IS  -香港のダイヤモンド-【改】   作:7seven

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01-02 生徒会執行部

三限目は、織斑先生が教壇に立っていて、山田先生はノート片手に教室の隅に立っていた。それだけ重要な授業ということだろうか。

曰く、実戦で使う各種装備の特性についての授業らしい。各種装備っていうと……銃だったり、ブレードだったりってことだろうか。

しかし、その大切と思われる授業でもまたブルックスさんは頬杖をついている気しかしない。でも織斑先生が何も言わないってことは、問題はないのか……? いや、問題がないというよりは、ブルックスさんが優秀すぎるから、基礎知識は要らないってことだろうか。そのへんは俺の知ったことじゃないけど。

 

「ああ、その前にだな。ブルックス、とりあえず起きろ」

 

授業を始めようと、教科書や参考書のページを指定しようとぺらぺらと紙をめくっていた織斑先生が、思い出したように顔を上げて、ブルックスさんに注意をした。

……ってやっぱり寝てたのかよ!? どんだけ怖いもの知らずなんだ!?

 

「再来週に、クラス対抗戦という催しがある。それに出場するクラス代表を決めなければならない」

「クラス代表とは、言葉通りのものですね。学級委員長みたいなもので、今回のクラス対抗戦に出場するだけじゃなく、生徒会運営の会議への出席だったり、委員会への出席も仕事になります」

 

織斑先生の大雑把な言葉に、山田先生が解説を入れた。

ほうほう。流石IS学園といえども、一応は学校ってことだな。生徒会もあって、学級委員長もあるのか。ほっと肩が下がった気がした。もしかして、俺は心の中のどこかで、浮世離れしたIS学園に、女しかいない以外の不安でも抱えてたんだろうか。

 

「ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を見るものです。基本的には今の段階で大差はないはずですが、競争による向上心の発生を狙いとしています。あ、それと代表者は一度決めたら一年間変更が効きませんから、注意してくださいね」

 

山田先生のその言葉に、ひとりの女子がはいと挙手をした。

織斑先生がなんだ、と返す。

 

「はい。今の段階で大差はないはずと山田先生はおっしゃいましたが、このクラスで言えばオルコットさんやブルックスさんのように、国家所属のパイロットであったり、もしくは企業所属のパイロットだったりは、一般入学の私達に比べて稼働時間がとても多いと思います。なので、差は大きいはずでは?」

「ふん、ブルックスはともかく、オルコットもお前らも、一流のIS乗りからしたらどちらもひよっこだ。なあ、山田先生」

「えっ、オルコットさんは流石に……」

 

話を合わせろと織斑先生から鋭い視線が山田先生に飛んで、はい、あまり変わりませんと山田先生は涙目になりながら言った。千冬姉、それは恐喝だぞ。

それを見た生徒Aもありがとうございますと言って手を下げた。手を下げなければ山田先生がもっと可哀想な目に遭うことが読めたんだろう。

 

「じゃあ、はい。千冬さん」

「織斑先生と呼べ馬鹿者。なんだ」

 

寝ていたらしいブルックスさんが挙手したようだ。でも声に眠気は一切感じられない。

 

「この学園には専用機を持ってる代表候補生と、そうでない候補生の2通りいるけど。その差はやっぱりはっきりしてるだろ。特に今年の候補生は、試作とはいえ第三世代型が多いから、性能が違いすぎる」

 

なるほどな。確か第三世代型は最新鋭だから、スペックは第二世代型と比べるべくもないんだっけ?

 

「更に専用機持ちはフィッティングしてあったりと、彼我の差は明らか。結果、操縦者の実力より専用機の有無が表だって、ただの新作お披露目会にしかならない」

「もし専用機持ちとそうでない者が対戦することになれば、クラス対抗戦では専用機持ちも訓練機に乗ることにしている。専用機持ち同士なら専用機でやるがな」

「そう」

 

疑問は解決したようだ。ブルックスさんも手を引っ込めたようで、他に質問はないな? と織斑先生は周囲を見渡した。

 

「では、候補を募る。自薦他薦は問わんが、推薦されたやつに拒否権はない」

 

