赤の世界、白の世界と区分されている。
青の世界、地球
黒の世界、
赤の世界、テラ・ルビリ・アウロラ
白の世界、
この繋がりが、
異能――
ある者は身体能力が飛躍的に向上し、またある者は超能力じみた不思議な力を使える様になった。これらの異能は総称して《エクシード》と呼ばれ、世界接続後に一部の少女達に目覚め始めた。そんな異能を持つ少女達を《プログレス》と呼ぶ。
だが決して少女達だけが異能に目覚めた訳ではない。少年達もまた、異能に目覚めていた。その力は少女達が目覚めたもの全く違うものであるが、彼女達の持つエクシードを強化、支援し、サポートする役目を担うものだ。彼らの総称をαドライバーと呼び、今のところプログレス達よりも少ない希少な存在だ。
そんな少年少女達の育成のために一つの学園が創設された。
それがここ、青蘭学園なのである――
「それじゃあお兄ちゃん、私こっちだから」
「おう。気をつけてな」
学園の門を潜った後、千尋は学園の中等部へ向かうために一旦別れた。慎司は軽く返事をしながら手を振り、微笑みながら見送った。
その後慎司は竜斗達と共に高等部へ向かった。
「それにしても竜斗。今日は遅刻せずに済んだんだな。達臣苦労したろうに」
ニヤリと笑いながら竜斗にしゃべりかけた。それを聞いた竜斗は心外とばかりに慎司につっかかった。
「しっつれいな! 俺が本気出したら早起きくらいなぁ!」
「目覚まし10個使用しても全くの無反応。全力で起こすために俺が気合を入れてぶん殴った事をもう忘れたのか馬鹿竜斗」
「すいません達臣様のおかげで目が覚めました」
さっきまでの威勢は何処へやら。達臣の気迫に押され縮こまってしまった。そんな達臣は深い溜息を吐きながら項垂れ、それを見た慎司は肩にポンッと手を置いた。
「達臣、今日ドルーパーズで新作の試食会あるからさ。それと何か奢るから元気だせよ…」
「お前だけだよ、俺の苦労わかってくれるやつは…」
そう言いながら再び溜息をつく。このやり取りも何度したことか…そう思わずにはいられない慎司と達臣。そんな二人は竜斗に目を向ける。当の本人は頭を掻き毟りながらけらけらと笑っていた。
ああ、もうコイツの気楽さがたまに腹が立つ…! 心の中でそう思わずにはいられない二人だった。
「何か二人の目が怖いような気がするんだけど…?」
「その原因に気がつかないお前はすげぇよ…」
※ ※ ※
場所は変わり、ここは高等部1年生の教室。中では生徒達がわいわいと賑わい、話に花を咲かせていた。
そしてその中で、一際機嫌良さそうにフンフンと鼻歌を歌いながら本を読んでいる女の子がいた。頭には角、背中に蝙蝠の様な翼を生やし、大きなリボンで髪の毛をツインテールに結んでいる。
「~♪」
頬杖をつき本のページをめくる度、彼女の笑顔が増していく。まるで何かを楽しみにしながらワクワクしている子供の様で、見ていたらとても微笑ましく見えた。
その女の子が想いに浸っている時だ。後ろから近づいて来る別の女の子の姿があった。その女の子は一言で言えば妖艶。そして全ての女の子が羨むであろう抜群のスタイルを持っていた。特に胸部はボタンが今にもはちきれそう…その女の子がゆっくりと歩み寄り、本を読んでいた女の子に話しかけてきた。
「はぁいソフィーナ。何だかすごく機嫌が良さそうじゃない?」
「ん…? げっ!? リゼリッタ…」
本を読んでいた女の子…ソフィーナは話しかけられると、思いっきり顔を引きつらせた。その顔を見た女の子…リゼリッタは面白いものを見つけたと言うみたいにニヤリと笑っている。
「げっ、とは失礼しちゃうじゃない? ただ貴方に話しかけただけだというのに…」
「アンタが絡むとろくなことがないってわかってるからよ…」
「あら嫌だ、照れちゃうわぁ♪」
「褒めてないわよ!?」
先ほどまで鼻歌を歌うほどの機嫌の良さが一変し、憤慨しながらソフィーナはリゼリッタに吠え掛かった。そのリゼリッタはそんなこともどこ吹く風、口元に手を当てながら笑っていた。
自己紹介が遅れたが、まず憤慨している子がソフィーナ。そのソフィーナの様子を見て笑っている子がリゼリッタだ。二人は共に黒の世界、ダークネス・エンプレイス出身の悪魔。幼い頃からの知り合いであり、腐れ縁だ。
そしてソフィーナは『理深き黒魔女』とも承されるほどの天才でもある。魔法、学問はトップクラスで、次期黒の世界の女王になるとも噂されている。
そしてリゼリッタは…
