IS学園、第1学年。
彼女らは、学園で最も忙しい生徒である。
たとえば、授業。ISについての法律など、ISに関連する社会的知識は全て第1学年のうちに教えられる。更に数学や英語なども、高校生である以上学ばなければならない。
たとえば、物品購入。企業か国家に所属している生徒は既に持っているから関係ないが、他一般生徒はISでの実習が本格的にスタートする初夏には、学校指定のものではなく自分用のISスーツを買う。ISスーツは水着と同様身体にフィットするからサイズ選びが容易ではなく、更にデザイン、着心地、自分が好んで乗る訓練機との相性なども考慮すれば、なかなか要望通りの品が見つからない。
たとえば、ISの実習。これまた企業・国家所属の生徒には関係ないが、一般生徒はISを起動させた経験など、入学試験と適性検査の他には数えるほどしかない。着脱、歩行、飛行、武装の展開など、パイロットとして形になるまでに、色々と時間がかかる。
たとえば、学校行事。全学年が参加する学園祭、各学年が行う全員参加の学年別トーナメント、専用機持ちと一部の優れた生徒のみではあるがキャノンボール・ファスト。第1学年にだけある、臨海学校。そして、クラス対抗戦。第2学年から上では年によってまちまちだが、大体半々ぐらいで普通科と整備科になるので、2クラスで対抗戦をしてもおもしろくないとの理由で、クラス代表対抗戦は第1学年のみの行事となっている。
第3学年は各企業からスカウトが来たりして違う意味で忙しいだろうが、これは個人の話なので置いておく。
俺が千冬さんにホームルームの時間をもらってまでクラスメイトの前に立っているのは、この第1学年の忙しさを伝えることと、1年1組に危機感を持たせたいためである。
「というわけで、私達はものすごーく忙しい」
「はい、ブルックスさん。私にはそんなに忙しそうに見えないけど」
鷹月が挙手をしてそういった。他クラスメイトも何人かがうんうんと頷いている。
「それはお前らの危機感が足りないからだ。こんだけの行事と授業が詰まってるこのカリキュラムが暇そうに見えるやつらは全員自主退学しろ」
ホワイトボードに投影された俺自作の行事予定表(情報元:虚さん)を見ても忙しさがわからないやつらは危機感どうこうの問題ですらない。
「専用機持ちの織斑とオルコット以外は、訓練機を予約しないとIS操縦の練習すらできない状況なんだぞ? 訓練機の数も限られているし、お前ら真面目にISパイロットになる気あんの? あと整備科志望だからって甘えんなよ、ISを乗りこなせないやつなんかに、いい武装も装甲もシステムも作れない」
俺がきつい言葉で言うと、鷹月はすごすごと手を下げた。
「IS学園に入るのがゴールじゃない。むしろここはスタート地点だ。気が緩んでるやつがいたら締め直せ」
「ちょ、ブルックスさん……言い方きついぞ」
「織斑も黙っててもらおう。それじゃ、前置きはこれぐらいにして、本題に入る。この行事予定表で一番近い行事はなんだ? オルコット」
「……クラス対抗戦、ですわね」
「その通り。まあ名前の通りの内容で、出場するのはクラス代表の織斑。試合形式は普通の模擬戦。4クラスの総当たりで、勝敗でポイントを付けて、ポイント順で順位を付ける」
勝ったら3ポイント、負けたら0ポイント、ないと思うけど同時にエネルギー0になった場合は引分で1ポイントが加算される。全勝で9ポイント、全敗で0ポイント。そう更識に聞いた。ちなみに更識は昨年時点で既にロシア代表だったので、更識はこれには出ていないそうだ。
