クロスベル市東通り魚屋《マルテ》。
湿地帯の情報を手に入れる為、各地を回っていたレーヴェはこのマルテでも聞き込みをしていた。
「湿地帯?んな場所クロスベルにあったか?」
レーヴェの質問にマルテの40代ぐらいに見える主人は頭を傾げる。その様子にまた空振りかと思うレーヴェ。
(各地で聞いて回ったが、湿地帯の情報がなかなか手に入らないな。幻獣の問題もある。こんなところで足踏みしている場合ではないのだが。一体どうすれば……)
レーヴェがそう思っていると、マルテの中で別の作業をしていた若者が口を開いた。
「…親父。あれじゃねーか?この間ミシュラム近くで漁をした時、少し離れた場所に何か島みたいなのが見えたじゃん。」
息子の言葉に、主人は思い出した様に声を出す。
「おお!そうだった!確かに彼処は湿地帯ぽいかもな。」
「心当たりがあるんだな。俺は其処に行きたいのだが、どうすればいい?」
「んー船でしか行けないからな。よし、小型のボートを何個か持ってる知り合いを紹介してやるよ。小型のボートは運転出来るか?」
「ああ、問題ない。」
こうして情報を手に入れたレーヴェは、小型のボートを借りる為、移動するのだった。
港湾区ルピナス川のボート置場。
小型ボートを借りるよう話をつけたレーヴェは、
借してくれた男から気になる話を聞いた。
「何?先程もボートを借しただと?」
「そうだよ。ほら遊撃士のエオリアさんとリンさん。何か調査をしたいからボートを借してくれって連絡があって、ちょっと前に借したばかりなんだ。」
(エオリアとリンが…あの二人は、幻獣の対応をしていた筈。まさか!)
「二人は他に何か言ってなかったか!?」
「え、えっと噂で聞いた蒼い花を見た場所を確認しないとと言ってました。」
それを聞いたレーヴェは、懐からエニグマを取り出し、急いでミシェルに連絡をとる。
「はい、こちらクロスベル遊撃士協会です。ご用件は何でしょうか?」
「ミシェル、レオンハルトだ!エオリア達が危険かもしれない。二人に至急連絡を取ってくれ!俺は二人が行った可能性がある湿地帯にボートで向かう。」
「レオンハルト君!?…何かあったのね。二人に連絡が取れなかったらどうするの?」
「腕の立つ奴らを応援に寄越してくれ。最悪、戦闘しながらエオリア達を救出しないといけない。詳しい場所は東通りの魚屋の主人に聞いてくれ。じゃあな。」
「あ、レオンハルト君ちょっと---」
ミシェルが何か言いかけるが、時間がない為、レーヴェは通話を切ると、ボートに乗り込んだ。
「すまないが、急ぎの用ができた!借りてくぞ!」
男の返事を聞かず、レーヴェはボートのエンジンをつけ、発進させた。
レーヴェの急な行動にボートの持ち主は、驚き固まったままレーヴェを見送るのだった。
<リンside>
数時間前。警備隊からの依頼、幻獣のへの対応の3つのうち、1つを終わらせたリン達は原因の調査をする為、湿地帯に向かっていた。
「見えてきたわ。」
前方を見つめていたエオリアがそう告げる。霧で視界が見辛い中、徐々に前方から目的の島の陰が浮かんでくる。
「あれが噂で聞いた蒼い花の目撃証言があった島か。くそ、霧でまだ蒼い花を確認出来ないな。」
「大丈夫。もうすぐはっきりと見える筈よ。」
するとその言葉通り、霧が薄れ、見辛かった視界が開けていく。そして、リンとエオリア達の開けた視界の先に島の様子が見えてくる。
「うわ…こんなにたくさん…」