「ふふ。あら? ソフィーナ、貴方の後ろに…」
「何よ? どうせトカゲか何かがいるっていうんでしょ? その手には乗らない…」
「なーんてね。これなーんだ?」
「へ? んぎゃぁ!? 蜘蛛ぉ!?」
ソフィーナが後ろに振り向き気を取られてる間に、用意した蜘蛛を眼前にさっと近づけて驚かせるリゼリッタ。ソフィーナは蜘蛛を目の当たりにし、大絶叫を上げた。
そう、リゼリッタは大の悪戯好きなのだ。それも結構性質の悪い。彼女の悪戯の毒牙にかかったものは数知れず、悪戯の天才といっても過言ではない。後は毒薔薇作りと毒精製が得意。…こっちの方が重要だ。
「あはは! やっぱりソフィーナはからかいがいがあって面白いわぁ♪」
「あ・ん・たねぇ~!!」
ソフィーナはギリギリと歯を食いしばりながら涙目でリゼリッタに詰め寄った。そんなソフィーナを見たリゼリッタは満足げにお腹を押さえながら笑っていた。
二人はいつもこんな感じでやりとりをしている。だが間違っても仲が悪いわけじゃない。これもまた彼女達の接し方の一つだ。傍から見るとそんな風には見えないが…
二人がぎゃいぎゃい騒いでいた丁度その時、教室のドアが開き、千尋と別れた慎司達が教室へと入って来た。最初に教室へ入って来た慎司はソフィーナ達に気がつくと、手を振りながら声をかけた。
「よっ、ソフィーナ、リゼ。おはよう」
「ふぅー! ふぅー!…あ、あら…慎司じゃない。おはよう」
「慎司、おはよう♪」
「とりあえず聞こう。何があったし」
息を荒くし、肩で呼吸をしているソフィーナ。そして満足気に笑っているリゼリッタを見て慎司はなんとなく察しがついたが、一応聞く事にした。
「リゼリッタが悪戯しかけた、私が驚いてこうなった。OK?」
「YesYes。問題ないわかった」
「ふふ。意思疎通できていいわね二人とも♪」
「「うっさいわ」」
「あたっ!?」
慎司とソフィーナの手刀がリゼリッタの脳天に見事にヒット。痛みに悶絶してリゼリッタは頭を押さえながらその場に蹲った。いたた…と頭を擦り涙目になる。ソフィーナはふんっと鼻を鳴らしながらツンとなり、慎司は溜息をついてリゼリッタの前にしゃがみ込んだ。
「お前も懲りないよなー…ブレないというか何というか…」
「そう言いつつ心配してくれる慎司が好きよ♪」
「はいはい。ありがとさん」
慎司は適当に返事を返しながらリゼリッタの頭を撫でると、リゼリッタは満足気に笑いながら気持ち良さそうに目を細めた。まるで猫みたいだ。
そうやってリゼリッタの頭を撫でながら、慎司はソフィーナにも話しかけた。
「ソフィーナも災難だったな。今週だけで何回目だっけ?」
「今日で通算36回。新記録達成よまったく…」
「ごくろうさん」
「ソフィーナよっす。まーたリゼリッタに悪戯されたのかー?」
慎司がソフィーナに労いの言葉をかけた時、後から入って来た竜斗達が会話に交じって来た。竜斗はニカッと笑いながらソフィーナに話しかけると、ソフィーナは溜息交じりに返事を返した。
「そうよ、通算36回の悪戯ね。はぁ…バカ竜斗のお気楽さを少しでもいいから分けてもらいたいわ」
「っておい!? それって遠回りに俺のこと馬鹿にしてるだろ!?」
「それがわかってるなら自分がおバカだって理解してるんじゃないのかしらぁ?」
「リゼリッタこの野郎ぅ!?」
ソフィーナに軽く馬鹿にされ、リゼリッタには弄られ、竜斗は憤慨した。だがそれを見た慎司達は声を出して大笑い、それでますます竜斗は憤慨する事となった。
こんな感じだがソフィーナとリゼリッタは慎司達とは仲が良く、いつもつるんでいるほどだ。特に慎司とは青蘭学園入学前に交流があり、その事もあって慎司はリゼリッタの事を『リゼ』と愛称で呼んでいる。三人がどの様にして知り合ったかは、またいずれ語るとしよう。
そしてまだもう一人、このメンバーとよく交流がある女の子がいる。
「…ん? 風が…」
笑いも収まり落ち着いて来た時、窓からふわっと風が吹いた。普通なら気にしないのだが、その風が段々と強くなってきた。風が吹く窓の外を見てみると…
「いやぁぁぁぁあっ!? 止めて止めて止めてぇぇぇぇえっ!?」
「げっ!? 美海!? 竜斗、出番だ!」
「は? 出番って――」