「千冬さん曰く、素人に毛が生えた程度のひよっこに差なんてないらしいけど、これの結果でクラスが優遇されたりするんだよ。たとえば訓練機貸出やアリーナ貸切の優待、IS射撃訓練場や整備室の優先使用が優勝賞品だからな。ああ、副賞に寮のカフェのスイーツ半額パス半年分がついてくる」
俺の言葉に、教室がどよめきだした。こんだけの優勝賞品があってやる気にならないことはないだろう。女子なら大抵甘いものは好きだろうし。
「まさかここまで聞いて、織斑ひとりに頑張らせようとはしないよな?」
「ブルックスさん、質問いい? 手伝いたいとは思っても、何を手伝ったらいいのかいまいちわからないんだけど……」
「そうだな、織斑は近接格闘の経験が少なすぎるから、もし中学で剣道とかしてたやつがいたら打鉄かテンペスタを借りてきて相手をしてやるといい」
「他には?」
「あのなあ……お前ら、IS学園の生徒だろ。自分で考えろよ」
織斑後ろの自分の席に座る。
こうやって焚き付ければ、IS学園に自力で受かるような人間なんだから、反骨精神でもって、自分で動くだろう。後は何かあった時に、どうにかすればいい。
「ブルックス、もういいのか?」
「うん。私の言いたいことはもう言ったよ」
「敬語を使え馬鹿者」
降ってきた出席簿は丁重に防がせてもらった。
……俺はどうしても優勝したいけど、でも執行部に所属している以上、そんなにクラスに構ってられないし、俺の力なら織斑を優勝させるぐらいは簡単だろう。でもそれじゃダメなんだよ。1年1組の生徒全員が、伸びてくれねーと。
え? 俺がどうしても優勝したい理由? ほっとけ。
**********
土曜日の朝。ブルックスさんがホームルームでクラス代表戦の話をしたのが3日前、そして件のクラス代表戦は3週間後の木曜日と金曜日の2日間にかけて行われる。時間はあと3週間だ。
土曜日の三限目はIS操縦の授業が入っている。ただ操縦とは言っても、俺達専用機持ちが専用機で飛ぶのを見るだけの授業だ。学校指定のISスーツが届くのが来週の月曜日だから、まだ他のみんなはISに乗れないらしい。
「ではこれより、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、ブルックス。試しに飛んでみせろ」
「無理。フェンリルでは浮くことは出来ても飛ぶことまではできない」
「そんなものは想定内だ。山田くん、例のものを」
「はいっ! ……どうぞ、打鉄です。今は2、3年の整備科が合同授業で改造を行っていて、全部ステータスがいじってあったので、一番まともそうなのを選んできました」
改造の授業……ってなんだ。
改造って言われると人間をサイボーグにしたりっていうイメージなんだが。
「ブルックス、改造の説明をしろ」
「改造ってのは、大まかにわけてふたつある。ひとつは装甲や武装を変えること。見た目に出るから改造されているのがわかりやすい。たとえば、この打鉄の物理シールドを取るのも改造だ」
山田先生が運んできたカートの上の打鉄に腰かけるようにして乗ると、打鉄が起動してブルックスさんの体を包み込んでいく。
「ふたつめは、システムの経路を変えたり、各武装の出力を変えることだ。こっちは表からは見えない。……山田先生、これは前衛特化の改造ですか? 妙にスラスターの出力落ちてるけど」
「あっ、はい。他のは機動力を重視しすぎて、絶対防御圏内を越えるGがかかったり、バランスが悪くて飛行できない状態だったりしたので」
打鉄を身に纏うブルックスさんは、コンソールを開いていろいろとチェックしているようだ。箒が何やら熱心にブルックスさんを見ている。睨むような感じじゃないし、やっぱりこのふたりの間には何かあったんだろうか。
「確認終了。打鉄、飛ぶ」