織斑先生の言葉に、教室中がざわざわと騒がしくなる。誰にしよっか、なんて聞こえてくる。要は、普通の学級委員長の仕事にプラスして対抗戦に出るのが仕事らしい。

まあ委員長なんて雑用が大半の役職だからな。なるやつは頑張ってくれ。

 

「はいっ! 織斑くんがいいと思います!!」

「私もそれがいいと思います!」

 

……ちょっと待て。このクラスには俺のほかに織斑って名前の男子生徒がいたのか。それは奇遇だな、遠い親戚かもしれん。あとで話してみよう。

 

「では候補者は織斑一夏……他にはいないか?」

 

へー俺と同姓同名じゃないか。世の中不思議なこともあるもんだな。

そういや今回は俺達は名前がそっくりなんだが、顔がそっくり、もといドッペルゲンガーに3回会うと死ぬらしいぞ。うーん、なかなかに怖い話だ。一卵性双生児なんて自分と同じ顔を生まれた時から否が応でも見なきゃいけないってのにな。なんて、現実から目を逸らしたい。

 

「俺っ!?」

 

つい立ち上がってしまう。当たり前だ、こんな衝撃的な展開で黙って座ってられるか。

しかし立てば立ったで、周囲からの視線が……。なぜだ、なぜなんだ。なぜそんな、きっと彼ならなんとかしてくれる! みたいな目で俺を見てるんだ。

 

「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか? いないなら無投票当選だぞ」

「ちょっ、ちょっと待った! 俺はそんなものやらな」

「自薦他薦は問わんと言った。拒否権もないともな。選ばれた以上は覚悟しろ」

 

俺がいやでも、と必死になっていると、待ってくださいと甲高い声があがった。納得いかないとも。そうだ、俺も納得がいかないぞ。

その甲高い声の主は、さっきのセシリア・オルコットだった。バンッと机を叩いて立ち上がる。こらこら、学校の備品は大事にしなさい。

 

「そのような選出は認められませんわ! 大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! わたくしやアイリーンさんに、そのような屈辱を一年間も味わえとおっしゃるのですか!? 実力から順当にいけば、アイリーンさん、もしくはわたくしがクラス代表になるのは必至。対抗としてアイリーンさんを推薦致しますわ!!」

「やだ面倒臭い」

 

オルコットさんが対抗を擁立しようとしたら、擁立先がすっぱりと嫌がった。は、はやい。

 

「ブルックス、私の話は聞いていたか。拒否権はない。嫌ならばクラス全員が納得する者を推薦しろ」

「じゃあオルコットでいい。彼女本人も、自分の当選を嫌がっている織斑も、私も納得する。クラス全員を黙らすぐらいの力はあるし」

 

まあ普通なら、オルコットさんが代表になるのが、割とまるく収まる気がするけどなあ。

ブルックスさんの言った通り俺もブルックスさんもオルコットさんも納得することだし、オルコットさんは代表候補生とかってやつなこともあって、十分にISの操縦技術に関しては秀でてるんだろうし。文句のあるやつはいないだろ。

 

「そもそも、物珍しいからと言って、極東の猿と比べられること自体が心外ですわ! わたくしはこのような島国まで、ISの修練をしに来たのです。クラス対抗戦で自分より弱い方が戦っているのを見るだけで、何か学ぶものがあって!? アイリーンさんの実力なら見るだけでも十分に学べますが、あの方の戦闘を見たところで、何も学ぶものなどありませんわ!」

 

うーん、まあ俺も事実ISを起動させた時以外にはISに乗ってないから、そりゃあそんなに強くはないかもしれんが。でも俺いろいろ言われすぎじゃないか? しかもイギリスも島国だろ。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で……!」

「イギリスだって大したお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」

 

カチン。俺のどこかからそんな音が鳴った。

俺はサイボーグか何かだったのかとか、冗談めかして言ってみる。

 

「なっ……!? あっ、あっ、あなたねえ! わたくしの祖国を侮辱しますの!? 決闘ですわ!!」

 

バン、と机を叩いた。……いかん、口が滑ってしまったようだ。しかし口に出してしまった言葉はもう消えん。

 

「……オルコット。イギリスも島国だろ。しかもIS学園は日本じゃない、どこの国にも所属していないからな。感情に任せて適当なことを口走るな」

 