「これは…」
その先には、蒼い花が地面を覆い尽くす様に咲いている景色が広がっていた。
島に上陸したリン達は、ボートを流されないよう岸に固定すると、島の奥へと足を進める。
エオリアは注意深く周りを見渡しながら、リンに話し掛ける。
「ねぇ、リン。やっぱりこれは異常だわ。レオンハルトさんの情報通り幻獣に関係してると思うけど?」
「…確かに私達が倒した幻獣の側にもこれは咲いていたし、この景色は異常だ。私達の知らない何かが起こっているのかもしれないな。」
「じゃあ、奥に行ってみれば、原因が分かるかもね。行ってみましょう。」
エオリアの言葉にリンは頷き、足を進めていく。
「ごめん、リン止まって。…誰かいるわ。」
しかし、それは直ぐに止まる事になった。彼女達の視線の先、少し離れた場所に怪しい人物達が写ったからである。
リン達は声を潜めながら、見つからないよう気配を消し、草むらに身を隠した。
(こんなところに一般人がいるわけがない。もしかすると身喰らう蛇の連中かもしれないな。)
そう判断した二人は、注意深く観察する。
怪しい人物の人数は3人。1人は赤い派手なスーツを着た少年。もう1人は白衣をきた中年の男。そして、最後の1人は白い甲冑にマントを着け、顔に兜を着けていた。
「いや~この環境は実に素晴らしいね!君もそう思わないか、カンパネルラ君?先程から私の研究意欲がとても刺激されるよ!」
白衣の男が子どもの様に興奮しながら話す。それにスーツを着た少年--カンパネルラが呆れたように声を掛け、何度も立ち止まる白衣の男--F・ノバルティス 博士 の背中を押して歩く。
F・ノバルティス博士。
《蛇の使徒》の第六柱。《身喰らう蛇》の研究機関「十三工房」の長であり、《結社》で使われている数々の兵器の開発やゴルディアス級の開発等をしている天才科学者である。
「はいはい。博士の研究意欲はどうでもいいから、早く奥に行って計画の為の調査をしないと。日が暮れちゃいますよ?」
「おお!そうだな!盟主の為にも調査を急がねば!奥地までの護衛よろしくお願いしますよ、アリアンロード殿!」
「--ええ、任されました。」
透き通るような女性の声が聞こえた。
アリアンロード。
《蛇の使徒》の第七柱で《鋼の聖女》もしくは《鋼》の異名を持っており、結社最高位の実力を持つ人物である。
アリアンロードは、博士に返事をした後、ふと足を止め、此方の様子を伺う存在へ一瞬視線を向ける。
(気配を消している様ですが、まだまだ甘いですね。この程度の使い手であれば、あの子達に任せても良いでしょう。いや…1人だけ、なかなかの使い手もいますね。…ですが、問題はないでしょう。)
アリアンロードがそう考えている間に、博士とカンパネルラは更に先に進んでいた。アリアンロードが遅れているのに気付いたカンパネルラは、不思議そうに尋ねる。
「あれ?アリアンロードさん、どうかしました?」
「……いえ、何でもありません。行きましょう。」
アリアンロードがそう返し、動き始めるとカンパネルラは特に気にする事なく、「そうですか。」と頷き、歩き始める。また、今度は先に進み過ぎている博士を見て溜め息をつき、注意するのだった。
「博士!護衛される人がどんどん先に行ってどうするんですか!?」
そんな二人を見ながらアリアンロードは、独り言の様に呟いた。
「……後は頼みました。」
そして、3人は湿地帯の奥へと入っていった。