スラスターにエネルギーを溜めたかと思うと、打鉄とは思えないスピードでぐんぐん上昇していく。
「それ、飛べ劣等生」
千冬姉に言われてからやっと俺とセシリアは上昇を始める。ハイパーセンサーがあるから見えてるだけで、相当高いところにいるんだろう。は、速い。
そのうちセシリアも俺を置いてぐんぐんと昇って行く。
『何をやっている。スペック上の出力では白式が飛び抜けているぞ』
オープンチャネルと繋がっているインカムで千冬姉に叱られた。流石に俺も打鉄よりは速いはずなのはわかる。でもブルックスさん超速い。
『遅い』
「昨日急上昇と急降下をやったばかりなんだよ」
『知らない。その程度1日でものにしろ』
あれっなんかこの鬼畜っぷりどこかで見たことあるぞ。
……ああ、千冬姉だ。ブルックスさんの今の発言、まるで千冬姉だ。千冬姉2号だ。
そんなことを考えているとブルックスさんに睨まれた。……すいません。
『アイリーンさんは、とってもすごい方なんですのよ。どんな機体でもスペックデータ通りの動きができるんです。そこから、「息を吹き込む者」の呼び名をも得ているのですわ』
「つまり、打鉄でもスペック通りの力を出せばあれだけ飛べるってことか?」
『そういうことですわね。実際に、アイリーンさんがこのブルー・ティアーズに乗った時はもっと速かったですわ』
そうかそうか、テンペスタの時も、専用機の時も、いつでも強いのが納得だよなあ。
……ん? ブルー・ティアーズに乗った時?
「ちょっと待てセシリア。ブルー・ティアーズはセシリアの専用機だろ? なんでブルックスさんが乗ってんだ?」
『私がテストパイロットをしたからだ』
『今EUでは、第3次イグニッション・プランと言って、端的に言えば第三世代型ISに関して、各国が作ったISの中でどれが最も優れているかを競っているのですわ。そして選ばれたモデルは次期主力機となります。第2次の主力機はフランスのラファール・リヴァイヴですわね』
「ブルックスさんは香港人で、しかも国家代表だろ? 何か関係あるのか?」
『お前ら、雑談は後にしろ。急降下と完全停止をやってみせろ。織斑・オルコットは地上10センチ、ブルックスは1センチだ』
大有りですわ、とセシリアが言おうとしたところで、千冬姉からストップがかかった。
『了解です。それではお先に』
「お、おう」
言ってすぐに急降下し、ぐんぐん小さくなっていくセシリア。完全停止もクリアしたようで、周りの生徒や山田先生がぱちぱちと拍手をしている。
「えーと……俺、行ってもいいか?」
『とっとと行け』
俺もセシリアを見習って下降を始める。……ん? 俺って完全停止の練習したことあったっけな。……否。
あ、やばい。
ズドオオオオオオオオオオオンン
ものすごい音を上げて、俺は地面とキスしたなんて表現じゃ生ぬるい状態になった。着地成功だ。え? 織斑先生からの指示は着地じゃないって? しかもそれは着地じゃなくて墜落だって? はっはっは、そうとも言うかもな!
「いてて……」
身体を起こそうとすると、システムがビーッビーッと警告アラームを鳴らす。なんだなんだと思ってハイパーセンサー越しに目を凝らすと、遥か上空のブルックスさんがすごい勢いで俺に向かって突っ込んでくる。
「うわあああああああああ!?!?」
これ俺の腹に刺さるだろ!? ISの絶対防御も完全じゃないって山田先生言ってたしな!!! ああ絶対防御のせいで意識を失えないのが悲しすぎる。
俺の叫びにいち早く気付いたのは同じくハイパーセンサーを使っているセシリア、それから肉眼視力のいい数名。きゃあああとお化け屋敷や絶叫マシーンよりもすごい悲鳴。その悲鳴を上げたいのは俺だ!!