後ろでブルックスさんが優雅に足を組んだままそう言い放った。特に大きな声というわけではなかったが、教室が静まり返っていたこと、ブルックスさんの声がよく通ることのおかげで、実際よりも大きく聞こえた。

 

「織斑も織斑だ。感情的になって火に油を注ぐんじゃない。イギリスにはイギリスで宮殿や美術館などのいいところがたくさんある」

 

オルコットさんを宥めた声が、そのまま俺をも嗜める。……ハイ、わかってました。カッとなって言いすぎました。

 

「でも主張を通すためには力がいる。それは事実だ。だからISで模擬戦-決闘でもするといい。ついでにその勝敗でクラス代表を決めろ。……で、いいな? 千冬さん」

「……はあ。まあいいだろう、アリーナを用意してやる」

 

千冬姉はこめかみを押さえた。

 

「第一試合、オルコット対織斑。第二試合、オルコット対ブルックス。第三試合、織斑対ブルックス。試合は一週間後、月曜の放課後に第3アリーナで行う」

 

こめかみを押さえつつ、千冬姉はもう一度溜息を吐いた。幸せが逃げるぞ。

 

「……千冬さん、なんで自然に私が入ってんの」

「お前も一応推薦された身だろうが。もっとも、お前は訓練機に乗ってもらうが」

 

ブルックスさんはめんどくさ、と呟いて、着席し直した。

 

 

***********

 

 

俺はアイリーン・ブルックス。

多々あって、スカートを履き、女子高同然のIS学園に入学した。

 

俺がここに入学した3番目に大きい理由である、稀代の天才その2、ミカエル・ブルックスはこの学園の上層部と面識があるらしく、俺は解放感に満ち溢れた……というべきかはわからないが、1人部屋を絶賛満喫中である。

ちなみに2番目に大きな理由は、この学園および学園所属の生徒全員の防衛、最も大きな理由は織斑一夏の護衛だったりするわけだが……。どっちかっていうと2番目のほうが比重が大きいかな。

 

ま、向き不向きはあるだろう。俺がハニートラップ対策で織斑一夏と同室になったところで、俺の対人関係を見れば対策にすらならない。その上こちらとしても正体がばれると面倒だから、敢えて相部屋の生徒のいない1人部屋になっている。

何より下手に同室に人を入れて深夜帯に出撃する時にルームメイトを起こしたら、流石の俺も申し訳なく思う。そういう意味も込めて1人部屋をもらった。

 

「……もうこんな時間か」

 

現在18時27分。壁に掛けた時計が表す時刻は、あと30分ほどで1年生食堂が閉まってしまうことを指している。

食い損ねると体にも悪いし、女の甘ったるい匂いがあちこちで漂いすぎていて、正直疲れた。さっさと食事を摂って、休むことに越したことはない。制服姿のまま自室を出た。途端に目の前に広がる女の園。園というよりこれは地獄だ。

その上、制服を脱いで露出の多いルームウェアに着替えた女子がほとんどだ。ここには織斑一夏という男の目もあるのに、よくこんなにだらけていられるものだ。いい加減休ませてくれ。

 

漂う女独特の匂い、目のやり場……には別に困らないけどはしたない恰好の女ばかりの廊下を歩いて、たった数十メートル先の食堂に辿り着いた時には瀕死の重体だった。

これなら超音速機動の訓練を20時間でもやった方がマシな気がする。

 

そんなことを思いながら券売機の前でメニューを確認していると、後ろから声がかかった。

 

「ちょっと……つかえてるから、早くして」

「悪い」

 

声をかけてきたのは、朝のロシア代表、もとい更識楯無によく似た女子生徒だった。

眼鏡を外し、髪を外にはねさせ、前を向かせればよくよく似てると思う。

 

「……悪いついでにつかぬことを聞くけど。どのメニューがおすすめ?」

 

更識によく似た彼女は、日本人である可能性が高い。

それなら、日本食の多いこの券売機の中から、ベストなチョイスをしてくれるだろうというただの直感だ。そして彼女は、かきあげうどんをおすすめしてくれた。

うどんか。前々から興味はあったが手は出せなかった麺類だ。おすすめしてもらうことで、背中を押された気持ちにもなる。彼女も同じかきあげうどんの券を買って、食堂の調理師に渡した。