3人がいなくなったのを確認したリン達は、草むらから出てくる。いつばれるか分からず、緊張していたエオリアは安心する様に一息つくと、リンに話し掛ける。
「何かえらい個性的な3人だったわね?」
「ああ、そうだな。特にあのゴツい鎧とマントを着ていた奴は、ものすごい威圧感があった。もしかしたら、アイツが噂の《鋼》かもな。」
「かもね。だったら私達だけでは厳しそうよ。どうする?一旦戻って応援を呼ぶ?」
慎重な様子を見せるエオリアの提案に、
リンは難しい表情で首を横に振る。
「……いや、その間に見失うかもしれない。戦闘を避けながら、せめて奴らが此処にきた目的だけでも探ろう。」
「……分かったわ。じゃあ、ばれないよう後を着けましょうか。」
意見がまとまったリン達が後を追う為、歩きだそうとしたその時、
「そうは問屋が卸しませんわ!」
そんな声が聞こえたかと思うと、突如リン達の目の前に中世の騎士の格好をし、顔に仮面を着けた3人の女騎士が立ち塞がる様に転移して現れた。
辺りが静寂に包まれる。
リン達と女騎士達は、黙ってお互いを見つめていた。空気が張りつめ、暫くこの状態が続くかと思われたが、それを真っ先に破る人物がいた。女騎士の中で剣と盾を持つ女性が胸を張りながら前に出てくる。
「ふっふっふ。どうやらあの方直属の精鋭部隊、、、、 《鉄騎隊》の威圧感に恐れをなし、声も出ないようですね!哀れですわ!」
その的外れの発言に、張りつめた雰囲気が壊れていく。
女騎士の中の1人、弓を持つ女性が溜め息をつきながら口を開く。
「…デュバリィ。貴女はどうして毎回毎回、空気をぶち壊しにするのかしら?」
「え?エンネア…私、ま、間違ってたんですの!?」
剣と盾を持つ女性--デュバリィは焦りながら尋ねる。
エンネアは弓を持ち直し、頷き告げる。
「そうよ。彼女達が黙ってたのは、いきなり現れた私達に警戒してたからよ。全く変な勘違いして。貴女はこれでも鉄騎隊の筆頭隊長なのよ。もっと自覚して発言しなさい!貴女のせいで私達まで変に見られてしまうわ。ねぇアイネス?」
デュバリィに対し厳しく責めたエンネアは、同意を求める様にもう1人の女性に話し掛ける。話し掛けられたハルバードを持つ女性アイネスは頷き、一言。
「……口は災いの元だな。」
仲間である二人から責められ、胸を張っていたデュバリィはどんどん萎んでいった。そして、悔し過ぎて軽く涙目になった彼女は、突然キッとリン達を睨み付け、
「も、元はといえば貴女達のせいですの!絶対に許しませんわ!」
そう言って体から闘気を迸しらせ、剣を構える。
エオリアはそんな彼女に動揺しながらも、懐からメスを取り出し、構える。
(えええ-私達のせいになってる!何か可愛いけど凄い闘気だし油断出来ないわ。)
リンもエオリアと同じ思いのようで、少し慌てていたが、強い闘気を感じ、真剣な表情で籠手を付けた拳を構えた。
デュバリィに合わせる様に他の女騎士達も闘気を出し、それぞれの武器を構えていた。そして、女騎士達は名乗りを上げる。
「《鉄騎隊》剛毅のアイネス。」
「《鉄騎隊》魔弓のエンネア。」
「《鉄騎隊》筆頭隊長、神速のデュバリィ。マスターの命により貴女達を拘束します。覚悟しやがれですわ!」
それを合図に戦いは始まった。
まず物凄い速さで接近してきたのは、デュバリィ。
気付いた時にはリンの目の前で剣を振りかぶっていた。
(な!?もう目の前に!)