ぎゅっと目をつぶってもハイパーセンサーが俺の脳に情報を押し付けてくる。やめろ現実を見せるんじゃない。
……しかし待っても待っても痛みは来なかった。絶対防御を貫通するような攻撃を受ければ痛いのは、この間の模擬戦で身を持って知った。なのになぜだ。
おそるおそる目を開けると、打鉄を纏ったブルックスさんが俺の腹の上で仁王立ちしていた。……訂正、俺の腹の1センチ上で。
「まさか戦場でも目をつぶる気じゃないだろうな」
「馬鹿者、地上1センチだと言っただろうが。マイナス27センチだ」
「千冬さん、織斑とオルコットには地上って言ったけど、私には地上とは言ってない。それにちゃんと目標の1センチ上だ」
そういってブルックスさんは俺を指差した。……こえー。ミスしたら俺が死ぬの確実なのに、それでも実行できるって相当自信があるんだろうなあ。怖いけどすごい。
「それだけでなく、PICも無断でマニュアルにしただろうが。アラームが鳴った」
「3センチならともかく、1センチだとこの数のスラスターじゃ調整効かないから仕方ないだろ。しかもすげー愚鈍で扱いにくいし」
……あれだけの速度が出せて愚鈍、とは。
「大丈夫ですか、一夏さん? お怪我はなくて?」
「ISを装備していて怪我をするはずがないだろう」
「篠ノ之、何度教えさせる気だ。絶対防御を貫通する攻撃なんていくらでもある。私に止まる気がなかったら一撃で織斑は死んでいたからな」
「うっ、そ、そうだったな……」
ほう。箒とブルックスさんは一緒に勉強をしていたのか。なるほどなあ。
「とっとと起きろ織斑。各自、武装を展開しろ」
既に退いていたブルックスさんは、専用機ではない打鉄で、コンマ5秒もかかってないぐらいの速さで近接ブレードを展開していた。圧倒的な速さだ。
セシリアも、左側に生徒がいないことを確認してから、左手を真横に突き出し、スターライトmkⅢを展開させた。マガジンが接続されていて、セシリアが視線を送るだけでセーフティも外れている。流石代表候補生だ、多分ブルックスさんよりは遅いんだろうけど、でも速い。
対する俺は、右腕を左手でぎゅうっと握り締めて初めて量子構成ができる。これが一番イメージしやすいんだよな、うん。
「遅い上に無駄な動作をするな。コンマ5秒で出せるようになれ。特にお前は武装がひとつしかないのだから、迷うこともないだろう」
これでも代表決定戦から毎日頑張ってきたんだが。最初の頃は量子構成ができなかったのに、成長したと褒めてくれてもいいと思う。
「オルコット、展開する前にわざわざ左を確認するのか?」
「え?」
「スターライトmkⅢは長い。だからお前も今左を確認してから展開したんだろ」
「それはまあ……そうですけど」
「左に銃口を向けて、何を撃つ気だ。その上視線を送らないとセーフティが外れないのが問題だ。戦闘中に2回も脇見をする気か」
「そうだな。その銃は長いから、横に向けて展開すれば前に向ける時間の間に懐に潜り込まれてしまう。正面で展開できるようにしろ」
ブルックスさんと千冬姉のダブル攻撃にセシリアはずーんと肩を落とした。
でもブルックスさんは俺に対してノーコメントだ。その分、セシリアはブルックスさんに期待されてるってことだろう。もっと自信持てよセシリア。
「次は……ブルックスは銃器を、オルコットは近接武器を展開しろ」
「無理。これブレード1本しか入ってない」
「なら打鉄は脱いで、専用機で展開しろ」
その打鉄、ブレード1本しか入ってないのか。白式とおんなじだな。
カートの上で打鉄から降りたブルックスさんは、すぐさまダークグレーのISを展開する。ISの中でも飛び抜けて少ない装甲のところどころを走る赤いラインが格好いい。勿論機体の展開速度もすごく速い。多分セシリアよりも速いよな?