 

食堂が一番混む時間だったのか、うどんを受け取って気付くと空席が窓際の二席しかない。俺と彼女は仕方なく、うどんを持って隣同士のその席に向かった。

 

座って、手を合わせて、日本風の食前の挨拶をして。それから割り箸を割って、うどんに手を付ける。熱い汁と、もちもちした麺、そしてサクサクとしたかきあげが美味い。彼女のチョイスは完璧だった。

 

「美味しい。完璧なチョイス、感謝する」

「う、うん。どういたしまして」

「私は1組のアイリーン・ブルックス」

「私は、4組の更識簪……」

 

自然と互いに名乗り合って、ふと気づく。更識。

つまり、やっぱり似ていると思ったのは、気のせいではなかったらしい。

 

「更識は、あの生徒会長の」

「う、うん……」

 

目の前の更識が、しゅんと項垂れた。

生徒会長の方の更識の妹ってくくりで見られたくない、んだろうか。

俺は優秀な姉のことを誇っているから、別に同じくくりで見られても構わない。けどまあ兄弟関係が冷え切ってるところもなくはないだろうし、更識のところがたまたまそうだったんだろう。

 

「更識。簪って呼んでもいいかな」

「うん……! ところで、ブルックスさんって、香港の……」

「呼びやすいように呼べばいいよ。お察しのとおりだ、日本の代表候補生」

 

名字ではなく、下の名前で呼べば嬉しそうに顔を輝かせた。

 

その後、簪と意気投合して、今度の休憩時間にでも遊びに行く約束をしたりした。

「香港のダイヤモンド」だなんて呼ばれた俺だって、普通に喋るし、普通に友達だって作りたいからな。

 

簪と別れて自室に戻り、シャワーを浴び、約束していた定時連絡でミカエルに簪のことを話すと、ミカエルは嬉しそうによかったね、と微笑んでいた。

 

 

翌日放課後。

俺は更識に呼ばれ、生徒会室へと向かっている。そもそもIS学園に来た理由が、どこの国にも属さないここの防衛だ。そのためには生徒会に入るのが一番手っ取り早く、色々な連携も取りやすい。そういうことだろう。

 

「あー、あーちゃん待ってー!」

 

生徒会室に向かう途中で、間延びした声がふと耳に入ってきた。

このあたりには、俺と声の主と思わしき、制服がだぼついている女子しかいない。ていうか、あの袖でノートって取れるのか。

 

「あーちゃん、私は布仏本音だよー。クラスメイトだよー」

 

布仏と名乗った彼女は、俺に近付いてきて、俺の隣に並んだ。

女子の中でも割と小柄目だな、布仏は。なお、判断基準は俺だ。俺と同じぐらいだったら女子でも小柄な方になる。……言ってて悲しくなってきた。

 

「あーちゃんも生徒会入るんだよねー? 迷子になるといけないから迎えに行ってってお嬢様に言われたんだー。一緒に生徒会室いこー」

「……あーちゃんというのは、私のことか」

「うん。アイリーンちゃんだから、あーちゃん。あははー」

 

アイリーンというのは偽名だが、まさかあーちゃんだなんてあだ名を付けられるとは予想外だった。彼女のネーミングセンスに関してどうこう言う気はないが。

そういえば……ああ、確かに布仏、いたなあ。1組に。1組にいるってことは俺の護衛対象のうちだと思ってたんだが、なるほど。こいつも俺と同じ理由で1組にいるんだろう。

 

見えてきた生徒会室。扉の前に立つと、その中の気配に気付いた。……失態だな、ここに立つまで気付かないなんて。訓練から離れて、牙が抜けたか。

 

「布仏、なんだこれは」

「なにって……生徒会室だよー? ほらほら、入ってー!」

 

スライドドアを開けて、布仏は俺を押し込んだ。

勿論よろけることはなかったが、パパパパンと軽快な爆発音。……クラッカーである。

 

「入学、おめでとー!!」

 

そして、そう言って出迎えてくれたのは生徒会長である更識と、布仏によく似た、だがいかにも仕事のできる女といった感じの女子生徒であった。

 

「……とりあえず更識、火薬が微量でも入ってるものはやめろ。ついISを展開しかけた」

「えー! ま、いいや。座って座って!」

 