慎司がとっさに窓際へ竜斗を移動させると、その真正面に女の子が突撃した。竜斗の顔面に女の子の膝がクリーンヒットし、その勢いで竜斗は思いっきりぶっとばされるとそのままゴロゴロと転がり、教室の机や椅子が散乱した。当の竜斗はピクピクと痙攣しながらうつ伏せになっている。周りの生徒が唖然としながら見つめている中、慎司は突撃した女の子の前に立ち手を差し伸べた。
「よっ。今日も派手な登校の仕方だな。美海」
「いたた…あ、慎司くんおはよう。またやっちゃった」
そう言いながら慎司の手を取るこの女の子の名前は日向美海。慎司達の友人の一人だ。
彼女の能力。エクシードは風を操る力を持っている。そのため朝は必ずと言っていいほど飛んで登校してきているのだが…いかんせんコントロールが悪く、いつも着地が失敗している。だが失敗にもめげずいつも元気なところが彼女の魅力だ。
「相変わらずぶっとんでたなー。いつもこんなんでよく怪我しないもんだぜ」
「あ、ジョージ。えへへ、そこはどうにか」
「まったく…エクシードのコントロールをちゃんとしないからこうなるのよ?」
「はぁい美海♪」
「ソフィーナちゃんにリゼリッタちゃんもおはよう! 達臣くんも」
「おっす。まあ見慣れたな、この光景も」
美海は立ち上がると、えへへと笑いながらソフィーナ達に挨拶した。そんな美海を見ているソフィーナも不思議と笑いが込み上げてくる。これもまた美海の魅力なんだと…
「っておぃぃぃぃいっ!? いきなり何すんだよ!?」
「あ、竜斗くんおはよう」
「お。復活した」
先ほどまで床に転がっていた竜斗が目を覚まし、絶叫を上げながら起き上った。美海は竜斗を見て挨拶するが、竜斗は美海を無視して目をギラギラさせながら慎司に詰め寄った。相当ご立腹みたいだ。
「慎司ぃ! こうなると分かってて俺を窓際に移動させただろ!?」
「ああ。反省もしないし後悔もしない」
「いや反省も後悔もしろよ!? そして俺に言う事があるだろ?」
「………」
慎司に掴みかかるとまるでマシンガントークの様に言葉を並べる竜斗。そして竜斗の言葉を聞き考える素振りを見せながら慎司は押し黙る。そして意を決したかのように竜斗に向かって一言。
「今日もブレーキ役お疲れさん!」
「ふっざけんなぁぁぁぁあ!?」
満面のスマイル+サムズアップを竜斗に向ける。そのせいで竜斗は更に絶叫、おまけに涙目だ。
今朝の一件もあり今の慎司に情けは一切ない、心なしか達臣もすっきりした様な表情になっていた。これで少しは二人の気持ちも晴れたのかもしれない。
そして竜斗はこの後も慎司を涙目で睨みつけるが、これ以上は無駄だと判断したのか盛大な溜息をついて項垂れた。元気が取り柄の彼もさすがにこれは堪えたみたいだ。そんな竜斗に美海が心配そうに声をかけた。
「えっと…竜斗くんごめんね?」
「あーうん。別にいいって、いつものことだからさぁ…」
「おー…竜斗らしからぬ顔になってる」
乾いた笑いと笑顔をみると思わずドン引きしてしまった。さすがにやり過ぎか? と内心思うが、この光景も日常茶飯事。だからみんなは特に気にする事はなかった。
「ほらほら竜斗。いつまでも項垂れてないで元気出せって」
「うっせー達臣。お前は受けた事ないからそんな事が言えるんだっての」
「俺は受けたくないからな。竜斗が適任だ」
「「激しく同意♪」」
「達臣とソフィーナとリゼリッタが酷い!?」
ソフィーナ達も周りに集まり、そこからわいわいと騒ぎ始めた。大半が竜斗弄りだったが…その竜斗も次第にいつもの調子を取り戻していき、いつの間にか笑顔になった。なんだかんだで仲がいい、とてもいい事だ。
…と、ここで話が終わったのならよかったのだが…そうは問屋が卸さない。
「貴様ら騒がしい…って、またお前達か! おバカ軍団が!」
教室の扉がガラッと開くのと同時に女性教師が顔を覗かせると、すぐに慎司達を睨みつけた。慎司達の担任の先生だ。慎司達は目をギョッとさせながら固まるが、先生は気にせずずかずかと教室に入ると、慎司達に近づいてきた。
「日向美海。理深き黒魔女ソフィーナ。毒夜の闇薔薇リゼリッタ。葛木慎司。結城達臣。世良竜斗。毎度毎度騒いでよく飽きないな…昼休みに教育指導室に来い! こってり油を搾ってやるからな!」
『ゑっ!?』
「これは同情するぜ…ま、頑張れ」
「サポートPAO、貴様もだ。連帯責任で受けてもらうぞ」
「なぁっ!?」
さすがにこれは冷や汗を流さずにはいられない。6人全員+1体は引きつった笑みを浮かべながらその場で突っ立っていた。
青蘭学園は今日も平和です。
次回は第2風紀委員メンバー出したいな。その前にバトル!