機体を展開すると同時に、セシリアのスターライトmkⅢの2倍はありそうな狙撃銃を展開している。勿論マガジンも接続されていた。でかいなあ……こんな武装も持ってたのか。
「相変わらず規格外なものが好きだな」
千冬姉の相変わらずという言葉に疑問を持つ。そういえば、入学式の日から、ふたりは知り合いみたいな様子だったしなあ。もしかしてモンド・グロッソで戦ったことがあったりするんだろうか。
「あいつの趣味だから仕方ない」
「ブルックス、その武装の説明をしろ」
「これは68口径スナイパーライフル「一意専心」。全長5メートルで、有史以来最も長い狙撃銃だ。メジャーモデルじゃないから射程距離は秘密」
ごっ……5メートル!? セシリアのが銃身2メートルって聞いてるから、約2.5倍だ。
しかも名前も格好いい。一意専心、他のことに心を奪われることなく、たったひとつのことに集中する。狙撃銃にはぴったりな名前じゃないか。
「まあ、長すぎて模擬戦みたいな、限られた場所の中で戦闘をする際にはすごく取り回し辛いが」
それもそうだ。ISは浮くから自身より長い武器を扱うことが多いと言っても、2倍を超えるようなサイズはなかなか見られない。
セーフティの外れていたその狙撃銃を収納したブルックスさんと、逆になかなか近接武装を展開できないセシリア。そういや俺や箒は格闘型、セシリアは射撃型なわけだが、ブルックスさんはどっちなんだろう。確かに近接戦闘は上手かったが、こんな銃を持たされるってことは余程の銃の腕があるってことだろうし。
「……オルコット、まだか?」
「い、今すぐですわ! ……ああっもう、インターセプター!!」
確か、武装の名前を呼ぶっていうのは、初心者向けのやり方だったはずだ。教科書に書いてあったような気がする。そうしないと展開できなかったことに、セシリアは赤面して唇を噛み締めた。
「オルコット、言わなくてもわかるな?」
「は、はい……すみません」
ブルックスさんは無言じゃないけど言葉にせずにセシリアを叱った。圧力半端ないぞ。
キーンコーン。ブルックスさんの威圧感にごくりと固唾を飲んだと同時に、授業終了のチャイムが鳴った。
「それでは、今日の授業はここまでだ。織斑はグラウンドを片付けておけ」
そうだった。
でっかいクレーターのできたそこを見て、俺は絶句した。……これ、IS解除したら打撲とかしてそうだな。
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某所。
「爪部隊、準備完了致しました」
「牙部隊、残るは牙【参】のみです」
「了解」
黒髪を編み込み、紅いルージュで唇を染め上げた女は部下達から報告を受け、その唇をおかしげに吊りあげた。
「ちょっと!! あたし、3時間後の飛行機に乗る予定なんだけど!」
コンテナの中で鎮座する愛機を優しく撫でながら女が微笑んでいると、小柄な少女がどたばたと足音荒く現れた。ツインテールが活発な少女はまだ、計画のことを知らされていなかった。
「ああ、東京行きの飛行機ね。でもこれは国の決定なの。逆らうことは許さない」
「何よそれ……あたし、そんなの聞いてないんだけど」
「ああ、言ってなかったかもしれないわね。代表候補生とはいえ、あなたはまだ下っ端だもの」
「なんだって……?」
「もう一度言ってあげるわ、よく聞きなさい、下っ端。専用機をもらったぐらいで調子に乗ってんじゃないわよ」
少女は女へと掴みかかるが、女はそれをひらりと躱す。
「いいこと? 専用機が欲しい子も、代表候補生になりたい子も、たーっくさんいるの。あなたが従わないなら、その機体は他の従順な子に渡すし、あなたの代表候補生特権だって別の子に渡すわ」
「やれるならやってみなさいよ。甲龍はもうパーソナライズしてあるから、あたし以外には乗れないから」
「ふふ、おばかな子。いいこと? この世には「リムーバー」ってものがあるのよ」
女はおもしろおかしいとばかりに、高笑いした。少女はその時、国に従わざるを得ないと悟る。
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