生徒会室の中には、更識のものであろう立派な執務机が奥にひとつ。その手前には応接机とソファ。ソファに腰かけた更識はその隣をぽんぽんと叩いて、そこに座れとでも言いたげだ。

 

俺は更識の期待を裏切って、更識の真向かいの席に座った。

すぐに布仏によく似た女子生徒が紅茶を運んでくる。仕事が速くて、俺の見立ては間違っていないように見えた。

 

「虚ちゃんも座って!」

「はい、お嬢様」

 

虚、って名前か。布仏とよく似てるからまあ姉妹だろうし。

それにしてもお嬢様か……。ああ、そういえば更識家に代々仕えるメイドの家系がそんな名字だった気もする。

 

「それじゃ、改めまして。入学おめでとう、アイリーンちゃん。そして、生徒会執行部への入部を歓迎します!」

 

更識は昨日の朝のとは違う扇子を取り出して、ぱっと開いた。そこには大歓迎の文字。

 

「まずは自己紹介ね。昨日も会ったけど、生徒会長は私、2年普通科、更識楯無!」

「3年整備科所属、会計の布仏虚です。そこにいる、本音の姉です」

「書記の布仏本音だよーよろしくあーちゃん」

 

ああ、やっぱり姉妹だったか。いやここまで似てて姉妹じゃないとか言われても困るけど。

 

「1年普通科、香港代表、アイリーン・ブルックス。よろしく」

「うん。それじゃ、これよりアイリーン・ブルックスを生徒会執行部実働部隊隊長に任じます!」

 

……生徒会執行部実働部隊隊長?

執行部の更に前衛ってことだろうか。更識の発表にぱちぱちと布仏姉妹は拍手した。

 

「まあ長ったらしい役職名だけど、要は学園の有事の際に、学園の戦力への全指揮権がある役職ね。今年、アイリーンちゃんが入学してくれることになって急遽作った役職だけど」

「ああ。なるほどな、それで純粋な軍育ちの私が指揮を執るのが、千冬さんや更識が全力で戦えていいってことか」

「そういうこと。あとはまあ、学園内の催しの際に世界各国からのVIPを接待したり企画運営したりっていう、普通の執行部の仕事もしてもらうけど」

 

俺は同時並行処理で戦闘を行いながら政治の話だったり本の話だったり数学の難問を回答したりということができる。……試したものがくだらないとか言うんじゃない。

現在も大佐の階級を持つ以上、俺にとって集団戦術の指揮を執ることはそれらと何ら変わりなく体に染みついたかのようにできる。つまり自分は全力の戦闘をしながら指揮を執るのに、俺ほどの適任がいないってことだろう。

 

何より俺の軍隊指揮の能力は、1年前にあった香港事変で証明されている。

2年前のモンド・グロッソで4部門優勝という惨めな結果を叩き出した俺の機体や、それを形作る機体データを求めて、中東のどこだかって国がIS部隊を引き連れてやってきた。

それを返り討ちにしたのは俺を始めとして、香港製第一世代IS「最碧」シリーズ3機と、香港軍の戦闘機だった。

 

「あ、そうそう。IS学園において、生徒会長って学園最強の称号なの。でも私とアイリーンちゃんが激突したら互いに被害は甚大になるだろうから、実働部隊隊長は生徒会長と同程度の力を持つってことにしておきましょ。私達が争ってる間に敵襲が来ると面倒だから」

「いいよ、別にそれで。別に学園最強に興味はないから」

 

俺と更識の雌雄は、ここで決する必要はない。

少なくとも、香港とロシアの関係がこのまま崩れることなく、俺達がIS学園生徒会執行部に所属している間は。

更識、布仏姉妹は大きく頷きあった。

 

「それじゃあ新生徒会執行部、始動よ!!!」




そういえば、一夏視点とアイリーン視点を行ったり来たりしていますが、読みにくくはないでしょうか?
どちらかの視点が終わった時点で章を切り替えようとすると、それぞれの長さが4000以下~9000ぐらいでまちまちになってしまうんですよね。けど原作の主人公の視点もこの話の主人公の視点もほしいし。


02/15 改行がおかしかったところと脱字を修正しました
16/10/22 誤字修正。報告感謝致します
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