リンはデュバリィの剣に咄嗟に前に出ながら両方の籠手交差し、剣を抑える。降り下ろされる筈だった剣は途中で止められた。
「甘いですわ!」
しかし止められた瞬間、デュバリィは体を捻り、回し蹴りをリンのお腹に命中させる。
「ぐぁ!?」
リンはお腹の衝撃で後方に飛ばされ、地面を転がる。
だが、1、2回転がったところでリンは受け身をとってすぐに起き上がった。少しお腹を抑えているが、そこまでのダメージを負っている様子ではない。
デュバリィはその理由に気付き、舌打ちする。
「ちっ。やけにお腹が硬いかと思えば…泰斗流の内功ですわね?」
リンは、お腹を擦り、にやりと笑う。
「正解だ。よく分かったな?」
「執行者にその手の使い手がいますから。まさか野蛮な獣と何度も手合わせをした経験がこんなところで役立つとは思いませんでしたわ。」
デュバリィの話を聞いて、リンの表情が苦々しいものに変わる。
「《痩せ狼》のヴァルターか?」
「あら、知ってますの?」
「知らない訳がない。泰斗流を汚した先輩だからな。いつかその報いをさせると誓った敵だ。」
デュバリィは、適当にそれを聞き流し、笑みを浮かべ挑発した。
「ふーん。まぁそんな話はどうでもいいですけど、その程度の実力ならヴァルターには届きませんわよ?」
「ふっ。いいだろう。その挑発に乗ってやる。我が泰斗流の真髄…見るがいい!」
『龍神功』
リンの体から闘気が溢れ、力と防御を最大限に上昇させる。全神経を張り巡らせ、目の前の敵に集中するリン。
「行くぞ!」
リンの両手に気が集まり、それがデュバリィに解放される。
『菩薩掌』
デュバリィに大きな気の砲弾が2発迫るが、持ち前の素早さで大きく迂回し、それを回避する。そして、そのままギアを上げ高速でリンの後ろに回りこみ、胴体に向け剣を振るう。
「くたばれですわ!」
剣がリンに直撃する瞬間、
『雷神脚』
リンの姿が消えた。
(え、何処に?…上!?)
デュバリィが上を見上げると、雷を纏った蹴りが間近に迫っていた。
「つぅ!?」
ぎりぎりのタイミングで盾を振り上げたと同時に、蹴りが盾に直撃する。耳をつんざくような雷鳴が轟き、盾を中心に雷撃が落ちる。衝撃に吹き飛ばされたデュバリィは、盾越しでも感電したのか、方膝をつき、動かない。
(今が千載一遇の好機!ここで決める!)
リンの体に炎のような闘気が纏う。
『鳳翼天翔』
炎が東洋の鳳凰の形になり、それと一体となったリンが、強力な飛び蹴りを放つ。そして、その攻撃は動かないデュバリィに直撃した。
「馬鹿な!?」
だが、リンはそれを喜ぶことが出来なかった。それは目の前に自分の足を自然に止めた盾があるから。
(体は痺れて動けなかった筈。そんな状態で受け止めるなんて!)
「私はあの方に直接鍛えて頂いた身。その私が無様を見せれば、あの方の顔に泥を塗る事になる。……そんなの…そんなの!許しませんわ!!!」
目の前のデュバリィから先程とは違う黒い闘気が溢れだす。それに気付いた時には、いつの間にかデュバリィの姿が消え、、リンの手足が斬られていた。
「痛っっう!?」
そこからは、一方的な蹂躙だった。
<エオリアside>
エオリアは苦戦していた。相手はハルバードを使うアイネスと弓使いのエンネア。
エオリアは接近戦を仕掛けてくるアイネスに得意の針で動きを止めようとする。
しかし、アイネスにあまり隙はなく、偶然機会があっても投げた針はエンネアの正確無比の矢に弾かれる。
幸いなのはプライドの高いエンネアが2対1の戦いを嫌い、アイネスをメインに自分はサポートに徹している事だろう。
(もしも二人一緒に来られていたら、直ぐに勝負は決していたわ。まぁ1対1でも勝てないけどね。でも今は勝ち負けよりもリンが勝つ事を信じて、時間を稼ぐ事が重要だわ。)
アイネスがハルバードを振り回してくる。
「はぁああ!」
「くっ。」
エオリアは反応して何とか避けるが、避けても分かる程のハルバードの一撃の重さに一瞬恐怖を感じる。その感情に体が止まらないよう必死に抑え、メスを投げながら距離を取る。
