この頃春先で、仕事が色々詰まってまして、昨日は投稿出来ませんでした。
今日からまた出来るだけ毎日投稿致しますので、グレースケイルを宜しくお願いします。
「ああ、えっと……気を取り直して、続き、しようか」
「ああ………うん」
一気にお通夜ムードに突入した中、自己紹介が再開された。
「えっと、私はというか、ここにいる権さん以外の全員が工兵科で、NATA階級符号のOR-6ですが、確か権さんはOF-3で山田提督はOF-4でしたよね?」
NATA階級符号とは、組織間、国家間での階級の違いを分かりやすくするために、国連が作った階級だ。ちなみに、ORが下でOFが上、同じ符号同士では、数字が大きいほど偉い。(本当にあります)
「ああ、中佐だからな」
そう肯定すると、吉田は安心したように続ける。
「で、僕が妖精さんたちと兵器開発をしているチームに所属してる、吉田相馬です。19ですね。妖精さんをめでること以外にこれといって趣味は無いですがよろしくお願いします、提督」
「お、おう」
今、不穏な台詞が混じっていた気がする。
するが、同時に気にしてはいけない気もしたのでスルーすることにした。藪をつつくような真似はしたくない。
「次は僕ですかね」
くいっと眼鏡のブリッジを中指で押し上げながら、何か出てきた。確か上田だっけか。
「僕は上田です、提督。18歳です。ちなみに同僚からはギャルゲーキング、GKと呼ばれています。提督もそう呼んでいいですよ」
「ああ、遠慮しとくよ」
「ふふ、ギャルゲーの攻略に行き詰まったら呼んでくださいすぐに全員の好感度をマックスに」
「呼ぶ機会は多分無いな」
何なんだろう。異様にキャラクター濃くないか?
すると、茶色がかった髪の背の低い男が出てきた。
「俺は日本太郎って言います。歳は18です」
「……にっぽん?」
「にっぽんです」
とても愛国心の溢れる名前だなおい。多分小さいときは相当からかわれたに違いない。
「ミリタリー系のゲームが好きです」
「……うん」
駄目だ、日本太郎のインパクトでプロフィールが全然頭に入ってこない。
と、あと二人は、同時に名乗りをあげる。顔がよく似ているから、兄弟なのだろうか。
「弟の近藤康です。歳は17です」
やはり兄弟だったか、山田はふふんと笑う。兄弟一緒は良いだろうな。寂しくなさそうだ。それにしても『やすし』って、じゃあ兄の方は『たかし』とか………。
「兄の近藤鬼螺です」
「どうしてそうなった」
何でやすしの兄が『キラ』なんだよ。おかしいだろ、なんだよそのエールストライクとかに乗ってそうな名前。
壮絶な名前に顔をしかめていると、カリカリカリカリと鉛筆を走らせている音に気づいて、後ろを振り返る。
女子組が流れ出る鼻血を手で押さえながら紙に凄まじい速さで何かを書き込んでいる狂気的な映像が目に飛び込んで来たので、すっと目をそらした。
「なぁ、吉田」
「何ですか山田提督」
「ハァハァ、影のある提督に男の娘な権さんが優しく……ハァハァ」とか「権×山でいくか山×権でいくか……」とか「っこれは久々の黄金カップル誕生……!?」とか聞こえたけど、聞こえてない事にした。
「……あいつらは何をしてるんだ?」
「……えっと、あの人たちは権さんが女という事実から目をそらしていましてね」
「私は男だが?」
「権さんちょっと黙ってて」
「悪いイチノへ今忙しいんだ」
「……むぅ」
権言坂が少しむすっとした顔になるダメだ今すぐ抱き締めて頬擦りしたい。
山田はそろそろキャラがおかしくなって来たことに目をそらし続けながら、吉田の話を聞く。
「それで、権さんと提督とで、いわゆる腐ったカップリングをして同人誌をつくろうとしているんですね。あれは企画を出しているのかと」
「私とイチノへで……?」
なるほど、それは恐ろしいな。
「ちょっと予約出来ないか聞いてくる」
「提督!?」
吉田は驚いた様に声をあげる。しかし、驚かれた当の山田は、何をそんなに驚いているんだと眉をひそめる。
そして、ああ。と手を打ち言った。
「大丈夫、さっきちらって見えたかイチノへの絵柄は男の娘系だった」
「そういう問題!?」
「むしろ他にどういう問題があるんだ!?」
真っ正面から意見が対立。やれやれ、着任早々一波乱ありそうだ、と波乱を起こす側の山田が呟く。
「あ、提督。私らも自己紹介しといた方がいいすか?」
「あ? ああ、うん」
何でそう言うことを聞くんだろうか。皆で自己紹介しているのに。
山田が首をかしげると、リーダーらしき眼鏡が答える。
「いや、男たちの楽園に足を踏み入れて良いものかと」
「余計な気遣いありがとうこの野郎」
とてもいやな理由だった。聞かなきゃ良かった。いや、聞いてないけど。
「斎藤す」
「野中です」
「小林ですな」
「向井です」
「中山でござる」
「ヲ、ヲヲーヲヲ、ヲ」
「おいこら変なの混じってんぞ」
なんか戦場でよく見かける人が混じっていた。というか頭のアレ取ってることにも驚きだけど、服装あのままだったのに、口を開くまで気づけなかった自分に、山田は一番驚いた。
「違うんす、ヲ級ちゃんは悪くないんす」
「そうですよ提督。捕虜にしたときの尋問で、同志であることを互いに悟って以来、私たちは堅い友情で結ばれているんです!」
「そうだそうだ」
「そうでござる」
「ヲ、ヲヲヲーヲヲ、ヲ」
マジかよ。深海棲艦女子も腐ってるやついたのかよ。
山田は腐女子の可能性に身震いしながら、絞り出すように言った。
「えっと、じゃあその、これから、よろしくな?」
その表情がひきつっていたことは言うまでもない。