『トキシックナイフ』
予めいくつかの毒物を塗っておいた6つのメスがエンネアの死角で投げられる。矢に弾かれる事なく、メスはアイネスへ向かう。だが、
「ふん!」
アイネスが振るったハルバードを素早く引き戻し、両手を使い、目の前で回転させる。回転するハルバードにメスが全て弾かれる。
(もう!どんだけの馬鹿力なのよ。)
自分では持つことも厳しいハルバードを玩具の様に軽く扱うアイネスを睨み付ける。ハルバードを止め、肩に担ぐアイネスは納得した様にこちらを見て頷いていた。
「なるほど。針やナイフの様な物を上手く使う。お主は暗殺者のようだな。」
「だ・れ・が・暗殺者よ!!」
その言葉にキレたエオリアは否定する様に叫び、メスを構えてこちらから接近戦を仕掛ける。鋭い斬撃が連続に振るわれるが、アイネスは余裕の笑みを浮かべ、それを避ける。そして、お返しの様に鋭い突きがエオリアに放たれる。
「危なっ!」
エオリアは長年の勘で、突き出されたハルバードの下を咄嗟にくぐり抜ける
(上手く避けれた!この距離なら--)
その一瞬の油断をアイネスは見逃さない。
「甘い。」
突き出されたハルバードの柄が急速に引き戻され、くぐり抜けたエオリアの背中に命中する。
「きゃあ!」
エオリアは背中への衝撃に、激しい痛みと共に弾き飛ばされ、地面を転がる。何回か転がったところで勢いは止まるが、倒れたエオリアは動かない。
アイネスは止めを指そうと一歩足を踏み出した。しかし、そこでアイネスの意志を無視し、足は膝をつく。動かない足を見て、初めて体が痺れている事に気が付く。
「これは……」
「『全身麻酔』。体の感覚をなくし、痺れさせる粉よ。攻撃を受ける寸前、撒かさせてもらったわ。」
アイネスが視線を向けるとエオリアが痛みに顔をしかめながらも、立ち上がっていた。
「あいたたた。リンに内功ってやつを教えてもらってなきゃ危なかったわね。ちょっと回復させて貰うわ。」
エオリア懐から薬を取り出し、それを飲み込む。
『秘薬』
するとその体から痛みが引いていく。
エオリアは笑顔でアイネスに告げる。
「見ての通り。私が使うのは暗殺術じゃなくて、医療術よ。勘違いしないでよ?」
(よし!1人動きを止めた。これで今のうちにリンと合流出来れば、何とか逃げ切れるかも!)
だが、その思惑が甘い考えだと教える様にエンネアの声が聞こえる。
「アイネス、油断し過ぎだわ…後で反省ね。まぁでも、向こうは終わったみたいだし、時間的にはちょうど良いわね。」
「え!?」
エオリアはエンネアが見ている方向へと視線を向ける。そこには、血だらけで倒れるリンがいた。
「リン!!?」
倒れているリンに急いで駆け寄り、その状態を確認する。
(これは…大きな傷は手足と背中、後は小さな傷だけど全身傷だらけだわ!出血が多い。急いで治療しないと!)
「間に合って!!」
『蘇生措置』
エオリアはリンの口に秘薬を入れ、治癒術を使う。淡い光がリンの体を包むと、段々傷口が塞がっていき、血が止まる。意識は戻らないが危険な状態からは脱した。その事に安堵するエオリア。
「貴女で最後ですわ。」
気が付くと目の前に先程とは別人に見えるデュバリィが剣先をこちらに向けていた。その後ろには痺れが取れ、確かめる様にハルバードを振るうアイネスと、矢を弓で引くエンネアの姿があった。
絶望的な状況にエオリアは諦める様に目を閉じる。
(ご免なさい、リン。私もここまでみたい。……アリオスさん。…レオンハルトさん。後はよろしくお願いします。)
「これで終わりですわ!」
目を瞑ったエオリアにデュバリィの神速の剣が迫る。そして、その剣はエオリアに----
「--悪いが終わりではない。」
届かなかった。
擦り合わせる様な金属音が耳に響く。その音に、エオリアは閉じていた目を開ける。その目に最初に写ったのは、デュバリィの剣を同じく剣で受け止めるレオンハルトの後ろ姿だった。